薬剤情報
後発品
薬効分類血漿製剤
一般名新鮮凍結人血漿
薬価24210
メーカー日本赤十字社
最終更新2023年11月改訂(第1版)

用法・用量

容器のまま30〜37℃で融解し、ろ過装置を具備した輸血用器具を用いて、静脈内に必要量を輸注する。

通常、使用量は1日200〜400mL、重篤(ショック、敗血症など)の場合は800mLまでを基準とする。ただし、年齢及び症状に応じて適宜増減する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 輸血用器具

生物学的製剤基準・通則44に規定する輸血に適当と認められた器具であって、そのまま直ちに使用でき、かつ、1回限りの使用で使い捨てるものを用いる。

7.2. 輸血速度

成人の場合は、通常、最初の10〜15分間は1分間に1mL程度で行い、その後は1分間に5mL程度で行うこと。なお、輸血中は患者の様子を適宜観察すること〔8.4参照〕。

効能・効果

血液凝固因子の補充:

1). 複合性凝固障害で、出血、出血傾向のある患者の血液凝固因子補充又は手術を行う患者の血液凝固因子補充。

2). 血液凝固因子減少症又は血液凝固因子欠乏症における出血時で、特定の血液凝固因子製剤がないか又は血液凝固因子が特定できない場合の血液凝固因子補充。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 輸血は補充療法であって、根治的な療法ではない。

5.2. 輸血には同種免疫等による副作用やウイルス等に感染する危険性があり得るので、他に代替する治療法等がなく、その有効性が危険性を上回ると判断される場合にのみ実施すること。

副作用

次の副作用・感染症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には輸血を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用及び感染症

11.1.1. ショック、アナフィラキシー(頻度不明):ショック、チアノーゼ、皮膚潮紅、血管浮腫、喘鳴等のアナフィラキシーがあらわれることがある(初期症状は全身違和感、皮膚潮紅、腹痛、頻脈等で、アナフィラキシーの多くは輸血開始後10分以内に発現する)〔9.1.1、9.1.2参照〕。

11.1.2. 感染症(頻度不明):HBV感染、HCV感染等の肝炎ウイルス感染、HIV−1感染、HIV−2感染し、発症することがある。また、HTLV−1感染、エプスタイン・バーウイルス感染(EBV感染)、ヒトパルボウイルスB19感染、マラリア原虫感染、HEV感染等に感染することがあり、その他血液を介するウイルス、細菌、原虫等に感染する危険性も否定できない〔8.7、8.8、9.5妊婦の項参照〕。

11.1.3. 呼吸障害・輸血関連急性肺障害(TRALI:transfusion−related acute lung injury)(頻度不明):輸血中あるいは輸血後に喘鳴、低酸素血症、チアノーゼ、肺水腫、TRALI等を生じることがある。

特にTRALIは輸血中あるいは輸血終了後6時間以内に、急激な肺水腫、低酸素血症、頻脈、低血圧、チアノーゼ、呼吸困難を伴う呼吸障害で、時に死亡に至ることがある(これらの症状があらわれた場合には直ちに輸血を中止し、酸素投与、呼吸管理等の適切な処置を行うこと)。

11.1.4. 輸血後紫斑病(PTP:post transfusion purpura)(頻度不明):輸血後約1週間経過して、急激な血小板減少、粘膜出血、血尿等があらわれることがある。

11.1.5. 心機能障害・不整脈(頻度不明):心不全、心筋障害、心房細動・心室細動等の重篤な心機能障害や不整脈があらわれることがある。

11.1.6. 腎機能障害(頻度不明):急性腎障害等の重篤な腎機能障害があらわれることがある。

11.1.7. 肝機能障害(頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 過敏症:(頻度不明)蕁麻疹、発疹、発赤、そう痒感。

2). 血液:(頻度不明)白血球数変動。

3). 肝・胆道系:(頻度不明)黄疸、血中ビリルビン上昇。

4). 腎臓:(頻度不明)血尿、ヘモグロビン尿、BUN上昇・クレアチニン上昇。

5). 消化器:(頻度不明)悪心、嘔吐。

6). 精神神経系:(頻度不明)痙攣。

7). 循環器:(頻度不明)血圧上昇又は血圧低下、頻脈又は徐脈。

8). 電解質異常:(頻度不明)アシドーシス[短時間に大量に輸血した場合にあらわれることがある]、血中カリウム濃度上昇、*クエン酸による血中カルシウム濃度低下による症状(*手指のしびれ、*嘔気等)[*:短時間に大量に輸血した場合にあらわれることがある]。

9). 全身状態:(頻度不明)発熱、悪寒、戦慄、頭痛・胸痛その他痛み、チアノーゼ、倦怠感。

警告

1.1. 次の点について留意して輸血療法を行うこと。

1.1.1. 輸血について十分な知識・経験を持つ医師のもとで使用すること。

1.1.2. 輸血に際しては副作用発現時に救急処置をとれる準備をあらかじめしておくこと。

重要な基本的注意

8.1. 輸血は、血液製剤の使用指針、輸血療法の実施に関する指針及び血液製剤保管管理マニュアルに基づき、適切に行うこと。

8.2. 輸血を行う場合は、その必要性とともに感染症・副作用等のリスクについて、患者又はその家族等に文書にてわかりやすく説明し、同意を得ること。

8.3. 本剤は、ABO血液型、RhD血液型及び赤血球不規則抗体の検査を行っている。本剤を輸血する場合は、ABO血液型は原則として患者と同型のものを使用すること。また、患者がRhD抗原陰性の場合にはRhD抗原陰性の製剤を使用することが望ましい。

8.4. 輸血中は患者の様子を適宜観察すること(少なくとも輸血開始後約5分間は患者の観察を十分に行い、約15分経過した時点で再度観察すること)〔7.2参照〕。

8.5. 短時間に大量輸血した場合、クエン酸による血中カルシウム濃度低下による症状(手指のしびれ、嘔気等)、アシドーシスがあらわれることがある(輸血開始後は適宜患者の血清pH及び電解質等を測定するとともに、これらの症状があらわれた場合には輸血を中止し、適切な処置を行うこと)。

8.6. 本剤の使用により、同種免疫による血漿蛋白、白血球、血小板、赤血球等に対する抗体が産生され、ショック、過敏症等の免疫学的副作用があらわれることがある〔9.1.2参照〕。

8.7. 本剤は、問診等の健診により健康状態を確認した国内の献血者から採血し、梅毒トレポネーマ、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1及びHIV−2)、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV−1)及びヒトパルボウイルスB19についての血清学的検査、肝機能(ALT)検査、HBV−DNA、HCV−RNA、HIV−RNA及びE型肝炎ウイルス(HEV)−RNAについての核酸増幅検査に適合した献血血液を原料としている。しかし、このような措置によっても、これら及びその他血液を介するウイルス、細菌、原虫等に感染することがある〔8.8、11.1.2参照〕。

8.8. 本剤は、HBV、HCV、HIV−1・HIV−2等のウイルスについての検査には適合しているが、供血者がウインドウ期等にあることによる感染リスクを考慮し、HBV感染、HCV感染、HIV−1感染・HIV−2感染等のウイルス感染が疑われる場合等には、患者の輸血前後の肝炎ウイルスマーカー検査あるいはHIV抗体検査等を実施し、患者の経過観察を行うこと〔8.7、11.1.2参照〕。

8.9. 輸血による変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)伝播が疑われる報告がある。本剤の使用によるvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、使用の際には患者への説明を十分に行い、治療上の必要性を十分検討の上使用すること。

8.10. 血液バッグの可塑剤(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル:DEHP)が製剤中に溶出し、保存に伴い増加することが確認されているが、溶出したDEHPにより直接的健康被害が発生したとの報告は現在までにない。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 本剤の成分に対し、ショック等の免疫学的副作用の既往歴がある患者〔11.1.1参照〕。

9.1.2. IgA欠損症等の血漿蛋白欠損症のある患者:欠損蛋白に対する抗体を保有する患者では、アナフィラキシーがあらわれることがある〔8.6、11.1.1参照〕。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に輸血すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ輸血を実施すること(妊婦へのヒトパルボウイルスB19の感染によって、胎児への障害がまれに報告されている)〔11.1.2参照〕。

小児等

腎機能、心機能等の未発達な低出生体重児、新生児への輸血は患者の状態を観察しながら慎重に行うこと。

過量投与

本剤の過量投与により容量負荷となり、心不全、チアノーゼ、呼吸困難、肺水腫等があらわれることがある(輸血関連循環過負荷、TACO:transfusion−associated circulatory overload)。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 輸血準備時の注意

14.1.1. 患者との適合性の確認:事務的な過誤による血液型不適合輸血を防ぐために、本剤の受け渡し時、輸血準備時及び輸血実施時にそれぞれ、患者氏名(同姓同名に注意)、血液型、製造番号、有効期限、交差適合試験の検査結果などについて、交差試験適合票等の記載事項と輸血用血液バッグの本体及び添付伝票とを照合し、該当患者に適合しているものであることを確認すること。麻酔時など患者本人による確認ができない場合、当該患者に相違ないことを必ず複数の者により確認すること。

14.1.2. 融解時の注意

(1). 本剤を恒温水槽等で融解する際に、輸血用器具との接続部が汚染しないように注意すること。

(2). 本剤の温度が融解温度に達していること及び完全に融解していることを目視及び触感等で確認し、不溶物が認められる場合は使用しないこと。

(3). 本剤を37℃を超える温度で融解した場合、蛋白変性を起こすことがあるので、温度管理を厳重に行うこと。

14.1.3. 融解後の注意

(1). 融解後は直ちに使用すること(直ちに使用できない場合は、2〜6℃で保存し、融解後24時間以内に使用すること)、融解後24時間の保存により血液凝固第8因子の活性は約3〜4割低下するが、その他の凝固因子等の活性に大きな変化は認められない。

(2). 本剤を融解後2〜6℃で保存した場合であっても、通常の輸血では加温の必要はない。ただし、融解後2〜6℃で保存した急速大量輸血、融解後2〜6℃で保存した新生児交換輸血等の場合は、体温低下や血圧低下、不整脈等があらわれることがあるので本剤の加温(37℃を超えない)が必要である。

(3). 一度融解したものを再凍結して使用しないこと。

14.2. 輸血実施時の注意

14.2.1. 外観確認:外観上異常を認めた場合は使用しないこと。

14.2.2. 用時開封等:細菌汚染を避けるため、本剤は使用するまで輸血口を開封しないこと。また、小児等への輸血で全量を使用しなかった場合、本剤の残りを再度保存して使用しないこと。

14.2.3. 他の薬剤との混注:本剤と他の薬剤との混注は避けること。

14.2.4. 輸血用器具の目詰まり:輸血中は輸血用器具の目詰まりに注意すること。

(取扱い上の注意)

20.1. 本剤は凍結製剤であり、凍った状態ではバッグは非常にもろく破損し易いため、取扱いには十分注意すること。

20.2. 本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を使用した場合はその名称(販売名)、製造番号、使用年月日、患者の氏名・住所等を記録し、少なくとも20年間保存すること。

貯法

(保管上の注意)

−20℃以下で保存。

保険給付上の注意、その他上記以外の使用上の注意

(注意)

本剤は献血による貴重な血液を原料としている。採血時における問診等の健診、採血血液に対する感染症関連の検査等の安全対策を講じているが、人の血液を原料としていることに由来する感染症伝播等のリスクを完全には排除できない(疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、「血液製剤の使用指針」等を参考に、必要最小限の使用にとどめる)。

新鮮凍結血漿−LR「日赤」480
後発品はありません
新鮮凍結血漿−LR「日赤」480
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血漿製剤
2023年11月改訂(第1版)
薬剤情報
後発品
薬効分類血漿製剤
一般名新鮮凍結人血漿
薬価24210
メーカー日本赤十字社
最終更新2023年11月改訂(第1版)

用法・用量

容器のまま30〜37℃で融解し、ろ過装置を具備した輸血用器具を用いて、静脈内に必要量を輸注する。

通常、使用量は1日200〜400mL、重篤(ショック、敗血症など)の場合は800mLまでを基準とする。ただし、年齢及び症状に応じて適宜増減する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 輸血用器具

生物学的製剤基準・通則44に規定する輸血に適当と認められた器具であって、そのまま直ちに使用でき、かつ、1回限りの使用で使い捨てるものを用いる。

7.2. 輸血速度

成人の場合は、通常、最初の10〜15分間は1分間に1mL程度で行い、その後は1分間に5mL程度で行うこと。なお、輸血中は患者の様子を適宜観察すること〔8.4参照〕。

効能・効果

血液凝固因子の補充:

1). 複合性凝固障害で、出血、出血傾向のある患者の血液凝固因子補充又は手術を行う患者の血液凝固因子補充。

2). 血液凝固因子減少症又は血液凝固因子欠乏症における出血時で、特定の血液凝固因子製剤がないか又は血液凝固因子が特定できない場合の血液凝固因子補充。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 輸血は補充療法であって、根治的な療法ではない。

5.2. 輸血には同種免疫等による副作用やウイルス等に感染する危険性があり得るので、他に代替する治療法等がなく、その有効性が危険性を上回ると判断される場合にのみ実施すること。

副作用

次の副作用・感染症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には輸血を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用及び感染症

11.1.1. ショック、アナフィラキシー(頻度不明):ショック、チアノーゼ、皮膚潮紅、血管浮腫、喘鳴等のアナフィラキシーがあらわれることがある(初期症状は全身違和感、皮膚潮紅、腹痛、頻脈等で、アナフィラキシーの多くは輸血開始後10分以内に発現する)〔9.1.1、9.1.2参照〕。

11.1.2. 感染症(頻度不明):HBV感染、HCV感染等の肝炎ウイルス感染、HIV−1感染、HIV−2感染し、発症することがある。また、HTLV−1感染、エプスタイン・バーウイルス感染(EBV感染)、ヒトパルボウイルスB19感染、マラリア原虫感染、HEV感染等に感染することがあり、その他血液を介するウイルス、細菌、原虫等に感染する危険性も否定できない〔8.7、8.8、9.5妊婦の項参照〕。

11.1.3. 呼吸障害・輸血関連急性肺障害(TRALI:transfusion−related acute lung injury)(頻度不明):輸血中あるいは輸血後に喘鳴、低酸素血症、チアノーゼ、肺水腫、TRALI等を生じることがある。

特にTRALIは輸血中あるいは輸血終了後6時間以内に、急激な肺水腫、低酸素血症、頻脈、低血圧、チアノーゼ、呼吸困難を伴う呼吸障害で、時に死亡に至ることがある(これらの症状があらわれた場合には直ちに輸血を中止し、酸素投与、呼吸管理等の適切な処置を行うこと)。

11.1.4. 輸血後紫斑病(PTP:post transfusion purpura)(頻度不明):輸血後約1週間経過して、急激な血小板減少、粘膜出血、血尿等があらわれることがある。

11.1.5. 心機能障害・不整脈(頻度不明):心不全、心筋障害、心房細動・心室細動等の重篤な心機能障害や不整脈があらわれることがある。

11.1.6. 腎機能障害(頻度不明):急性腎障害等の重篤な腎機能障害があらわれることがある。

11.1.7. 肝機能障害(頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 過敏症:(頻度不明)蕁麻疹、発疹、発赤、そう痒感。

2). 血液:(頻度不明)白血球数変動。

3). 肝・胆道系:(頻度不明)黄疸、血中ビリルビン上昇。

4). 腎臓:(頻度不明)血尿、ヘモグロビン尿、BUN上昇・クレアチニン上昇。

5). 消化器:(頻度不明)悪心、嘔吐。

6). 精神神経系:(頻度不明)痙攣。

7). 循環器:(頻度不明)血圧上昇又は血圧低下、頻脈又は徐脈。

8). 電解質異常:(頻度不明)アシドーシス[短時間に大量に輸血した場合にあらわれることがある]、血中カリウム濃度上昇、*クエン酸による血中カルシウム濃度低下による症状(*手指のしびれ、*嘔気等)[*:短時間に大量に輸血した場合にあらわれることがある]。

9). 全身状態:(頻度不明)発熱、悪寒、戦慄、頭痛・胸痛その他痛み、チアノーゼ、倦怠感。

警告

1.1. 次の点について留意して輸血療法を行うこと。

1.1.1. 輸血について十分な知識・経験を持つ医師のもとで使用すること。

1.1.2. 輸血に際しては副作用発現時に救急処置をとれる準備をあらかじめしておくこと。

重要な基本的注意

8.1. 輸血は、血液製剤の使用指針、輸血療法の実施に関する指針及び血液製剤保管管理マニュアルに基づき、適切に行うこと。

8.2. 輸血を行う場合は、その必要性とともに感染症・副作用等のリスクについて、患者又はその家族等に文書にてわかりやすく説明し、同意を得ること。

8.3. 本剤は、ABO血液型、RhD血液型及び赤血球不規則抗体の検査を行っている。本剤を輸血する場合は、ABO血液型は原則として患者と同型のものを使用すること。また、患者がRhD抗原陰性の場合にはRhD抗原陰性の製剤を使用することが望ましい。

8.4. 輸血中は患者の様子を適宜観察すること(少なくとも輸血開始後約5分間は患者の観察を十分に行い、約15分経過した時点で再度観察すること)〔7.2参照〕。

8.5. 短時間に大量輸血した場合、クエン酸による血中カルシウム濃度低下による症状(手指のしびれ、嘔気等)、アシドーシスがあらわれることがある(輸血開始後は適宜患者の血清pH及び電解質等を測定するとともに、これらの症状があらわれた場合には輸血を中止し、適切な処置を行うこと)。

8.6. 本剤の使用により、同種免疫による血漿蛋白、白血球、血小板、赤血球等に対する抗体が産生され、ショック、過敏症等の免疫学的副作用があらわれることがある〔9.1.2参照〕。

8.7. 本剤は、問診等の健診により健康状態を確認した国内の献血者から採血し、梅毒トレポネーマ、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1及びHIV−2)、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV−1)及びヒトパルボウイルスB19についての血清学的検査、肝機能(ALT)検査、HBV−DNA、HCV−RNA、HIV−RNA及びE型肝炎ウイルス(HEV)−RNAについての核酸増幅検査に適合した献血血液を原料としている。しかし、このような措置によっても、これら及びその他血液を介するウイルス、細菌、原虫等に感染することがある〔8.8、11.1.2参照〕。

8.8. 本剤は、HBV、HCV、HIV−1・HIV−2等のウイルスについての検査には適合しているが、供血者がウインドウ期等にあることによる感染リスクを考慮し、HBV感染、HCV感染、HIV−1感染・HIV−2感染等のウイルス感染が疑われる場合等には、患者の輸血前後の肝炎ウイルスマーカー検査あるいはHIV抗体検査等を実施し、患者の経過観察を行うこと〔8.7、11.1.2参照〕。

8.9. 輸血による変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)伝播が疑われる報告がある。本剤の使用によるvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、使用の際には患者への説明を十分に行い、治療上の必要性を十分検討の上使用すること。

8.10. 血液バッグの可塑剤(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル:DEHP)が製剤中に溶出し、保存に伴い増加することが確認されているが、溶出したDEHPにより直接的健康被害が発生したとの報告は現在までにない。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 本剤の成分に対し、ショック等の免疫学的副作用の既往歴がある患者〔11.1.1参照〕。

9.1.2. IgA欠損症等の血漿蛋白欠損症のある患者:欠損蛋白に対する抗体を保有する患者では、アナフィラキシーがあらわれることがある〔8.6、11.1.1参照〕。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に輸血すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ輸血を実施すること(妊婦へのヒトパルボウイルスB19の感染によって、胎児への障害がまれに報告されている)〔11.1.2参照〕。

小児等

腎機能、心機能等の未発達な低出生体重児、新生児への輸血は患者の状態を観察しながら慎重に行うこと。

過量投与

本剤の過量投与により容量負荷となり、心不全、チアノーゼ、呼吸困難、肺水腫等があらわれることがある(輸血関連循環過負荷、TACO:transfusion−associated circulatory overload)。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 輸血準備時の注意

14.1.1. 患者との適合性の確認:事務的な過誤による血液型不適合輸血を防ぐために、本剤の受け渡し時、輸血準備時及び輸血実施時にそれぞれ、患者氏名(同姓同名に注意)、血液型、製造番号、有効期限、交差適合試験の検査結果などについて、交差試験適合票等の記載事項と輸血用血液バッグの本体及び添付伝票とを照合し、該当患者に適合しているものであることを確認すること。麻酔時など患者本人による確認ができない場合、当該患者に相違ないことを必ず複数の者により確認すること。

14.1.2. 融解時の注意

(1). 本剤を恒温水槽等で融解する際に、輸血用器具との接続部が汚染しないように注意すること。

(2). 本剤の温度が融解温度に達していること及び完全に融解していることを目視及び触感等で確認し、不溶物が認められる場合は使用しないこと。

(3). 本剤を37℃を超える温度で融解した場合、蛋白変性を起こすことがあるので、温度管理を厳重に行うこと。

14.1.3. 融解後の注意

(1). 融解後は直ちに使用すること(直ちに使用できない場合は、2〜6℃で保存し、融解後24時間以内に使用すること)、融解後24時間の保存により血液凝固第8因子の活性は約3〜4割低下するが、その他の凝固因子等の活性に大きな変化は認められない。

(2). 本剤を融解後2〜6℃で保存した場合であっても、通常の輸血では加温の必要はない。ただし、融解後2〜6℃で保存した急速大量輸血、融解後2〜6℃で保存した新生児交換輸血等の場合は、体温低下や血圧低下、不整脈等があらわれることがあるので本剤の加温(37℃を超えない)が必要である。

(3). 一度融解したものを再凍結して使用しないこと。

14.2. 輸血実施時の注意

14.2.1. 外観確認:外観上異常を認めた場合は使用しないこと。

14.2.2. 用時開封等:細菌汚染を避けるため、本剤は使用するまで輸血口を開封しないこと。また、小児等への輸血で全量を使用しなかった場合、本剤の残りを再度保存して使用しないこと。

14.2.3. 他の薬剤との混注:本剤と他の薬剤との混注は避けること。

14.2.4. 輸血用器具の目詰まり:輸血中は輸血用器具の目詰まりに注意すること。

(取扱い上の注意)

20.1. 本剤は凍結製剤であり、凍った状態ではバッグは非常にもろく破損し易いため、取扱いには十分注意すること。

20.2. 本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を使用した場合はその名称(販売名)、製造番号、使用年月日、患者の氏名・住所等を記録し、少なくとも20年間保存すること。

貯法

(保管上の注意)

−20℃以下で保存。

保険給付上の注意、その他上記以外の使用上の注意

(注意)

本剤は献血による貴重な血液を原料としている。採血時における問診等の健診、採血血液に対する感染症関連の検査等の安全対策を講じているが、人の血液を原料としていることに由来する感染症伝播等のリスクを完全には排除できない(疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、「血液製剤の使用指針」等を参考に、必要最小限の使用にとどめる)。

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