薬剤情報
後発品
薬効分類糖尿病薬・糖尿病薬 > 選択的ジペプチジルペプチダーゼ−4 (DPP−4) 阻害薬・選択的SGLT2阻害薬
一般名シタグリプチンリン酸塩水和物・イプラグリフロジンL−プロリン配合剤錠
薬価191.7
メーカーMSD
最終更新2024年04月改訂(第5版)

用法・用量

通常、成人には1日1回1錠(シタグリプチン/イプラグリフロジンとして50mg/50mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

中等度腎機能障害のある患者では、シタグリプチンの用量調節が必要であることから、次の場合に本剤の使用を検討すること:1)シタグリプチン25mg1日1回(中等度の腎機能障害のある患者での開始用量)及びイプラグリフロジン50mg1日1回の併用により効果不十分な場合に本剤の使用を検討、2)シタグリプチン50mg1日1回(中等度の腎機能障害のある患者での最大投与量)の単剤治療により効果不十分な場合に本剤の使用を検討、3)既にシタグリプチン50mg1日1回及びイプラグリフロジン50mg1日1回を併用し状態が安定している場合に本剤の使用を検討すること〔8.3、9.2.2、16.6.1参照〕。

効能・効果

2型糖尿病(ただし、シタグリプチンリン酸塩水和物及びイプラグリフロジン L−プロリンの併用による治療が適切と判断される場合に限る)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。

5.2. 本剤は、原則として次の場合に使用を検討すること。

・ 既にシタグリプチン50mg1日1回及びイプラグリフロジン50mg1日1回を併用し状態が安定している場合に使用を検討すること。

・ シタグリプチン50mg1日1回の単剤治療により効果不十分な場合に使用を検討すること。

・ イプラグリフロジン50mg1日1回の単剤治療により効果不十分な場合に使用を検討すること。

5.3. 本剤投与中において、本剤の投与がシタグリプチン及びイプラグリフロジンの各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。

5.4. 本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。

5.5. 重度腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者ではイプラグリフロジンの効果が期待できず、また、これらの患者に対するシタグリプチンの最大投与量は25mg1日1回であることから、本剤を投与しないこと〔8.3、9.2.1、16.6.1参照〕。

5.6. 中等度腎機能障害のある患者ではイプラグリフロジンの効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること〔8.3、9.2.2、16.6.1参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 低血糖(頻度不明):低血糖があらわれることがある。シタグリプチンとインスリン製剤との併用又はシタグリプチンとスルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α−グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること〔8.1、8.10、9.1.1、10.2、17.1.1、17.1.2参照〕。

11.1.2. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)。

11.1.3. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎(いずれも頻度不明)。

11.1.4. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

11.1.5. 急性腎障害(頻度不明)。

11.1.6. 急性膵炎(頻度不明):持続的な激しい腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。シタグリプチンの海外の自発報告においては、出血性膵炎又は壊死性膵炎も報告されている〔8.4参照〕。

11.1.7. 間質性肺炎(頻度不明):咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、速やかに胸部CT、速やかに血清マーカー等の検査を実施すること(間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと)。

11.1.8. 腸閉塞(頻度不明):高度便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.1.2参照〕。

11.1.9. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。

11.1.10. 血小板減少(頻度不明)。

11.1.11. 類天疱瘡(頻度不明):水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1.12. 腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症(いずれも頻度不明):腎盂腎炎、外陰部壊死性筋膜炎及び会陰部壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがある〔8.5、9.1.3参照〕。

11.1.13. 脱水(頻度不明):口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと(脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されている)〔8.6、9.1.4、9.8高齢者の項、10.2参照〕。

11.1.14. ケトアシドーシス(頻度不明):ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがある〔8.7参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 神経系障害:(頻度不明)浮動性めまい、感覚鈍麻、糖尿病性ニューロパチー、体位性めまい、頭痛。

2). 血液及びリンパ系障害:(頻度不明)貧血。

3). 眼障害:(頻度不明)糖尿病網膜症、糖尿病網膜症悪化、眼瞼浮腫。

4). 耳及び迷路障害:(頻度不明)回転性めまい。

5). 心臓障害:(頻度不明)上室性期外収縮、心室性期外収縮、動悸。

6). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(頻度不明)上気道炎症、上気道感染。

7). 感染症:(頻度不明)膀胱炎、外陰部膣カンジダ症、鼻咽頭炎、細菌尿。

8). 代謝及び栄養障害:(頻度不明)ケトーシス。

9). 胃腸障害:(1〜5%未満)便秘、(頻度不明)腹部不快感(胃不快感を含む)、腹部膨満、腹痛、上腹部痛、悪心、下痢、鼓腸、胃ポリープ、胃炎、萎縮性胃炎、びらん性胃炎、歯周炎、胃食道逆流性疾患、口内炎、嘔吐、齲歯。

10). 肝胆道系障害:(頻度不明)肝機能異常、脂肪肝。

11). 腎及び尿路障害:(5%以上)頻尿、(頻度不明)多尿、尿管結石、腎結石症。

12). 生殖系及び乳房障害:(頻度不明)陰部そう痒症。

13). 皮膚及び皮下組織障害:(頻度不明)冷汗、多汗症、皮膚血管炎、血管浮腫、*発疹、*湿疹、*じん麻疹、*皮膚そう痒症、*薬疹[*:イプラグリフロジンの投与初期に比較的多く発現していることから、本剤投与後は十分な観察を行い、症状がみられた場合に投与を中止するなどし、必要に応じて皮膚科医と相談して適切な処置を行うこと]。

14). 筋骨格系及び結合組織障害:(頻度不明)関節痛、筋肉痛、四肢痛、背部痛、RS3PE症候群、筋痙縮。

15). 全身障害及び投与局所様態:(1〜5%未満)口渇、(頻度不明)空腹、浮腫、倦怠感、体重減少、顔面浮腫、脱力感。

16). 血管障害:(頻度不明)高血圧。

17). 臨床検査:(頻度不明)心電図T波振幅減少、体重増加、赤血球数減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少、白血球数増加、ALT増加、AST増加、γ−GTP増加、血中ビリルビン増加、血中LDH増加、CK増加、血中コレステロール増加、血中尿酸増加、血中尿素増加、血中クレアチニン増加、血中ブドウ糖減少、低比重リポ蛋白増加、血中トリグリセリド増加、尿中蛋白陽性、尿中β2ミクログロブリン増加、尿中β−NアセチルDグルコサミニダーゼ増加、尿潜血陽性、尿中アルブミン/クレアチニン比増加、尿中ケトン体陽性、血中ケトン体増加、尿中α1ミクログロブリン増加、尿量増加。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない]。

2.3. 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない]。

重要な基本的注意

8.1. 本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること〔9.1.1、11.1.1参照〕。

8.2. 本剤投与中は、血糖値等を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、常に投与継続の必要性について注意を払うこと。本剤を3ヵ月投与しても効果が不十分な場合、より適切と考えられる治療への変更を考慮すること。

8.3. イプラグリフロジンにより血清クレアチニン上昇又はeGFR低下がみられることがあり、また、腎機能障害のある患者ではシタグリプチンの排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがある。したがって、腎機能を定期的に検査するとともに、腎機能障害患者における治療にあたっては経過を十分に観察すること〔5.5、5.6、7.用法及び用量に関連する注意の項、9.2.1、9.2.2、16.6.1参照〕。

8.4. シタグリプチンにより急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること〔11.1.6参照〕。

8.5. イプラグリフロジンにより尿路感染及び性器感染を起こし、腎盂腎炎、外陰部壊死性筋膜炎及び会陰部壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症等の重篤な感染症に至ることがあるので、十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮すること。尿路感染及び性器感染の症状及びその対処方法について患者に説明すること〔9.1.3、11.1.12参照〕。

8.6. イプラグリフロジンの利尿作用により多尿・頻尿がみられることがあり、また、体液量が減少することがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に行うこと。脱水、血圧低下等の異常が認められた場合は、休薬や補液等の適切な処置を行うこと(特に体液量減少を起こしやすい患者(高齢者や利尿薬併用患者等)においては、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること)〔9.1.4、9.8高齢者の項、10.2、11.1.13参照〕。

8.7. イプラグリフロジンの作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により、血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し、ケトーシスがあらわれ、ケトアシドーシスに至ることがある。著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため、次の点に留意すること。

(1). 悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等の症状が認められた場合には、血中又は尿中ケトン体測定を含む検査を実施し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

(2). 特に、インスリン分泌能低下、インスリン製剤減量やインスリン製剤中止、過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので、観察を十分に行うこと。

(3). 患者に対し、次の点を指導すること。

・ ケトアシドーシスの症状(悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等)を指導すること。

・ ケトアシドーシスの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診することを指導すること。

・ 血糖値が高値でなくともケトアシドーシスが発現しうることを指導すること。

〔11.1.14参照〕。

8.8. イプラグリフロジンは、尿中グルコース排泄促進作用を有するので、排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること。

8.9. イプラグリフロジンによる体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意すること。

8.10. 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること〔11.1.1参照〕。

8.11. 本剤と他の糖尿病用薬の併用における安全性は検討されていない。

8.12. シタグリプチンとGLP−1受容体作動薬はいずれもGLP−1受容体を介した血糖降下作用を有しており、シタグリプチンとGLP−1受容体作動薬を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 低血糖を起こすおそれのある次の患者又は状態。

・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全。

・ 栄養不良状態、るいそう、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態。

・ 激しい筋肉運動。

・ 過度のアルコール摂取者。

・ 高齢者。

〔8.1、11.1.1参照〕。

9.1.2. 腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者:シタグリプチンにより腸閉塞を起こすおそれがある〔11.1.8参照〕。

9.1.3. 尿路感染、性器感染のある患者:イプラグリフロジンにより症状を悪化させるおそれがある〔8.5、11.1.12参照〕。

9.1.4. 脱水を起こしやすい患者(血糖コントロールが極めて不良の患者、高齢者、利尿薬併用患者等):イプラグリフロジンの利尿作用により脱水を起こすおそれがある〔8.6、10.2、11.1.13参照〕。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重度腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者:投与しないこと(イプラグリフロジンの効果が期待できず、また、これらの患者に対するシタグリプチンの最大投与量は25mg1日1回である)〔5.5、8.3、16.6.1参照〕。

9.2.2. 中等度腎機能障害のある患者:投与の必要性を慎重に判断すること(イプラグリフロジンの効果が十分に得られない可能性がある)〔5.6、7.用法及び用量に関連する注意の項、8.3、16.6.1参照〕。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重度の肝機能障害のある患者:シタグリプチン治療中の患者にイプラグリフロジンを併用する場合は、本剤を使用しないで、イプラグリフロジンの低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること(重度肝機能障害のある患者を対象にしたイプラグリフロジンの臨床試験を実施していない)〔16.6.2参照〕。

相互作用

シタグリプチン

シタグリプチンは主に腎臓から未変化体として排泄され、その排泄には能動的な尿細管分泌の関与が推察される〔16.5.1−16.5.3参照〕。

イプラグリフロジン

イプラグリフロジンは主としてUGT2B7によるグルクロン酸抱合代謝を受ける〔16.4.4参照〕。

10.2. 併用注意:

1). 糖尿病用薬(インスリン製剤、スルホニルウレア剤、チアゾリジン系薬剤、ビグアナイド系薬剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、速効型インスリン分泌促進薬、GLP−1受容体作動薬等)〔11.1.1参照〕[低血糖の発現に注意すること(糖尿病用薬(特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬又はGLP−1受容体作動薬)との併用時には、本剤の血糖降下作用が加わることにより、低血糖のリスクが増加するおそれがある)。特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬又はGLP−1受容体作動薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること(糖尿病用薬(特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬又はGLP−1受容体作動薬)との併用時には、本剤の血糖降下作用が加わることにより、低血糖のリスクが増加するおそれがある)]。

2). 血糖降下作用を増強する薬剤(β−遮断薬、サリチル酸剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、フィブラート系薬剤等)[これらの薬剤と本剤を併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(これらの薬剤との併用により血糖降下作用が増強されるおそれがある)]。

3). 血糖降下作用を減弱する薬剤(アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等)[これらの薬剤と本剤を併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(これらの薬剤との併用により血糖降下作用が減弱されるおそれがある)]。

4). 利尿作用を有する薬剤(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬等)〔8.6、9.1.4、11.1.13参照〕[これらの薬剤とイプラグリフロジンの併用により、利尿作用が過剰にみられるおそれがあるため、必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること(これらの薬剤との併用により利尿作用が増強されるおそれがある)]。

5). ジゴキシン〔16.7.1参照〕[シタグリプチンとの併用によりジゴキシンの血漿中濃度がわずかに増加したとの報告があるので、適切な観察を行うこと(機序不明)]。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下しているため、腎機能が低下していることが多く、また脱水症状(口渇等)の認知が遅れるなどのおそれがある)〔8.6、11.1.13、16.6.3参照〕。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性にはイプラグリフロジンを含む本剤を投与しないで、インスリン製剤等を使用すること。イプラグリフロジンの類薬の動物実験(ラット)でヒトの妊娠中期及び後期にあたる幼若動物への曝露により、腎盂拡張及び尿細管拡張が報告されている。イプラグリフロジンの動物実験(ラット)で胎仔への移行が報告されている。なお、シタグリプチンの動物実験(ラット)で1000mg/kg/日(シタグリプチンの臨床での最大投与量100mg/日の約100倍の曝露量に相当する)経口投与により、胎仔肋骨欠損、胎仔肋骨形成不全及び胎仔波状肋骨の発現率の軽度増加が認められたとの報告がある。

(授乳婦)

授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)でシタグリプチンの乳汁中への移行が報告されており、また、動物実験(ラット)でイプラグリフロジンの乳汁中への移行及び出生仔体重増加抑制が報告されている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

臨床検査結果に及ぼす影響

イプラグリフロジンの作用機序により、本剤服用中は尿糖陽性、血清1,5−AG(1,5−アンヒドログルシトール)低値を示す。尿糖、血清1,5−AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とはならない。

過量投与

13.1. 処置

過量投与時、血液透析によるシタグリプチンの除去はわずかである〔16.6.1参照〕。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

その他の注意

15.2. 非臨床試験に基づく情報

15.2.1. 雌雄ラットにシタグリプチン50、150及び500mg/kg/日を2年間経口投与したがん原性試験では、500mg/kg/日群の雄ラットにおいて肝腺腫及び肝がんの発現率が増加し、同群の雌ラットにおいて肝がんの発現率が増加したとの報告がある。このラットの投与量は、臨床でのシタグリプチンの最大投与量100mg/日の約58倍の曝露量に相当する。雌雄マウスにシタグリプチン50、125、250及び500mg/kg/日を2年間経口投与したがん原性試験では、シタグリプチン500mg/kg/日(臨床での最大投与量100mg/日の約68倍の曝露量に相当する)までの用量で、いずれの臓器においても腫瘍の発現率は増加しなかった。

15.2.2. 雌雄ラットにイプラグリフロジン12.5、40、125、250mg/kg/日(250mg/kg/日群は雌のみで実施)を104週間反復経口投与したがん原性試験において、40mg/kg/日以上の雄及び125mg/kg/日以上の雌で副腎髄質褐色細胞腫の発生頻度増加が認められた。ラットにイプラグリフロジン40mg/kg/日(雄)又は125mg/kg/日(雌)を反復経口投与したときの曝露量(AUC0−24hr)は、イプラグリフロジンの最大臨床推奨用量(1日1回100mg)の約10倍又は約60倍であった。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

スージャヌ配合錠
後発品はありません
スージャヌ配合錠
スージャヌ配合錠

スージャヌ配合錠

糖尿病薬・糖尿病薬 > 選択的ジペプチジルペプチダーゼ−4 (DPP−4) 阻害薬・選択的SGLT2阻害薬
2024年04月改訂(第5版)
薬剤情報
後発品
薬効分類糖尿病薬・糖尿病薬 > 選択的ジペプチジルペプチダーゼ−4 (DPP−4) 阻害薬・選択的SGLT2阻害薬
一般名シタグリプチンリン酸塩水和物・イプラグリフロジンL−プロリン配合剤錠
薬価191.7
メーカーMSD
最終更新2024年04月改訂(第5版)

用法・用量

通常、成人には1日1回1錠(シタグリプチン/イプラグリフロジンとして50mg/50mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

中等度腎機能障害のある患者では、シタグリプチンの用量調節が必要であることから、次の場合に本剤の使用を検討すること:1)シタグリプチン25mg1日1回(中等度の腎機能障害のある患者での開始用量)及びイプラグリフロジン50mg1日1回の併用により効果不十分な場合に本剤の使用を検討、2)シタグリプチン50mg1日1回(中等度の腎機能障害のある患者での最大投与量)の単剤治療により効果不十分な場合に本剤の使用を検討、3)既にシタグリプチン50mg1日1回及びイプラグリフロジン50mg1日1回を併用し状態が安定している場合に本剤の使用を検討すること〔8.3、9.2.2、16.6.1参照〕。

効能・効果

2型糖尿病(ただし、シタグリプチンリン酸塩水和物及びイプラグリフロジン L−プロリンの併用による治療が適切と判断される場合に限る)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。

5.2. 本剤は、原則として次の場合に使用を検討すること。

・ 既にシタグリプチン50mg1日1回及びイプラグリフロジン50mg1日1回を併用し状態が安定している場合に使用を検討すること。

・ シタグリプチン50mg1日1回の単剤治療により効果不十分な場合に使用を検討すること。

・ イプラグリフロジン50mg1日1回の単剤治療により効果不十分な場合に使用を検討すること。

5.3. 本剤投与中において、本剤の投与がシタグリプチン及びイプラグリフロジンの各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。

5.4. 本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。

5.5. 重度腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者ではイプラグリフロジンの効果が期待できず、また、これらの患者に対するシタグリプチンの最大投与量は25mg1日1回であることから、本剤を投与しないこと〔8.3、9.2.1、16.6.1参照〕。

5.6. 中等度腎機能障害のある患者ではイプラグリフロジンの効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること〔8.3、9.2.2、16.6.1参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 低血糖(頻度不明):低血糖があらわれることがある。シタグリプチンとインスリン製剤との併用又はシタグリプチンとスルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α−グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること〔8.1、8.10、9.1.1、10.2、17.1.1、17.1.2参照〕。

11.1.2. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)。

11.1.3. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎(いずれも頻度不明)。

11.1.4. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

11.1.5. 急性腎障害(頻度不明)。

11.1.6. 急性膵炎(頻度不明):持続的な激しい腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。シタグリプチンの海外の自発報告においては、出血性膵炎又は壊死性膵炎も報告されている〔8.4参照〕。

11.1.7. 間質性肺炎(頻度不明):咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、速やかに胸部CT、速やかに血清マーカー等の検査を実施すること(間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと)。

11.1.8. 腸閉塞(頻度不明):高度便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.1.2参照〕。

11.1.9. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。

11.1.10. 血小板減少(頻度不明)。

11.1.11. 類天疱瘡(頻度不明):水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1.12. 腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症(いずれも頻度不明):腎盂腎炎、外陰部壊死性筋膜炎及び会陰部壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがある〔8.5、9.1.3参照〕。

11.1.13. 脱水(頻度不明):口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと(脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されている)〔8.6、9.1.4、9.8高齢者の項、10.2参照〕。

11.1.14. ケトアシドーシス(頻度不明):ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがある〔8.7参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 神経系障害:(頻度不明)浮動性めまい、感覚鈍麻、糖尿病性ニューロパチー、体位性めまい、頭痛。

2). 血液及びリンパ系障害:(頻度不明)貧血。

3). 眼障害:(頻度不明)糖尿病網膜症、糖尿病網膜症悪化、眼瞼浮腫。

4). 耳及び迷路障害:(頻度不明)回転性めまい。

5). 心臓障害:(頻度不明)上室性期外収縮、心室性期外収縮、動悸。

6). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(頻度不明)上気道炎症、上気道感染。

7). 感染症:(頻度不明)膀胱炎、外陰部膣カンジダ症、鼻咽頭炎、細菌尿。

8). 代謝及び栄養障害:(頻度不明)ケトーシス。

9). 胃腸障害:(1〜5%未満)便秘、(頻度不明)腹部不快感(胃不快感を含む)、腹部膨満、腹痛、上腹部痛、悪心、下痢、鼓腸、胃ポリープ、胃炎、萎縮性胃炎、びらん性胃炎、歯周炎、胃食道逆流性疾患、口内炎、嘔吐、齲歯。

10). 肝胆道系障害:(頻度不明)肝機能異常、脂肪肝。

11). 腎及び尿路障害:(5%以上)頻尿、(頻度不明)多尿、尿管結石、腎結石症。

12). 生殖系及び乳房障害:(頻度不明)陰部そう痒症。

13). 皮膚及び皮下組織障害:(頻度不明)冷汗、多汗症、皮膚血管炎、血管浮腫、*発疹、*湿疹、*じん麻疹、*皮膚そう痒症、*薬疹[*:イプラグリフロジンの投与初期に比較的多く発現していることから、本剤投与後は十分な観察を行い、症状がみられた場合に投与を中止するなどし、必要に応じて皮膚科医と相談して適切な処置を行うこと]。

14). 筋骨格系及び結合組織障害:(頻度不明)関節痛、筋肉痛、四肢痛、背部痛、RS3PE症候群、筋痙縮。

15). 全身障害及び投与局所様態:(1〜5%未満)口渇、(頻度不明)空腹、浮腫、倦怠感、体重減少、顔面浮腫、脱力感。

16). 血管障害:(頻度不明)高血圧。

17). 臨床検査:(頻度不明)心電図T波振幅減少、体重増加、赤血球数減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少、白血球数増加、ALT増加、AST増加、γ−GTP増加、血中ビリルビン増加、血中LDH増加、CK増加、血中コレステロール増加、血中尿酸増加、血中尿素増加、血中クレアチニン増加、血中ブドウ糖減少、低比重リポ蛋白増加、血中トリグリセリド増加、尿中蛋白陽性、尿中β2ミクログロブリン増加、尿中β−NアセチルDグルコサミニダーゼ増加、尿潜血陽性、尿中アルブミン/クレアチニン比増加、尿中ケトン体陽性、血中ケトン体増加、尿中α1ミクログロブリン増加、尿量増加。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない]。

2.3. 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない]。

重要な基本的注意

8.1. 本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること〔9.1.1、11.1.1参照〕。

8.2. 本剤投与中は、血糖値等を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、常に投与継続の必要性について注意を払うこと。本剤を3ヵ月投与しても効果が不十分な場合、より適切と考えられる治療への変更を考慮すること。

8.3. イプラグリフロジンにより血清クレアチニン上昇又はeGFR低下がみられることがあり、また、腎機能障害のある患者ではシタグリプチンの排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがある。したがって、腎機能を定期的に検査するとともに、腎機能障害患者における治療にあたっては経過を十分に観察すること〔5.5、5.6、7.用法及び用量に関連する注意の項、9.2.1、9.2.2、16.6.1参照〕。

8.4. シタグリプチンにより急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること〔11.1.6参照〕。

8.5. イプラグリフロジンにより尿路感染及び性器感染を起こし、腎盂腎炎、外陰部壊死性筋膜炎及び会陰部壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症等の重篤な感染症に至ることがあるので、十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮すること。尿路感染及び性器感染の症状及びその対処方法について患者に説明すること〔9.1.3、11.1.12参照〕。

8.6. イプラグリフロジンの利尿作用により多尿・頻尿がみられることがあり、また、体液量が減少することがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に行うこと。脱水、血圧低下等の異常が認められた場合は、休薬や補液等の適切な処置を行うこと(特に体液量減少を起こしやすい患者(高齢者や利尿薬併用患者等)においては、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること)〔9.1.4、9.8高齢者の項、10.2、11.1.13参照〕。

8.7. イプラグリフロジンの作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により、血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し、ケトーシスがあらわれ、ケトアシドーシスに至ることがある。著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため、次の点に留意すること。

(1). 悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等の症状が認められた場合には、血中又は尿中ケトン体測定を含む検査を実施し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

(2). 特に、インスリン分泌能低下、インスリン製剤減量やインスリン製剤中止、過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので、観察を十分に行うこと。

(3). 患者に対し、次の点を指導すること。

・ ケトアシドーシスの症状(悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等)を指導すること。

・ ケトアシドーシスの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診することを指導すること。

・ 血糖値が高値でなくともケトアシドーシスが発現しうることを指導すること。

〔11.1.14参照〕。

8.8. イプラグリフロジンは、尿中グルコース排泄促進作用を有するので、排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること。

8.9. イプラグリフロジンによる体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意すること。

8.10. 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること〔11.1.1参照〕。

8.11. 本剤と他の糖尿病用薬の併用における安全性は検討されていない。

8.12. シタグリプチンとGLP−1受容体作動薬はいずれもGLP−1受容体を介した血糖降下作用を有しており、シタグリプチンとGLP−1受容体作動薬を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 低血糖を起こすおそれのある次の患者又は状態。

・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全。

・ 栄養不良状態、るいそう、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態。

・ 激しい筋肉運動。

・ 過度のアルコール摂取者。

・ 高齢者。

〔8.1、11.1.1参照〕。

9.1.2. 腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者:シタグリプチンにより腸閉塞を起こすおそれがある〔11.1.8参照〕。

9.1.3. 尿路感染、性器感染のある患者:イプラグリフロジンにより症状を悪化させるおそれがある〔8.5、11.1.12参照〕。

9.1.4. 脱水を起こしやすい患者(血糖コントロールが極めて不良の患者、高齢者、利尿薬併用患者等):イプラグリフロジンの利尿作用により脱水を起こすおそれがある〔8.6、10.2、11.1.13参照〕。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重度腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者:投与しないこと(イプラグリフロジンの効果が期待できず、また、これらの患者に対するシタグリプチンの最大投与量は25mg1日1回である)〔5.5、8.3、16.6.1参照〕。

9.2.2. 中等度腎機能障害のある患者:投与の必要性を慎重に判断すること(イプラグリフロジンの効果が十分に得られない可能性がある)〔5.6、7.用法及び用量に関連する注意の項、8.3、16.6.1参照〕。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重度の肝機能障害のある患者:シタグリプチン治療中の患者にイプラグリフロジンを併用する場合は、本剤を使用しないで、イプラグリフロジンの低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること(重度肝機能障害のある患者を対象にしたイプラグリフロジンの臨床試験を実施していない)〔16.6.2参照〕。

相互作用

シタグリプチン

シタグリプチンは主に腎臓から未変化体として排泄され、その排泄には能動的な尿細管分泌の関与が推察される〔16.5.1−16.5.3参照〕。

イプラグリフロジン

イプラグリフロジンは主としてUGT2B7によるグルクロン酸抱合代謝を受ける〔16.4.4参照〕。

10.2. 併用注意:

1). 糖尿病用薬(インスリン製剤、スルホニルウレア剤、チアゾリジン系薬剤、ビグアナイド系薬剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、速効型インスリン分泌促進薬、GLP−1受容体作動薬等)〔11.1.1参照〕[低血糖の発現に注意すること(糖尿病用薬(特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬又はGLP−1受容体作動薬)との併用時には、本剤の血糖降下作用が加わることにより、低血糖のリスクが増加するおそれがある)。特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬又はGLP−1受容体作動薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること(糖尿病用薬(特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬又はGLP−1受容体作動薬)との併用時には、本剤の血糖降下作用が加わることにより、低血糖のリスクが増加するおそれがある)]。

2). 血糖降下作用を増強する薬剤(β−遮断薬、サリチル酸剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、フィブラート系薬剤等)[これらの薬剤と本剤を併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(これらの薬剤との併用により血糖降下作用が増強されるおそれがある)]。

3). 血糖降下作用を減弱する薬剤(アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等)[これらの薬剤と本剤を併用する場合には、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(これらの薬剤との併用により血糖降下作用が減弱されるおそれがある)]。

4). 利尿作用を有する薬剤(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬等)〔8.6、9.1.4、11.1.13参照〕[これらの薬剤とイプラグリフロジンの併用により、利尿作用が過剰にみられるおそれがあるため、必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること(これらの薬剤との併用により利尿作用が増強されるおそれがある)]。

5). ジゴキシン〔16.7.1参照〕[シタグリプチンとの併用によりジゴキシンの血漿中濃度がわずかに増加したとの報告があるので、適切な観察を行うこと(機序不明)]。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下しているため、腎機能が低下していることが多く、また脱水症状(口渇等)の認知が遅れるなどのおそれがある)〔8.6、11.1.13、16.6.3参照〕。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性にはイプラグリフロジンを含む本剤を投与しないで、インスリン製剤等を使用すること。イプラグリフロジンの類薬の動物実験(ラット)でヒトの妊娠中期及び後期にあたる幼若動物への曝露により、腎盂拡張及び尿細管拡張が報告されている。イプラグリフロジンの動物実験(ラット)で胎仔への移行が報告されている。なお、シタグリプチンの動物実験(ラット)で1000mg/kg/日(シタグリプチンの臨床での最大投与量100mg/日の約100倍の曝露量に相当する)経口投与により、胎仔肋骨欠損、胎仔肋骨形成不全及び胎仔波状肋骨の発現率の軽度増加が認められたとの報告がある。

(授乳婦)

授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)でシタグリプチンの乳汁中への移行が報告されており、また、動物実験(ラット)でイプラグリフロジンの乳汁中への移行及び出生仔体重増加抑制が報告されている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

臨床検査結果に及ぼす影響

イプラグリフロジンの作用機序により、本剤服用中は尿糖陽性、血清1,5−AG(1,5−アンヒドログルシトール)低値を示す。尿糖、血清1,5−AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とはならない。

過量投与

13.1. 処置

過量投与時、血液透析によるシタグリプチンの除去はわずかである〔16.6.1参照〕。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

その他の注意

15.2. 非臨床試験に基づく情報

15.2.1. 雌雄ラットにシタグリプチン50、150及び500mg/kg/日を2年間経口投与したがん原性試験では、500mg/kg/日群の雄ラットにおいて肝腺腫及び肝がんの発現率が増加し、同群の雌ラットにおいて肝がんの発現率が増加したとの報告がある。このラットの投与量は、臨床でのシタグリプチンの最大投与量100mg/日の約58倍の曝露量に相当する。雌雄マウスにシタグリプチン50、125、250及び500mg/kg/日を2年間経口投与したがん原性試験では、シタグリプチン500mg/kg/日(臨床での最大投与量100mg/日の約68倍の曝露量に相当する)までの用量で、いずれの臓器においても腫瘍の発現率は増加しなかった。

15.2.2. 雌雄ラットにイプラグリフロジン12.5、40、125、250mg/kg/日(250mg/kg/日群は雌のみで実施)を104週間反復経口投与したがん原性試験において、40mg/kg/日以上の雄及び125mg/kg/日以上の雌で副腎髄質褐色細胞腫の発生頻度増加が認められた。ラットにイプラグリフロジン40mg/kg/日(雄)又は125mg/kg/日(雌)を反復経口投与したときの曝露量(AUC0−24hr)は、イプラグリフロジンの最大臨床推奨用量(1日1回100mg)の約10倍又は約60倍であった。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

後発品はありません
薬剤情報

薬剤写真、用法用量、効能効果や後発品の情報が一度に参照でき、関連情報へ簡単にアクセスができます。

一般名、製品名どちらでも検索可能!

※ ご使用いただく際に、必ず最新の添付文書および安全性情報も併せてご確認下さい。