薬剤情報
後発品
薬効分類気管支拡張薬 > αβ刺激薬 昇圧薬 > αβ刺激薬
一般名アドレナリンキット (2)
薬価10203
メーカーヴィアトリス製薬
最終更新2023年09月改訂(第3版)

用法・用量

通常、アドレナリンとして0.01mg/kgが推奨用量であり、患者の体重を考慮して、アドレナリン0.15mg又は0.3mgを筋肉内注射する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 通常、成人には0.3mg製剤を使用し、小児には体重に応じて0.15mg製剤又は0.3mg製剤を使用すること。

7.2. 0.01mg/kgを超える用量、すなわち、体重15kg未満の患者に本剤0.15mg製剤、体重30kg未満の患者に本剤0.3mg製剤を投与すると、過量となるおそれがあるので、副作用の発現等に十分な注意が必要であり、本剤以外のアドレナリン製剤の使用についても考慮する必要があるが、0.01mg/kgを超える用量を投与することの必要性については、救命を最優先し、患者ごとの症状を観察した上で慎重に判断すること〔9.1.1参照〕。

効能・効果

蜂毒に起因するアナフィラキシー反応、食物に起因するアナフィラキシー反応及び薬物に起因するアナフィラキシー反応等のアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. アナフィラキシー反応は、病状が進行性であり、初期症状(しびれ感、違和感、口唇の浮腫、気分不快、吐き気、嘔吐、腹痛、じん麻疹、咳込みなど)が患者により異なることがあるので、本剤を患者に交付する際には、過去のアナフィラキシー発現の有無、初期症状等を必ず聴取し、本剤の注射時期について患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に適切に指導すること。

5.2. 本剤の注射時期については、次のような目安も参考とし、注射時期を遺失しないよう注意すること。

・ 初期症状が発現し、ショック症状が発現する前の時点を目安とし、注射時期を遺失しないよう注意すること。

・ 過去にアナフィラキシーを起こしたアレルゲンを誤って摂取し、明らかな異常症状を感じた時点を目安とし、注射時期を遺失しないよう注意すること。

5.3. 本剤は心筋酸素需要を増加させるため、心原性ショックや出血性ショック・外傷性ショック時の使用は避けること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 肺水腫(頻度不明):初期症状として、血圧異常上昇があらわれることがある〔8.4参照〕。

11.1.2. 呼吸困難(頻度不明)。

11.1.3. 心停止(頻度不明):初期症状として、頻脈、不整脈、心悸亢進、胸内苦悶があらわれることがある〔8.4参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 循環器:(頻度不明)心悸亢進、胸内苦悶、不整脈、顔面潮紅・顔面蒼白、血圧異常上昇。

2). 精神神経系:(頻度不明)頭痛、めまい、不安、振戦。

3). 過敏症:(頻度不明)過敏症状等。

4). 消化器:(頻度不明)悪心・嘔吐。

5). その他:(頻度不明)熱感、発汗。

警告

1.1. 本剤を患者に交付する際には、必ずインフォームドコンセントを実施し、本剤交付前に自らが適切に自己注射できるよう、本剤の保存方法、使用方法、使用時に発現する可能性のある副作用等を患者に対して指導し、患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者が理解したことを確認した上で交付すること(本剤を誤った方法で使用すると手指等への誤注射等の重大な事故につながるおそれがある)〔8.5、14.適用上の注意の項参照〕。

1.2. 本剤を患者に交付する際には、患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に対して、本剤に関する患者向けの説明文書等を熟読し、また、本剤の練習用エピペントレーナーを用い、日頃から本剤の使用方法について訓練しておくよう指導すること〔14.適用上の注意の項参照〕。

1.3. 本剤は、アナフィラキシー発現時の緊急補助的治療として使用するものであるので、本剤を患者に交付する際には、医療機関での治療に代わり得るものではなく、本剤使用後には必ず医療機関を受診し、適切な治療を受けるよう指導すること〔14.適用上の注意の項参照〕。

1.4. 本剤が大量投与又は不慮に静脈内に投与された場合には、急激な血圧上昇により、脳出血を起こす場合があるので、静脈内に投与しないこと。また、患者に対しても投与部位についての適切な指導を行うこと〔14.3.2参照〕。

禁忌

イソプレナリン、ノルアドレナリン等のカテコールアミン製剤投与中、アドレナリン作動薬投与中の患者(ただし、蘇生等の緊急時はこの限りでない)〔10.1参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 本剤はアドレナリン受容体作動薬として、α受容体、β受容体それぞれに作用し、その作用は投与量、投与方法等に影響を受けやすいので注意すること。

8.2. 本剤はアナフィラキシーショックの救急治療の第一次選択剤であり、ショック時の循環動態を改善するが、その循環動態はショックを起こした原因及び病期により異なることがあるので、治療に際し本剤の選択、使用時期には十分注意すること。

8.3. 本剤には昇圧作用のほか血管収縮、気管支拡張作用等もあるので、ショックの初期治療後は他の昇圧薬を用いること。

8.4. 過度の昇圧反応を起こすことがあり、急性肺水腫、不整脈、心停止等を起こすおそれがあるので、過量投与にならないよう注意すること〔11.1.1、11.1.3、13.1参照〕。

8.5. 本剤を患者に交付する際には、必ずインフォームドコンセントを実施し、本剤の注射により発現する可能性のある副作用及び手指等への誤注射等のリスクについても、十分に説明し指導すること〔1.1、14.適用上の注意の項参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 次の患者には、ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと。

(1). 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(2). 交感神経作動薬に対し過敏反応を示す患者:アドレナリン受容体が本剤に対し高い感受性を示すおそれがある(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(3). 動脈硬化症の患者:本剤の血管収縮作用により、閉塞性血管障害が促進され、冠動脈攣縮や脳血管攣縮等及び冠動脈の基質的閉塞や脳血管の基質的閉塞等があらわれるおそれがある(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(4). 甲状腺機能亢進症の患者:頻脈、心房細動がみられることがあり、本剤の投与により悪化するおそれがある(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(5). 糖尿病の患者:肝におけるグリコーゲン分解の促進や、インスリン分泌の抑制により、高血糖を招くおそれがある(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(6). 心室性頻拍等の重症不整脈のある患者:本剤のβ刺激作用により、不整脈を悪化させるおそれがある(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(7). 精神神経症の患者:一般に交感神経作動薬の中枢神経系の副作用として情緒不安、不眠、錯乱、易刺激性及び精神病的状態等があるので悪化するおそれがある(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(8). コカイン中毒の患者:コカインは、交感神経末端でのカテコールアミンの再取り込みを阻害するので、本剤の作用が増強されるおそれがある(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(9). 投与量が0.01mg/kgを超える患者(30kg未満の患者):過量投与になるので、通常のアドレナリン注射液を用いて治療すること(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)〔7.2参照〕。

9.1.2. 高血圧の患者:本剤の血管収縮作用により、急激な血圧上昇があらわれるおそれがある。

9.1.3. 肺気腫のある患者:肺循環障害を増悪させ、右心系への負荷が過重となり、右心不全に陥るおそれがある。

9.1.4. 心疾患のある患者:本剤のβ刺激作用により、心疾患を悪化させるおそれがある。

相互作用

10.1. 併用禁忌:

イソプレナリン、ノルアドレナリン等のカテコールアミン製剤、アドレナリン作動薬<メチルフェニデート以外><プロタノール等>〔2.禁忌の項参照〕[不整脈、場合により心停止があらわれることがあるので、蘇生等の緊急時以外には併用しない(これらの薬剤のβ刺激作用により、交感神経興奮作用が増強すると考えられている)]。

10.2. 併用注意:

1). ハロゲン含有吸入麻酔薬(ハロタン、イソフルラン、セボフルラン、デスフルラン)[頻脈・心室細動発現の危険性が増大する(これらの薬剤により、心筋のカテコールアミン感受性が亢進すると考えられている)]。

①. ハロタン麻酔中のヒトの50%に心室性期外収縮を誘発するアドレナリン量(粘膜下投与)は2.1μg/kgと報告されている。

②. イソフルラン麻酔中のヒトの50%に心室性期外収縮を誘発するアドレナリン量(粘膜下投与)は6.7μg/kgと報告されている。

③. セボフルラン麻酔中、5μg/kg未満のアドレナリンを粘膜下に投与しても3回以上持続する心室性期外収縮は誘発されなかったが、5μg/kg〜14.9μg/kgのアドレナリンを投与した場合、1/3の症例に3回以上持続する心室性期外収縮が誘発された。

④. デスフルラン麻酔中、7.0μg/kg未満のアドレナリンを粘膜下に投与しても3回以上持続する心室性期外収縮は誘発されなかったが、7.0μg/kg〜13.0μg/kgのアドレナリンを投与した場合、50%(6/12例)の症例に3回以上持続する心室性期外収縮が誘発された。

2). モノアミン酸化酵素阻害薬[本剤の作用が増強され血圧の異常上昇をきたすことがある(本剤の代謝酵素を阻害することにより、カテコールアミン感受性が亢進すると考えられている)]。

3). 三環系抗うつ薬(イミプラミン、アミトリプチリン等)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤<SNRI>(ミルナシプラン等)、その他の抗うつ薬(マプロチリン等)、メチルフェニデート[本剤の作用が増強され血圧の異常上昇をきたすことがある(アドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを遮断し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させると考えられている)]。

4). 抗精神病薬(ブチロフェノン系薬剤、フェノチアジン系薬剤、イミノジベンジル系薬剤、ゾテピン、リスペリドン)、α遮断薬[本剤の昇圧作用の反転により低血圧があらわれることがある(これらの薬剤のα遮断作用により、本剤のβ刺激作用が優位になると考えられている)]。

5). 分娩促進薬(オキシトシン等)、バッカクアルカロイド類(エルゴタミン等)[本剤の作用が増強され血圧の異常上昇をきたすことがある(これらの薬剤の血管平滑筋収縮作用により、血圧上昇作用を増強すると考えられている)]。

6). ジギタリス製剤[異所性不整脈があらわれることがある(ともに異所性刺激能を有し、不整脈発現の可能性が高くなると考えられている)]。

7). キニジン[心室細動があらわれることがある(相互に心筋に対する作用を増強すると考えられている)]。

8). 甲状腺製剤(チロキシン等)[冠不全発作があらわれることがある(甲状腺ホルモンは心筋のβ受容体を増加させるため、カテコールアミン感受性が亢進すると考えられている)]。

9). 非選択性β遮断薬:

①. 非選択性β遮断薬(プロプラノロール、カルベジロール等)[相互の薬剤の効果が減弱する(これらの薬剤のβ遮断作用により本剤の作用が抑制され、また、本剤のβ刺激作用により、これらの薬剤の作用が抑制される)]。

②. 非選択性β遮断薬(プロプラノロール、カルベジロール等)[血圧上昇、徐脈があらわれることがある(これらの薬剤のβ遮断作用により、本剤のα刺激作用が優位になると考えられている)]。

10). 血糖降下薬(インスリン等)[血糖降下薬の作用を減弱させることがある(本剤の血糖上昇作用によると考えられている)]。

11). ブロモクリプチン[血圧上昇、頭痛、痙攣等があらわれることがある(機序は明らかではないが、本剤の血管収縮作用、血圧上昇作用に影響を及ぼすと考えられている)]。

12). 利尿剤(チアジド系利尿剤(トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等)、チアジド系類似剤(インダパミド等)、ループ利尿剤(フロセミド等)、カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン))[本剤の作用が減弱することがあるので、手術前の患者に使用する場合、利尿剤の一時休薬等を行うこと(本剤の血管反応性を低下させることがある)]。

高齢者

少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(本剤の作用に対する感受性が高いことがある)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦、妊娠している可能性のある女性又は産婦には投与しないことが望ましい(胎児の酸素欠乏をもたらしたり、分娩第二期を遅延するおそれがある)。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

小児等

低出生体重児、新生児及び乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

過量投与

13.1. 過量投与時、ときに心室細動、脳出血等があらわれることがある(またアドレナリン受容体感受性の高い患者では特に注意すること)〔8.4参照〕。

13.2. 過量投与時、腎血管の異常収縮により、腎機能停止するおそれがある。

13.3. 過量投与時、血中の乳酸濃度が上昇し、重篤な代謝性アシドーシスがあらわれるおそれがある。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

本剤を処方する医師は次の内容について正しく理解するとともに、患者に交付する際には、患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に次の内容を必ず交付前に説明すること〔1.1−1.3、8.5参照〕。

14.1. 薬剤交付時の注意

14.1.1. 本剤には有効期限が記載されている。有効期間に注意して、有効期限が来る前に新しい製品の処方を受けること。

14.1.2. 本剤が変色していたり、沈殿物が認められたりしないか定期的に確認し、認められた場合、本剤を使用せず新しい製品の処方を受けること。

14.1.3. 本剤を使用した場合あるいは使用する必要がなくなった場合には、医療機関等へ本剤を提出すること。

14.1.4. 本剤は光で分解しやすいため、携帯用ケースに収められた状態で保存し、携帯用ケース及び本剤を落とさないように注意する(落としてしまった場合、破損や漏れがないか確認する)〔20.取扱い上の注意の項参照〕。

14.1.5. 本剤は15℃〜30℃で保存することが望ましいので、冷所又は日光のあたる高温下等に放置しないこと〔20.取扱い上の注意の項参照〕。

14.2. 薬剤投与前の注意

14.2.1. 本剤は、使用前に携帯用ケースから取り出すこと。なお、本剤には安全キャップが装着されており、安全キャップを外すと、予期せぬときに作動するおそれがあるので、本剤の注射を必要とする時まで、絶対に安全キャップを外さないこと。

14.3. 薬剤投与時の注意

14.3.1. 本剤を適切に注射するためには、携帯用ケースのふたを開けて注射器を取り出し、青色の安全キャップを外し、投与部位が動かないようにしっかり押さえ、大腿部の前外側にオレンジ色のニードルカバー先端を数秒間強く押し付けて注射する。適正に本剤が作動した場合には、オレンジ色のニードルカバーが伸びる。

14.3.2. 本剤は、大腿部の前外側から注射すること。尻や身体の他の部分に注射しないこと。また、緊急時には衣服の上からでも注射可能である〔1.4参照〕。

14.3.3. 注射時に投与部位が動くと注射部位を損傷したり、針が曲がって抜けなくなったりするおそれがあるので、投与部位をしっかり押さえるなど注意すること。

14.3.4. 本剤の誤注射を防止するため、指又は手等をオレンジ色のニードルカバー先端にあてないよう注意すること。なお、もし指又は手等に誤って本剤を注射した場合には、直ちに医療機関を受診して、適切な処置を受けるよう指導すること。

14.4. 薬剤投与後の注意

14.4.1. 本剤は投与量を安定化するため、1管中2mLの薬液が封入されているが投与されるのは約0.3mLであり、注射後にも約1.7mLの薬液が注射器内に残るように設計されていることから残液の量をみて投与しなかったと誤解するおそれがあるので注意すること〔3.1参照〕。

14.4.2. 本剤は一度注射すると、再度注射しても薬液が放出しない仕組みとなっているので、同一の製剤を用いて二度注射しないこと。

(取扱い上の注意)

外箱開封後は遮光して保存すること〔14.1.4、14.1.5参照〕。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

エピペン注射液0.3mg
後発品はありません
エピペン注射液0.3mg
エピペン注射液0.3mg

エピペン注射液0.3mg

気管支拡張薬 > αβ刺激薬 昇圧薬 > αβ刺激薬
2023年09月改訂(第3版)
薬剤情報
後発品
薬効分類気管支拡張薬 > αβ刺激薬 昇圧薬 > αβ刺激薬
一般名アドレナリンキット (2)
薬価10203
メーカーヴィアトリス製薬
最終更新2023年09月改訂(第3版)

用法・用量

通常、アドレナリンとして0.01mg/kgが推奨用量であり、患者の体重を考慮して、アドレナリン0.15mg又は0.3mgを筋肉内注射する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 通常、成人には0.3mg製剤を使用し、小児には体重に応じて0.15mg製剤又は0.3mg製剤を使用すること。

7.2. 0.01mg/kgを超える用量、すなわち、体重15kg未満の患者に本剤0.15mg製剤、体重30kg未満の患者に本剤0.3mg製剤を投与すると、過量となるおそれがあるので、副作用の発現等に十分な注意が必要であり、本剤以外のアドレナリン製剤の使用についても考慮する必要があるが、0.01mg/kgを超える用量を投与することの必要性については、救命を最優先し、患者ごとの症状を観察した上で慎重に判断すること〔9.1.1参照〕。

効能・効果

蜂毒に起因するアナフィラキシー反応、食物に起因するアナフィラキシー反応及び薬物に起因するアナフィラキシー反応等のアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. アナフィラキシー反応は、病状が進行性であり、初期症状(しびれ感、違和感、口唇の浮腫、気分不快、吐き気、嘔吐、腹痛、じん麻疹、咳込みなど)が患者により異なることがあるので、本剤を患者に交付する際には、過去のアナフィラキシー発現の有無、初期症状等を必ず聴取し、本剤の注射時期について患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に適切に指導すること。

5.2. 本剤の注射時期については、次のような目安も参考とし、注射時期を遺失しないよう注意すること。

・ 初期症状が発現し、ショック症状が発現する前の時点を目安とし、注射時期を遺失しないよう注意すること。

・ 過去にアナフィラキシーを起こしたアレルゲンを誤って摂取し、明らかな異常症状を感じた時点を目安とし、注射時期を遺失しないよう注意すること。

5.3. 本剤は心筋酸素需要を増加させるため、心原性ショックや出血性ショック・外傷性ショック時の使用は避けること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 肺水腫(頻度不明):初期症状として、血圧異常上昇があらわれることがある〔8.4参照〕。

11.1.2. 呼吸困難(頻度不明)。

11.1.3. 心停止(頻度不明):初期症状として、頻脈、不整脈、心悸亢進、胸内苦悶があらわれることがある〔8.4参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 循環器:(頻度不明)心悸亢進、胸内苦悶、不整脈、顔面潮紅・顔面蒼白、血圧異常上昇。

2). 精神神経系:(頻度不明)頭痛、めまい、不安、振戦。

3). 過敏症:(頻度不明)過敏症状等。

4). 消化器:(頻度不明)悪心・嘔吐。

5). その他:(頻度不明)熱感、発汗。

警告

1.1. 本剤を患者に交付する際には、必ずインフォームドコンセントを実施し、本剤交付前に自らが適切に自己注射できるよう、本剤の保存方法、使用方法、使用時に発現する可能性のある副作用等を患者に対して指導し、患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者が理解したことを確認した上で交付すること(本剤を誤った方法で使用すると手指等への誤注射等の重大な事故につながるおそれがある)〔8.5、14.適用上の注意の項参照〕。

1.2. 本剤を患者に交付する際には、患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に対して、本剤に関する患者向けの説明文書等を熟読し、また、本剤の練習用エピペントレーナーを用い、日頃から本剤の使用方法について訓練しておくよう指導すること〔14.適用上の注意の項参照〕。

1.3. 本剤は、アナフィラキシー発現時の緊急補助的治療として使用するものであるので、本剤を患者に交付する際には、医療機関での治療に代わり得るものではなく、本剤使用後には必ず医療機関を受診し、適切な治療を受けるよう指導すること〔14.適用上の注意の項参照〕。

1.4. 本剤が大量投与又は不慮に静脈内に投与された場合には、急激な血圧上昇により、脳出血を起こす場合があるので、静脈内に投与しないこと。また、患者に対しても投与部位についての適切な指導を行うこと〔14.3.2参照〕。

禁忌

イソプレナリン、ノルアドレナリン等のカテコールアミン製剤投与中、アドレナリン作動薬投与中の患者(ただし、蘇生等の緊急時はこの限りでない)〔10.1参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 本剤はアドレナリン受容体作動薬として、α受容体、β受容体それぞれに作用し、その作用は投与量、投与方法等に影響を受けやすいので注意すること。

8.2. 本剤はアナフィラキシーショックの救急治療の第一次選択剤であり、ショック時の循環動態を改善するが、その循環動態はショックを起こした原因及び病期により異なることがあるので、治療に際し本剤の選択、使用時期には十分注意すること。

8.3. 本剤には昇圧作用のほか血管収縮、気管支拡張作用等もあるので、ショックの初期治療後は他の昇圧薬を用いること。

8.4. 過度の昇圧反応を起こすことがあり、急性肺水腫、不整脈、心停止等を起こすおそれがあるので、過量投与にならないよう注意すること〔11.1.1、11.1.3、13.1参照〕。

8.5. 本剤を患者に交付する際には、必ずインフォームドコンセントを実施し、本剤の注射により発現する可能性のある副作用及び手指等への誤注射等のリスクについても、十分に説明し指導すること〔1.1、14.適用上の注意の項参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 次の患者には、ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと。

(1). 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(2). 交感神経作動薬に対し過敏反応を示す患者:アドレナリン受容体が本剤に対し高い感受性を示すおそれがある(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(3). 動脈硬化症の患者:本剤の血管収縮作用により、閉塞性血管障害が促進され、冠動脈攣縮や脳血管攣縮等及び冠動脈の基質的閉塞や脳血管の基質的閉塞等があらわれるおそれがある(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(4). 甲状腺機能亢進症の患者:頻脈、心房細動がみられることがあり、本剤の投与により悪化するおそれがある(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(5). 糖尿病の患者:肝におけるグリコーゲン分解の促進や、インスリン分泌の抑制により、高血糖を招くおそれがある(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(6). 心室性頻拍等の重症不整脈のある患者:本剤のβ刺激作用により、不整脈を悪化させるおそれがある(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(7). 精神神経症の患者:一般に交感神経作動薬の中枢神経系の副作用として情緒不安、不眠、錯乱、易刺激性及び精神病的状態等があるので悪化するおそれがある(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(8). コカイン中毒の患者:コカインは、交感神経末端でのカテコールアミンの再取り込みを阻害するので、本剤の作用が増強されるおそれがある(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)。

(9). 投与量が0.01mg/kgを超える患者(30kg未満の患者):過量投与になるので、通常のアドレナリン注射液を用いて治療すること(ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと)〔7.2参照〕。

9.1.2. 高血圧の患者:本剤の血管収縮作用により、急激な血圧上昇があらわれるおそれがある。

9.1.3. 肺気腫のある患者:肺循環障害を増悪させ、右心系への負荷が過重となり、右心不全に陥るおそれがある。

9.1.4. 心疾患のある患者:本剤のβ刺激作用により、心疾患を悪化させるおそれがある。

相互作用

10.1. 併用禁忌:

イソプレナリン、ノルアドレナリン等のカテコールアミン製剤、アドレナリン作動薬<メチルフェニデート以外><プロタノール等>〔2.禁忌の項参照〕[不整脈、場合により心停止があらわれることがあるので、蘇生等の緊急時以外には併用しない(これらの薬剤のβ刺激作用により、交感神経興奮作用が増強すると考えられている)]。

10.2. 併用注意:

1). ハロゲン含有吸入麻酔薬(ハロタン、イソフルラン、セボフルラン、デスフルラン)[頻脈・心室細動発現の危険性が増大する(これらの薬剤により、心筋のカテコールアミン感受性が亢進すると考えられている)]。

①. ハロタン麻酔中のヒトの50%に心室性期外収縮を誘発するアドレナリン量(粘膜下投与)は2.1μg/kgと報告されている。

②. イソフルラン麻酔中のヒトの50%に心室性期外収縮を誘発するアドレナリン量(粘膜下投与)は6.7μg/kgと報告されている。

③. セボフルラン麻酔中、5μg/kg未満のアドレナリンを粘膜下に投与しても3回以上持続する心室性期外収縮は誘発されなかったが、5μg/kg〜14.9μg/kgのアドレナリンを投与した場合、1/3の症例に3回以上持続する心室性期外収縮が誘発された。

④. デスフルラン麻酔中、7.0μg/kg未満のアドレナリンを粘膜下に投与しても3回以上持続する心室性期外収縮は誘発されなかったが、7.0μg/kg〜13.0μg/kgのアドレナリンを投与した場合、50%(6/12例)の症例に3回以上持続する心室性期外収縮が誘発された。

2). モノアミン酸化酵素阻害薬[本剤の作用が増強され血圧の異常上昇をきたすことがある(本剤の代謝酵素を阻害することにより、カテコールアミン感受性が亢進すると考えられている)]。

3). 三環系抗うつ薬(イミプラミン、アミトリプチリン等)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤<SNRI>(ミルナシプラン等)、その他の抗うつ薬(マプロチリン等)、メチルフェニデート[本剤の作用が増強され血圧の異常上昇をきたすことがある(アドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを遮断し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させると考えられている)]。

4). 抗精神病薬(ブチロフェノン系薬剤、フェノチアジン系薬剤、イミノジベンジル系薬剤、ゾテピン、リスペリドン)、α遮断薬[本剤の昇圧作用の反転により低血圧があらわれることがある(これらの薬剤のα遮断作用により、本剤のβ刺激作用が優位になると考えられている)]。

5). 分娩促進薬(オキシトシン等)、バッカクアルカロイド類(エルゴタミン等)[本剤の作用が増強され血圧の異常上昇をきたすことがある(これらの薬剤の血管平滑筋収縮作用により、血圧上昇作用を増強すると考えられている)]。

6). ジギタリス製剤[異所性不整脈があらわれることがある(ともに異所性刺激能を有し、不整脈発現の可能性が高くなると考えられている)]。

7). キニジン[心室細動があらわれることがある(相互に心筋に対する作用を増強すると考えられている)]。

8). 甲状腺製剤(チロキシン等)[冠不全発作があらわれることがある(甲状腺ホルモンは心筋のβ受容体を増加させるため、カテコールアミン感受性が亢進すると考えられている)]。

9). 非選択性β遮断薬:

①. 非選択性β遮断薬(プロプラノロール、カルベジロール等)[相互の薬剤の効果が減弱する(これらの薬剤のβ遮断作用により本剤の作用が抑制され、また、本剤のβ刺激作用により、これらの薬剤の作用が抑制される)]。

②. 非選択性β遮断薬(プロプラノロール、カルベジロール等)[血圧上昇、徐脈があらわれることがある(これらの薬剤のβ遮断作用により、本剤のα刺激作用が優位になると考えられている)]。

10). 血糖降下薬(インスリン等)[血糖降下薬の作用を減弱させることがある(本剤の血糖上昇作用によると考えられている)]。

11). ブロモクリプチン[血圧上昇、頭痛、痙攣等があらわれることがある(機序は明らかではないが、本剤の血管収縮作用、血圧上昇作用に影響を及ぼすと考えられている)]。

12). 利尿剤(チアジド系利尿剤(トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等)、チアジド系類似剤(インダパミド等)、ループ利尿剤(フロセミド等)、カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン))[本剤の作用が減弱することがあるので、手術前の患者に使用する場合、利尿剤の一時休薬等を行うこと(本剤の血管反応性を低下させることがある)]。

高齢者

少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(本剤の作用に対する感受性が高いことがある)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦、妊娠している可能性のある女性又は産婦には投与しないことが望ましい(胎児の酸素欠乏をもたらしたり、分娩第二期を遅延するおそれがある)。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

小児等

低出生体重児、新生児及び乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

過量投与

13.1. 過量投与時、ときに心室細動、脳出血等があらわれることがある(またアドレナリン受容体感受性の高い患者では特に注意すること)〔8.4参照〕。

13.2. 過量投与時、腎血管の異常収縮により、腎機能停止するおそれがある。

13.3. 過量投与時、血中の乳酸濃度が上昇し、重篤な代謝性アシドーシスがあらわれるおそれがある。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

本剤を処方する医師は次の内容について正しく理解するとともに、患者に交付する際には、患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に次の内容を必ず交付前に説明すること〔1.1−1.3、8.5参照〕。

14.1. 薬剤交付時の注意

14.1.1. 本剤には有効期限が記載されている。有効期間に注意して、有効期限が来る前に新しい製品の処方を受けること。

14.1.2. 本剤が変色していたり、沈殿物が認められたりしないか定期的に確認し、認められた場合、本剤を使用せず新しい製品の処方を受けること。

14.1.3. 本剤を使用した場合あるいは使用する必要がなくなった場合には、医療機関等へ本剤を提出すること。

14.1.4. 本剤は光で分解しやすいため、携帯用ケースに収められた状態で保存し、携帯用ケース及び本剤を落とさないように注意する(落としてしまった場合、破損や漏れがないか確認する)〔20.取扱い上の注意の項参照〕。

14.1.5. 本剤は15℃〜30℃で保存することが望ましいので、冷所又は日光のあたる高温下等に放置しないこと〔20.取扱い上の注意の項参照〕。

14.2. 薬剤投与前の注意

14.2.1. 本剤は、使用前に携帯用ケースから取り出すこと。なお、本剤には安全キャップが装着されており、安全キャップを外すと、予期せぬときに作動するおそれがあるので、本剤の注射を必要とする時まで、絶対に安全キャップを外さないこと。

14.3. 薬剤投与時の注意

14.3.1. 本剤を適切に注射するためには、携帯用ケースのふたを開けて注射器を取り出し、青色の安全キャップを外し、投与部位が動かないようにしっかり押さえ、大腿部の前外側にオレンジ色のニードルカバー先端を数秒間強く押し付けて注射する。適正に本剤が作動した場合には、オレンジ色のニードルカバーが伸びる。

14.3.2. 本剤は、大腿部の前外側から注射すること。尻や身体の他の部分に注射しないこと。また、緊急時には衣服の上からでも注射可能である〔1.4参照〕。

14.3.3. 注射時に投与部位が動くと注射部位を損傷したり、針が曲がって抜けなくなったりするおそれがあるので、投与部位をしっかり押さえるなど注意すること。

14.3.4. 本剤の誤注射を防止するため、指又は手等をオレンジ色のニードルカバー先端にあてないよう注意すること。なお、もし指又は手等に誤って本剤を注射した場合には、直ちに医療機関を受診して、適切な処置を受けるよう指導すること。

14.4. 薬剤投与後の注意

14.4.1. 本剤は投与量を安定化するため、1管中2mLの薬液が封入されているが投与されるのは約0.3mLであり、注射後にも約1.7mLの薬液が注射器内に残るように設計されていることから残液の量をみて投与しなかったと誤解するおそれがあるので注意すること〔3.1参照〕。

14.4.2. 本剤は一度注射すると、再度注射しても薬液が放出しない仕組みとなっているので、同一の製剤を用いて二度注射しないこと。

(取扱い上の注意)

外箱開封後は遮光して保存すること〔14.1.4、14.1.5参照〕。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

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