薬剤情報
後発品
薬効分類三環系抗うつ薬
一般名ロフェプラミン塩酸塩錠
薬価5.9
メーカー第一三共
最終更新
2023年12月改訂(第1版)
添付文書のPDFはこちら

用法・用量

ロフェプラミンとして、通常成人初期用量1回10〜25mgを1日2〜3回経口投与し、1日150mgまで漸増する。なお、年齢・症状により適宜減量する。

効能・効果

うつ病・うつ状態。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること〔8.2−8.5、9.1.5、9.1.8、15.1.1参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. Syndrome malin(悪性症候群)(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)。

11.1.2. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることが報告されているので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 循環器:(5%未満)動悸、頻脈、血圧低下。

2). 精神神経系:(5%以上)めまい、ふらつき、眠気、(5%未満)不眠、振戦、倦怠感、頭痛・頭重、焦燥、興奮、知覚異常、身体異常感、しびれ感、運動失調、構音障害、せん妄、病的体験、(頻度不明)口周囲不随意運動、パーキンソン様症状。

3). 抗コリン作用:(5%以上)口渇(15.8%)、便秘、(5%未満)排尿困難、視調節障害、鼻閉、(頻度不明)尿閉。

4). 過敏症:(5%未満)発疹。

5). 肝臓:(5%未満)黄疸、(頻度不明)AST上昇、ALT上昇、ALP上昇。

6). 消化器:(5%未満)食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、口内苦味感。

7). その他:(5%未満)発汗、熱感、浮腫。

禁忌

2.1. 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。

2.2. 三環系抗うつ剤に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.3. 心筋梗塞の回復初期の患者[頻脈等があらわれることがあり、症状が悪化するおそれがある]。

2.4. モノアミン酸化酵素阻害剤投与中(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)及びモノアミン酸化酵素阻害剤投与中止後2週間以内の患者〔10.1参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 眠気、運動失調等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

8.2. うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.3−8.5、9.1.5、9.1.8、15.1.1参照〕。

8.3. 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪、軽躁増悪、躁病増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2、8.4、8.5、9.1.5−9.1.8、15.1.1参照〕。

8.4. 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2、8.3、8.5、9.1.5、9.1.8、15.1.1参照〕。

8.5. 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.4、9.1.5−9.1.8、15.1.1参照〕。

8.6. 投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、易刺激性、情動不安、睡眠障害等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 開放隅角緑内障の患者:抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。

9.1.2. 排尿困難又は眼内圧亢進等のある患者:抗コリン作用により、症状が悪化することがある。

9.1.3. 心不全・心筋梗塞<回復初期を除く>・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患<心筋梗塞の回復初期を除く>のある患者又は甲状腺機能亢進症の患者:動悸、頻脈等循環器系に影響を及ぼすことがある。

9.1.4. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣を起こすことがある。

9.1.5. 躁うつ病患者:躁転、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.8、15.1.1参照〕。

9.1.6. 脳器質障害又は統合失調症素因のある患者:精神症状を増悪させることがある〔8.3、8.5、9.1.7参照〕。

9.1.7. 衝動性が高い併存障害を有する患者:精神症状を増悪させることがある〔8.3、8.5、9.1.6参照〕。

9.1.8. 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.5、15.1.1参照〕。

9.1.9. 低血圧の患者:高度の血圧低下があらわれるおそれがある。

9.1.10. 高度慢性便秘のある患者:抗コリン作用により、症状が悪化するおそれがある。

(腎機能障害患者)

重度腎機能障害のある患者では、排泄障害により副作用があらわれるおそれがある。

(肝機能障害患者)

重度肝機能障害のある患者では、代謝障害により副作用があらわれるおそれがある。

相互作用

10.1. 併用禁忌:

モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>、サフィナミドメシル酸塩<エクフィナ>)〔2.4参照〕[発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれることがあるので、モノアミン酸化酵素阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また本剤からモノアミン酸化酵素阻害剤に切りかえる場合には、2〜3日間の間隔をおくことが望ましい(モノアミン酸化酵素阻害剤がカテコールアミンの代謝を阻害し、血中濃度を上昇させ、また本剤がアドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを阻害し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させると考えられている)]。

10.2. 併用注意:

1). 抗コリン作動薬(アトロピン、スコポラミン等)[霧視、便秘、眠気、散瞳、口内乾燥等があらわれることがある(相互に抗コリン作用を増強すると考えられている)]。

2). アドレナリン作動薬(アドレナリン等)[過度の交感神経興奮刺激が起こり血圧の異常上昇・不整脈等があらわれることがある(本剤がアドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを阻害し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させると考えられている)]。

3). 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)[眠気・脱力感・倦怠感・ふらつき等の副作用が増強されることがある(相互に鎮静作用等の中枢神経抑制作用を増強すると考えられている)]。

4). フェノチアジン系抗精神病薬(クロルプロマジン等)[類似化合物<イミプラミン>で作用が増強するとの報告がある(相互に代謝を阻害し、各々の血中濃度が上昇すると考えられている)]。

5). 全身麻酔剤、抗不安剤、アルコール[本剤の作用が増強されるおそれがある(相互に中枢神経抑制作用を増強すると考えられている)]。

6). キニジン、メチルフェニデート、黄体・卵胞ホルモン製剤、シメチジン[類似化合物<イミプラミン>で作用が増強するとの報告がある(これらの薬剤によりイミプラミンの肝代謝が阻害され、血中濃度が上昇すると考えられている)]。

7). 肝代謝酵素誘導作用を持つ薬剤(バルビツール酸誘導体、リファンピシン等)[本剤の作用が減弱されるおそれがある(肝薬物代謝酵素誘導作用により、本剤の代謝が促進され、血中濃度が低下すると考えられている)]。

8). フェニトイン[類似化合物<イミプラミン>でフェニトイン中毒症状<運動失調等>があらわれるとの報告がある(イミプラミンがフェニトインの肝代謝を阻害し、血中濃度が上昇すると考えられている)]。

9). スルファメトキサゾール・トリメトプリム[類似化合物<イミプラミン等>で抑うつが再発又は悪化するとの報告がある(機序は明らかでないが、イミプラミンの代謝が促進、又はスルファメトキサゾール・トリメトプリムがイミプラミンとレセプター部位で拮抗すると考えられている)]。

高齢者

少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等があらわれやすい)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(三環系抗うつ剤(イミプラミン)の動物実験で催奇形作用が報告されている)。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. 海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.5、9.1.8参照〕。

15.1.2. 主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

動物実験(ラット)における大量投与で水晶体の縫合線の明瞭化及び角膜の小空胞化が認められたとの報告がある。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

アンプリット錠10mg
後発品はありません
アンプリット錠10mg
アンプリット錠10mg

アンプリット錠10mg

三環系抗うつ薬
2023年12月改訂(第1版)
薬剤情報
後発品
薬効分類三環系抗うつ薬
一般名ロフェプラミン塩酸塩錠
薬価5.9
メーカー第一三共
最終更新
2023年12月改訂(第1版)
添付文書のPDFはこちら

用法・用量

ロフェプラミンとして、通常成人初期用量1回10〜25mgを1日2〜3回経口投与し、1日150mgまで漸増する。なお、年齢・症状により適宜減量する。

効能・効果

うつ病・うつ状態。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること〔8.2−8.5、9.1.5、9.1.8、15.1.1参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. Syndrome malin(悪性症候群)(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)。

11.1.2. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることが報告されているので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 循環器:(5%未満)動悸、頻脈、血圧低下。

2). 精神神経系:(5%以上)めまい、ふらつき、眠気、(5%未満)不眠、振戦、倦怠感、頭痛・頭重、焦燥、興奮、知覚異常、身体異常感、しびれ感、運動失調、構音障害、せん妄、病的体験、(頻度不明)口周囲不随意運動、パーキンソン様症状。

3). 抗コリン作用:(5%以上)口渇(15.8%)、便秘、(5%未満)排尿困難、視調節障害、鼻閉、(頻度不明)尿閉。

4). 過敏症:(5%未満)発疹。

5). 肝臓:(5%未満)黄疸、(頻度不明)AST上昇、ALT上昇、ALP上昇。

6). 消化器:(5%未満)食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、口内苦味感。

7). その他:(5%未満)発汗、熱感、浮腫。

禁忌

2.1. 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。

2.2. 三環系抗うつ剤に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.3. 心筋梗塞の回復初期の患者[頻脈等があらわれることがあり、症状が悪化するおそれがある]。

2.4. モノアミン酸化酵素阻害剤投与中(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)及びモノアミン酸化酵素阻害剤投与中止後2週間以内の患者〔10.1参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 眠気、運動失調等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

8.2. うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.3−8.5、9.1.5、9.1.8、15.1.1参照〕。

8.3. 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪、軽躁増悪、躁病増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2、8.4、8.5、9.1.5−9.1.8、15.1.1参照〕。

8.4. 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2、8.3、8.5、9.1.5、9.1.8、15.1.1参照〕。

8.5. 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.4、9.1.5−9.1.8、15.1.1参照〕。

8.6. 投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、易刺激性、情動不安、睡眠障害等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 開放隅角緑内障の患者:抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。

9.1.2. 排尿困難又は眼内圧亢進等のある患者:抗コリン作用により、症状が悪化することがある。

9.1.3. 心不全・心筋梗塞<回復初期を除く>・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患<心筋梗塞の回復初期を除く>のある患者又は甲状腺機能亢進症の患者:動悸、頻脈等循環器系に影響を及ぼすことがある。

9.1.4. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣を起こすことがある。

9.1.5. 躁うつ病患者:躁転、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.8、15.1.1参照〕。

9.1.6. 脳器質障害又は統合失調症素因のある患者:精神症状を増悪させることがある〔8.3、8.5、9.1.7参照〕。

9.1.7. 衝動性が高い併存障害を有する患者:精神症状を増悪させることがある〔8.3、8.5、9.1.6参照〕。

9.1.8. 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.5、15.1.1参照〕。

9.1.9. 低血圧の患者:高度の血圧低下があらわれるおそれがある。

9.1.10. 高度慢性便秘のある患者:抗コリン作用により、症状が悪化するおそれがある。

(腎機能障害患者)

重度腎機能障害のある患者では、排泄障害により副作用があらわれるおそれがある。

(肝機能障害患者)

重度肝機能障害のある患者では、代謝障害により副作用があらわれるおそれがある。

相互作用

10.1. 併用禁忌:

モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>、サフィナミドメシル酸塩<エクフィナ>)〔2.4参照〕[発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれることがあるので、モノアミン酸化酵素阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また本剤からモノアミン酸化酵素阻害剤に切りかえる場合には、2〜3日間の間隔をおくことが望ましい(モノアミン酸化酵素阻害剤がカテコールアミンの代謝を阻害し、血中濃度を上昇させ、また本剤がアドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを阻害し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させると考えられている)]。

10.2. 併用注意:

1). 抗コリン作動薬(アトロピン、スコポラミン等)[霧視、便秘、眠気、散瞳、口内乾燥等があらわれることがある(相互に抗コリン作用を増強すると考えられている)]。

2). アドレナリン作動薬(アドレナリン等)[過度の交感神経興奮刺激が起こり血圧の異常上昇・不整脈等があらわれることがある(本剤がアドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを阻害し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させると考えられている)]。

3). 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)[眠気・脱力感・倦怠感・ふらつき等の副作用が増強されることがある(相互に鎮静作用等の中枢神経抑制作用を増強すると考えられている)]。

4). フェノチアジン系抗精神病薬(クロルプロマジン等)[類似化合物<イミプラミン>で作用が増強するとの報告がある(相互に代謝を阻害し、各々の血中濃度が上昇すると考えられている)]。

5). 全身麻酔剤、抗不安剤、アルコール[本剤の作用が増強されるおそれがある(相互に中枢神経抑制作用を増強すると考えられている)]。

6). キニジン、メチルフェニデート、黄体・卵胞ホルモン製剤、シメチジン[類似化合物<イミプラミン>で作用が増強するとの報告がある(これらの薬剤によりイミプラミンの肝代謝が阻害され、血中濃度が上昇すると考えられている)]。

7). 肝代謝酵素誘導作用を持つ薬剤(バルビツール酸誘導体、リファンピシン等)[本剤の作用が減弱されるおそれがある(肝薬物代謝酵素誘導作用により、本剤の代謝が促進され、血中濃度が低下すると考えられている)]。

8). フェニトイン[類似化合物<イミプラミン>でフェニトイン中毒症状<運動失調等>があらわれるとの報告がある(イミプラミンがフェニトインの肝代謝を阻害し、血中濃度が上昇すると考えられている)]。

9). スルファメトキサゾール・トリメトプリム[類似化合物<イミプラミン等>で抑うつが再発又は悪化するとの報告がある(機序は明らかでないが、イミプラミンの代謝が促進、又はスルファメトキサゾール・トリメトプリムがイミプラミンとレセプター部位で拮抗すると考えられている)]。

高齢者

少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等があらわれやすい)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(三環系抗うつ剤(イミプラミン)の動物実験で催奇形作用が報告されている)。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. 海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2−8.5、9.1.5、9.1.8参照〕。

15.1.2. 主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

動物実験(ラット)における大量投与で水晶体の縫合線の明瞭化及び角膜の小空胞化が認められたとの報告がある。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

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