薬剤情報
後発品
薬効分類中枢性交感神経抑制薬 > 中枢性α2刺激薬
一般名デクスメデトミジン塩酸塩注射液
薬価1500
メーカーニプロ
最終更新2020年01月改訂(第4版)

用法・用量

1.集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静:デクスメデトミジンを6μg/kg/時の投与速度で10分間静脈内へ持続注入し(初期負荷投与)、続いて患者の状態に合わせて、至適鎮静レベルが得られる様、維持量として0.2〜0.7μg/kg/時の範囲で持続注入する(維持投与)。また、維持投与から開始することもできる。なお、患者の状態に合わせて、投与速度を適宜減速する。

2.局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静:デクスメデトミジンを6μg/kg/時の投与速度で10分間静脈内へ持続注入し(初期負荷投与)、続いて患者の状態に合わせて、至適鎮静レベルが得られる様、維持量として0.2〜0.7μg/kg/時の範囲で持続注入する(維持投与)。なお、患者の状態に合わせて、投与速度を適宜減速する。

用法・用量(補足)

<用法・用量に関連する使用上の注意>

1.共通:

1).本剤は患者の循環動態が安定し、循環動態、呼吸等について継続的な監視体制が整った状況で投与を開始する。

2).本剤の初期負荷投与中に一過性血圧上昇が現れた場合には、初期負荷投与速度の減速等を考慮する[本剤の末梢血管収縮作用により一過性の血圧上昇が現れることがある]。

3).鎮静の維持開始速度は0.4μg/kg/時の速度を目安とし、初期負荷から維持への移行を慎重に行う。また、維持速度は0.7μg/kg/時を超えない[他社が実施した海外臨床試験において、0.7μg/kg/時を超えて投与した場合に呼吸器系、精神神経系及び心血管系の有害事象の発現率が増加することが報告されている]。

4).本剤は投与速度を適切に調節することができるシリンジポンプ等を用いて、緩徐に持続的に投与する。

5).本剤を使用するときは本剤2mLに生理食塩液48mLを加え、50mL(4μg/mL)とする。

2.集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静:本剤は人工呼吸中、離脱過程及び離脱後を通じて投与可能であるが、集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静の場合、本剤の持続投与期間が120時間(5日間)を超える使用経験は少ないので、それを超えて鎮静が必要な場合には、患者の全身状態を引き続き慎重に観察する。

効能・効果

1.集中治療における人工呼吸中及び人工呼吸離脱後の鎮静。

2.局所麻酔下における非挿管での手術時及び非挿管での処置時の鎮静。

効能・効果(補足)

<効能・効果に関連する使用上の注意>

局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静:全身麻酔に移行する意識下気管支ファイバー挿管に対する本剤の有効性及び安全性は確立されていない。

副作用

本剤は、副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

重大な副作用

1.重大な副作用(頻度不明)

1).低血圧:低血圧が現れることがあるので、このような場合には、本剤の減速又は中止、輸液の増量、下肢の挙上、昇圧剤の使用等適切な処置を行う。

2).高血圧:高血圧が現れることがあるので、このような場合には、本剤の減速又は中止、降圧剤の使用等適切な処置を行う。

3).徐脈:徐脈が現れることがあるので、このような場合には、本剤の減速又は中止、迷走神経の緊張を軽減する目的で抗コリン剤(アトロピン等)の静脈内投与、ペースメーカーの使用等、適切な処置を行う。

4).心室細動:心室細動が現れることがあるので、このような場合には、抗不整脈薬の投与、除細動、心肺蘇生等適切な処置を行う。

5).心停止、洞停止:心停止、洞停止が現れることがあるので、このような場合には、本剤の中止、ペースメーカーの使用、除細動、心肺蘇生、強心剤の投与等適切な処置を行う。

6).低酸素症、無呼吸、呼吸困難、呼吸抑制、舌根沈下:低酸素症、一過性無呼吸、呼吸困難、呼吸抑制、舌根沈下が現れることがあるので、このような場合には、本剤の減速又は中止、気道確保、酸素投与、患者の刺激等適切な処置を行う。

その他の副作用

2.その他の副作用:次のような症状が現れた場合には、症状に応じて適切な処置を行う。

1).精神神経系:(頻度不明)激越、不安、錯乱、幻覚、眩暈、頭痛、不全麻痺、譫妄、傾眠、落ち着きのなさ、うつ病、錯覚、神経過敏、意識低下、神経痛、神経炎、ニューロパシー、知覚脱失、ジストニア、言語障害、昏迷、痙攣。

2).消化器:(頻度不明)嘔吐、嘔気、口内乾燥、腹痛、下痢、おくび。

3).循環器:(頻度不明)心房細動、頻脈、末梢性虚血、血管障害、血圧変動、心不全、心電図異常、特異的心電図異常、高血圧悪化、心筋梗塞、不整脈、心室性不整脈、期外収縮、上室性頻脈、心室性頻脈、脳出血、血管拡張、脳血管障害、血管痙攣、循環不全、チアノーゼ、心疾患、狭心症、心筋虚血、心房性不整脈、AVブロック、脚ブロック、心ブロック、T波逆転、上室性不整脈。

4).呼吸器:(頻度不明)無気肺、気管支痙攣、高炭酸ガス血症、低換気症、胸水、気胸、肺水腫、呼吸不全、徐呼吸、咳、喀血、肺炎、肺うっ血、呼吸障害。

5).感覚器:(頻度不明)視覚異常、複視、光視症、耳不快感。

6).血液:(頻度不明)出血、血小板減少症、貧血、白血球増加症、凝固障害、播種性血管内凝固症候群、好酸球増多症。

7).肝臓:(頻度不明)AG比異常、血清AST上昇(血清GOT上昇)、血清ALT上昇(血清GPT上昇)、γ−GTP上昇、黄疸、肝機能異常。

8).皮膚:(頻度不明)多汗、紅斑性皮疹。

9).泌尿器:(頻度不明)乏尿、腎機能異常、尿閉、多尿。

10).代謝栄養:(頻度不明)口渇、アシドーシス、呼吸性アシドーシス、高血糖、高カリウム血症、血液量過多、低蛋白血症、NPN上昇、アルカリホスファターゼ上昇、低カリウム血症、高ナトリウム血症。

11).その他:(頻度不明)発熱、血液量減少、疼痛、背部痛、異常高熱、浮腫、悪寒、失神、胸痛、筋肉痛、感染、敗血症、異常感、*薬剤離脱症候群[*:長期投与後の急激な投与中止により、離脱症状が現れることがあるので、投与を中止する場合には徐々に減量するなど慎重に行う]。

警告

1.本剤の投与により低血圧、高血圧、徐脈、心室細動等が現れ、心停止にいたる恐れがあることから、本剤は、患者の呼吸状態、循環動態等の全身状態を注意深く継続的に監視できる設備を有し、緊急時に十分な措置が可能な施設で、本剤の薬理作用を正しく理解し、集中治療又は非挿管下での鎮静における患者管理に熟練した医師のみが使用する。

2.迷走神経の緊張が亢進しているか、急速静注、単回急速投与等、本剤を通常の用法・用量以外の方法で投与した場合に重篤な徐脈、洞停止等が現れたとの報告があるので、本剤は定められた用法・用量に従い、緩徐に持続注入することを厳守し、患者の状況を慎重に観察するとともに、このような症状が現れた場合には適切な処置を行う。

禁忌

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

慎重投与

1.心血管系障害のある患者[低血圧、徐脈が現れやすくなるので、患者の全身状態を十分に観察しながら投与速度を調節する。特に高度心ブロックを伴う患者等は重度徐脈が現れる恐れがあり、徐脈に対してはあらかじめアトロピンの投与、ペースメーカーの使用を考慮する]。

2.心機能低下している患者[本剤の初期負荷投与時に一過性血圧上昇が現れることがあり、予期せぬ重篤な循環動態の変動を誘発する恐れがあるので、投与速度の急激な変更は避ける、常に循環動態及び出血量を監視しながら慎重に投与速度を調節し、また、必要に応じて強心薬及び血管作動薬を併用しながら、慎重に投与し、適切な循環動態の維持を行う]。

3.循環血流量低下している患者[低血圧が現れやすくなるので、本剤投与開始前及び投与中に輸液負荷等を行い、患者の全身状態を慎重に観察しながら投与速度を調節し、循環血流量が低下した状態で低血圧が持続した場合は、肝血流量の低下から本剤の消失が遅延する恐れがあるので、このような場合は特に注意を払って投与速度の減速を考慮する]。

4.肝機能障害のある患者[肝機能障害の程度が重度になるにしたがって本剤の消失が遅延し、鎮静作用の増強や副作用が現れやすくなる恐れがあるので、投与速度の減速を考慮し、特に重度肝機能障害患者に対しては、患者の全身状態を慎重に観察しながら投与速度を調節する]。

5.腎機能障害のある患者[鎮静作用の増強や副作用が現れやすくなる恐れがあるので、投与速度の減速を考慮し、患者の全身状態を観察しながら慎重に投与する]。

6.高齢者[生理機能の低下により、低血圧や徐脈等の副作用が現れやすくなる]。

7.血液浄化中の患者[頻回に鎮静深度を観察しながら必要に応じて本剤の投与速度を調節し、持続血液浄化法の導入時、終了時、あるいはカラム交換時や血液量、水分除去率の変更時には特に注意を払い、患者の鎮静深度及び循環動態を観察する]。

8.薬物依存又は薬物過敏症の既往歴のある患者。

基本的注意等

(重要な基本的注意)

1.共通:

1).移送を伴う場合には、患者管理に熟練した医師の付き添いのもと、循環動態、呼吸等について継続的な監視体制が整った状況で投与し、循環動態の変動及び呼吸等に特に注意する。

2).本剤はα2受容体刺激作用に基づく鎮痛作用を有するため、他の鎮痛剤と併用する際には鎮痛剤の過量投与に注意する。

3).本剤投与中は至適鎮静レベルが得られるよう患者の全身状態を観察しながら投与速度を調節する。本剤を投与されている患者は刺激を与えると容易に覚醒し、速やかに反応するが、これは本剤の特徴であるため、他の臨床徴候及び症状がない場合、効果不十分であると考えないよう注意する。

4).本剤の初期負荷投与中に現れる一過性血圧上昇に対しては、投与速度の減速を考慮する必要があるが、重大な血圧上昇が現れた場合には、更に適切な処置を行う。

5).本剤の投与により低血圧、徐脈等が現れる恐れがあり、特に迷走神経の緊張が亢進している患者で現れやすい。患者の観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には適切な処置を行う。

6).本剤投与中はバイタルサインの変動に注意して循環器系に対する観察及び対応を怠らない。

7).全血又は血漿を投与しているカテーテルに本剤を注入しない。

8).本剤を長期投与した後、使用を突然中止した場合、クロニジンと同様のリバウンド現象が現れる恐れがあるので、これらの症状として神経過敏、激越及び頭痛が現れ、同時に又はこれに続いて血圧の急激な上昇及び血漿中カテコラミン濃度上昇が現れる恐れがある。

2.集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静:

1).本剤の投与に際しては集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静の場合、集中治療に習熟した医師が本剤の薬理作用を正しく理解した上で患者の全身状態を注意深く継続して監視する。また、気道確保、酸素吸入、人工呼吸、循環管理を行えるよう準備をしておく。

2).集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静の場合、人工呼吸器からの離脱の過程及び離脱後では、患者の呼吸状態を十分に観察する。

3.局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静:

1).本剤の投与に際しては局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静の場合、非挿管下での鎮静における患者管理に熟練した医師が、本剤の薬理作用を正しく理解し、患者の鎮静レベル及び全身状態を注意深く継続して管理する。また、気道確保、酸素吸入、人工呼吸、循環管理を行えるよう準備をしておく。

2).局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静の場合、局所麻酔下における手術・処置を行う医師とは別に、意識状態、呼吸状態、循環動態等の全身状態を観察できる医療従事者をおいて、手術・処置中の患者を観察する。

3).局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静の場合、本剤は適切に鎮痛を行った上で使用する。

4).局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静の場合、硬膜外麻酔・脊髄クモ膜下麻酔時には、輸液の投与等により、循環動態の変動が安定した後に本剤の投与を開始するなど、併用に注意する。

5).局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静の場合、全身状態に注意し、手術・処置後は患者が回復するまで管理下に置く。なお、局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静の場合、鎮静の影響が完全に消失するまでは自動車の運転、危険を伴う機械の操作等に従事しないよう、患者に注意する。

相互作用

併用注意:

1.ベンゾジアゼピン系薬剤(ミダゾラム、ジアゼパム等)、全身麻酔剤(プロポフォール、セボフルラン等)、局所麻酔剤(リドカイン塩酸塩等)、中枢神経系抑制剤(モルヒネ塩酸塩水和物、フェンタニルクエン酸塩、バルビツール酸誘導体等)[鎮静・麻酔・鎮痛作用が増強し、血圧低下、心拍数低下、呼吸数低下等の症状が現れる恐れがあるので、併用する場合には投与速度を減速するなど慎重に投与する(相互に作用(鎮静・麻酔・鎮痛作用、循環動態への作用)を増強するため)]。

2.ベンゾジアゼピン系薬剤(ミダゾラム、ジアゼパム等)、全身麻酔剤(プロポフォール、セボフルラン等)、局所麻酔剤(リドカイン塩酸塩等)、中枢神経系抑制剤(モルヒネ塩酸塩水和物、フェンタニルクエン酸塩、バルビツール酸誘導体等)[他の鎮静薬、鎮痛薬等と併用する場合は、鎮静効果が相加的に増強する恐れがあるので、本剤あるいは他の鎮静薬、鎮痛薬の投与量を減量するなどの注意が必要である(相互に作用(鎮静・麻酔・鎮痛作用、循環動態への作用)を増強するため)]。

高齢者への注意

(高齢者への投与)

高齢者では生理機能の低下により、鎮静作用の増強や副作用が現れやすくなる恐れがあるので、投与速度の減速を考慮し、患者の全身状態を観察しながら慎重に投与する。

妊婦・産婦・授乳婦への投与

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

1.本剤投与による治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[動物試験(ラット)において、生存胎仔数減少、胎盤移行性、子宮血流量低下によると考えられる胎仔体重低下及び胎仔骨化遅延が認められており、ヒトにおいて胎盤移行性が認められている]。

2.授乳婦へ投与する場合は本剤投与後24時間は授乳を避けさせる[動物試験(ラット)及びヒトにおいて、乳汁移行性が認められている]。

新生児・乳児・幼児・小児への投与

(小児等への投与)

18歳未満の患者に対する安全性及び有効性は確立していない(使用経験が少ない)。

過量投与

急速静注あるいは単回急速投与により高血圧が現れる恐れがある。他社が実施した海外における臨床試験において過量投与(血漿中濃度が臨床推奨治療用量上限の13倍)された健康被験者に、第1度AVブロック及び第2度心ブロックが現れた。また、他社が実施した海外での集中治療における鎮静・鎮痛を評価した臨床試験において過量投与(臨床推奨治療用量上限の20倍量を急速投与)された欧米人患者に、低血圧を伴う徐脈、心停止等が現れた。過量投与時の低血圧に対しては、輸液速度の上昇、下肢の挙上、昇圧剤の投与を行い、過量投与時の徐脈に対しては、抗コリン剤(アトロピン等)の静脈内投与、又はドパミン、アドレナリン等の静脈内投与、心肺蘇生等適切な処置を行う。過量投与時のAVブロック、心ブロック、心停止に対しては心肺蘇生、除細動、強心剤の投与等適切な処置を行う。

取扱い上の注意

(適用上の注意)

1.調製時:

1).本剤の取り扱いは、常に厳重な無菌手技で行う。

2).バイアルは使用前にゴム栓をエタノール綿等で清拭して使用する。

3).本剤2mLに生理食塩液48mLを加えて50mLとし、静かに振盪し十分に混和する。

4).バイアルからの採取は1回のみとし残液は廃棄する。

5).希釈後は48時間以内に使用する。

2.投与時:

1).本剤は静脈内投与のみとする。

2).本剤を持続注入するにあたっては、投与速度の調節可能な注入器具(シリンジポンプ等)を使用する。

3).配合変化:

(1).本剤は次の薬剤との配合変化(沈殿を生ずる)が示されているので混合しないよう注意する:アムホテリシンB、ジアゼパム。

(2).本剤は次の輸液製剤及び薬剤との配合変化は示されていない:リンゲル液、5%ブドウ糖液、生理食塩液、20%マンニトール、ベクロニウム臭化物、スキサメトニウム塩化物水和物、フェニレフリン塩酸塩、アトロピン硫酸塩水和物、ミダゾラム、モルヒネ塩酸塩水和物、フェンタニルクエン酸塩、ドパミン、ノルアドレナリン、ドブタミン。

安定性試験:最終包装製品を用いた加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)の結果、本剤は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。

デクスメデトミジン静注液200μg「ニプロ」
デクスメデトミジン静注液200μg「ニプロ」

デクスメデトミジン静注液200μg「ニプロ」

中枢性交感神経抑制薬 > 中枢性α2刺激薬
2020年01月改訂(第4版)
薬剤情報
後発品
薬効分類中枢性交感神経抑制薬 > 中枢性α2刺激薬
一般名デクスメデトミジン塩酸塩注射液
薬価1500
メーカーニプロ
最終更新2020年01月改訂(第4版)

用法・用量

1.集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静:デクスメデトミジンを6μg/kg/時の投与速度で10分間静脈内へ持続注入し(初期負荷投与)、続いて患者の状態に合わせて、至適鎮静レベルが得られる様、維持量として0.2〜0.7μg/kg/時の範囲で持続注入する(維持投与)。また、維持投与から開始することもできる。なお、患者の状態に合わせて、投与速度を適宜減速する。

2.局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静:デクスメデトミジンを6μg/kg/時の投与速度で10分間静脈内へ持続注入し(初期負荷投与)、続いて患者の状態に合わせて、至適鎮静レベルが得られる様、維持量として0.2〜0.7μg/kg/時の範囲で持続注入する(維持投与)。なお、患者の状態に合わせて、投与速度を適宜減速する。

用法・用量(補足)

<用法・用量に関連する使用上の注意>

1.共通:

1).本剤は患者の循環動態が安定し、循環動態、呼吸等について継続的な監視体制が整った状況で投与を開始する。

2).本剤の初期負荷投与中に一過性血圧上昇が現れた場合には、初期負荷投与速度の減速等を考慮する[本剤の末梢血管収縮作用により一過性の血圧上昇が現れることがある]。

3).鎮静の維持開始速度は0.4μg/kg/時の速度を目安とし、初期負荷から維持への移行を慎重に行う。また、維持速度は0.7μg/kg/時を超えない[他社が実施した海外臨床試験において、0.7μg/kg/時を超えて投与した場合に呼吸器系、精神神経系及び心血管系の有害事象の発現率が増加することが報告されている]。

4).本剤は投与速度を適切に調節することができるシリンジポンプ等を用いて、緩徐に持続的に投与する。

5).本剤を使用するときは本剤2mLに生理食塩液48mLを加え、50mL(4μg/mL)とする。

2.集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静:本剤は人工呼吸中、離脱過程及び離脱後を通じて投与可能であるが、集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静の場合、本剤の持続投与期間が120時間(5日間)を超える使用経験は少ないので、それを超えて鎮静が必要な場合には、患者の全身状態を引き続き慎重に観察する。

効能・効果

1.集中治療における人工呼吸中及び人工呼吸離脱後の鎮静。

2.局所麻酔下における非挿管での手術時及び非挿管での処置時の鎮静。

効能・効果(補足)

<効能・効果に関連する使用上の注意>

局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静:全身麻酔に移行する意識下気管支ファイバー挿管に対する本剤の有効性及び安全性は確立されていない。

副作用

本剤は、副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

重大な副作用

1.重大な副作用(頻度不明)

1).低血圧:低血圧が現れることがあるので、このような場合には、本剤の減速又は中止、輸液の増量、下肢の挙上、昇圧剤の使用等適切な処置を行う。

2).高血圧:高血圧が現れることがあるので、このような場合には、本剤の減速又は中止、降圧剤の使用等適切な処置を行う。

3).徐脈:徐脈が現れることがあるので、このような場合には、本剤の減速又は中止、迷走神経の緊張を軽減する目的で抗コリン剤(アトロピン等)の静脈内投与、ペースメーカーの使用等、適切な処置を行う。

4).心室細動:心室細動が現れることがあるので、このような場合には、抗不整脈薬の投与、除細動、心肺蘇生等適切な処置を行う。

5).心停止、洞停止:心停止、洞停止が現れることがあるので、このような場合には、本剤の中止、ペースメーカーの使用、除細動、心肺蘇生、強心剤の投与等適切な処置を行う。

6).低酸素症、無呼吸、呼吸困難、呼吸抑制、舌根沈下:低酸素症、一過性無呼吸、呼吸困難、呼吸抑制、舌根沈下が現れることがあるので、このような場合には、本剤の減速又は中止、気道確保、酸素投与、患者の刺激等適切な処置を行う。

その他の副作用

2.その他の副作用:次のような症状が現れた場合には、症状に応じて適切な処置を行う。

1).精神神経系:(頻度不明)激越、不安、錯乱、幻覚、眩暈、頭痛、不全麻痺、譫妄、傾眠、落ち着きのなさ、うつ病、錯覚、神経過敏、意識低下、神経痛、神経炎、ニューロパシー、知覚脱失、ジストニア、言語障害、昏迷、痙攣。

2).消化器:(頻度不明)嘔吐、嘔気、口内乾燥、腹痛、下痢、おくび。

3).循環器:(頻度不明)心房細動、頻脈、末梢性虚血、血管障害、血圧変動、心不全、心電図異常、特異的心電図異常、高血圧悪化、心筋梗塞、不整脈、心室性不整脈、期外収縮、上室性頻脈、心室性頻脈、脳出血、血管拡張、脳血管障害、血管痙攣、循環不全、チアノーゼ、心疾患、狭心症、心筋虚血、心房性不整脈、AVブロック、脚ブロック、心ブロック、T波逆転、上室性不整脈。

4).呼吸器:(頻度不明)無気肺、気管支痙攣、高炭酸ガス血症、低換気症、胸水、気胸、肺水腫、呼吸不全、徐呼吸、咳、喀血、肺炎、肺うっ血、呼吸障害。

5).感覚器:(頻度不明)視覚異常、複視、光視症、耳不快感。

6).血液:(頻度不明)出血、血小板減少症、貧血、白血球増加症、凝固障害、播種性血管内凝固症候群、好酸球増多症。

7).肝臓:(頻度不明)AG比異常、血清AST上昇(血清GOT上昇)、血清ALT上昇(血清GPT上昇)、γ−GTP上昇、黄疸、肝機能異常。

8).皮膚:(頻度不明)多汗、紅斑性皮疹。

9).泌尿器:(頻度不明)乏尿、腎機能異常、尿閉、多尿。

10).代謝栄養:(頻度不明)口渇、アシドーシス、呼吸性アシドーシス、高血糖、高カリウム血症、血液量過多、低蛋白血症、NPN上昇、アルカリホスファターゼ上昇、低カリウム血症、高ナトリウム血症。

11).その他:(頻度不明)発熱、血液量減少、疼痛、背部痛、異常高熱、浮腫、悪寒、失神、胸痛、筋肉痛、感染、敗血症、異常感、*薬剤離脱症候群[*:長期投与後の急激な投与中止により、離脱症状が現れることがあるので、投与を中止する場合には徐々に減量するなど慎重に行う]。

警告

1.本剤の投与により低血圧、高血圧、徐脈、心室細動等が現れ、心停止にいたる恐れがあることから、本剤は、患者の呼吸状態、循環動態等の全身状態を注意深く継続的に監視できる設備を有し、緊急時に十分な措置が可能な施設で、本剤の薬理作用を正しく理解し、集中治療又は非挿管下での鎮静における患者管理に熟練した医師のみが使用する。

2.迷走神経の緊張が亢進しているか、急速静注、単回急速投与等、本剤を通常の用法・用量以外の方法で投与した場合に重篤な徐脈、洞停止等が現れたとの報告があるので、本剤は定められた用法・用量に従い、緩徐に持続注入することを厳守し、患者の状況を慎重に観察するとともに、このような症状が現れた場合には適切な処置を行う。

禁忌

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

慎重投与

1.心血管系障害のある患者[低血圧、徐脈が現れやすくなるので、患者の全身状態を十分に観察しながら投与速度を調節する。特に高度心ブロックを伴う患者等は重度徐脈が現れる恐れがあり、徐脈に対してはあらかじめアトロピンの投与、ペースメーカーの使用を考慮する]。

2.心機能低下している患者[本剤の初期負荷投与時に一過性血圧上昇が現れることがあり、予期せぬ重篤な循環動態の変動を誘発する恐れがあるので、投与速度の急激な変更は避ける、常に循環動態及び出血量を監視しながら慎重に投与速度を調節し、また、必要に応じて強心薬及び血管作動薬を併用しながら、慎重に投与し、適切な循環動態の維持を行う]。

3.循環血流量低下している患者[低血圧が現れやすくなるので、本剤投与開始前及び投与中に輸液負荷等を行い、患者の全身状態を慎重に観察しながら投与速度を調節し、循環血流量が低下した状態で低血圧が持続した場合は、肝血流量の低下から本剤の消失が遅延する恐れがあるので、このような場合は特に注意を払って投与速度の減速を考慮する]。

4.肝機能障害のある患者[肝機能障害の程度が重度になるにしたがって本剤の消失が遅延し、鎮静作用の増強や副作用が現れやすくなる恐れがあるので、投与速度の減速を考慮し、特に重度肝機能障害患者に対しては、患者の全身状態を慎重に観察しながら投与速度を調節する]。

5.腎機能障害のある患者[鎮静作用の増強や副作用が現れやすくなる恐れがあるので、投与速度の減速を考慮し、患者の全身状態を観察しながら慎重に投与する]。

6.高齢者[生理機能の低下により、低血圧や徐脈等の副作用が現れやすくなる]。

7.血液浄化中の患者[頻回に鎮静深度を観察しながら必要に応じて本剤の投与速度を調節し、持続血液浄化法の導入時、終了時、あるいはカラム交換時や血液量、水分除去率の変更時には特に注意を払い、患者の鎮静深度及び循環動態を観察する]。

8.薬物依存又は薬物過敏症の既往歴のある患者。

基本的注意等

(重要な基本的注意)

1.共通:

1).移送を伴う場合には、患者管理に熟練した医師の付き添いのもと、循環動態、呼吸等について継続的な監視体制が整った状況で投与し、循環動態の変動及び呼吸等に特に注意する。

2).本剤はα2受容体刺激作用に基づく鎮痛作用を有するため、他の鎮痛剤と併用する際には鎮痛剤の過量投与に注意する。

3).本剤投与中は至適鎮静レベルが得られるよう患者の全身状態を観察しながら投与速度を調節する。本剤を投与されている患者は刺激を与えると容易に覚醒し、速やかに反応するが、これは本剤の特徴であるため、他の臨床徴候及び症状がない場合、効果不十分であると考えないよう注意する。

4).本剤の初期負荷投与中に現れる一過性血圧上昇に対しては、投与速度の減速を考慮する必要があるが、重大な血圧上昇が現れた場合には、更に適切な処置を行う。

5).本剤の投与により低血圧、徐脈等が現れる恐れがあり、特に迷走神経の緊張が亢進している患者で現れやすい。患者の観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には適切な処置を行う。

6).本剤投与中はバイタルサインの変動に注意して循環器系に対する観察及び対応を怠らない。

7).全血又は血漿を投与しているカテーテルに本剤を注入しない。

8).本剤を長期投与した後、使用を突然中止した場合、クロニジンと同様のリバウンド現象が現れる恐れがあるので、これらの症状として神経過敏、激越及び頭痛が現れ、同時に又はこれに続いて血圧の急激な上昇及び血漿中カテコラミン濃度上昇が現れる恐れがある。

2.集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静:

1).本剤の投与に際しては集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静の場合、集中治療に習熟した医師が本剤の薬理作用を正しく理解した上で患者の全身状態を注意深く継続して監視する。また、気道確保、酸素吸入、人工呼吸、循環管理を行えるよう準備をしておく。

2).集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静の場合、人工呼吸器からの離脱の過程及び離脱後では、患者の呼吸状態を十分に観察する。

3.局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静:

1).本剤の投与に際しては局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静の場合、非挿管下での鎮静における患者管理に熟練した医師が、本剤の薬理作用を正しく理解し、患者の鎮静レベル及び全身状態を注意深く継続して管理する。また、気道確保、酸素吸入、人工呼吸、循環管理を行えるよう準備をしておく。

2).局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静の場合、局所麻酔下における手術・処置を行う医師とは別に、意識状態、呼吸状態、循環動態等の全身状態を観察できる医療従事者をおいて、手術・処置中の患者を観察する。

3).局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静の場合、本剤は適切に鎮痛を行った上で使用する。

4).局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静の場合、硬膜外麻酔・脊髄クモ膜下麻酔時には、輸液の投与等により、循環動態の変動が安定した後に本剤の投与を開始するなど、併用に注意する。

5).局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静の場合、全身状態に注意し、手術・処置後は患者が回復するまで管理下に置く。なお、局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静の場合、鎮静の影響が完全に消失するまでは自動車の運転、危険を伴う機械の操作等に従事しないよう、患者に注意する。

相互作用

併用注意:

1.ベンゾジアゼピン系薬剤(ミダゾラム、ジアゼパム等)、全身麻酔剤(プロポフォール、セボフルラン等)、局所麻酔剤(リドカイン塩酸塩等)、中枢神経系抑制剤(モルヒネ塩酸塩水和物、フェンタニルクエン酸塩、バルビツール酸誘導体等)[鎮静・麻酔・鎮痛作用が増強し、血圧低下、心拍数低下、呼吸数低下等の症状が現れる恐れがあるので、併用する場合には投与速度を減速するなど慎重に投与する(相互に作用(鎮静・麻酔・鎮痛作用、循環動態への作用)を増強するため)]。

2.ベンゾジアゼピン系薬剤(ミダゾラム、ジアゼパム等)、全身麻酔剤(プロポフォール、セボフルラン等)、局所麻酔剤(リドカイン塩酸塩等)、中枢神経系抑制剤(モルヒネ塩酸塩水和物、フェンタニルクエン酸塩、バルビツール酸誘導体等)[他の鎮静薬、鎮痛薬等と併用する場合は、鎮静効果が相加的に増強する恐れがあるので、本剤あるいは他の鎮静薬、鎮痛薬の投与量を減量するなどの注意が必要である(相互に作用(鎮静・麻酔・鎮痛作用、循環動態への作用)を増強するため)]。

高齢者への注意

(高齢者への投与)

高齢者では生理機能の低下により、鎮静作用の増強や副作用が現れやすくなる恐れがあるので、投与速度の減速を考慮し、患者の全身状態を観察しながら慎重に投与する。

妊婦・産婦・授乳婦への投与

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

1.本剤投与による治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[動物試験(ラット)において、生存胎仔数減少、胎盤移行性、子宮血流量低下によると考えられる胎仔体重低下及び胎仔骨化遅延が認められており、ヒトにおいて胎盤移行性が認められている]。

2.授乳婦へ投与する場合は本剤投与後24時間は授乳を避けさせる[動物試験(ラット)及びヒトにおいて、乳汁移行性が認められている]。

新生児・乳児・幼児・小児への投与

(小児等への投与)

18歳未満の患者に対する安全性及び有効性は確立していない(使用経験が少ない)。

過量投与

急速静注あるいは単回急速投与により高血圧が現れる恐れがある。他社が実施した海外における臨床試験において過量投与(血漿中濃度が臨床推奨治療用量上限の13倍)された健康被験者に、第1度AVブロック及び第2度心ブロックが現れた。また、他社が実施した海外での集中治療における鎮静・鎮痛を評価した臨床試験において過量投与(臨床推奨治療用量上限の20倍量を急速投与)された欧米人患者に、低血圧を伴う徐脈、心停止等が現れた。過量投与時の低血圧に対しては、輸液速度の上昇、下肢の挙上、昇圧剤の投与を行い、過量投与時の徐脈に対しては、抗コリン剤(アトロピン等)の静脈内投与、又はドパミン、アドレナリン等の静脈内投与、心肺蘇生等適切な処置を行う。過量投与時のAVブロック、心ブロック、心停止に対しては心肺蘇生、除細動、強心剤の投与等適切な処置を行う。

取扱い上の注意

(適用上の注意)

1.調製時:

1).本剤の取り扱いは、常に厳重な無菌手技で行う。

2).バイアルは使用前にゴム栓をエタノール綿等で清拭して使用する。

3).本剤2mLに生理食塩液48mLを加えて50mLとし、静かに振盪し十分に混和する。

4).バイアルからの採取は1回のみとし残液は廃棄する。

5).希釈後は48時間以内に使用する。

2.投与時:

1).本剤は静脈内投与のみとする。

2).本剤を持続注入するにあたっては、投与速度の調節可能な注入器具(シリンジポンプ等)を使用する。

3).配合変化:

(1).本剤は次の薬剤との配合変化(沈殿を生ずる)が示されているので混合しないよう注意する:アムホテリシンB、ジアゼパム。

(2).本剤は次の輸液製剤及び薬剤との配合変化は示されていない:リンゲル液、5%ブドウ糖液、生理食塩液、20%マンニトール、ベクロニウム臭化物、スキサメトニウム塩化物水和物、フェニレフリン塩酸塩、アトロピン硫酸塩水和物、ミダゾラム、モルヒネ塩酸塩水和物、フェンタニルクエン酸塩、ドパミン、ノルアドレナリン、ドブタミン。

安定性試験:最終包装製品を用いた加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)の結果、本剤は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。

薬剤情報

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