非麻薬性オピオイド系鎮痛薬
薬効分類 | 非麻薬性オピオイド系鎮痛薬 |
一般名 | ブプレノルフィン貼付剤 |
薬価 | 1579.1円 |
メーカー | ムンディファーマ |
最終更新 | 2016年01月改訂(第4版) |
前胸部、上背部、上腕外部又は側胸部に貼付し、7日毎に貼り替えて使用する。
初回貼付用量はブプレノルフィンとして5mgとし、その後の貼付用量は患者の症状に応じて適宜増減するが、20mgを超えない。
<用法及び用量に関連する使用上の注意>
1.初回貼付時:
1).初回貼付72時間後までブプレノルフィンの血中濃度が徐々に上昇するため、鎮痛効果が得られるまで時間を要するため、必要に応じて他の適切な治療の併用を考慮する。
2).他のオピオイド鎮痛剤から本剤へ切り替える場合には、切り替え前に使用していたオピオイド鎮痛剤の鎮痛効果の持続時間を考慮して、本剤の貼付を開始する。なお、高用量(経口モルヒネ換算量80mg/日超)のオピオイド鎮痛剤から切り替えた場合には、十分な鎮痛効果が得られない恐れがあるので、注意する。
2.貼付方法:血中濃度が上昇する恐れがあるので、毎回貼付部位を変え、同じ部位に貼付する場合は、3週間以上の間隔をあける。
3.増量:本剤貼付開始後は患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調節を行い、鎮痛効果が十分得られない場合は、ブプレノルフィンとして5〜10mgずつ貼り替え時に増量する。
4.減量:連用中における急激な減量は、退薬症候が現れることがあるので行わない(副作用等により減量する場合は、患者の状態を観察しながら慎重に行う)。
5.投与の継続:本剤貼付開始後4週間を経過してもなお期待する効果が得られない場合は、他の適切な治療への変更を検討し、また、定期的に症状及び効果を確認し、投与の継続の必要性について検討する。
6.投与の中止:
1).本剤の投与を必要としなくなった場合には、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量する。
2).本剤の投与を中止し他のオピオイド鎮痛剤に変更する場合は、本剤剥離後24時間以上の間隔をあける。また、ブプレノルフィンのμオピオイド受容体への親和性は他のオピオイド鎮痛剤より強いため、本剤の投与を中止し他のオピオイド鎮痛剤に切り替え直後には他のオピオイド鎮痛剤の鎮痛効果が十分に得られないことがあるので、注意する。
非オピオイド鎮痛剤で治療困難な次記疾患に伴う慢性疼痛における鎮痛:変形性関節症、腰痛症。
<効能又は効果に関連する使用上の注意>
1.本剤は、非オピオイド鎮痛剤の投与を含む保存的治療では十分な鎮痛効果が得られない患者で、かつオピオイド鎮痛剤の継続的な投与を必要とする日常生活動作障害を有する変形性関節症及び腰痛症に伴う慢性疼痛の管理にのみ使用する。
2.慢性疼痛の原因となる器質的病変、心理的・社会的要因、依存リスクを含めた包括的な診断を行い、本剤の投与の適否を慎重に判断する。
変形性関節症及び腰痛症に伴う慢性疼痛のある日本人患者を対象にした国内臨床試験において、803例中743例(92.5%)に副作用(臨床検査値異常を含む)がみられた。主なものは、悪心(62.5%)、嘔吐(35.7%)、便秘(33.7%)、傾眠(30.3%)、適用部位そう痒感(28.6%)、浮動性眩暈(18.9%)、適用部位紅斑(15.3%)、頭痛(11.8%)等であった(承認時までの集計)。
1.重大な副作用
1).呼吸抑制、呼吸困難(頻度不明):呼吸抑制、呼吸困難が現れる恐れがあるので、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。なお、本剤による呼吸抑制には、人工呼吸又は呼吸促進剤(ドキサプラム塩酸塩水和物)が有効であるが、麻薬拮抗薬(ナロキソン塩酸塩、レバロルファン等)の効果は確実ではない。
2).ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明):ショック、アナフィラキシー様症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行う。
3).依存性(頻度不明):長期の使用により薬物依存を生じることがあるので観察を十分に行い、慎重に投与する。長期使用後、急に投与を中止すると、不安、不眠、興奮、胸内苦悶、嘔気、振戦、発汗等の禁断症状が現れることがあるので、投与を中止する場合は徐々に減量することが望ましい。
2.その他の副作用
1).過敏症:(頻度不明)過敏症(口腔咽頭腫脹、舌腫脹等)。
2).血液:(1%以上〜10%未満)貧血、リンパ球数減少。
3).精神神経系:(10%以上)浮動性眩暈、頭痛、傾眠、(1%以上〜10%未満)不安、不眠症、(1%未満)不快気分、気分動揺、落ち着きのなさ、うつ病、神経過敏、リビドー減退、感覚鈍麻、味覚異常、蟻走感、振戦、片頭痛、(頻度不明)錯乱状態、感情不安定、激越、離人症、多幸気分、幻覚、悪夢、精神病性障害、離脱症候群、錯感覚、注意力障害、協調運動異常、構語障害、記憶障害、失神、痙攣、攻撃性。
4).感覚器:(1%以上〜10%未満)回転性眩暈、(1%未満)流涙増加、眼乾燥、頭位性回転性眩暈、耳鳴、(頻度不明)霧視、縮瞳。
5).循環器:(1%以上〜10%未満)動悸、ほてり、(1%未満)頻脈、高血圧、潮紅、徐脈、低血圧、(頻度不明)狭心症、血管拡張、起立性低血圧。
6).呼吸器:(1%以上〜10%未満)あくび、(1%未満)鼻漏、息詰まり、喘息増悪、(頻度不明)咳嗽、しゃっくり、過換気、低酸素症、鼻炎、喘鳴。
7).消化器:(10%以上)便秘、悪心、嘔吐、(1%以上〜10%未満)下痢、口内乾燥、胃不快感、上腹部痛、胃炎、(1%未満)腹痛、消化不良、口内炎、嚥下障害、(頻度不明)鼓腸、憩室炎、イレウス。
8).肝臓:(1%以上〜10%未満)肝機能異常、γ−GTP増加、(1%未満)AST増加(GOT増加)、ALT増加(GPT増加)、(頻度不明)胆道仙痛。
9).皮膚:(10%以上)適用部位紅斑、適用部位そう痒感、(1%以上〜10%未満)接触性皮膚炎、適用部位皮膚炎、適用部位湿疹、適用部位変色、適用部位小水疱、多汗症、(1%未満)皮膚そう痒症、発疹、全身性そう痒症、皮膚乾燥、蕁麻疹、適用部位刺激感、適用部位発疹、適用部位糜爛、(頻度不明)適用部位浮腫。
10).腎臓・泌尿器:(1%以上〜10%未満)排尿困難、(1%未満)尿閉、血中クレアチニン増加、BUN増加、(頻度不明)尿失禁、排尿躊躇。
11).臨床検査:(1%以上〜10%未満)血中尿酸増加、心電図QT延長、体重減少、(1%未満)LDH増加、血中トリグリセリド増加、尿沈渣陽性、血中ブドウ糖増加、尿中蛋白陽性。
12).その他:(10%以上)食欲減退、(1%以上〜10%未満)脱水、無力症、悪寒、異常感、倦怠感、末梢性浮腫、口渇、胸部不快感、(1%未満)転倒、性機能不全、高尿酸血症、背部痛、筋痙縮、筋肉痛、冷感、発熱、疼痛、顔面浮腫、(頻度不明)筋力低下、胸痛、インフルエンザ様疾患、浮腫。
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.重篤な呼吸抑制状態及び呼吸機能障害のある患者[呼吸抑制が増強される恐れがある]。
1.呼吸機能低下している患者[呼吸抑制が現れる恐れがある]。
2.QT延長を起こしやすい患者(不整脈の既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者、QT延長を起こすことが知られている薬剤投与中の患者等)[QT延長を起こす恐れがある]。
3.薬物依存・アルコール依存又はその既往歴のある患者[依存性を生じやすい]。
4.脳器質的障害のある患者[呼吸抑制や頭蓋内圧上昇を起こす恐れがある]。
5.ショック状態にある患者[循環不全や呼吸抑制を増強する恐れがある]。
6.肝機能障害・腎機能障害のある患者[作用が増強する恐れがある]。
7.麻薬依存患者[麻薬拮抗作用を有するため禁断症状を誘発する恐れがある]。
8.麻痺性イレウスの患者[消化管運動を抑制する]。
9.胆道疾患のある患者[オッディ括約筋収縮を起こす恐れがある]。
10.高熱のある患者[本剤からのブプレノルフィンの吸収量が増加し、血中濃度が上昇する恐れがある]。
(重要な基本的注意)
1.本剤を変形性関節症及び腰痛症に伴う慢性疼痛以外の管理に使用しない。
2.本剤は、変形性関節症及び腰痛症に伴う慢性疼痛治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ用いる。
3.本剤の使用開始にあたっては、主な副作用、具体的な使用方法、使用時の注意点、保管方法等を患者等に対して十分に説明し、理解を得た上で使用を開始する。特に呼吸抑制、意識障害等の症状がみられた場合には速やかに主治医に連絡するよう指導する。また、本剤使用中に本剤が他者に付着しないよう患者等に指導する。
4.悪心・嘔吐、食欲不振、便秘等の消化器症状が高頻度に現れることがあるので、観察を十分に行い、悪心・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用、便秘に対する対策として緩下剤の併用を行うなど適切な処置を行う。また、鎮痛効果が得られている患者で通常とは異なる強い眠気がある場合には、過量投与の可能性を念頭において本剤の減量を考慮するなど、本剤投与時の副作用に十分注意する。
5.体重減少を来すことがあるので、本剤投与中、特に長期投与時には定期的に体重計測を実施するなど患者の状態を慎重に観察し、徴候が認められた場合には、適切な処置を行う。
6.本剤を増量する場合には、副作用に十分注意する。
7.連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与する。
また、乱用や誤用により過量投与や死亡に至る恐れがあるので、これらを防止するため観察を十分行う。
8.連用中における急激な減量は、退薬症候が現れることがあるので行わない。
9.重篤な副作用が発現した患者については、本剤剥離後のブプレノルフィンの血中動態を考慮し、本剤剥離から24時間後まで観察を継続する。
10.本剤貼付中に発熱又は激しい運動により体温が上昇した場合、本剤貼付部位の温度が上昇しブプレノルフィン吸収量が増加するため、過量投与になる恐れがあるので、患者の状態に注意する。また、本剤貼付後、貼付部位が電気パッド、電気毛布、加温ウォーターベッド、赤外線灯、集中的な日光浴、サウナ、湯たんぽ等の熱源に接しないようにする。本剤を貼付中に入浴する場合は、熱い温度での入浴は避けさせるようにする。
11.眠気、眩暈、ふらつきが起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意する。
12.鎮痛剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意する。
併用注意:
1.中枢神経抑制剤(フェノチアジン系薬剤、ベンゾジアゼピン系薬剤、バルビツール酸系薬剤等)、全身麻酔剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、オピオイド鎮痛剤、骨格筋弛緩剤、アルコール[呼吸抑制、低血圧、深い鎮静、又は昏睡が起こることがあるので、減量するなど慎重に投与する(相加的に中枢神経抑制作用が増強する)]。
2.CYP3A4誘導作用を有する薬剤(フェノバルビタール、カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン等)[本剤の作用が減弱する恐れがある(本剤の血中濃度を低下させる恐れがある)]。
(高齢者への投与)
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、減量するなど注意する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[他のブプレノルフィン製剤による妊娠中の大量投与により、新生児に禁断症状がみられたとの報告があり、動物実験(ラット皮下投与試験)で、死産仔数増加並びに出生仔体重増加抑制等が報告されている]。
2.授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせる[ヒト母乳中へ移行することが報告されている]。
(小児等への投与)
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない[使用経験がない]。
1.過量投与時の徴候・症状:呼吸抑制、鎮静、嗜眠、悪心、嘔吐、心血管虚脱、縮瞳等を起こすことがある。
2.過量投与時の処置:直ちに本剤を剥離し、呼吸抑制に対しては気道確保、補助呼吸及び呼吸調節により適切な呼吸管理を行い、なお、本剤による呼吸抑制には、人工呼吸又は呼吸促進剤(ドキサプラム塩酸塩水和物)が有効であるが、麻薬拮抗剤(ナロキソン塩酸塩、レバロルファン等)の効果は確実ではない(必要に応じて、補液、昇圧剤等の投与又は他の補助療法を行う)。
(適用上の注意)
1.交付時:
1).包装袋を開封せず交付する。
2).本剤の使用開始にあたっては、患者等に対して具体的な使用方法、使用時の注意点、保管方法等を患者向けの説明書を用いるなどの方法によって指導する(次記の2.貼付部位、3.貼付時、4.貼付期間中、5.保管方法の項参照)。
2.貼付部位:
1).本剤は前胸部、上背部、上腕外部又は側胸部以外に貼付しない(膝や腰部に貼付した場合、十分な血中濃度が得られない恐れがある)。
2).体毛のない部位に貼付することが望ましいが、体毛のある部位に貼付する場合は、創傷しないようにハサミを用いて除毛する(本剤の吸収に影響を及ぼすため、カミソリや除毛剤等は使用しない)。
3).貼付部位の皮膚を拭い、清潔にしてから本剤を貼付する(清潔にする場合には、本剤の吸収に影響を及ぼすため、石鹸、アルコール、ローション等は使用しない)。また、貼付部位の水分は十分に取り除く。
4).皮膚刺激を避けるため、毎回貼付部位を変える。血中濃度が上昇する恐れがあるため、同じ部位に貼付する場合は、3週間以上の間隔をあける。
5).活動性皮膚疾患や創傷面等がみられる部位は避けて貼付する。
3.貼付時:
1).本剤を使用するまでは包装袋を開封せず、開封後は速やかに貼付する。
2).包装袋は手で破り開封し、本剤を取り出す。
3).本剤をハサミ等で切って使用しない。また、傷ついた本剤は使用しない。
4).本剤を使用する際には、ライナーを剥がして使用する。
5).貼付後、約30秒間手のひらでしっかり押え、本剤の縁の部分が皮膚面に完全に接着するようにする。
4.貼付期間中:
1).本剤が他者に付着しないよう注意する(本剤の他者への付着に気付いたときは、直ちに剥離し、付着部位を水で洗い流し、異常が認められた場合には受診する)[海外において、オピオイド貼付剤を使用している患者と他者(特に小児)が同じ寝具で就寝するなど身体が接触した際に、誤って他者に付着し有害事象が発現したとの報告がある]。
2).本剤が皮膚から一部剥離した場合は、再度手で押しつけるか又は皮膚用テープ等で剥離部を固定するが、粘着力が弱くなった場合は、直ちに同用量の新たな本剤に貼り替えて7日間貼付し、その場合は現在の貼付部位とは異なる部位に貼付する。
3).使用済み製剤は粘着面を内側にして貼り合わせた後、安全に処分する。
5.保管方法:本剤を子供の手の届かない、高温にならない所に保管する。
MRI(核磁気共鳴画像法)による検査を実施する場合は前もって本剤を除去する[本剤の貼付部位に火傷を引き起こす恐れがある]。
遮光。
薬効分類 | 非麻薬性オピオイド系鎮痛薬 |
一般名 | ブプレノルフィン貼付剤 |
薬価 | 1579.1円 |
メーカー | ムンディファーマ |
最終更新 | 2016年01月改訂(第4版) |
前胸部、上背部、上腕外部又は側胸部に貼付し、7日毎に貼り替えて使用する。
初回貼付用量はブプレノルフィンとして5mgとし、その後の貼付用量は患者の症状に応じて適宜増減するが、20mgを超えない。
<用法及び用量に関連する使用上の注意>
1.初回貼付時:
1).初回貼付72時間後までブプレノルフィンの血中濃度が徐々に上昇するため、鎮痛効果が得られるまで時間を要するため、必要に応じて他の適切な治療の併用を考慮する。
2).他のオピオイド鎮痛剤から本剤へ切り替える場合には、切り替え前に使用していたオピオイド鎮痛剤の鎮痛効果の持続時間を考慮して、本剤の貼付を開始する。なお、高用量(経口モルヒネ換算量80mg/日超)のオピオイド鎮痛剤から切り替えた場合には、十分な鎮痛効果が得られない恐れがあるので、注意する。
2.貼付方法:血中濃度が上昇する恐れがあるので、毎回貼付部位を変え、同じ部位に貼付する場合は、3週間以上の間隔をあける。
3.増量:本剤貼付開始後は患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調節を行い、鎮痛効果が十分得られない場合は、ブプレノルフィンとして5〜10mgずつ貼り替え時に増量する。
4.減量:連用中における急激な減量は、退薬症候が現れることがあるので行わない(副作用等により減量する場合は、患者の状態を観察しながら慎重に行う)。
5.投与の継続:本剤貼付開始後4週間を経過してもなお期待する効果が得られない場合は、他の適切な治療への変更を検討し、また、定期的に症状及び効果を確認し、投与の継続の必要性について検討する。
6.投与の中止:
1).本剤の投与を必要としなくなった場合には、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量する。
2).本剤の投与を中止し他のオピオイド鎮痛剤に変更する場合は、本剤剥離後24時間以上の間隔をあける。また、ブプレノルフィンのμオピオイド受容体への親和性は他のオピオイド鎮痛剤より強いため、本剤の投与を中止し他のオピオイド鎮痛剤に切り替え直後には他のオピオイド鎮痛剤の鎮痛効果が十分に得られないことがあるので、注意する。
非オピオイド鎮痛剤で治療困難な次記疾患に伴う慢性疼痛における鎮痛:変形性関節症、腰痛症。
<効能又は効果に関連する使用上の注意>
1.本剤は、非オピオイド鎮痛剤の投与を含む保存的治療では十分な鎮痛効果が得られない患者で、かつオピオイド鎮痛剤の継続的な投与を必要とする日常生活動作障害を有する変形性関節症及び腰痛症に伴う慢性疼痛の管理にのみ使用する。
2.慢性疼痛の原因となる器質的病変、心理的・社会的要因、依存リスクを含めた包括的な診断を行い、本剤の投与の適否を慎重に判断する。
変形性関節症及び腰痛症に伴う慢性疼痛のある日本人患者を対象にした国内臨床試験において、803例中743例(92.5%)に副作用(臨床検査値異常を含む)がみられた。主なものは、悪心(62.5%)、嘔吐(35.7%)、便秘(33.7%)、傾眠(30.3%)、適用部位そう痒感(28.6%)、浮動性眩暈(18.9%)、適用部位紅斑(15.3%)、頭痛(11.8%)等であった(承認時までの集計)。
1.重大な副作用
1).呼吸抑制、呼吸困難(頻度不明):呼吸抑制、呼吸困難が現れる恐れがあるので、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。なお、本剤による呼吸抑制には、人工呼吸又は呼吸促進剤(ドキサプラム塩酸塩水和物)が有効であるが、麻薬拮抗薬(ナロキソン塩酸塩、レバロルファン等)の効果は確実ではない。
2).ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明):ショック、アナフィラキシー様症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行う。
3).依存性(頻度不明):長期の使用により薬物依存を生じることがあるので観察を十分に行い、慎重に投与する。長期使用後、急に投与を中止すると、不安、不眠、興奮、胸内苦悶、嘔気、振戦、発汗等の禁断症状が現れることがあるので、投与を中止する場合は徐々に減量することが望ましい。
2.その他の副作用
1).過敏症:(頻度不明)過敏症(口腔咽頭腫脹、舌腫脹等)。
2).血液:(1%以上〜10%未満)貧血、リンパ球数減少。
3).精神神経系:(10%以上)浮動性眩暈、頭痛、傾眠、(1%以上〜10%未満)不安、不眠症、(1%未満)不快気分、気分動揺、落ち着きのなさ、うつ病、神経過敏、リビドー減退、感覚鈍麻、味覚異常、蟻走感、振戦、片頭痛、(頻度不明)錯乱状態、感情不安定、激越、離人症、多幸気分、幻覚、悪夢、精神病性障害、離脱症候群、錯感覚、注意力障害、協調運動異常、構語障害、記憶障害、失神、痙攣、攻撃性。
4).感覚器:(1%以上〜10%未満)回転性眩暈、(1%未満)流涙増加、眼乾燥、頭位性回転性眩暈、耳鳴、(頻度不明)霧視、縮瞳。
5).循環器:(1%以上〜10%未満)動悸、ほてり、(1%未満)頻脈、高血圧、潮紅、徐脈、低血圧、(頻度不明)狭心症、血管拡張、起立性低血圧。
6).呼吸器:(1%以上〜10%未満)あくび、(1%未満)鼻漏、息詰まり、喘息増悪、(頻度不明)咳嗽、しゃっくり、過換気、低酸素症、鼻炎、喘鳴。
7).消化器:(10%以上)便秘、悪心、嘔吐、(1%以上〜10%未満)下痢、口内乾燥、胃不快感、上腹部痛、胃炎、(1%未満)腹痛、消化不良、口内炎、嚥下障害、(頻度不明)鼓腸、憩室炎、イレウス。
8).肝臓:(1%以上〜10%未満)肝機能異常、γ−GTP増加、(1%未満)AST増加(GOT増加)、ALT増加(GPT増加)、(頻度不明)胆道仙痛。
9).皮膚:(10%以上)適用部位紅斑、適用部位そう痒感、(1%以上〜10%未満)接触性皮膚炎、適用部位皮膚炎、適用部位湿疹、適用部位変色、適用部位小水疱、多汗症、(1%未満)皮膚そう痒症、発疹、全身性そう痒症、皮膚乾燥、蕁麻疹、適用部位刺激感、適用部位発疹、適用部位糜爛、(頻度不明)適用部位浮腫。
10).腎臓・泌尿器:(1%以上〜10%未満)排尿困難、(1%未満)尿閉、血中クレアチニン増加、BUN増加、(頻度不明)尿失禁、排尿躊躇。
11).臨床検査:(1%以上〜10%未満)血中尿酸増加、心電図QT延長、体重減少、(1%未満)LDH増加、血中トリグリセリド増加、尿沈渣陽性、血中ブドウ糖増加、尿中蛋白陽性。
12).その他:(10%以上)食欲減退、(1%以上〜10%未満)脱水、無力症、悪寒、異常感、倦怠感、末梢性浮腫、口渇、胸部不快感、(1%未満)転倒、性機能不全、高尿酸血症、背部痛、筋痙縮、筋肉痛、冷感、発熱、疼痛、顔面浮腫、(頻度不明)筋力低下、胸痛、インフルエンザ様疾患、浮腫。
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.重篤な呼吸抑制状態及び呼吸機能障害のある患者[呼吸抑制が増強される恐れがある]。
1.呼吸機能低下している患者[呼吸抑制が現れる恐れがある]。
2.QT延長を起こしやすい患者(不整脈の既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者、QT延長を起こすことが知られている薬剤投与中の患者等)[QT延長を起こす恐れがある]。
3.薬物依存・アルコール依存又はその既往歴のある患者[依存性を生じやすい]。
4.脳器質的障害のある患者[呼吸抑制や頭蓋内圧上昇を起こす恐れがある]。
5.ショック状態にある患者[循環不全や呼吸抑制を増強する恐れがある]。
6.肝機能障害・腎機能障害のある患者[作用が増強する恐れがある]。
7.麻薬依存患者[麻薬拮抗作用を有するため禁断症状を誘発する恐れがある]。
8.麻痺性イレウスの患者[消化管運動を抑制する]。
9.胆道疾患のある患者[オッディ括約筋収縮を起こす恐れがある]。
10.高熱のある患者[本剤からのブプレノルフィンの吸収量が増加し、血中濃度が上昇する恐れがある]。
(重要な基本的注意)
1.本剤を変形性関節症及び腰痛症に伴う慢性疼痛以外の管理に使用しない。
2.本剤は、変形性関節症及び腰痛症に伴う慢性疼痛治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ用いる。
3.本剤の使用開始にあたっては、主な副作用、具体的な使用方法、使用時の注意点、保管方法等を患者等に対して十分に説明し、理解を得た上で使用を開始する。特に呼吸抑制、意識障害等の症状がみられた場合には速やかに主治医に連絡するよう指導する。また、本剤使用中に本剤が他者に付着しないよう患者等に指導する。
4.悪心・嘔吐、食欲不振、便秘等の消化器症状が高頻度に現れることがあるので、観察を十分に行い、悪心・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用、便秘に対する対策として緩下剤の併用を行うなど適切な処置を行う。また、鎮痛効果が得られている患者で通常とは異なる強い眠気がある場合には、過量投与の可能性を念頭において本剤の減量を考慮するなど、本剤投与時の副作用に十分注意する。
5.体重減少を来すことがあるので、本剤投与中、特に長期投与時には定期的に体重計測を実施するなど患者の状態を慎重に観察し、徴候が認められた場合には、適切な処置を行う。
6.本剤を増量する場合には、副作用に十分注意する。
7.連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与する。
また、乱用や誤用により過量投与や死亡に至る恐れがあるので、これらを防止するため観察を十分行う。
8.連用中における急激な減量は、退薬症候が現れることがあるので行わない。
9.重篤な副作用が発現した患者については、本剤剥離後のブプレノルフィンの血中動態を考慮し、本剤剥離から24時間後まで観察を継続する。
10.本剤貼付中に発熱又は激しい運動により体温が上昇した場合、本剤貼付部位の温度が上昇しブプレノルフィン吸収量が増加するため、過量投与になる恐れがあるので、患者の状態に注意する。また、本剤貼付後、貼付部位が電気パッド、電気毛布、加温ウォーターベッド、赤外線灯、集中的な日光浴、サウナ、湯たんぽ等の熱源に接しないようにする。本剤を貼付中に入浴する場合は、熱い温度での入浴は避けさせるようにする。
11.眠気、眩暈、ふらつきが起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意する。
12.鎮痛剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意する。
併用注意:
1.中枢神経抑制剤(フェノチアジン系薬剤、ベンゾジアゼピン系薬剤、バルビツール酸系薬剤等)、全身麻酔剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、オピオイド鎮痛剤、骨格筋弛緩剤、アルコール[呼吸抑制、低血圧、深い鎮静、又は昏睡が起こることがあるので、減量するなど慎重に投与する(相加的に中枢神経抑制作用が増強する)]。
2.CYP3A4誘導作用を有する薬剤(フェノバルビタール、カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン等)[本剤の作用が減弱する恐れがある(本剤の血中濃度を低下させる恐れがある)]。
(高齢者への投与)
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、減量するなど注意する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[他のブプレノルフィン製剤による妊娠中の大量投与により、新生児に禁断症状がみられたとの報告があり、動物実験(ラット皮下投与試験)で、死産仔数増加並びに出生仔体重増加抑制等が報告されている]。
2.授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせる[ヒト母乳中へ移行することが報告されている]。
(小児等への投与)
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない[使用経験がない]。
1.過量投与時の徴候・症状:呼吸抑制、鎮静、嗜眠、悪心、嘔吐、心血管虚脱、縮瞳等を起こすことがある。
2.過量投与時の処置:直ちに本剤を剥離し、呼吸抑制に対しては気道確保、補助呼吸及び呼吸調節により適切な呼吸管理を行い、なお、本剤による呼吸抑制には、人工呼吸又は呼吸促進剤(ドキサプラム塩酸塩水和物)が有効であるが、麻薬拮抗剤(ナロキソン塩酸塩、レバロルファン等)の効果は確実ではない(必要に応じて、補液、昇圧剤等の投与又は他の補助療法を行う)。
(適用上の注意)
1.交付時:
1).包装袋を開封せず交付する。
2).本剤の使用開始にあたっては、患者等に対して具体的な使用方法、使用時の注意点、保管方法等を患者向けの説明書を用いるなどの方法によって指導する(次記の2.貼付部位、3.貼付時、4.貼付期間中、5.保管方法の項参照)。
2.貼付部位:
1).本剤は前胸部、上背部、上腕外部又は側胸部以外に貼付しない(膝や腰部に貼付した場合、十分な血中濃度が得られない恐れがある)。
2).体毛のない部位に貼付することが望ましいが、体毛のある部位に貼付する場合は、創傷しないようにハサミを用いて除毛する(本剤の吸収に影響を及ぼすため、カミソリや除毛剤等は使用しない)。
3).貼付部位の皮膚を拭い、清潔にしてから本剤を貼付する(清潔にする場合には、本剤の吸収に影響を及ぼすため、石鹸、アルコール、ローション等は使用しない)。また、貼付部位の水分は十分に取り除く。
4).皮膚刺激を避けるため、毎回貼付部位を変える。血中濃度が上昇する恐れがあるため、同じ部位に貼付する場合は、3週間以上の間隔をあける。
5).活動性皮膚疾患や創傷面等がみられる部位は避けて貼付する。
3.貼付時:
1).本剤を使用するまでは包装袋を開封せず、開封後は速やかに貼付する。
2).包装袋は手で破り開封し、本剤を取り出す。
3).本剤をハサミ等で切って使用しない。また、傷ついた本剤は使用しない。
4).本剤を使用する際には、ライナーを剥がして使用する。
5).貼付後、約30秒間手のひらでしっかり押え、本剤の縁の部分が皮膚面に完全に接着するようにする。
4.貼付期間中:
1).本剤が他者に付着しないよう注意する(本剤の他者への付着に気付いたときは、直ちに剥離し、付着部位を水で洗い流し、異常が認められた場合には受診する)[海外において、オピオイド貼付剤を使用している患者と他者(特に小児)が同じ寝具で就寝するなど身体が接触した際に、誤って他者に付着し有害事象が発現したとの報告がある]。
2).本剤が皮膚から一部剥離した場合は、再度手で押しつけるか又は皮膚用テープ等で剥離部を固定するが、粘着力が弱くなった場合は、直ちに同用量の新たな本剤に貼り替えて7日間貼付し、その場合は現在の貼付部位とは異なる部位に貼付する。
3).使用済み製剤は粘着面を内側にして貼り合わせた後、安全に処分する。
5.保管方法:本剤を子供の手の届かない、高温にならない所に保管する。
MRI(核磁気共鳴画像法)による検査を実施する場合は前もって本剤を除去する[本剤の貼付部位に火傷を引き起こす恐れがある]。
遮光。
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