薬剤情報
後発品
薬効分類糖尿病薬 > 選択的SGLT2阻害薬
一般名イプラグリフロジンL−プロリン錠
薬価170.4
メーカーアステラス製薬
最終更新2022年08月改訂(第3版)

用法・用量

〈2型糖尿病〉

通常、成人にはイプラグリフロジンとして50mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら100mg1日1回まで増量することができる。

〈1型糖尿病〉

インスリン製剤との併用において、通常、成人にはイプラグリフロジンとして50mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら100mg1日1回まで増量することができる。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈1型糖尿病〉本剤はインスリン製剤の代替薬ではないため、インスリン製剤の投与を中止すると急激な高血糖やケトアシドーシスが起こるおそれがあるので、本剤の投与にあたってはインスリン製剤を中止しないこと〔8.6、11.1.4参照〕。

7.2. 〈1型糖尿病〉本剤とインスリン製剤の併用にあたっては、低血糖リスクを軽減するためにインスリン製剤の減量を検討すること(ただし、過度な減量はケトアシドーシスのリスクを高めるので注意すること)、なお、臨床試験では、インスリン製剤の1日投与量は15%減量することが推奨された〔8.6、11.1.1、11.1.4、17.1.13参照〕。

効能・効果

1). 2型糖尿病。

2). 1型糖尿病。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈効能共通〉重度腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の効果が期待できないため、投与しないこと〔8.3、9.2.1、16.6.1参照〕。

5.2. 〈効能共通〉中等度腎機能障害のある患者では本剤の効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること〔8.3、9.2.2、16.6.1、17.1.11、17.1.12参照〕。

5.3. 〈効能共通〉本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。

5.4. 〈1型糖尿病〉本剤の適用はあらかじめ適切なインスリン治療を十分に行った上で、血糖コントロールが不十分な場合に限ること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 低血糖(1.0%*):低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α−グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること〔7.2、8.1、8.9、9.1.1、10.2、17.1.1−17.1.14参照〕。

11.1.2. 腎盂腎炎(0.1%)、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)(頻度不明)、敗血症(頻度不明):腎盂腎炎、外陰部壊死性筋膜炎及び会陰部壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがある〔8.4、9.1.2参照〕。

11.1.3. 脱水(0.2%):口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと(脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されている)〔8.5、9.1.3、9.8高齢者の項、10.2参照〕。

11.1.4. ケトアシドーシス(頻度不明):ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがある〔7.1、7.2、8.6、10.2参照〕。

11.1.5. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)。

*:承認時までの国内の臨床試験(他の糖尿病薬と併用しない場合)の試験結果に基づいている。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 血液及びリンパ系障害:(1%未満)貧血。

2). 眼障害:(1%未満)糖尿病網膜症、(頻度不明)眼瞼浮腫。

3). 胃腸障害:(1〜5%未満)便秘、(1%未満)下痢、胃炎、胃食道逆流性疾患、上腹部痛、腹部膨満、齲歯、悪心、(頻度不明)嘔吐。

4). 全身障害及び投与局所様態:(1〜5%未満)口渇、体重減少、(1%未満)空腹、倦怠感、(頻度不明)顔面浮腫、脱力感。

5). 肝胆道系障害:(1%未満)肝機能異常、脂肪肝。

6). 感染症:(1〜5%未満)膀胱炎、(1%未満)鼻咽頭炎、外陰部膣カンジダ症、細菌尿。

7). 代謝及び栄養障害:(1%未満)ケトーシス。

8). 筋骨格系及び結合組織障害:(1%未満)筋痙縮、(頻度不明)筋肉痛、背部痛。

9). 神経系障害:(1%未満)糖尿病性ニューロパチー、浮動性めまい、体位性めまい、頭痛、感覚鈍麻。

10). 腎及び尿路障害:(5%以上)頻尿、(1〜5%未満)多尿、(1%未満)尿管結石、腎結石症。

11). 生殖系及び乳房障害:(1〜5%未満)陰部そう痒症。

12). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(1%未満)上気道炎症。

13). 皮膚及び皮下組織障害:(1%未満)湿疹、発疹、蕁麻疹、薬疹、皮膚そう痒症[投与初期に比較的多く発現していることから、投与後は十分な観察を行い、症状がみられた場合は投与を中止するなどし、必要に応じて皮膚科専門医と相談して適切な処置を行うこと]。

14). 血管障害:(1%未満)高血圧。

15). 臨床検査:(1〜5%未満)尿中β2ミクログロブリン増加、血中ケトン体増加、(1%未満)尿中β−NアセチルDグルコサミニダーゼ増加、尿潜血陽性、尿中アルブミン/クレアチニン比増加、尿中ケトン体陽性、尿中α1ミクログロブリン増加、尿量増加。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡[輸液、インスリン製剤による速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない]。

2.3. 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン製剤による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない]。

重要な基本的注意

8.1. 本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること〔9.1.1、11.1.1参照〕。

8.2. 本剤投与中は、血糖値等を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、3カ月投与しても効果が不十分な場合には、より適切な治療法への変更を考慮すること。

8.3. 本剤投与により、血清クレアチニン上昇又はeGFR低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査するとともに、腎機能障害患者における治療にあたっては経過を十分に観察すること〔5.1、5.2、9.2.1、9.2.2参照〕。

8.4. 尿路感染及び性器感染を起こし、腎盂腎炎、外陰部壊死性筋膜炎及び会陰部壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症等の重篤な感染症に至ることがあるので、十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮すること。尿路感染及び性器感染の症状及びその対処方法について患者に説明すること〔9.1.2、11.1.2参照〕。

8.5. 本剤の利尿作用により多尿・頻尿がみられることがあり、また、体液量が減少することがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に行うこと。脱水、血圧低下等の異常が認められた場合は、休薬や補液等の適切な処置を行うこと(特に体液量減少を起こしやすい患者(高齢者や利尿剤併用患者等)においては、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること)〔9.1.3、9.8高齢者の項、10.2、11.1.3参照〕。

8.6. 本剤の作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により、血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し、ケトーシスがあらわれ、ケトアシドーシスに至ることがある。著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため、次の点に留意すること。

(1). 悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等の症状が認められた場合には、血中又は尿中ケトン体測定を含む検査を実施し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

(2). 特に、1型糖尿病患者、インスリン分泌能低下、インスリン製剤減量やインスリン製剤中止、過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので、観察を十分に行うこと。

(3). 患者に対し、次の点を指導すること。

・ ケトアシドーシスの症状(悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等)を指導すること。

・ ケトアシドーシスの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診することを指導すること。

・ 血糖値が高値でなくともケトアシドーシスが発現しうることを指導すること。

前記3点に加えて、特に、1型糖尿病患者に対しては、ケトアシドーシス発現リスクが高いことも説明すること。

〔7.1、7.2、11.1.4参照〕。

8.7. 排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること。

8.8. 本剤投与による体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意すること。

8.9. 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること〔11.1.1参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 低血糖を起こすおそれのある次の患者又は状態。

・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全を有する患者。

・ 栄養不良状態、るいそう、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態の患者。

・ 激しい筋肉運動を行った状態。

・ 過度にアルコールを摂取した状態。

〔8.1、11.1.1参照〕。

9.1.2. 尿路感染、性器感染のある患者:症状を悪化させるおそれがある〔8.4、11.1.2参照〕。

9.1.3. 脱水を起こしやすい患者(血糖コントロールが極めて不良の患者、高齢者、利尿剤併用患者等):本剤の利尿作用により脱水を起こすおそれがある〔8.5、10.2、11.1.3参照〕。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重度腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者:投与しないこと(本剤の効果が期待できない)〔5.1、8.3、16.6.1参照〕。

9.2.2. 中等度腎機能障害のある患者:投与の必要性を慎重に判断すること(本剤の効果が十分に得られない可能性がある)〔5.2、8.3、16.6.1、17.1.11、17.1.12参照〕。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重度の肝機能障害のある患者:低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること(重度肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない)〔16.6.2参照〕。

相互作用

本剤は主としてUGT2B7によるグルクロン酸抱合代謝を受ける〔16.4参照〕。

10.2. 併用注意:

1). 糖尿病用薬:

①. 糖尿病用薬(インスリン製剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤、GLP−1受容体作動薬)〔11.1.1、11.1.4参照〕[低血糖の発現に注意し、特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はGLP−1受容体作動薬の減量を検討すること(血糖降下作用が増強されるおそれがある)]。

②. 糖尿病用薬(インスリン製剤)〔11.1.1、11.1.4参照〕[1型糖尿病患者においてインスリン製剤を減量する場合、ケトアシドーシス等のリスクが高まるため、過度の減量に注意すること(血糖降下作用が増強されるおそれがある)]。

③. 糖尿病用薬(チアゾリジン系薬剤、ビグアナイド系薬剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、DPP−4阻害剤等)〔11.1.1、11.1.4参照〕[低血糖の発現に注意すること(血糖降下作用が増強されるおそれがある)]。

2). 血糖降下作用を増強する薬剤(β−遮断薬、サリチル酸剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、フィブラート系薬剤等)[血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(血糖降下作用が増強されるおそれがある)]。

3). 血糖降下作用を減弱する薬剤(副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等)[血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(血糖降下作用が減弱されるおそれがある)]。

4). 利尿作用を有する薬剤(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬等)〔8.5、9.1.3、11.1.3参照〕[利尿作用が過剰にみられるおそれがあるため、必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること(利尿作用が増強されるおそれがある)]。

高齢者

高齢者では脱水症状(口渇等)の認知が遅れるおそれがある〔8.5、11.1.3参照〕。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与しないで、インスリン製剤等を使用すること。類薬の動物実験(ラット)で、ヒトの妊娠中期及び後期にあたる幼若動物への曝露により、腎盂拡張及び尿細管拡張が報告されている。また、本剤の動物実験(ラット)で胎仔への移行が報告されている。

(授乳婦)

授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)で乳汁中への移行及び出生仔体重増加抑制が報告されている)。

小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

臨床検査結果に及ぼす影響

本剤の作用機序により、本剤服用中は尿糖陽性、血清1,5−AG(1,5−アンヒドログルシトール)低値を示す。尿糖、血清1,5−AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とはならない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

その他の注意

15.2. 非臨床試験に基づく情報

雌雄ラットに本剤12.5、40、125、250mg/kg/日(250mg/kg/日群は雌のみで実施)を104週間反復経口投与したがん原性試験において、40mg/kg/日以上の雄及び125mg/kg/日以上の雌で副腎髄質褐色細胞腫の発生頻度増加が認められた。ラットに本剤40mg/kg/日(雄)又は125mg/kg/日(雌)を反復経口投与したときの曝露量(AUC24h)は、最大臨床推奨用量(1日1回100mg)の約10倍又は約60倍であった。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

スーグラ錠50mg
後発品はありません
スーグラ錠50mg
スーグラ錠50mg

スーグラ錠50mg

糖尿病薬 > 選択的SGLT2阻害薬
2022年08月改訂(第3版)
薬剤情報
後発品
薬効分類糖尿病薬 > 選択的SGLT2阻害薬
一般名イプラグリフロジンL−プロリン錠
薬価170.4
メーカーアステラス製薬
最終更新2022年08月改訂(第3版)

用法・用量

〈2型糖尿病〉

通常、成人にはイプラグリフロジンとして50mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら100mg1日1回まで増量することができる。

〈1型糖尿病〉

インスリン製剤との併用において、通常、成人にはイプラグリフロジンとして50mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら100mg1日1回まで増量することができる。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈1型糖尿病〉本剤はインスリン製剤の代替薬ではないため、インスリン製剤の投与を中止すると急激な高血糖やケトアシドーシスが起こるおそれがあるので、本剤の投与にあたってはインスリン製剤を中止しないこと〔8.6、11.1.4参照〕。

7.2. 〈1型糖尿病〉本剤とインスリン製剤の併用にあたっては、低血糖リスクを軽減するためにインスリン製剤の減量を検討すること(ただし、過度な減量はケトアシドーシスのリスクを高めるので注意すること)、なお、臨床試験では、インスリン製剤の1日投与量は15%減量することが推奨された〔8.6、11.1.1、11.1.4、17.1.13参照〕。

効能・効果

1). 2型糖尿病。

2). 1型糖尿病。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈効能共通〉重度腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の効果が期待できないため、投与しないこと〔8.3、9.2.1、16.6.1参照〕。

5.2. 〈効能共通〉中等度腎機能障害のある患者では本剤の効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること〔8.3、9.2.2、16.6.1、17.1.11、17.1.12参照〕。

5.3. 〈効能共通〉本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。

5.4. 〈1型糖尿病〉本剤の適用はあらかじめ適切なインスリン治療を十分に行った上で、血糖コントロールが不十分な場合に限ること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 低血糖(1.0%*):低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α−グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること〔7.2、8.1、8.9、9.1.1、10.2、17.1.1−17.1.14参照〕。

11.1.2. 腎盂腎炎(0.1%)、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)(頻度不明)、敗血症(頻度不明):腎盂腎炎、外陰部壊死性筋膜炎及び会陰部壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがある〔8.4、9.1.2参照〕。

11.1.3. 脱水(0.2%):口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと(脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されている)〔8.5、9.1.3、9.8高齢者の項、10.2参照〕。

11.1.4. ケトアシドーシス(頻度不明):ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがある〔7.1、7.2、8.6、10.2参照〕。

11.1.5. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)。

*:承認時までの国内の臨床試験(他の糖尿病薬と併用しない場合)の試験結果に基づいている。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 血液及びリンパ系障害:(1%未満)貧血。

2). 眼障害:(1%未満)糖尿病網膜症、(頻度不明)眼瞼浮腫。

3). 胃腸障害:(1〜5%未満)便秘、(1%未満)下痢、胃炎、胃食道逆流性疾患、上腹部痛、腹部膨満、齲歯、悪心、(頻度不明)嘔吐。

4). 全身障害及び投与局所様態:(1〜5%未満)口渇、体重減少、(1%未満)空腹、倦怠感、(頻度不明)顔面浮腫、脱力感。

5). 肝胆道系障害:(1%未満)肝機能異常、脂肪肝。

6). 感染症:(1〜5%未満)膀胱炎、(1%未満)鼻咽頭炎、外陰部膣カンジダ症、細菌尿。

7). 代謝及び栄養障害:(1%未満)ケトーシス。

8). 筋骨格系及び結合組織障害:(1%未満)筋痙縮、(頻度不明)筋肉痛、背部痛。

9). 神経系障害:(1%未満)糖尿病性ニューロパチー、浮動性めまい、体位性めまい、頭痛、感覚鈍麻。

10). 腎及び尿路障害:(5%以上)頻尿、(1〜5%未満)多尿、(1%未満)尿管結石、腎結石症。

11). 生殖系及び乳房障害:(1〜5%未満)陰部そう痒症。

12). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(1%未満)上気道炎症。

13). 皮膚及び皮下組織障害:(1%未満)湿疹、発疹、蕁麻疹、薬疹、皮膚そう痒症[投与初期に比較的多く発現していることから、投与後は十分な観察を行い、症状がみられた場合は投与を中止するなどし、必要に応じて皮膚科専門医と相談して適切な処置を行うこと]。

14). 血管障害:(1%未満)高血圧。

15). 臨床検査:(1〜5%未満)尿中β2ミクログロブリン増加、血中ケトン体増加、(1%未満)尿中β−NアセチルDグルコサミニダーゼ増加、尿潜血陽性、尿中アルブミン/クレアチニン比増加、尿中ケトン体陽性、尿中α1ミクログロブリン増加、尿量増加。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡[輸液、インスリン製剤による速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない]。

2.3. 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン製剤による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない]。

重要な基本的注意

8.1. 本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること〔9.1.1、11.1.1参照〕。

8.2. 本剤投与中は、血糖値等を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、3カ月投与しても効果が不十分な場合には、より適切な治療法への変更を考慮すること。

8.3. 本剤投与により、血清クレアチニン上昇又はeGFR低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査するとともに、腎機能障害患者における治療にあたっては経過を十分に観察すること〔5.1、5.2、9.2.1、9.2.2参照〕。

8.4. 尿路感染及び性器感染を起こし、腎盂腎炎、外陰部壊死性筋膜炎及び会陰部壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症等の重篤な感染症に至ることがあるので、十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮すること。尿路感染及び性器感染の症状及びその対処方法について患者に説明すること〔9.1.2、11.1.2参照〕。

8.5. 本剤の利尿作用により多尿・頻尿がみられることがあり、また、体液量が減少することがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に行うこと。脱水、血圧低下等の異常が認められた場合は、休薬や補液等の適切な処置を行うこと(特に体液量減少を起こしやすい患者(高齢者や利尿剤併用患者等)においては、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること)〔9.1.3、9.8高齢者の項、10.2、11.1.3参照〕。

8.6. 本剤の作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により、血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し、ケトーシスがあらわれ、ケトアシドーシスに至ることがある。著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため、次の点に留意すること。

(1). 悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等の症状が認められた場合には、血中又は尿中ケトン体測定を含む検査を実施し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

(2). 特に、1型糖尿病患者、インスリン分泌能低下、インスリン製剤減量やインスリン製剤中止、過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので、観察を十分に行うこと。

(3). 患者に対し、次の点を指導すること。

・ ケトアシドーシスの症状(悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等)を指導すること。

・ ケトアシドーシスの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診することを指導すること。

・ 血糖値が高値でなくともケトアシドーシスが発現しうることを指導すること。

前記3点に加えて、特に、1型糖尿病患者に対しては、ケトアシドーシス発現リスクが高いことも説明すること。

〔7.1、7.2、11.1.4参照〕。

8.7. 排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること。

8.8. 本剤投与による体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意すること。

8.9. 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること〔11.1.1参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 低血糖を起こすおそれのある次の患者又は状態。

・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全を有する患者。

・ 栄養不良状態、るいそう、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態の患者。

・ 激しい筋肉運動を行った状態。

・ 過度にアルコールを摂取した状態。

〔8.1、11.1.1参照〕。

9.1.2. 尿路感染、性器感染のある患者:症状を悪化させるおそれがある〔8.4、11.1.2参照〕。

9.1.3. 脱水を起こしやすい患者(血糖コントロールが極めて不良の患者、高齢者、利尿剤併用患者等):本剤の利尿作用により脱水を起こすおそれがある〔8.5、10.2、11.1.3参照〕。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重度腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者:投与しないこと(本剤の効果が期待できない)〔5.1、8.3、16.6.1参照〕。

9.2.2. 中等度腎機能障害のある患者:投与の必要性を慎重に判断すること(本剤の効果が十分に得られない可能性がある)〔5.2、8.3、16.6.1、17.1.11、17.1.12参照〕。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重度の肝機能障害のある患者:低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること(重度肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない)〔16.6.2参照〕。

相互作用

本剤は主としてUGT2B7によるグルクロン酸抱合代謝を受ける〔16.4参照〕。

10.2. 併用注意:

1). 糖尿病用薬:

①. 糖尿病用薬(インスリン製剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤、GLP−1受容体作動薬)〔11.1.1、11.1.4参照〕[低血糖の発現に注意し、特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はGLP−1受容体作動薬の減量を検討すること(血糖降下作用が増強されるおそれがある)]。

②. 糖尿病用薬(インスリン製剤)〔11.1.1、11.1.4参照〕[1型糖尿病患者においてインスリン製剤を減量する場合、ケトアシドーシス等のリスクが高まるため、過度の減量に注意すること(血糖降下作用が増強されるおそれがある)]。

③. 糖尿病用薬(チアゾリジン系薬剤、ビグアナイド系薬剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、DPP−4阻害剤等)〔11.1.1、11.1.4参照〕[低血糖の発現に注意すること(血糖降下作用が増強されるおそれがある)]。

2). 血糖降下作用を増強する薬剤(β−遮断薬、サリチル酸剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、フィブラート系薬剤等)[血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(血糖降下作用が増強されるおそれがある)]。

3). 血糖降下作用を減弱する薬剤(副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等)[血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(血糖降下作用が減弱されるおそれがある)]。

4). 利尿作用を有する薬剤(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬等)〔8.5、9.1.3、11.1.3参照〕[利尿作用が過剰にみられるおそれがあるため、必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること(利尿作用が増強されるおそれがある)]。

高齢者

高齢者では脱水症状(口渇等)の認知が遅れるおそれがある〔8.5、11.1.3参照〕。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与しないで、インスリン製剤等を使用すること。類薬の動物実験(ラット)で、ヒトの妊娠中期及び後期にあたる幼若動物への曝露により、腎盂拡張及び尿細管拡張が報告されている。また、本剤の動物実験(ラット)で胎仔への移行が報告されている。

(授乳婦)

授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)で乳汁中への移行及び出生仔体重増加抑制が報告されている)。

小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

臨床検査結果に及ぼす影響

本剤の作用機序により、本剤服用中は尿糖陽性、血清1,5−AG(1,5−アンヒドログルシトール)低値を示す。尿糖、血清1,5−AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とはならない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

その他の注意

15.2. 非臨床試験に基づく情報

雌雄ラットに本剤12.5、40、125、250mg/kg/日(250mg/kg/日群は雌のみで実施)を104週間反復経口投与したがん原性試験において、40mg/kg/日以上の雄及び125mg/kg/日以上の雌で副腎髄質褐色細胞腫の発生頻度増加が認められた。ラットに本剤40mg/kg/日(雄)又は125mg/kg/日(雌)を反復経口投与したときの曝露量(AUC24h)は、最大臨床推奨用量(1日1回100mg)の約10倍又は約60倍であった。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

後発品はありません
薬剤情報

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