薬剤情報
後発品
薬効分類局所麻酔薬
一般名ブピバカイン塩酸塩水和物注射液
薬価330
メーカーサンドファーマ
最終更新2023年08月改訂(第1版)

用法・用量

通常、成人にはブピバカイン塩酸塩水和物(無水物として)1回10〜20mg(2〜4mL)を脊髄クモ膜下腔に注入する。なお、年齢、身長、麻酔領域、部位、組織、症状、体質に応じ適宜増減するが、1回20mg(4mL)を超えないこと。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

20mg(4mL)を超えて投与しないこと(20mgを超えて投与された場合の有効性・安全性が評価されていない)。

効能・効果

脊椎麻酔(腰椎麻酔)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

次に示す本剤の等比重製剤、高比重製剤の特性並びに手術部位及び患者の状態を十分考慮して適宜、製剤を選択すること。

等比重製剤:麻酔範囲の広がりが緩徐で、高比重製剤に比べて作用発現時間が遅く、作用持続時間が長い。

高比重製剤:麻酔範囲の広がりが比重に依存しているため手術台の傾斜によりある程度の麻酔範囲の調節が可能である。等比重製剤に比べて作用発現時間が早く、作用持続時間が短い。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. ショック(頻度不明):過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制、心停止等があらわれることがある。また、まれにアナフィラキシーショックがあらわれることがある〔8.1、8.2参照〕。

11.1.2. 振戦、痙攣(いずれも頻度不明):振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は、直ちにジアゼパム又は直ちに超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)の投与等の適切な処置を行うこと〔13.過量投与の項参照〕。

11.1.3. 異常感覚、知覚・運動障害(いずれも頻度不明):注射針の留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性異常感覚が発現することがある。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的異常感覚、疼痛、知覚障害、筋脱力、運動障害、膀胱直腸障害等の神経学的疾患があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 循環器:(5%以上)血圧低下、徐脈、(1%未満)洞性不整脈[このような症状があらわれた場合はショックあるいは中毒へ移行することがある]。

2). 消化器:(1〜5%)嘔気、(頻度不明)嘔吐[このような症状があらわれた場合はショックあるいは中毒へ移行することがある]。

3). 中枢・末梢神経系:(1%未満)下肢しびれ感。

4). 呼吸器:(1〜5%)動脈血酸素飽和度低下、(1%未満)呼吸困難[このような症状があらわれた場合はショックあるいは中毒へ移行することがある]。

5). 過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒。

6). その他:(頻度不明)くも膜炎。

禁忌

2.1. 大量出血やショック状態の患者[過度の血圧低下が起こることがある]。

2.2. 注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある]。

2.3. 敗血症の患者[敗血症性髄膜炎を起こすことがある]。

2.4. 本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.5. 中枢神経系疾患:髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者[脊椎麻酔により症状が悪化することがある]。

2.6. 脊椎に結核、脊椎炎及び脊椎に転移性腫瘍等の脊椎に活動性疾患のある患者[脊椎麻酔により症状が悪化することがある]。

重要な基本的注意

8.1. 本剤の投与に際しては、全身麻酔と同様に患者の全身管理が必要であるので、検査、問診等により予め患者の全身状態を把握しておくこと〔8.2、11.1参照〕。

8.2. まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、常時、直ちに救急処置のとれる準備をしておくとともに、予め静脈路の確保を行うこと〔8.1、11.1参照〕。

8.3. 脊椎麻酔により血圧低下、徐脈等の副作用があらわれやすく、麻酔範囲が高位に及ぶと重篤な副作用につながることがあるので、本剤の投与に際しては、次の点に十分留意すること。

8.3.1. 麻酔範囲が高位に及んだ場合、過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制さらには心停止となるおそれがあるので、必要最少量を投与するとともに、麻酔高に十分注意すること。

8.3.2. 麻酔中は、連続的にバイタルサイン(血圧、心拍数、呼吸数等)及び動脈血酸素飽和度の測定(パルスオキシメーター等)を行うとともに、患者の全身状態の観察を十分に行い、さらに手術が終了しても麻酔が完全に消失するまで頻回にバイタルサイン及び患者の全身状態の観察を必要に応じて頻回に行うこと。異常が認められた場合は適切な処置を行うこと。

8.3.3. 本剤注入後に急激に体位を変換すると麻酔範囲が高位に及ぶことがあるので、体位を変換する場合はゆっくり行うこと。

8.3.4. 手術終了後の患者の帰室時には、少なくともバイタルサインが正常であることを確認するとともに、帰室後も麻酔の効果が完全に消失するまで患者の全身状態の観察を必要に応じて頻回に行うこと。

8.3.5. 臍部以上の部位の手術に用いる必要がある場合は、慎重に投与すること。

8.3.6. 本剤の比重は一定に調製されているが、患者の脳脊髄液の比重にはかなりの変動があることに留意すること。

8.4. 前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、鎮静薬、鎮痛薬等を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい(なお、高齢者、小児、全身状態不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと)〔9.1.8、9.7小児等、9.8高齢者の項参照〕。

8.5. 脊椎麻酔により、まれに知覚異常、膀胱直腸障害、麻痺等の脊髄神経障害があらわれることがあるので、穿刺に際して患者が放散痛を訴えた場合、脳脊髄液が吸引しにくい場合又は血液混入を認めた場合は本剤を注入しないこと。

8.6. 髄液の流出を最小限にとどめるため、できるだけ細い脊椎穿刺針(25G程度)を用いること(脊椎穿刺により脊椎麻酔後頭痛が、また、まれに一過性外転神経麻痺等があらわれることがある(なお、このような症状があらわれた場合には輸液投与を行う等適切な処置を行うこと))。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 脊柱管狭窄、又は外傷性脊柱変形のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること(脊椎麻酔により神経障害があらわれることがある)。

9.1.2. 若年者:投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと(麻酔範囲が広がりやすいという報告がある)。

9.1.3. 腹部腫瘤のある患者:投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと(仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中はさらに増悪することがある)。

9.1.4. 身長の低い患者:投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと(血圧低下の発現率が高くなる傾向があり、また、麻酔範囲が広がりやすい)。

9.1.5. 血液凝固障害や抗凝血薬投与中の患者:やむを得ず投与する場合は観察を十分に行うこと(出血しやすいため、血腫形成や脊髄障害を起こすことがある)。

9.1.6. 重篤な高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者:患者の全身状態の観察を十分に行うこと(脊椎麻酔により循環動態が急変しやすく、血圧低下や病状の悪化が起こりやすい)。

9.1.7. 脊柱に著明な変形のある患者:やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行うこと(脊髄損傷や神経根損傷のおそれがあり、また麻酔範囲の予測も困難である)。

9.1.8. 全身状態不良な患者:生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある〔8.4参照〕。

9.1.9. 心刺激伝導障害のある患者:症状を悪化させることがある。

9.1.10. 神経学的疾患:多発性硬化症、運動麻痺、神経筋疾患等のある患者(症状が悪化することがある)。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重篤な腎機能障害のある患者:中毒症状が発現しやすくなる。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重篤な肝機能障害のある患者:中毒症状が発現しやすくなる。

相互作用

本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。

10.2. 併用注意:

1). アミド型局所麻酔剤[中毒症状が相加的に起こるおそれがある(他の局所麻酔剤との併用で中毒症状が相加的に起こることが考えられる)]。

2). クラス3抗不整脈剤(アミオダロン等)[心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと(作用が増強することが考えられる)]。

高齢者

投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等慎重に投与すること(一般に麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下している)〔8.4参照〕。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.5.2. 妊娠後期の患者には、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等慎重に投与すること(妊娠末期は、仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中はさらに増悪することがある)。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない〔8.4参照〕。

過量投与

局所麻酔剤の過量投与や血管内誤投与又は非常に急速な吸収等による血中濃度の上昇に伴い、中毒症状が発現する。特に血管内誤投与となった場合には、数分以内に発現することがあり、その症状は、主に中枢神経系症状及び心血管系症状としてあらわれる。

また、腕神経叢ブロックや坐骨神経ブロック等の伝達麻酔の過量投与や硬膜外麻酔の過量投与で、人工蘇生術困難及び死亡に至った報告がある〔11.1.2参照〕。

13.1. 症状

13.1.1. 中枢神経系症状:過量投与時、初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦等があらわれる(症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがあり、より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある)。

13.1.2. 心血管系症状:過量投与時、血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。

これらの心血管系の症状は、鎮静下又は全身麻酔下において、中枢神経系症状を伴わずに発生することがある。

13.2. 処置

過量投与時、振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤投与後の注意

14.1.1. 本剤は金属を侵す性質があるので、長時間金属器具(カニューレ、注射針等)に接触させないことが望ましい(なお、金属器具を使用した場合は、使用後十分に水洗すること)。

14.1.2. アンプルを開封後、直ちに使用し、残余の薬液は廃棄すること。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

マーカイン注脊麻用0.5%高比重
マーカイン注脊麻用0.5%高比重

マーカイン注脊麻用0.5%高比重

局所麻酔薬
2023年08月改訂(第1版)
薬剤情報
後発品
薬効分類局所麻酔薬
一般名ブピバカイン塩酸塩水和物注射液
薬価330
メーカーサンドファーマ
最終更新2023年08月改訂(第1版)

用法・用量

通常、成人にはブピバカイン塩酸塩水和物(無水物として)1回10〜20mg(2〜4mL)を脊髄クモ膜下腔に注入する。なお、年齢、身長、麻酔領域、部位、組織、症状、体質に応じ適宜増減するが、1回20mg(4mL)を超えないこと。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

20mg(4mL)を超えて投与しないこと(20mgを超えて投与された場合の有効性・安全性が評価されていない)。

効能・効果

脊椎麻酔(腰椎麻酔)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

次に示す本剤の等比重製剤、高比重製剤の特性並びに手術部位及び患者の状態を十分考慮して適宜、製剤を選択すること。

等比重製剤:麻酔範囲の広がりが緩徐で、高比重製剤に比べて作用発現時間が遅く、作用持続時間が長い。

高比重製剤:麻酔範囲の広がりが比重に依存しているため手術台の傾斜によりある程度の麻酔範囲の調節が可能である。等比重製剤に比べて作用発現時間が早く、作用持続時間が短い。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. ショック(頻度不明):過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制、心停止等があらわれることがある。また、まれにアナフィラキシーショックがあらわれることがある〔8.1、8.2参照〕。

11.1.2. 振戦、痙攣(いずれも頻度不明):振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は、直ちにジアゼパム又は直ちに超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)の投与等の適切な処置を行うこと〔13.過量投与の項参照〕。

11.1.3. 異常感覚、知覚・運動障害(いずれも頻度不明):注射針の留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性異常感覚が発現することがある。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的異常感覚、疼痛、知覚障害、筋脱力、運動障害、膀胱直腸障害等の神経学的疾患があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 循環器:(5%以上)血圧低下、徐脈、(1%未満)洞性不整脈[このような症状があらわれた場合はショックあるいは中毒へ移行することがある]。

2). 消化器:(1〜5%)嘔気、(頻度不明)嘔吐[このような症状があらわれた場合はショックあるいは中毒へ移行することがある]。

3). 中枢・末梢神経系:(1%未満)下肢しびれ感。

4). 呼吸器:(1〜5%)動脈血酸素飽和度低下、(1%未満)呼吸困難[このような症状があらわれた場合はショックあるいは中毒へ移行することがある]。

5). 過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒。

6). その他:(頻度不明)くも膜炎。

禁忌

2.1. 大量出血やショック状態の患者[過度の血圧低下が起こることがある]。

2.2. 注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある]。

2.3. 敗血症の患者[敗血症性髄膜炎を起こすことがある]。

2.4. 本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.5. 中枢神経系疾患:髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者[脊椎麻酔により症状が悪化することがある]。

2.6. 脊椎に結核、脊椎炎及び脊椎に転移性腫瘍等の脊椎に活動性疾患のある患者[脊椎麻酔により症状が悪化することがある]。

重要な基本的注意

8.1. 本剤の投与に際しては、全身麻酔と同様に患者の全身管理が必要であるので、検査、問診等により予め患者の全身状態を把握しておくこと〔8.2、11.1参照〕。

8.2. まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、常時、直ちに救急処置のとれる準備をしておくとともに、予め静脈路の確保を行うこと〔8.1、11.1参照〕。

8.3. 脊椎麻酔により血圧低下、徐脈等の副作用があらわれやすく、麻酔範囲が高位に及ぶと重篤な副作用につながることがあるので、本剤の投与に際しては、次の点に十分留意すること。

8.3.1. 麻酔範囲が高位に及んだ場合、過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制さらには心停止となるおそれがあるので、必要最少量を投与するとともに、麻酔高に十分注意すること。

8.3.2. 麻酔中は、連続的にバイタルサイン(血圧、心拍数、呼吸数等)及び動脈血酸素飽和度の測定(パルスオキシメーター等)を行うとともに、患者の全身状態の観察を十分に行い、さらに手術が終了しても麻酔が完全に消失するまで頻回にバイタルサイン及び患者の全身状態の観察を必要に応じて頻回に行うこと。異常が認められた場合は適切な処置を行うこと。

8.3.3. 本剤注入後に急激に体位を変換すると麻酔範囲が高位に及ぶことがあるので、体位を変換する場合はゆっくり行うこと。

8.3.4. 手術終了後の患者の帰室時には、少なくともバイタルサインが正常であることを確認するとともに、帰室後も麻酔の効果が完全に消失するまで患者の全身状態の観察を必要に応じて頻回に行うこと。

8.3.5. 臍部以上の部位の手術に用いる必要がある場合は、慎重に投与すること。

8.3.6. 本剤の比重は一定に調製されているが、患者の脳脊髄液の比重にはかなりの変動があることに留意すること。

8.4. 前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、鎮静薬、鎮痛薬等を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい(なお、高齢者、小児、全身状態不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと)〔9.1.8、9.7小児等、9.8高齢者の項参照〕。

8.5. 脊椎麻酔により、まれに知覚異常、膀胱直腸障害、麻痺等の脊髄神経障害があらわれることがあるので、穿刺に際して患者が放散痛を訴えた場合、脳脊髄液が吸引しにくい場合又は血液混入を認めた場合は本剤を注入しないこと。

8.6. 髄液の流出を最小限にとどめるため、できるだけ細い脊椎穿刺針(25G程度)を用いること(脊椎穿刺により脊椎麻酔後頭痛が、また、まれに一過性外転神経麻痺等があらわれることがある(なお、このような症状があらわれた場合には輸液投与を行う等適切な処置を行うこと))。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 脊柱管狭窄、又は外傷性脊柱変形のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること(脊椎麻酔により神経障害があらわれることがある)。

9.1.2. 若年者:投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと(麻酔範囲が広がりやすいという報告がある)。

9.1.3. 腹部腫瘤のある患者:投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと(仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中はさらに増悪することがある)。

9.1.4. 身長の低い患者:投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと(血圧低下の発現率が高くなる傾向があり、また、麻酔範囲が広がりやすい)。

9.1.5. 血液凝固障害や抗凝血薬投与中の患者:やむを得ず投与する場合は観察を十分に行うこと(出血しやすいため、血腫形成や脊髄障害を起こすことがある)。

9.1.6. 重篤な高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者:患者の全身状態の観察を十分に行うこと(脊椎麻酔により循環動態が急変しやすく、血圧低下や病状の悪化が起こりやすい)。

9.1.7. 脊柱に著明な変形のある患者:やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行うこと(脊髄損傷や神経根損傷のおそれがあり、また麻酔範囲の予測も困難である)。

9.1.8. 全身状態不良な患者:生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある〔8.4参照〕。

9.1.9. 心刺激伝導障害のある患者:症状を悪化させることがある。

9.1.10. 神経学的疾患:多発性硬化症、運動麻痺、神経筋疾患等のある患者(症状が悪化することがある)。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重篤な腎機能障害のある患者:中毒症状が発現しやすくなる。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重篤な肝機能障害のある患者:中毒症状が発現しやすくなる。

相互作用

本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。

10.2. 併用注意:

1). アミド型局所麻酔剤[中毒症状が相加的に起こるおそれがある(他の局所麻酔剤との併用で中毒症状が相加的に起こることが考えられる)]。

2). クラス3抗不整脈剤(アミオダロン等)[心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと(作用が増強することが考えられる)]。

高齢者

投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等慎重に投与すること(一般に麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下している)〔8.4参照〕。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.5.2. 妊娠後期の患者には、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等慎重に投与すること(妊娠末期は、仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中はさらに増悪することがある)。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない〔8.4参照〕。

過量投与

局所麻酔剤の過量投与や血管内誤投与又は非常に急速な吸収等による血中濃度の上昇に伴い、中毒症状が発現する。特に血管内誤投与となった場合には、数分以内に発現することがあり、その症状は、主に中枢神経系症状及び心血管系症状としてあらわれる。

また、腕神経叢ブロックや坐骨神経ブロック等の伝達麻酔の過量投与や硬膜外麻酔の過量投与で、人工蘇生術困難及び死亡に至った報告がある〔11.1.2参照〕。

13.1. 症状

13.1.1. 中枢神経系症状:過量投与時、初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦等があらわれる(症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがあり、より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある)。

13.1.2. 心血管系症状:過量投与時、血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。

これらの心血管系の症状は、鎮静下又は全身麻酔下において、中枢神経系症状を伴わずに発生することがある。

13.2. 処置

過量投与時、振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤投与後の注意

14.1.1. 本剤は金属を侵す性質があるので、長時間金属器具(カニューレ、注射針等)に接触させないことが望ましい(なお、金属器具を使用した場合は、使用後十分に水洗すること)。

14.1.2. アンプルを開封後、直ちに使用し、残余の薬液は廃棄すること。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

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