薬剤情報
後発品
薬効分類冠血管拡張薬 > カルシウム (Ca) 拮抗薬 抗不整脈薬 > カルシウム (Ca) 拮抗薬
一般名ベラパミル塩酸塩40mg錠
薬価6.4
メーカー日医工岐阜工場
最終更新2023年12月改訂(第1版)

用法・用量

成人:

〈頻脈性不整脈(心房細動・粗動、発作性上室性頻拍)〉

ベラパミル塩酸塩として、通常成人1回40〜80mgを1日3回経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜減量する。

〈狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患〉

ベラパミル塩酸塩として、通常成人1回40〜80mgを1日3回経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

小児:

〈頻脈性不整脈(心房細動・粗動、発作性上室性頻拍)〉

通常、小児には、ベラパミル塩酸塩として1日3〜6mg/kg(ただし、1日240mgを超えない)を、1日3回に分けて経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜減量する。

効能・効果

1). 成人:

①. 頻脈性不整脈(心房細動・心房粗動、発作性上室性頻拍)。

②. 狭心症、心筋梗塞<急性期を除く>、その他の虚血性心疾患。

2). 小児:頻脈性不整脈(心房細動・心房粗動、発作性上室性頻拍)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

小児等に本剤を使用する場合、小児等の不整脈治療に熟練した医師が監督すること。基礎心疾患のある小児の場合は、有益性がリスクを上回ると判断される場合にのみ投与すること〔9.7.1参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 循環器障害(頻度不明):心不全、洞停止、房室ブロック、徐脈、意識消失があらわれることがある〔8.2参照〕。

11.1.2. 皮膚障害(頻度不明):皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、多形滲出性紅斑、乾癬型皮疹等の重篤な皮膚障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 循環器:(0.1〜5%未満)房室伝導時間延長、頭痛、めまい、血圧低下。

2). 過敏症:(0.1〜5%未満)発疹。

3). 消化器:(0.1〜5%未満)便秘、悪心・嘔吐、(0.1%未満)食欲不振。

4). 口腔:(頻度不明)歯肉肥厚。

5). 肝臓:(0.1%未満)AST上昇、ALT上昇等。

6). 内分泌:(頻度不明)血中プロラクチン上昇、男性における血中黄体形成ホルモン低下・血中テストステロン低下、女性型乳房。

7). その他:(0.1〜5%未満)浮腫。

禁忌

2.1. 重篤なうっ血性心不全のある患者[本剤は陰性変力作用を有し、心不全症状を更に悪化させることがある]〔9.1.1参照〕。

2.2. 第2度以上の房室ブロック、洞房ブロックのある患者[本剤は房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある]。

2.3. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。

2.4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

重要な基本的注意

8.1. カルシウム拮抗剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意すること。

8.2. 本剤の投与に際しては、心電図、脈拍、血圧を定期的に調べ、PQ延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止すること〔11.1.1参照〕。

8.3. クラス1抗不整脈剤との併用、β−遮断剤との併用により、心機能低下、高度の徐脈、房室ブロックがあらわれることがある。また、ジギタリスとの併用により、高度徐脈、房室ブロックがあらわれることがある。クラス1抗不整脈剤と併用、β−遮断剤と併用、ジギタリスと併用する場合は、自覚症状に注意するとともに、定期的に心電図検査を行い、異常が認められた場合には、本剤又は相手薬剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと〔10.2参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. うっ血性心不全<重篤なうっ血性心不全を除く>又はその既往歴のある患者:本剤は陰性変力作用を有し、心機能を更に低下させることがある〔2.1参照〕。

9.1.2. 高度徐脈<50拍/分未満>、又は第1度房室ブロックのある患者:本剤は房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある。

9.1.3. 低血圧の患者:本剤は血管拡張作用を有し、血圧を更に低下させることがある。

9.1.4. WPW症候群、LGL症候群のある患者:本剤の房室伝導抑制作用により、心房興奮が副伝導路を通りやすくなる結果として心室細動を生じることがある。

9.1.5. 基礎心疾患(心筋症、弁膜症、高血圧性心疾患等)のある患者:本剤は陰性変力作用を有し、心機能を悪化させることがある。

9.1.6. 筋ジストロフィーのある患者:本剤は主に平滑筋を弛緩させるが骨格筋に対しても作用を有し、筋収縮力を悪化させることがある。

9.1.7. 頻脈性不整脈(心房細動・粗動、発作性上室性頻拍)のある患者:洞停止、洞不全症候群の誘発の危険性が高くなる。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重篤な腎不全のある患者:本剤は肝及び腎で代謝・排泄されるため、このような患者では本剤の血中濃度が予測以上に増加し、副作用に発展することがある。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重篤な肝不全のある患者:本剤は肝及び腎で代謝・排泄されるため、このような患者では本剤の血中濃度が予測以上に増加し、副作用に発展することがある。

相互作用

本剤は主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。本剤はCYP3A及びP−糖蛋白の基質であるとともにCYP3A4及びP−糖蛋白に対して阻害作用を有する〔16.4参照〕。

10.2. 併用注意:

1). 血圧降下剤[血圧の低下が増強することがある(本剤と血圧降下剤の血管拡張作用が増強される)]。

2). β−遮断剤、ラウオルフィア製剤〔8.3参照〕[心機能の低下や徐脈があらわれることがあるので、自覚症状、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、本剤又は相手薬剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと(本剤は陰性変力作用や房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、両者の心抑制作用が相互に増強され、特にジギタリス製剤との3剤併用時には注意すること)]。

3). 抗不整脈剤(キニジン硫酸塩水和物、プロカインアミド塩酸塩、リドカイン、ピルシカイニド塩酸塩水和物、フレカイニド酢酸塩等)、低カリウム血症を起こすおそれがある薬剤(利尿剤等)〔8.3参照〕[徐脈、房室ブロックがあらわれることがあり、高度の不整脈に発展させることがあるので、自覚症状、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、本剤又は相手薬剤を減量又は中止すること(相加的な抗不整脈作用の増強や低カリウム血症により催不整脈作用が生じる)]。

4). ジギタリス製剤(ジゴキシン、メチルジゴキシン等)〔8.3参照〕[高度の徐脈・房室ブロック等の徐脈性不整脈があらわれることがあり、また、これらの不整脈を含めたジギタリスの血中濃度上昇による中毒症状<悪心・嘔吐・食欲不振・頭痛・疲労・倦怠感等>があらわれることがあるので、定期的に心電図検査を行い、ジギタリスの中毒症状の有無を確認し、必要に応じてジギタリスの血中濃度を測定し、異常が認められた場合には、両剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと(相加的な房室結節・洞結節抑制作用の増強やジギタリスの心刺激作用により不整脈が生じるので、特にβ−遮断剤との3剤併用時には注意し、また、ジギタリスの血中濃度の上昇は本剤のジギタリスの腎排泄抑制によるものと考えられる)]。

5). ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩[ダビガトランの抗凝固作用が増強することがあるので、ダビガトランエテキシラートの用量調節や投与間隔を考慮するなど、投与方法に十分注意すること(ダビガトランの血中濃度を上昇させる)]。

6). 吸入麻酔薬[心機能の低下や徐脈があらわれることがあるので、脈拍数、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと(本剤は陰性変力作用や房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、両剤の心抑制作用が相互に増強される)]。

7). リトナビル[本剤のAUCが3倍を超えることが予測されるので、本剤を減量するとともに血中濃度のモニターや診察の回数を増やすなど慎重に投与すること(相手薬剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる)]。

8). インジナビル硫酸塩エタノール付加物、アタザナビル硫酸塩、キヌプリスチン・ダルホプリスチン[本剤の血中濃度が上昇し副作用を増強するおそれがある(相手薬剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる)]。

9). イトラコナゾール、ミコナゾール[本剤の血中濃度を上昇させることがある(相手薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)の阻害作用により、本剤の代謝が阻害され、血中濃度を上昇させる)]。

10). アプリンジン塩酸塩[アプリンジンの血中濃度が上昇することがあるので、異常が認められた場合には、アプリンジンを減量又は中止するなど適切な処置を行うこと(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

11). カルバマゼピン[カルバマゼピンの血中濃度が上昇し中毒症状<めまい・頭痛等>があらわれることがあるので、カルバマゼピンの血中濃度に注意し、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

12). ミダゾラム[ミダゾラムの血中濃度が上昇することがあるので、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

13). セレギリン塩酸塩[セレギリンの作用を増強し毒性が大幅に増強する可能性がある(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

14). シクロスポリン[シクロスポリンの血中濃度が上昇することがあるので、シクロスポリンの血中濃度に注意し、異常が認められた場合には、シクロスポリンを減量又は中止すること(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

15). パクリタキセル[パクリタキセルの血中濃度が上昇することがあるので、異常が認められた場合には、パクリタキセルを減量、投与間隔を延長又は中止するなど適切な処置を行うこと(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

16). ビノレルビン酒石酸塩[ビノレルビンの血中濃度が上昇することがある(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

17). ゲフィチニブ[ゲフィチニブの血中濃度が上昇し副作用を増強するおそれがある(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

18). エレトリプタン臭化水素酸塩[エレトリプタンの血中濃度が上昇することがある(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

19). テオフィリン、アミノフィリン水和物、コリンテオフィリン[テオフィリンの血中濃度が上昇することがあるので、テオフィリンの血中濃度に注意し、異常が認められた場合には、テオフィリン製剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと(本剤による肝薬物代謝酵素阻害作用により、テオフィリンのクリアランスが低下するため、テオフィリンの血中濃度を上昇させる)]。

20). リファンピシン、フェニトイン、フェノバルビタール[本剤の作用が減弱することがある(相手薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)の誘導作用により、本剤の血中濃度を低下させる)]。

21). ダントロレンナトリウム[高カリウム血症や心機能低下が生じることがある(機序は不明である)]。

22). グレープフルーツジュース[本剤の血中濃度を上昇させることがあるので、異常が認められた場合には、本剤を減量するなど適切な処置を行い、また、グレープフルーツジュースとの同時服用をしないよう注意すること(グレープフルーツジュースに含まれる成分のチトクロームP450(CYP3A4)の阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる)]。

高齢者

減量するなど注意すること(一般に生理機能が低下している)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと(動物実験(マウス)で胎仔毒性(死胚)が報告されている)〔2.3参照〕。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトにおいて乳汁中への移行が報告されている)。

小児等

9.7.1. 小児等に本剤を使用する場合、小児等の不整脈治療に熟練した医師が監督すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項参照〕。

9.7.2. 新生児及び乳児はカルシウム拮抗剤の感受性が高いため、徐脈、心停止等を生じる危険性が大きい。新生児及び乳児に本薬を静脈内投与した際、重篤な徐脈や低血圧、心停止等が認められたとの報告がある。

過量投与

13.1. 徴候・症状

過量投与時、ショック、著明な血圧低下、心不全悪化、完全房室ブロック等が認められたとの報告がある。

13.2. 処置

13.2.1. 過量投与時のショックや心不全悪化の場合:投与を中止し、昇圧剤、強心薬、輸液等の投与やIABP等の補助循環の適用を考慮すること。

13.2.2. 過量投与時の心停止や完全房室ブロックの場合:投与を中止し、アトロピン硫酸塩水和物、イソプレナリン等の投与や心臓ペーシングの適用を考慮すること。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

(取扱い上の注意)

外箱開封後は、遮光して保存すること(本剤は光により変色することがある)。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

因果関係が明らかではないが、外国において本薬投与中に心筋梗塞や狭心症があらわれたとの報告がある。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

ベラパミル塩酸塩錠40mg「タイヨー」
ベラパミル塩酸塩錠40mg「タイヨー」

ベラパミル塩酸塩錠40mg「タイヨー」

冠血管拡張薬 > カルシウム (Ca) 拮抗薬 抗不整脈薬 > カルシウム (Ca) 拮抗薬
2023年12月改訂(第1版)
薬剤情報
後発品
薬効分類冠血管拡張薬 > カルシウム (Ca) 拮抗薬 抗不整脈薬 > カルシウム (Ca) 拮抗薬
一般名ベラパミル塩酸塩40mg錠
薬価6.4
メーカー日医工岐阜工場
最終更新2023年12月改訂(第1版)

用法・用量

成人:

〈頻脈性不整脈(心房細動・粗動、発作性上室性頻拍)〉

ベラパミル塩酸塩として、通常成人1回40〜80mgを1日3回経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜減量する。

〈狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患〉

ベラパミル塩酸塩として、通常成人1回40〜80mgを1日3回経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

小児:

〈頻脈性不整脈(心房細動・粗動、発作性上室性頻拍)〉

通常、小児には、ベラパミル塩酸塩として1日3〜6mg/kg(ただし、1日240mgを超えない)を、1日3回に分けて経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜減量する。

効能・効果

1). 成人:

①. 頻脈性不整脈(心房細動・心房粗動、発作性上室性頻拍)。

②. 狭心症、心筋梗塞<急性期を除く>、その他の虚血性心疾患。

2). 小児:頻脈性不整脈(心房細動・心房粗動、発作性上室性頻拍)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

小児等に本剤を使用する場合、小児等の不整脈治療に熟練した医師が監督すること。基礎心疾患のある小児の場合は、有益性がリスクを上回ると判断される場合にのみ投与すること〔9.7.1参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 循環器障害(頻度不明):心不全、洞停止、房室ブロック、徐脈、意識消失があらわれることがある〔8.2参照〕。

11.1.2. 皮膚障害(頻度不明):皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、多形滲出性紅斑、乾癬型皮疹等の重篤な皮膚障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 循環器:(0.1〜5%未満)房室伝導時間延長、頭痛、めまい、血圧低下。

2). 過敏症:(0.1〜5%未満)発疹。

3). 消化器:(0.1〜5%未満)便秘、悪心・嘔吐、(0.1%未満)食欲不振。

4). 口腔:(頻度不明)歯肉肥厚。

5). 肝臓:(0.1%未満)AST上昇、ALT上昇等。

6). 内分泌:(頻度不明)血中プロラクチン上昇、男性における血中黄体形成ホルモン低下・血中テストステロン低下、女性型乳房。

7). その他:(0.1〜5%未満)浮腫。

禁忌

2.1. 重篤なうっ血性心不全のある患者[本剤は陰性変力作用を有し、心不全症状を更に悪化させることがある]〔9.1.1参照〕。

2.2. 第2度以上の房室ブロック、洞房ブロックのある患者[本剤は房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある]。

2.3. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。

2.4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

重要な基本的注意

8.1. カルシウム拮抗剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意すること。

8.2. 本剤の投与に際しては、心電図、脈拍、血圧を定期的に調べ、PQ延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止すること〔11.1.1参照〕。

8.3. クラス1抗不整脈剤との併用、β−遮断剤との併用により、心機能低下、高度の徐脈、房室ブロックがあらわれることがある。また、ジギタリスとの併用により、高度徐脈、房室ブロックがあらわれることがある。クラス1抗不整脈剤と併用、β−遮断剤と併用、ジギタリスと併用する場合は、自覚症状に注意するとともに、定期的に心電図検査を行い、異常が認められた場合には、本剤又は相手薬剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと〔10.2参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. うっ血性心不全<重篤なうっ血性心不全を除く>又はその既往歴のある患者:本剤は陰性変力作用を有し、心機能を更に低下させることがある〔2.1参照〕。

9.1.2. 高度徐脈<50拍/分未満>、又は第1度房室ブロックのある患者:本剤は房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある。

9.1.3. 低血圧の患者:本剤は血管拡張作用を有し、血圧を更に低下させることがある。

9.1.4. WPW症候群、LGL症候群のある患者:本剤の房室伝導抑制作用により、心房興奮が副伝導路を通りやすくなる結果として心室細動を生じることがある。

9.1.5. 基礎心疾患(心筋症、弁膜症、高血圧性心疾患等)のある患者:本剤は陰性変力作用を有し、心機能を悪化させることがある。

9.1.6. 筋ジストロフィーのある患者:本剤は主に平滑筋を弛緩させるが骨格筋に対しても作用を有し、筋収縮力を悪化させることがある。

9.1.7. 頻脈性不整脈(心房細動・粗動、発作性上室性頻拍)のある患者:洞停止、洞不全症候群の誘発の危険性が高くなる。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重篤な腎不全のある患者:本剤は肝及び腎で代謝・排泄されるため、このような患者では本剤の血中濃度が予測以上に増加し、副作用に発展することがある。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重篤な肝不全のある患者:本剤は肝及び腎で代謝・排泄されるため、このような患者では本剤の血中濃度が予測以上に増加し、副作用に発展することがある。

相互作用

本剤は主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。本剤はCYP3A及びP−糖蛋白の基質であるとともにCYP3A4及びP−糖蛋白に対して阻害作用を有する〔16.4参照〕。

10.2. 併用注意:

1). 血圧降下剤[血圧の低下が増強することがある(本剤と血圧降下剤の血管拡張作用が増強される)]。

2). β−遮断剤、ラウオルフィア製剤〔8.3参照〕[心機能の低下や徐脈があらわれることがあるので、自覚症状、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、本剤又は相手薬剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと(本剤は陰性変力作用や房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、両者の心抑制作用が相互に増強され、特にジギタリス製剤との3剤併用時には注意すること)]。

3). 抗不整脈剤(キニジン硫酸塩水和物、プロカインアミド塩酸塩、リドカイン、ピルシカイニド塩酸塩水和物、フレカイニド酢酸塩等)、低カリウム血症を起こすおそれがある薬剤(利尿剤等)〔8.3参照〕[徐脈、房室ブロックがあらわれることがあり、高度の不整脈に発展させることがあるので、自覚症状、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、本剤又は相手薬剤を減量又は中止すること(相加的な抗不整脈作用の増強や低カリウム血症により催不整脈作用が生じる)]。

4). ジギタリス製剤(ジゴキシン、メチルジゴキシン等)〔8.3参照〕[高度の徐脈・房室ブロック等の徐脈性不整脈があらわれることがあり、また、これらの不整脈を含めたジギタリスの血中濃度上昇による中毒症状<悪心・嘔吐・食欲不振・頭痛・疲労・倦怠感等>があらわれることがあるので、定期的に心電図検査を行い、ジギタリスの中毒症状の有無を確認し、必要に応じてジギタリスの血中濃度を測定し、異常が認められた場合には、両剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと(相加的な房室結節・洞結節抑制作用の増強やジギタリスの心刺激作用により不整脈が生じるので、特にβ−遮断剤との3剤併用時には注意し、また、ジギタリスの血中濃度の上昇は本剤のジギタリスの腎排泄抑制によるものと考えられる)]。

5). ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩[ダビガトランの抗凝固作用が増強することがあるので、ダビガトランエテキシラートの用量調節や投与間隔を考慮するなど、投与方法に十分注意すること(ダビガトランの血中濃度を上昇させる)]。

6). 吸入麻酔薬[心機能の低下や徐脈があらわれることがあるので、脈拍数、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと(本剤は陰性変力作用や房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、両剤の心抑制作用が相互に増強される)]。

7). リトナビル[本剤のAUCが3倍を超えることが予測されるので、本剤を減量するとともに血中濃度のモニターや診察の回数を増やすなど慎重に投与すること(相手薬剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる)]。

8). インジナビル硫酸塩エタノール付加物、アタザナビル硫酸塩、キヌプリスチン・ダルホプリスチン[本剤の血中濃度が上昇し副作用を増強するおそれがある(相手薬剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる)]。

9). イトラコナゾール、ミコナゾール[本剤の血中濃度を上昇させることがある(相手薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)の阻害作用により、本剤の代謝が阻害され、血中濃度を上昇させる)]。

10). アプリンジン塩酸塩[アプリンジンの血中濃度が上昇することがあるので、異常が認められた場合には、アプリンジンを減量又は中止するなど適切な処置を行うこと(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

11). カルバマゼピン[カルバマゼピンの血中濃度が上昇し中毒症状<めまい・頭痛等>があらわれることがあるので、カルバマゼピンの血中濃度に注意し、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

12). ミダゾラム[ミダゾラムの血中濃度が上昇することがあるので、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

13). セレギリン塩酸塩[セレギリンの作用を増強し毒性が大幅に増強する可能性がある(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

14). シクロスポリン[シクロスポリンの血中濃度が上昇することがあるので、シクロスポリンの血中濃度に注意し、異常が認められた場合には、シクロスポリンを減量又は中止すること(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

15). パクリタキセル[パクリタキセルの血中濃度が上昇することがあるので、異常が認められた場合には、パクリタキセルを減量、投与間隔を延長又は中止するなど適切な処置を行うこと(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

16). ビノレルビン酒石酸塩[ビノレルビンの血中濃度が上昇することがある(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

17). ゲフィチニブ[ゲフィチニブの血中濃度が上昇し副作用を増強するおそれがある(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

18). エレトリプタン臭化水素酸塩[エレトリプタンの血中濃度が上昇することがある(本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる)]。

19). テオフィリン、アミノフィリン水和物、コリンテオフィリン[テオフィリンの血中濃度が上昇することがあるので、テオフィリンの血中濃度に注意し、異常が認められた場合には、テオフィリン製剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと(本剤による肝薬物代謝酵素阻害作用により、テオフィリンのクリアランスが低下するため、テオフィリンの血中濃度を上昇させる)]。

20). リファンピシン、フェニトイン、フェノバルビタール[本剤の作用が減弱することがある(相手薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)の誘導作用により、本剤の血中濃度を低下させる)]。

21). ダントロレンナトリウム[高カリウム血症や心機能低下が生じることがある(機序は不明である)]。

22). グレープフルーツジュース[本剤の血中濃度を上昇させることがあるので、異常が認められた場合には、本剤を減量するなど適切な処置を行い、また、グレープフルーツジュースとの同時服用をしないよう注意すること(グレープフルーツジュースに含まれる成分のチトクロームP450(CYP3A4)の阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる)]。

高齢者

減量するなど注意すること(一般に生理機能が低下している)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと(動物実験(マウス)で胎仔毒性(死胚)が報告されている)〔2.3参照〕。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトにおいて乳汁中への移行が報告されている)。

小児等

9.7.1. 小児等に本剤を使用する場合、小児等の不整脈治療に熟練した医師が監督すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項参照〕。

9.7.2. 新生児及び乳児はカルシウム拮抗剤の感受性が高いため、徐脈、心停止等を生じる危険性が大きい。新生児及び乳児に本薬を静脈内投与した際、重篤な徐脈や低血圧、心停止等が認められたとの報告がある。

過量投与

13.1. 徴候・症状

過量投与時、ショック、著明な血圧低下、心不全悪化、完全房室ブロック等が認められたとの報告がある。

13.2. 処置

13.2.1. 過量投与時のショックや心不全悪化の場合:投与を中止し、昇圧剤、強心薬、輸液等の投与やIABP等の補助循環の適用を考慮すること。

13.2.2. 過量投与時の心停止や完全房室ブロックの場合:投与を中止し、アトロピン硫酸塩水和物、イソプレナリン等の投与や心臓ペーシングの適用を考慮すること。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

(取扱い上の注意)

外箱開封後は、遮光して保存すること(本剤は光により変色することがある)。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

因果関係が明らかではないが、外国において本薬投与中に心筋梗塞や狭心症があらわれたとの報告がある。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

薬剤情報

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