薬剤情報
後発品
薬効分類卵胞ホルモン
一般名エストラジオールゲル
薬価20.2
メーカー富士製薬
最終更新
2022年03月改訂(第4版)
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用法・用量

〈更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)〉

通常、成人に対しル・エストロジェル2プッシュ(1.8g、エストラジオールとして1.08mg含有)を1日1回、両腕の手首から肩までの広い範囲に塗擦する。なお、症状に応じて、適宜減量する。減量する場合は、ル・エストロジェル1プッシュ(0.9g、エストラジオールとして0.54mg含有)を1日1回、両腕の手首から肩までの広い範囲に塗擦する。

〈生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整〉

通常、ル・エストロジェル1又は2プッシュ(0.9又は1.8g、エストラジオールとして0.54又は1.08mg含有)を1日1回、21〜28日間、両腕の手首から肩までの広い範囲に塗擦し、投与期間の後半に黄体ホルモン剤を併用する。

〈凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期〉

通常、ル・エストロジェル2〜10プッシュ(1.8〜9.0g、エストラジオールとして1.08〜5.40mg含有)を1日1回、両腕の手首から肩、腹部、大腿部及び腰部の広い範囲に塗擦し、子宮内膜の十分な肥厚が得られた時点で、黄体ホルモン剤の併用を開始して、妊娠8週まで本剤の投与を継続する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

〈凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期〉本剤の妊娠成立後の投与期間は、本剤投与より予想されるリスクと患者の状態を考慮して慎重に判断し、漫然と投与を継続せず、最長妊娠10週を超えないこと。

効能・効果

1). 更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)。

2). 生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整。

3). 凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

〈生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整、凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期〉妊娠率や生産率の報告を踏まえると、本剤を含む卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤の併用で調節卵巣刺激の開始時期の調整を行った場合は、開始時期の調整を行わない場合と比べて、妊娠率や生産率が低下する可能性があること、又はホルモン補充周期で凍結融解胚移植を行った場合は、自然排卵周期で凍結融解胚移植を行った場合と比べて、妊娠率や生産率が低下する可能性があることを患者に説明した上で、本剤の投与の要否は、患者ごとに治療上の必要性及び危険性を考慮して慎重に判断すること〔15.1.11、15.1.12参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. アナフィラキシー(頻度不明)。

11.1.2. 静脈血栓塞栓症、血栓性静脈炎(いずれも頻度不明):下肢疼痛・下肢浮腫、胸痛、突然の息切れ、急性視力障害等の初期症状が認められた場合には使用を中止し、適切な処置を行うこと〔2.4、8.1、9.1.7参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 生殖器:(1%以上)腟分泌物(18.3%)、性器出血、陰部そう痒症、骨盤痛、(1%未満)消退出血、不正子宮出血、外性器痛、外陰部炎、外陰腟不快感、子宮内膜生検異常、子宮筋腫、子宮頚管ポリープ、(頻度不明)腟乾燥、陰部そう痒症、子宮内膜症<再燃>。

2). 乳房:(1%以上)乳房不快感(13.2%)、乳房痛、乳頭痛、(1%未満)乳房嚢胞。

3). 皮膚投与部位:(1%以上)皮膚そう痒感、紅斑、湿疹、(1%未満)皮膚色素沈着変化、皮膚乾燥、皮膚刺激感。

4). 皮膚全身:(1%未満)湿疹、紅斑、皮膚色素沈着障害、皮膚そう痒症、ざ瘡、(頻度不明)じん麻疹。

5). 精神神経系:(1%以上)めまい、頭痛、(1%未満)しびれ感、抑うつ気分、睡眠障害、傾眠、(頻度不明)易刺激性、片頭痛。

6). 循環器:(1%未満)動悸、高血圧。

7). 消化器:(1%以上)膨満感、(1%未満)食欲不振、悪心、下痢、腹痛、逆流性食道炎、(頻度不明)嘔吐、排便痛。

8). 肝臓:(1%未満)肝機能異常(AST増加、ALT増加、ALP増加)。

9). 血液:(1%未満)白血球数減少、貧血(赤血球数減少、ヘモグロビン量減少、ヘマトクリット値低下)。

10). 骨・筋肉:(1%未満)背部痛、四肢痛、筋骨格硬直、関節炎、(頻度不明)四肢重感。

11). その他:(1%以上)血中トリグリセリド増加、浮腫、(1%未満)疲労、潮紅、血中Ca減少、アンチトロンビン3減少、耳鳴、耳不快感、鼻出血、血中フィブリノゲン増加、(頻度不明)コンタクトレンズ不耐性、鼻咽頭炎、過換気。

禁忌

2.1. 〈効能共通〉エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある]〔8.5参照〕。

2.2. 〈効能共通〉乳癌の既往歴のある患者[乳癌が再発するおそれがある]〔8.5参照〕。

2.3. 〈効能共通〉未治療の子宮内膜増殖症のある患者[子宮内膜増殖症は細胞異型を伴う場合がある]〔8.5参照〕。

2.4. 〈効能共通〉血栓性静脈炎や肺塞栓症のある患者、又はその既往歴のある患者[卵胞ホルモン剤は凝固因子を増加させ、血栓形成傾向を促進するとの報告がある]〔11.1.2参照〕。

2.5. 〈効能共通〉動脈性血栓塞栓疾患(例えば、冠動脈性心疾患、脳卒中)又はその既往歴のある患者〔15.1.4、15.1.5参照〕。

2.6. 〈効能共通〉本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.7. 〈効能共通〉授乳婦〔9.6授乳婦の項参照〕。

2.8. 〈効能共通〉重篤な肝障害のある患者〔9.3.1参照〕。

2.9. 〈効能共通〉診断の確定していない異常性器出血のある患者[出血が子宮内膜癌による場合は、癌の悪化あるいは顕性化を促すことがある]〔8.5参照〕。

2.10. 〈効能共通〉ポルフィリン症で急性発作の既往歴のある患者[症状を悪化させるおそれがある]。

2.11. 〈更年期障害に伴う血管運動神経症状〉妊婦又は妊娠している可能性及び〈卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状〉妊婦又は妊娠している可能性(Hot flush及び発汗)、〈生殖補助医療の調節卵巣刺激の開始時期の調整〉妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5.1参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 〈効能共通〉静脈血栓塞栓症、血栓性静脈炎があらわれることがあるので、患者に対しては、異常が認められた場合には直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明すること〔9.1.7、11.1.2参照〕。

8.2. 〈効能共通〉本剤投与後の血清中エストラジオール濃度の個人間及び個人内変動は大きく、過度に上昇する場合があり、定期的に血清中エストラジオール及びFSHを測定すること。

8.3. 〈効能共通〉血清中エストラジオール濃度が過度に上昇していると判断された場合、副作用の発現に留意し、本剤の投与中止等の適切な対応をとること。

8.4. 〈更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)〉外国において、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を長期併用した女性では、乳癌になる危険性が対照群の女性と比較して高くなり、その危険性は併用期間が長期になるに従って高くなるとの報告があるので、本剤の使用にあたっては、患者に対し本剤のリスクとベネフィットについて十分な説明を行うとともに必要最小限の使用にとどめ、漫然と長期投与を行わないこと〔15.1.3、15.1.9参照〕。

8.5. 〈更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)〉更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状の場合、使用前に病歴、家族素因等の問診、乳房検診並びに婦人科検診(子宮を有する患者においては子宮内膜細胞診及び超音波検査による子宮内膜厚の測定を含む)を行い、使用開始後は定期的に乳房検診並びに婦人科検診を行うこと〔2.1−2.3、2.9、9.1.1−9.1.3参照〕。

8.6. 〈生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整、凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期〉本剤は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用すること。生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整、凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期の場合、本剤投与により予想されるリスク及び注意すべき症状について、あらかじめ患者に説明を行うこと。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 子宮筋腫のある患者:子宮筋腫の発育を促進するおそれがある〔8.5参照〕。

9.1.2. 子宮内膜症のある患者:症状が増悪するおそれがある〔8.5参照〕。

9.1.3. 乳癌家族素因が強い患者、又は乳房結節、乳腺症を有する患者、乳房レントゲン像に異常がみられた患者:定期的に乳房検診を行うなど慎重に使用すること(卵胞ホルモン剤投与と乳癌発生との因果関係については未だ明らかではないが、使用期間と相関性があることを示唆する疫学調査の結果が報告されており、また、動物実験において乳腺腺腫が認められている)〔8.5参照〕。

9.1.4. 高血圧、心疾患、又はその既往歴のある患者:卵胞ホルモン剤の過量投与では体液貯留をきたし、これらの疾患を悪化させるおそれがある。

9.1.5. 糖尿病患者:十分管理を行いながら使用すること(耐糖能を低下させるおそれがある)。

9.1.6. 片頭痛、てんかんのある患者:観察を十分に行うこと(症状を悪化させることがある)。

9.1.7. 術前又は長期臥床状態の患者:血液凝固能が亢進され、心血管系の副作用の危険性が高くなることがある〔8.1、11.1.2参照〕。

9.1.8. 全身性エリテマトーデスの患者:症状を悪化させるおそれがある。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 腎疾患のある患者又はその既往歴のある患者:卵胞ホルモン剤の過量投与では体液貯留をきたし、これらの疾患を悪化させるおそれがある。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重篤な肝障害のある患者:使用しないこと(代謝能が低下しており肝臓への負担が増加するため、症状が増悪することがある)〔2.8参照〕。

9.3.2. 肝障害<重篤な肝障害を除く>のある患者:定期的に肝機能検査を実施するなど観察を十分に行うこと(肝障害を悪化させるおそれがある)。

相互作用

本剤は主に薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)で代謝されるので、CYP3A4酵素の活性に影響を及ぼす薬剤と併用する場合には、注意して使用すること。

10.2. 併用注意:

1). リファンピシン、抗てんかん剤(フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン)、HIV逆転写酵素阻害剤(エファビレンツ)、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)、ステロイドホルモン[本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがある(これらの薬剤等は薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)を誘導することにより、本剤の代謝を促進し、血中濃度を低下させる可能性がある)]。

2). プロテアーゼ阻害剤(リトナビル、ネルフィナビル等)[本剤の血中濃度が変化するおそれがある(これらの薬剤は薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)を誘導又は阻害する可能性がある)]。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に使用すること(一般に生理機能が低下している)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

9.5.1. 〈更年期障害に伴う血管運動神経症状〉妊婦又は妊娠している可能性及び〈卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状〉妊婦又は妊娠している可能性(Hot flush及び発汗)、〈生殖補助医療の調節卵巣刺激の開始時期の調整〉妊婦又は妊娠している可能性のある女性には使用しないこと〔2.11参照〕。

9.5.2. 〈効能共通〉卵胞ホルモン剤であるジエチルスチルベストロールを妊娠動物(マウス)又は妊婦に投与したとき、出生児に生殖器系臓器異常が報告されている(エストラジオールのヒトにおける催奇形性の報告はないが、妊娠動物(ラット)への投与によって仔の生殖器系臓器異常が起こることが報告されており、ヒトにおいて、妊娠中の女性ホルモン剤(経口避妊薬等)投与によって児の先天性異常(先天性心臓奇形及び四肢欠損症)のリスク増加の報告がある)。

9.5.3. 〈効能共通〉卵胞ホルモン剤を妊娠動物(マウス)に投与した場合、仔の成長後腟上皮の癌性変化及び仔の成長後子宮内膜の癌性変化を示唆する結果が報告されている。また、新生仔(マウス)に投与した場合、仔の成長後腟上皮の癌性変化を認めたとの報告がある。

(授乳婦)

使用しないこと(ヒトにおいて、母乳中への移行が報告されており、また、動物実験(マウス)で新生仔に卵胞ホルモン剤を投与した場合、仔の成長後腟上皮の癌性変化を認めたとの報告がある)〔2.7参照〕。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

14.1.1. 塗布部位

(1). 顔面、乳房、外陰部及び粘膜には塗布しないこと。

(2). 創傷面又は湿疹・皮膚炎<重度の乾燥や日焼けなどによる皮膚炎も含む>等がみられる部位は避けて塗布すること。

(3). 投与後1時間以内の投与部位の洗浄は十分な血中濃度が得られない可能性がある。また、投与直後にアルコールを多量に含む化粧品等の使用は避けること。

(4). 投与後は手を洗うこと。また、投与直後は投与部位を他人に触れさせないこと。

14.1.2. 塗布時

(1). 初めて使用するときには、本剤が出るまでポンプを数回押してから使用すること。

(2). 本剤はアルコールを含有するため、投与後は十分換気を行い、ゲルが乾燥するまでは火気及び喫煙を避けること。

(取扱い上の注意)

20.1. 火気を避けて保管すること。

20.2. 小児の手の届かないところに保管すること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. ホルモン補充療法(HRT)と子宮内膜癌の危険性:卵胞ホルモン剤を長期間(約1年以上)使用した閉経期以降の女性では、子宮内膜癌になる危険性が対照群の女性と比較して高く、この危険性は、使用期間に相関して上昇し(1〜5年間で2.8倍、10年以上で9.5倍)、黄体ホルモン剤の併用により抑えられる(対照群の女性と比較して0.8倍)との疫学調査の結果が報告されている。

15.1.2. 更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状に対する黄体ホルモン剤の併用投与については、次のいずれかの方法で行うことが望ましい。

(1). 持続的投与方式

本剤の投与期間中、黄体ホルモン剤を1日1回連日併用投与する。

(2). 周期的投与方式

黄体ホルモン剤を併用して毎月12〜14日間投与する。

15.1.3. HRTと乳癌の危険性

(1). 米国における閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験(Women’s Health Initiative(WHI)試験)の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、乳癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.24)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、乳癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意差はない(ハザード比:0.80)との報告がある〔8.4参照〕。

(2). 英国における疫学調査(Million Women Study(MWS))の結果、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を併用している女性では、乳癌になる危険性が対照群と比較して有意に高くなり(2.00倍)、この危険性は、併用期間が長期になるに従って高くなる(1年未満:1.45倍、1〜4年:1.74倍、5〜9年:2.17倍、10年以上:2.31倍)との報告がある〔8.4参照〕。

15.1.4. HRTと冠動脈性心疾患の危険性:米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ投与群と比較して高い傾向にあり、特に服用開始1年後では有意に高くなる(ハザード比:1.81)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ投与群と比較して有意差はない(ハザード比:0.91)との報告がある〔2.5参照〕。

15.1.5. HRTと脳卒中の危険性:米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.31)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.37)との報告がある〔2.5参照〕。

15.1.6. HRTと認知症の危険性:米国における65歳以上の閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験(WHI Memory Study(WHIMS))の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、アルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:2.05)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、アルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ投与群と比較して有意ではないが、高い傾向がみられた(ハザード比:1.49)との報告がある。

15.1.7. HRTと卵巣癌の危険性

(1). 卵胞ホルモン剤を長期間使用した閉経期以降の女性では、卵巣癌になる危険性が対照群の女性と比較して高くなるとの疫学調査の結果が報告されている。

(2). 米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群において、卵巣癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意ではないが、高い傾向がみられた(ハザード比:1.58)との報告がある。

15.1.8. HRTと胆嚢疾患の危険性:米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群において、胆嚢疾患になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.59)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、胆嚢疾患になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.67)との報告がある。

15.1.9. 卵胞ホルモン剤投与と乳癌発生との因果関係については未だ明らかではないが、使用期間と相関性があることを示唆する疫学調査の結果が報告されている〔8.4参照〕。

15.1.10. 卵胞ホルモン剤の長期投与により、ヒトで肝腫瘍が発生したとの報告がある。

15.1.11. 調節卵巣刺激の前周期に低用量卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤を投与した場合の生産率及び継続妊娠率は、投与しなかった場合と比較して低かったとの報告がある〔5.効能又は効果に関連する注意の項参照〕。

15.1.12. ホルモン補充周期での凍結融解胚移植は自然排卵周期での凍結融解胚移植と比較して妊娠率及び生産率が低く、流産率が高かったとの報告がある〔5.効能又は効果に関連する注意の項参照〕。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

実験動物に卵胞ホルモン剤を皮下投与(埋め込み投与を含む)したとき、マウスにおけるリンパ系腫瘍、ラットの下垂体腺腫及びハムスターにおいては腎腫瘍の発生が報告されている。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

ル・エストロジェル0.06%
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卵胞ホルモン
2022年03月改訂(第4版)
薬剤情報
後発品
薬効分類卵胞ホルモン
一般名エストラジオールゲル
薬価20.2
メーカー富士製薬
最終更新
2022年03月改訂(第4版)
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用法・用量

〈更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)〉

通常、成人に対しル・エストロジェル2プッシュ(1.8g、エストラジオールとして1.08mg含有)を1日1回、両腕の手首から肩までの広い範囲に塗擦する。なお、症状に応じて、適宜減量する。減量する場合は、ル・エストロジェル1プッシュ(0.9g、エストラジオールとして0.54mg含有)を1日1回、両腕の手首から肩までの広い範囲に塗擦する。

〈生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整〉

通常、ル・エストロジェル1又は2プッシュ(0.9又は1.8g、エストラジオールとして0.54又は1.08mg含有)を1日1回、21〜28日間、両腕の手首から肩までの広い範囲に塗擦し、投与期間の後半に黄体ホルモン剤を併用する。

〈凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期〉

通常、ル・エストロジェル2〜10プッシュ(1.8〜9.0g、エストラジオールとして1.08〜5.40mg含有)を1日1回、両腕の手首から肩、腹部、大腿部及び腰部の広い範囲に塗擦し、子宮内膜の十分な肥厚が得られた時点で、黄体ホルモン剤の併用を開始して、妊娠8週まで本剤の投与を継続する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

〈凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期〉本剤の妊娠成立後の投与期間は、本剤投与より予想されるリスクと患者の状態を考慮して慎重に判断し、漫然と投与を継続せず、最長妊娠10週を超えないこと。

効能・効果

1). 更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)。

2). 生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整。

3). 凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

〈生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整、凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期〉妊娠率や生産率の報告を踏まえると、本剤を含む卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤の併用で調節卵巣刺激の開始時期の調整を行った場合は、開始時期の調整を行わない場合と比べて、妊娠率や生産率が低下する可能性があること、又はホルモン補充周期で凍結融解胚移植を行った場合は、自然排卵周期で凍結融解胚移植を行った場合と比べて、妊娠率や生産率が低下する可能性があることを患者に説明した上で、本剤の投与の要否は、患者ごとに治療上の必要性及び危険性を考慮して慎重に判断すること〔15.1.11、15.1.12参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. アナフィラキシー(頻度不明)。

11.1.2. 静脈血栓塞栓症、血栓性静脈炎(いずれも頻度不明):下肢疼痛・下肢浮腫、胸痛、突然の息切れ、急性視力障害等の初期症状が認められた場合には使用を中止し、適切な処置を行うこと〔2.4、8.1、9.1.7参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 生殖器:(1%以上)腟分泌物(18.3%)、性器出血、陰部そう痒症、骨盤痛、(1%未満)消退出血、不正子宮出血、外性器痛、外陰部炎、外陰腟不快感、子宮内膜生検異常、子宮筋腫、子宮頚管ポリープ、(頻度不明)腟乾燥、陰部そう痒症、子宮内膜症<再燃>。

2). 乳房:(1%以上)乳房不快感(13.2%)、乳房痛、乳頭痛、(1%未満)乳房嚢胞。

3). 皮膚投与部位:(1%以上)皮膚そう痒感、紅斑、湿疹、(1%未満)皮膚色素沈着変化、皮膚乾燥、皮膚刺激感。

4). 皮膚全身:(1%未満)湿疹、紅斑、皮膚色素沈着障害、皮膚そう痒症、ざ瘡、(頻度不明)じん麻疹。

5). 精神神経系:(1%以上)めまい、頭痛、(1%未満)しびれ感、抑うつ気分、睡眠障害、傾眠、(頻度不明)易刺激性、片頭痛。

6). 循環器:(1%未満)動悸、高血圧。

7). 消化器:(1%以上)膨満感、(1%未満)食欲不振、悪心、下痢、腹痛、逆流性食道炎、(頻度不明)嘔吐、排便痛。

8). 肝臓:(1%未満)肝機能異常(AST増加、ALT増加、ALP増加)。

9). 血液:(1%未満)白血球数減少、貧血(赤血球数減少、ヘモグロビン量減少、ヘマトクリット値低下)。

10). 骨・筋肉:(1%未満)背部痛、四肢痛、筋骨格硬直、関節炎、(頻度不明)四肢重感。

11). その他:(1%以上)血中トリグリセリド増加、浮腫、(1%未満)疲労、潮紅、血中Ca減少、アンチトロンビン3減少、耳鳴、耳不快感、鼻出血、血中フィブリノゲン増加、(頻度不明)コンタクトレンズ不耐性、鼻咽頭炎、過換気。

禁忌

2.1. 〈効能共通〉エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある]〔8.5参照〕。

2.2. 〈効能共通〉乳癌の既往歴のある患者[乳癌が再発するおそれがある]〔8.5参照〕。

2.3. 〈効能共通〉未治療の子宮内膜増殖症のある患者[子宮内膜増殖症は細胞異型を伴う場合がある]〔8.5参照〕。

2.4. 〈効能共通〉血栓性静脈炎や肺塞栓症のある患者、又はその既往歴のある患者[卵胞ホルモン剤は凝固因子を増加させ、血栓形成傾向を促進するとの報告がある]〔11.1.2参照〕。

2.5. 〈効能共通〉動脈性血栓塞栓疾患(例えば、冠動脈性心疾患、脳卒中)又はその既往歴のある患者〔15.1.4、15.1.5参照〕。

2.6. 〈効能共通〉本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.7. 〈効能共通〉授乳婦〔9.6授乳婦の項参照〕。

2.8. 〈効能共通〉重篤な肝障害のある患者〔9.3.1参照〕。

2.9. 〈効能共通〉診断の確定していない異常性器出血のある患者[出血が子宮内膜癌による場合は、癌の悪化あるいは顕性化を促すことがある]〔8.5参照〕。

2.10. 〈効能共通〉ポルフィリン症で急性発作の既往歴のある患者[症状を悪化させるおそれがある]。

2.11. 〈更年期障害に伴う血管運動神経症状〉妊婦又は妊娠している可能性及び〈卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状〉妊婦又は妊娠している可能性(Hot flush及び発汗)、〈生殖補助医療の調節卵巣刺激の開始時期の調整〉妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5.1参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 〈効能共通〉静脈血栓塞栓症、血栓性静脈炎があらわれることがあるので、患者に対しては、異常が認められた場合には直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明すること〔9.1.7、11.1.2参照〕。

8.2. 〈効能共通〉本剤投与後の血清中エストラジオール濃度の個人間及び個人内変動は大きく、過度に上昇する場合があり、定期的に血清中エストラジオール及びFSHを測定すること。

8.3. 〈効能共通〉血清中エストラジオール濃度が過度に上昇していると判断された場合、副作用の発現に留意し、本剤の投与中止等の適切な対応をとること。

8.4. 〈更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)〉外国において、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を長期併用した女性では、乳癌になる危険性が対照群の女性と比較して高くなり、その危険性は併用期間が長期になるに従って高くなるとの報告があるので、本剤の使用にあたっては、患者に対し本剤のリスクとベネフィットについて十分な説明を行うとともに必要最小限の使用にとどめ、漫然と長期投与を行わないこと〔15.1.3、15.1.9参照〕。

8.5. 〈更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)〉更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状の場合、使用前に病歴、家族素因等の問診、乳房検診並びに婦人科検診(子宮を有する患者においては子宮内膜細胞診及び超音波検査による子宮内膜厚の測定を含む)を行い、使用開始後は定期的に乳房検診並びに婦人科検診を行うこと〔2.1−2.3、2.9、9.1.1−9.1.3参照〕。

8.6. 〈生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整、凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期〉本剤は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用すること。生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整、凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期の場合、本剤投与により予想されるリスク及び注意すべき症状について、あらかじめ患者に説明を行うこと。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 子宮筋腫のある患者:子宮筋腫の発育を促進するおそれがある〔8.5参照〕。

9.1.2. 子宮内膜症のある患者:症状が増悪するおそれがある〔8.5参照〕。

9.1.3. 乳癌家族素因が強い患者、又は乳房結節、乳腺症を有する患者、乳房レントゲン像に異常がみられた患者:定期的に乳房検診を行うなど慎重に使用すること(卵胞ホルモン剤投与と乳癌発生との因果関係については未だ明らかではないが、使用期間と相関性があることを示唆する疫学調査の結果が報告されており、また、動物実験において乳腺腺腫が認められている)〔8.5参照〕。

9.1.4. 高血圧、心疾患、又はその既往歴のある患者:卵胞ホルモン剤の過量投与では体液貯留をきたし、これらの疾患を悪化させるおそれがある。

9.1.5. 糖尿病患者:十分管理を行いながら使用すること(耐糖能を低下させるおそれがある)。

9.1.6. 片頭痛、てんかんのある患者:観察を十分に行うこと(症状を悪化させることがある)。

9.1.7. 術前又は長期臥床状態の患者:血液凝固能が亢進され、心血管系の副作用の危険性が高くなることがある〔8.1、11.1.2参照〕。

9.1.8. 全身性エリテマトーデスの患者:症状を悪化させるおそれがある。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 腎疾患のある患者又はその既往歴のある患者:卵胞ホルモン剤の過量投与では体液貯留をきたし、これらの疾患を悪化させるおそれがある。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重篤な肝障害のある患者:使用しないこと(代謝能が低下しており肝臓への負担が増加するため、症状が増悪することがある)〔2.8参照〕。

9.3.2. 肝障害<重篤な肝障害を除く>のある患者:定期的に肝機能検査を実施するなど観察を十分に行うこと(肝障害を悪化させるおそれがある)。

相互作用

本剤は主に薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)で代謝されるので、CYP3A4酵素の活性に影響を及ぼす薬剤と併用する場合には、注意して使用すること。

10.2. 併用注意:

1). リファンピシン、抗てんかん剤(フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン)、HIV逆転写酵素阻害剤(エファビレンツ)、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)、ステロイドホルモン[本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがある(これらの薬剤等は薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)を誘導することにより、本剤の代謝を促進し、血中濃度を低下させる可能性がある)]。

2). プロテアーゼ阻害剤(リトナビル、ネルフィナビル等)[本剤の血中濃度が変化するおそれがある(これらの薬剤は薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)を誘導又は阻害する可能性がある)]。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に使用すること(一般に生理機能が低下している)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

9.5.1. 〈更年期障害に伴う血管運動神経症状〉妊婦又は妊娠している可能性及び〈卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状〉妊婦又は妊娠している可能性(Hot flush及び発汗)、〈生殖補助医療の調節卵巣刺激の開始時期の調整〉妊婦又は妊娠している可能性のある女性には使用しないこと〔2.11参照〕。

9.5.2. 〈効能共通〉卵胞ホルモン剤であるジエチルスチルベストロールを妊娠動物(マウス)又は妊婦に投与したとき、出生児に生殖器系臓器異常が報告されている(エストラジオールのヒトにおける催奇形性の報告はないが、妊娠動物(ラット)への投与によって仔の生殖器系臓器異常が起こることが報告されており、ヒトにおいて、妊娠中の女性ホルモン剤(経口避妊薬等)投与によって児の先天性異常(先天性心臓奇形及び四肢欠損症)のリスク増加の報告がある)。

9.5.3. 〈効能共通〉卵胞ホルモン剤を妊娠動物(マウス)に投与した場合、仔の成長後腟上皮の癌性変化及び仔の成長後子宮内膜の癌性変化を示唆する結果が報告されている。また、新生仔(マウス)に投与した場合、仔の成長後腟上皮の癌性変化を認めたとの報告がある。

(授乳婦)

使用しないこと(ヒトにおいて、母乳中への移行が報告されており、また、動物実験(マウス)で新生仔に卵胞ホルモン剤を投与した場合、仔の成長後腟上皮の癌性変化を認めたとの報告がある)〔2.7参照〕。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

14.1.1. 塗布部位

(1). 顔面、乳房、外陰部及び粘膜には塗布しないこと。

(2). 創傷面又は湿疹・皮膚炎<重度の乾燥や日焼けなどによる皮膚炎も含む>等がみられる部位は避けて塗布すること。

(3). 投与後1時間以内の投与部位の洗浄は十分な血中濃度が得られない可能性がある。また、投与直後にアルコールを多量に含む化粧品等の使用は避けること。

(4). 投与後は手を洗うこと。また、投与直後は投与部位を他人に触れさせないこと。

14.1.2. 塗布時

(1). 初めて使用するときには、本剤が出るまでポンプを数回押してから使用すること。

(2). 本剤はアルコールを含有するため、投与後は十分換気を行い、ゲルが乾燥するまでは火気及び喫煙を避けること。

(取扱い上の注意)

20.1. 火気を避けて保管すること。

20.2. 小児の手の届かないところに保管すること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. ホルモン補充療法(HRT)と子宮内膜癌の危険性:卵胞ホルモン剤を長期間(約1年以上)使用した閉経期以降の女性では、子宮内膜癌になる危険性が対照群の女性と比較して高く、この危険性は、使用期間に相関して上昇し(1〜5年間で2.8倍、10年以上で9.5倍)、黄体ホルモン剤の併用により抑えられる(対照群の女性と比較して0.8倍)との疫学調査の結果が報告されている。

15.1.2. 更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状に対する黄体ホルモン剤の併用投与については、次のいずれかの方法で行うことが望ましい。

(1). 持続的投与方式

本剤の投与期間中、黄体ホルモン剤を1日1回連日併用投与する。

(2). 周期的投与方式

黄体ホルモン剤を併用して毎月12〜14日間投与する。

15.1.3. HRTと乳癌の危険性

(1). 米国における閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験(Women’s Health Initiative(WHI)試験)の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、乳癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.24)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、乳癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意差はない(ハザード比:0.80)との報告がある〔8.4参照〕。

(2). 英国における疫学調査(Million Women Study(MWS))の結果、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を併用している女性では、乳癌になる危険性が対照群と比較して有意に高くなり(2.00倍)、この危険性は、併用期間が長期になるに従って高くなる(1年未満:1.45倍、1〜4年:1.74倍、5〜9年:2.17倍、10年以上:2.31倍)との報告がある〔8.4参照〕。

15.1.4. HRTと冠動脈性心疾患の危険性:米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ投与群と比較して高い傾向にあり、特に服用開始1年後では有意に高くなる(ハザード比:1.81)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ投与群と比較して有意差はない(ハザード比:0.91)との報告がある〔2.5参照〕。

15.1.5. HRTと脳卒中の危険性:米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.31)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.37)との報告がある〔2.5参照〕。

15.1.6. HRTと認知症の危険性:米国における65歳以上の閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験(WHI Memory Study(WHIMS))の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、アルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:2.05)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、アルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ投与群と比較して有意ではないが、高い傾向がみられた(ハザード比:1.49)との報告がある。

15.1.7. HRTと卵巣癌の危険性

(1). 卵胞ホルモン剤を長期間使用した閉経期以降の女性では、卵巣癌になる危険性が対照群の女性と比較して高くなるとの疫学調査の結果が報告されている。

(2). 米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群において、卵巣癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意ではないが、高い傾向がみられた(ハザード比:1.58)との報告がある。

15.1.8. HRTと胆嚢疾患の危険性:米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群において、胆嚢疾患になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.59)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、胆嚢疾患になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.67)との報告がある。

15.1.9. 卵胞ホルモン剤投与と乳癌発生との因果関係については未だ明らかではないが、使用期間と相関性があることを示唆する疫学調査の結果が報告されている〔8.4参照〕。

15.1.10. 卵胞ホルモン剤の長期投与により、ヒトで肝腫瘍が発生したとの報告がある。

15.1.11. 調節卵巣刺激の前周期に低用量卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤を投与した場合の生産率及び継続妊娠率は、投与しなかった場合と比較して低かったとの報告がある〔5.効能又は効果に関連する注意の項参照〕。

15.1.12. ホルモン補充周期での凍結融解胚移植は自然排卵周期での凍結融解胚移植と比較して妊娠率及び生産率が低く、流産率が高かったとの報告がある〔5.効能又は効果に関連する注意の項参照〕。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

実験動物に卵胞ホルモン剤を皮下投与(埋め込み投与を含む)したとき、マウスにおけるリンパ系腫瘍、ラットの下垂体腺腫及びハムスターにおいては腎腫瘍の発生が報告されている。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

後発品はありません
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