薬剤情報
後発品
薬効分類血液凝固阻止薬 > ヘパリン剤
一般名エノキサパリンナトリウムキット
薬価895
メーカーサノフィ
最終更新2020年01月改訂(第1版)

用法・用量

通常、エノキサパリンナトリウムとして、1回2000IUを、原則として12時間毎に1日2回連日皮下注射する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 国内臨床試験において、15日間以上投与した場合の有効性及び安全性は検討されていない。

7.2. 原則として、術後24〜36時間に手術創等からの出血がないことを確認してから投与を開始すること。

7.3. 腎障害のある患者では本剤の血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがあるので、クレアチニンクリアランス30〜50mL/minの患者に投与する場合は、国内臨床試験成績も踏まえて、症例毎の血栓リスク及び出血リスクを勘案して適用を慎重に判断し、なお、出血の危険性が高いと考えられる場合には、投与間隔を延長することが望ましい(エノキサパリンナトリウムとして2000IUを1日1回投与する)〔2.4、9.2.2、16.6.1、17.1.5参照〕。

効能・効果

1). 次記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制:股関節全置換術、膝関節全置換術、股関節骨折手術。

2). 静脈血栓塞栓症の発症リスクの高い、腹部手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

〈静脈血栓塞栓症の発症リスクの高い、腹部手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制〉腹部手術のうち帝王切開術施行患者における有効性・安全性は確立していないため、これらの患者に投与する場合には、リスクとベネフィットを十分考慮すること(使用経験は少ない)。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)。

11.1.2. 血腫・出血:国内臨床試験において皮下出血(3.7%)、処置後出血(3.1%)、消化管出血(0.1%)等、海外で脊髄硬膜外血腫、後腹膜出血、頭蓋内出血(いずれも頻度不明)等の血腫・出血が報告されている。出血は、手術部位以外でも起こる可能性があり、致死的な場合もある〔2.2、8.3、8.5、9.1.1参照〕。

11.1.3. 血小板減少(0.3%):免疫機序を介した血小板減少症とそれに伴う動脈血栓により、梗塞又は四肢虚血が起こることがあるので、投与後は血小板数を測定し、著明な血小板数減少が認められた場合には、その後の投与を中止すること〔8.2参照〕。

11.1.4. 肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 精神神経系:(1%〜10%未満)頭痛、めまい、(1%未満)感覚減退、不眠。

2). 血液:(1%〜10%未満)血小板数増加、貧血、白血球数減少、白血球数増加、(頻度不明)好酸球数増加。

3). 過敏症:(1%〜10%未満)紅斑、そう痒症、(1%未満)発疹。

4). 消化器:(1%〜10%未満)便秘、(1%未満)下痢、悪心・嘔吐、消化不良、腹痛。

5). 筋・骨格系:(1%〜10%未満)四肢痛、(1%未満)背部痛。

6). 肝臓:(1%〜10%未満)ALT上昇、γ−GTP上昇、AST上昇、Al−P上昇、LDH上昇、(1%未満)肝機能異常、ビリルビン上昇。

7). 腎臓:(1%〜10%未満)血中尿素上昇。

8). 投与部位:(1%〜10%未満)疼痛・硬結・そう痒感・熱感、(頻度不明)中等度の刺激感、*皮膚壊死[*:浸潤及び疼痛を伴う紫斑あるいは紅斑を初期症状とし、主に注射部位にみられるが、他のヘパリン製剤でもみられるものであり、このような場合は直ちに投与を中止すること]。

9). その他:(1%〜10%未満)末梢性浮腫、発熱、熱感、血中カルシウム減少、(1%未満)血中カリウム減少、CRP上昇、創部分泌、動悸、胸痛、創合併症、末梢冷感、湿疹、トリグリセリド上昇、(頻度不明)水疱性皮疹、皮膚血管炎、血中カリウム上昇、脱毛症。

警告

脊椎・硬膜外麻酔との併用あるいは腰椎穿刺との併用等により、穿刺部位血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがあるので、併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと〔8.1.1−8.1.3参照〕。

禁忌

2.1. 本剤の成分又はヘパリン、ヘパリン誘導体(低分子量ヘパリン等)に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 出血している患者(頭蓋内出血、後腹膜出血又は他の重要器官における出血等)[出血が助長されるおそれがある]〔11.1.2参照〕。

2.3. 急性細菌性心内膜炎患者[血栓剥離に伴う血栓塞栓様症状を呈するおそれがある]。

2.4. 重度腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者〔7.3、9.2.1、16.6.1参照〕。

2.5. ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の既往歴のある患者[HITが起こるおそれがある]。

重要な基本的注意

8.1. 脊椎・硬膜外麻酔との併用等により、穿刺部位血腫が生じ、神経の圧迫による長期麻痺又は永続的麻痺等の神経障害があらわれるおそれがあるので、次の点に留意すること。

8.1.1. 脊椎・硬膜外麻酔との併用等の場合、出血のリスクを避けるために、カテーテルの挿入又は抜去は本剤の抗凝固作用が低下した時点で行うこと(本剤の初回投与開始2時間前までには、脊椎・硬膜外カテーテルを抜去しておくことが望ましい)、やむを得ず併用する場合には、本剤投与後10〜12時間経過した後にカテーテルを抜去すること(その後の本剤投与はカテーテル抜去後2時間以上経過した後行うこと)、また、やむを得ず新たにカテーテルを挿入する場合には、本剤投与後10〜12時間経過した後に行うこと(その後の本剤投与はカテーテル挿入後2時間以上経過した後行うこと)〔1.警告の項参照〕。

8.1.2. 次の場合では、神経障害のリスクがより高くなる〔1.警告の項、10.2参照〕。

・ 脊椎・硬膜外麻酔との併用等の場合、脊椎手術の既往又は脊柱変形のある患者では、神経障害のリスクがより高くなる。

・ 脊椎・硬膜外麻酔等との併用で術後のカテーテル留置の場合では、神経障害のリスクがより高くなる。

・ 脊椎・硬膜外麻酔との併用等の場合、止血に影響を及ぼす薬剤との併用(非ステロイド性消炎鎮痛剤等)の場合では、神経障害のリスクがより高くなる。

・ 脊椎・硬膜外麻酔等との併用で血管損傷を伴う針の刺入やカテーテルの挿入又は頻回の刺入の場合では、神経障害のリスクがより高くなる。

8.1.3. 脊椎・硬膜外麻酔等を併用する場合には、背部痛、感覚障害及び運動障害、膀胱直腸障害等の神経障害の徴候及び症状を十分に観察すること〔1.警告の項参照〕。

8.2. ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)を含む血小板減少のリスクがあるので、本剤投与開始前及び投与中は1週間に1回程度は臨床検査を実施するなど観察を十分に行うこと(なお、投与終了後も血小板数の減少のリスクが継続するおそれがある)〔11.1.3参照〕。

8.3. 出血等の副作用が生じることがあるので、必要に応じて血算(ヘモグロビン値及び血小板数)及び便潜血検査等の臨床検査を実施することが望ましい〔9.1.1、11.1.2参照〕。

8.4. 「高リスク」以上の泌尿器科手術施行患者及び「高リスク」以上の婦人科手術施行患者に対する使用経験が少ないため、これらの患者に投与する場合には、患者の状態を十分に観察すること。

8.5. 活性化凝固時間(ACT)、プロトロンビン時間(PT)及び活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)等の通常の凝固能検査は、本剤に対する感度が比較的低く、薬効をモニタリングする指標とはならないので、臨床症状を十分に観察し、出血等がみられた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔11.1.2、18.1.2参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 出血する可能性のある患者:止血障害、消化性潰瘍の既往のある患者、虚血性脳卒中発症後日の浅い患者、コントロール出来ない高血圧症、糖尿病性網膜症、脳手術後日の浅い・眼科手術後日の浅い患者、侵襲性処置を受けた患者、止血に影響を与える薬剤投与中の患者においては血管や臓器の障害箇所に出血が起こるおそれがある〔8.3、11.1.2参照〕。

9.1.2. 低体重の患者:相対的に血中濃度が上昇し、出血が起こるおそれがある。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重度腎障害患者:投与しないこと(血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある)〔2.4参照〕。

9.2.2. 軽度腎障害又は中等度腎障害患者:排泄が遅延し、血中濃度が上がることにより出血が起こるおそれがある〔7.3、16.6.1参照〕。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重篤な肝障害患者:凝固因子の産生が低下していることがあるので、出血が起こるおそれがある。

相互作用

10.2. 併用注意:

1). 抗凝固剤(ヘパリン、ワルファリン等)[出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること(両剤の抗凝固作用が相加的に増強される)]。

2). 血小板凝集抑制剤(チクロピジン塩酸塩、ジピリダモール等)、サリチル酸誘導体(アスピリン等)、デキストラン40[出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること(本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される)]。

3). 血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t−PA製剤等)[出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること(本剤の抗凝固作用とフィブリン溶解作用により相加的に出血傾向が増強される)]。

4). 非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソプロフェンナトリウム水和物、ジクロフェナクナトリウム等)〔8.1.2参照〕[出血傾向が増強するおそれがあるので、併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること(本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される)]。

高齢者

出血リスク増大のおそれがある(一般的に生理機能が低下している)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で35S−エノキサパリンナトリウムを投与したとき、微量の放射活性の乳汁中への移行が報告されている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

過量投与

13.1. 症状

本剤を過量投与した場合、出血性合併症を引き起こすおそれがある。

13.2. 処置

過量投与時、本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要のある場合には、プロタミン硫酸塩を投与する(プロタミン硫酸塩1mgは本剤の100IUの効果を抑制する)が、次を参考の上、プロタミン硫酸塩を投与し、プロタミン硫酸塩投与2〜4時間後に測定したaPTTが延長したままである場合、本剤100IUにつきプロタミン硫酸塩0.5mgの割合で2回目の投与ができる、なお、本剤の抗第10a因子活性は、高用量のプロタミン硫酸塩を投与しても、完全に中和されるわけではない(最大約60%)。

1). 過量投与時、本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要のある場合に本剤投与後8時間以内:プロタミン硫酸塩1mg/本剤100IUの割合で投与すること。

2). 過量投与時、本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要のある場合に本剤投与後8時間〜12時間:プロタミン硫酸塩0.5mg/本剤100IUの割合で投与すること。

3). 過量投与時、本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要のある場合に本剤投与後12時間以上:プロタミン硫酸塩の投与は必要ないと考えられる。

4). 過量投与時、本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要のある場合で追加の中和が必要な場合:プロタミン硫酸塩0.5mg/本剤100IUの割合で投与すること。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤投与時の注意

14.1.1. 腹部に皮下投与するが、同一部位に繰り返し注射することは避けることが望ましい。

14.1.2. 薬剤の損失を防ぐために注射前にシリンジから気泡を抜かないこと。

14.1.3. 親指と人差し指で軽く皮膚をつまみ、針の全長を皮下組織へ垂直に刺し、注射が完了するまで皮膚を離さないこと。

14.2. 薬剤投与後の注意

14.2.1. 注射後、投与部位をもまないこと。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. 類薬との互換性:本剤は未分画ヘパリンや他の低分子量ヘパリンと製造工程、分子量の分布が異なり、同一単位(抗第10a因子活性)でも他のヘパリン類とは互換性がないため、本剤の用法及び用量に従うこと。

15.1.2. 海外で適応外であるが人工心臓弁置換患者に血栓予防の目的で本剤を投与した症例において、人工心臓弁に血栓を生じたとの報告がある。適応外であるが人工心臓弁置換患者の妊婦に血栓予防の目的で本剤を投与した症例のうち、生じた血栓により母親死亡及び胎児死亡が報告されているが、この報告例には、海外臨床試験で本剤を1回100IU/kg、1日2回投与した時の死亡例を含む(人工心臓弁置換妊婦は、血栓塞栓症のリスクがより高い可能性がある)。

15.1.3. 本剤投与中に可逆性のトランスアミナーゼ上昇が報告されている。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

保険給付上の注意、その他上記以外の使用上の注意

(参考)

[『肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン(第1版)』による各領域の静脈血栓塞栓症のリスクの階層化(抜粋)]

1). リスクレベルが低リスク:

①. 一般外科・泌尿器科:60歳未満の非大手術。40歳未満の大手術。

②. 婦人科:30分以内の小手術。

③. 産科:正常分娩。

④. 整形外科:上肢の手術。

2). リスクレベルが中リスク:

①. 一般外科・泌尿器科:60歳以上、あるいは危険因子のある非大手術。40歳以上、あるいは危険因子がある大手術。

②. 婦人科:良性疾患手術(開腹、経膣、腹腔鏡)。悪性疾患で良性疾患に準じる手術。ホルモン療法中の患者に対する手術。

③. 産科:帝王切開術(高リスク以外)。

④. 整形外科:脊椎手術。骨盤・下肢手術(股関節全置換術、膝関節全置換術、股関節骨折手術を除く)。

3). リスクレベルが高リスク:

①. 一般外科・泌尿器科:40歳以上の癌の大手術。

②. 婦人科:骨盤内悪性腫瘍根治術。静脈血栓塞栓症の既往あるいは血栓性素因のある良性疾患手術。

③. 産科:高齢肥満妊婦の帝王切開術。静脈血栓塞栓症の既往あるいは血栓性素因のある経膣分娩。

④. 整形外科:股関節全置換術。膝関節全置換術。股関節骨折手術。

4). リスクレベルが最高リスク:

①. 一般外科・泌尿器科:静脈血栓塞栓症の既往あるいは血栓性素因のある大手術。

②. 婦人科:静脈血栓塞栓症の既往あるいは血栓性素因のある大手術。

③. 産科:静脈血栓塞栓症の既往あるいは血栓性素因のある帝王切開術。

④. 整形外科:「高」リスクの手術を受ける患者に、静脈血栓塞栓症の既往、血栓性素因が存在する場合。

総合的なリスクレベルは、予防の対象となる疾患や手術・処置や疾患のリスクに、付加的な危険因子を加味して決定される。例えば、強い付加的な危険因子を持つ場合にはリスクレベルを上げる必要があり、弱い付加的な危険因子の場合でも複数個重なればリスクレベルを上げることを考慮する。

リスクを高める付加的な危険因子:血栓性素因、静脈血栓塞栓症の既往、悪性疾患、癌化学療法、重症感染症、中心静脈カテーテル留置、長期臥床、下肢麻痺、下肢ギプス包帯固定、ホルモン療法、肥満、下肢静脈瘤など(血栓性素因:先天性素因としてアンチトロンビン欠損症、プロテインC欠損症、プロテインS欠損症など、後天性素因としては抗リン脂質抗体症候群などを示す)。

大手術の厳密な定義はないが、すべての腹部手術あるいはその他の45分以上要する手術を大手術の基本とし、麻酔法、出血量、輸血量、手術時間などを参考として総合的に評価する。

クレキサン皮下注キット2000IU
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2020年01月改訂(第1版)
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一般名エノキサパリンナトリウムキット
薬価895
メーカーサノフィ
最終更新2020年01月改訂(第1版)

用法・用量

通常、エノキサパリンナトリウムとして、1回2000IUを、原則として12時間毎に1日2回連日皮下注射する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 国内臨床試験において、15日間以上投与した場合の有効性及び安全性は検討されていない。

7.2. 原則として、術後24〜36時間に手術創等からの出血がないことを確認してから投与を開始すること。

7.3. 腎障害のある患者では本剤の血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがあるので、クレアチニンクリアランス30〜50mL/minの患者に投与する場合は、国内臨床試験成績も踏まえて、症例毎の血栓リスク及び出血リスクを勘案して適用を慎重に判断し、なお、出血の危険性が高いと考えられる場合には、投与間隔を延長することが望ましい(エノキサパリンナトリウムとして2000IUを1日1回投与する)〔2.4、9.2.2、16.6.1、17.1.5参照〕。

効能・効果

1). 次記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制:股関節全置換術、膝関節全置換術、股関節骨折手術。

2). 静脈血栓塞栓症の発症リスクの高い、腹部手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

〈静脈血栓塞栓症の発症リスクの高い、腹部手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制〉腹部手術のうち帝王切開術施行患者における有効性・安全性は確立していないため、これらの患者に投与する場合には、リスクとベネフィットを十分考慮すること(使用経験は少ない)。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)。

11.1.2. 血腫・出血:国内臨床試験において皮下出血(3.7%)、処置後出血(3.1%)、消化管出血(0.1%)等、海外で脊髄硬膜外血腫、後腹膜出血、頭蓋内出血(いずれも頻度不明)等の血腫・出血が報告されている。出血は、手術部位以外でも起こる可能性があり、致死的な場合もある〔2.2、8.3、8.5、9.1.1参照〕。

11.1.3. 血小板減少(0.3%):免疫機序を介した血小板減少症とそれに伴う動脈血栓により、梗塞又は四肢虚血が起こることがあるので、投与後は血小板数を測定し、著明な血小板数減少が認められた場合には、その後の投与を中止すること〔8.2参照〕。

11.1.4. 肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 精神神経系:(1%〜10%未満)頭痛、めまい、(1%未満)感覚減退、不眠。

2). 血液:(1%〜10%未満)血小板数増加、貧血、白血球数減少、白血球数増加、(頻度不明)好酸球数増加。

3). 過敏症:(1%〜10%未満)紅斑、そう痒症、(1%未満)発疹。

4). 消化器:(1%〜10%未満)便秘、(1%未満)下痢、悪心・嘔吐、消化不良、腹痛。

5). 筋・骨格系:(1%〜10%未満)四肢痛、(1%未満)背部痛。

6). 肝臓:(1%〜10%未満)ALT上昇、γ−GTP上昇、AST上昇、Al−P上昇、LDH上昇、(1%未満)肝機能異常、ビリルビン上昇。

7). 腎臓:(1%〜10%未満)血中尿素上昇。

8). 投与部位:(1%〜10%未満)疼痛・硬結・そう痒感・熱感、(頻度不明)中等度の刺激感、*皮膚壊死[*:浸潤及び疼痛を伴う紫斑あるいは紅斑を初期症状とし、主に注射部位にみられるが、他のヘパリン製剤でもみられるものであり、このような場合は直ちに投与を中止すること]。

9). その他:(1%〜10%未満)末梢性浮腫、発熱、熱感、血中カルシウム減少、(1%未満)血中カリウム減少、CRP上昇、創部分泌、動悸、胸痛、創合併症、末梢冷感、湿疹、トリグリセリド上昇、(頻度不明)水疱性皮疹、皮膚血管炎、血中カリウム上昇、脱毛症。

警告

脊椎・硬膜外麻酔との併用あるいは腰椎穿刺との併用等により、穿刺部位血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがあるので、併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと〔8.1.1−8.1.3参照〕。

禁忌

2.1. 本剤の成分又はヘパリン、ヘパリン誘導体(低分子量ヘパリン等)に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 出血している患者(頭蓋内出血、後腹膜出血又は他の重要器官における出血等)[出血が助長されるおそれがある]〔11.1.2参照〕。

2.3. 急性細菌性心内膜炎患者[血栓剥離に伴う血栓塞栓様症状を呈するおそれがある]。

2.4. 重度腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者〔7.3、9.2.1、16.6.1参照〕。

2.5. ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の既往歴のある患者[HITが起こるおそれがある]。

重要な基本的注意

8.1. 脊椎・硬膜外麻酔との併用等により、穿刺部位血腫が生じ、神経の圧迫による長期麻痺又は永続的麻痺等の神経障害があらわれるおそれがあるので、次の点に留意すること。

8.1.1. 脊椎・硬膜外麻酔との併用等の場合、出血のリスクを避けるために、カテーテルの挿入又は抜去は本剤の抗凝固作用が低下した時点で行うこと(本剤の初回投与開始2時間前までには、脊椎・硬膜外カテーテルを抜去しておくことが望ましい)、やむを得ず併用する場合には、本剤投与後10〜12時間経過した後にカテーテルを抜去すること(その後の本剤投与はカテーテル抜去後2時間以上経過した後行うこと)、また、やむを得ず新たにカテーテルを挿入する場合には、本剤投与後10〜12時間経過した後に行うこと(その後の本剤投与はカテーテル挿入後2時間以上経過した後行うこと)〔1.警告の項参照〕。

8.1.2. 次の場合では、神経障害のリスクがより高くなる〔1.警告の項、10.2参照〕。

・ 脊椎・硬膜外麻酔との併用等の場合、脊椎手術の既往又は脊柱変形のある患者では、神経障害のリスクがより高くなる。

・ 脊椎・硬膜外麻酔等との併用で術後のカテーテル留置の場合では、神経障害のリスクがより高くなる。

・ 脊椎・硬膜外麻酔との併用等の場合、止血に影響を及ぼす薬剤との併用(非ステロイド性消炎鎮痛剤等)の場合では、神経障害のリスクがより高くなる。

・ 脊椎・硬膜外麻酔等との併用で血管損傷を伴う針の刺入やカテーテルの挿入又は頻回の刺入の場合では、神経障害のリスクがより高くなる。

8.1.3. 脊椎・硬膜外麻酔等を併用する場合には、背部痛、感覚障害及び運動障害、膀胱直腸障害等の神経障害の徴候及び症状を十分に観察すること〔1.警告の項参照〕。

8.2. ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)を含む血小板減少のリスクがあるので、本剤投与開始前及び投与中は1週間に1回程度は臨床検査を実施するなど観察を十分に行うこと(なお、投与終了後も血小板数の減少のリスクが継続するおそれがある)〔11.1.3参照〕。

8.3. 出血等の副作用が生じることがあるので、必要に応じて血算(ヘモグロビン値及び血小板数)及び便潜血検査等の臨床検査を実施することが望ましい〔9.1.1、11.1.2参照〕。

8.4. 「高リスク」以上の泌尿器科手術施行患者及び「高リスク」以上の婦人科手術施行患者に対する使用経験が少ないため、これらの患者に投与する場合には、患者の状態を十分に観察すること。

8.5. 活性化凝固時間(ACT)、プロトロンビン時間(PT)及び活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)等の通常の凝固能検査は、本剤に対する感度が比較的低く、薬効をモニタリングする指標とはならないので、臨床症状を十分に観察し、出血等がみられた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔11.1.2、18.1.2参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 出血する可能性のある患者:止血障害、消化性潰瘍の既往のある患者、虚血性脳卒中発症後日の浅い患者、コントロール出来ない高血圧症、糖尿病性網膜症、脳手術後日の浅い・眼科手術後日の浅い患者、侵襲性処置を受けた患者、止血に影響を与える薬剤投与中の患者においては血管や臓器の障害箇所に出血が起こるおそれがある〔8.3、11.1.2参照〕。

9.1.2. 低体重の患者:相対的に血中濃度が上昇し、出血が起こるおそれがある。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重度腎障害患者:投与しないこと(血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある)〔2.4参照〕。

9.2.2. 軽度腎障害又は中等度腎障害患者:排泄が遅延し、血中濃度が上がることにより出血が起こるおそれがある〔7.3、16.6.1参照〕。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重篤な肝障害患者:凝固因子の産生が低下していることがあるので、出血が起こるおそれがある。

相互作用

10.2. 併用注意:

1). 抗凝固剤(ヘパリン、ワルファリン等)[出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること(両剤の抗凝固作用が相加的に増強される)]。

2). 血小板凝集抑制剤(チクロピジン塩酸塩、ジピリダモール等)、サリチル酸誘導体(アスピリン等)、デキストラン40[出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること(本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される)]。

3). 血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t−PA製剤等)[出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること(本剤の抗凝固作用とフィブリン溶解作用により相加的に出血傾向が増強される)]。

4). 非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソプロフェンナトリウム水和物、ジクロフェナクナトリウム等)〔8.1.2参照〕[出血傾向が増強するおそれがあるので、併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること(本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される)]。

高齢者

出血リスク増大のおそれがある(一般的に生理機能が低下している)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で35S−エノキサパリンナトリウムを投与したとき、微量の放射活性の乳汁中への移行が報告されている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

過量投与

13.1. 症状

本剤を過量投与した場合、出血性合併症を引き起こすおそれがある。

13.2. 処置

過量投与時、本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要のある場合には、プロタミン硫酸塩を投与する(プロタミン硫酸塩1mgは本剤の100IUの効果を抑制する)が、次を参考の上、プロタミン硫酸塩を投与し、プロタミン硫酸塩投与2〜4時間後に測定したaPTTが延長したままである場合、本剤100IUにつきプロタミン硫酸塩0.5mgの割合で2回目の投与ができる、なお、本剤の抗第10a因子活性は、高用量のプロタミン硫酸塩を投与しても、完全に中和されるわけではない(最大約60%)。

1). 過量投与時、本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要のある場合に本剤投与後8時間以内:プロタミン硫酸塩1mg/本剤100IUの割合で投与すること。

2). 過量投与時、本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要のある場合に本剤投与後8時間〜12時間:プロタミン硫酸塩0.5mg/本剤100IUの割合で投与すること。

3). 過量投与時、本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要のある場合に本剤投与後12時間以上:プロタミン硫酸塩の投与は必要ないと考えられる。

4). 過量投与時、本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要のある場合で追加の中和が必要な場合:プロタミン硫酸塩0.5mg/本剤100IUの割合で投与すること。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤投与時の注意

14.1.1. 腹部に皮下投与するが、同一部位に繰り返し注射することは避けることが望ましい。

14.1.2. 薬剤の損失を防ぐために注射前にシリンジから気泡を抜かないこと。

14.1.3. 親指と人差し指で軽く皮膚をつまみ、針の全長を皮下組織へ垂直に刺し、注射が完了するまで皮膚を離さないこと。

14.2. 薬剤投与後の注意

14.2.1. 注射後、投与部位をもまないこと。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. 類薬との互換性:本剤は未分画ヘパリンや他の低分子量ヘパリンと製造工程、分子量の分布が異なり、同一単位(抗第10a因子活性)でも他のヘパリン類とは互換性がないため、本剤の用法及び用量に従うこと。

15.1.2. 海外で適応外であるが人工心臓弁置換患者に血栓予防の目的で本剤を投与した症例において、人工心臓弁に血栓を生じたとの報告がある。適応外であるが人工心臓弁置換患者の妊婦に血栓予防の目的で本剤を投与した症例のうち、生じた血栓により母親死亡及び胎児死亡が報告されているが、この報告例には、海外臨床試験で本剤を1回100IU/kg、1日2回投与した時の死亡例を含む(人工心臓弁置換妊婦は、血栓塞栓症のリスクがより高い可能性がある)。

15.1.3. 本剤投与中に可逆性のトランスアミナーゼ上昇が報告されている。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

保険給付上の注意、その他上記以外の使用上の注意

(参考)

[『肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン(第1版)』による各領域の静脈血栓塞栓症のリスクの階層化(抜粋)]

1). リスクレベルが低リスク:

①. 一般外科・泌尿器科:60歳未満の非大手術。40歳未満の大手術。

②. 婦人科:30分以内の小手術。

③. 産科:正常分娩。

④. 整形外科:上肢の手術。

2). リスクレベルが中リスク:

①. 一般外科・泌尿器科:60歳以上、あるいは危険因子のある非大手術。40歳以上、あるいは危険因子がある大手術。

②. 婦人科:良性疾患手術(開腹、経膣、腹腔鏡)。悪性疾患で良性疾患に準じる手術。ホルモン療法中の患者に対する手術。

③. 産科:帝王切開術(高リスク以外)。

④. 整形外科:脊椎手術。骨盤・下肢手術(股関節全置換術、膝関節全置換術、股関節骨折手術を除く)。

3). リスクレベルが高リスク:

①. 一般外科・泌尿器科:40歳以上の癌の大手術。

②. 婦人科:骨盤内悪性腫瘍根治術。静脈血栓塞栓症の既往あるいは血栓性素因のある良性疾患手術。

③. 産科:高齢肥満妊婦の帝王切開術。静脈血栓塞栓症の既往あるいは血栓性素因のある経膣分娩。

④. 整形外科:股関節全置換術。膝関節全置換術。股関節骨折手術。

4). リスクレベルが最高リスク:

①. 一般外科・泌尿器科:静脈血栓塞栓症の既往あるいは血栓性素因のある大手術。

②. 婦人科:静脈血栓塞栓症の既往あるいは血栓性素因のある大手術。

③. 産科:静脈血栓塞栓症の既往あるいは血栓性素因のある帝王切開術。

④. 整形外科:「高」リスクの手術を受ける患者に、静脈血栓塞栓症の既往、血栓性素因が存在する場合。

総合的なリスクレベルは、予防の対象となる疾患や手術・処置や疾患のリスクに、付加的な危険因子を加味して決定される。例えば、強い付加的な危険因子を持つ場合にはリスクレベルを上げる必要があり、弱い付加的な危険因子の場合でも複数個重なればリスクレベルを上げることを考慮する。

リスクを高める付加的な危険因子:血栓性素因、静脈血栓塞栓症の既往、悪性疾患、癌化学療法、重症感染症、中心静脈カテーテル留置、長期臥床、下肢麻痺、下肢ギプス包帯固定、ホルモン療法、肥満、下肢静脈瘤など(血栓性素因:先天性素因としてアンチトロンビン欠損症、プロテインC欠損症、プロテインS欠損症など、後天性素因としては抗リン脂質抗体症候群などを示す)。

大手術の厳密な定義はないが、すべての腹部手術あるいはその他の45分以上要する手術を大手術の基本とし、麻酔法、出血量、輸血量、手術時間などを参考として総合的に評価する。

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