薬剤情報
後発品
薬効分類パーキンソン治療薬 > ドパミン受容体 (D2) 刺激薬 プロラクチン (PRL) 分泌抑制薬 > ドパミン受容体 (D2) 刺激薬
一般名カベルゴリン錠
薬価141.9
メーカー沢井製薬
最終更新2023年03月改訂(第1版)

用法・用量

〈パーキンソン病〉

通常、成人にはカベルゴリンとして1日量0.25mgから始め、2週目には1日量を0.5mgとし、以後経過を観察しながら、1週間毎に1日量として0.5mgずつ増量し、維持量を定めるが、最高用量は1日3mgとする。いずれの投与量の場合も1日1回朝食後経口投与する。

〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉

通常、成人には1週1回(同一曜日)就寝前経口投与とし、カベルゴリンとして1回量0.25mgから始め、以後臨床症状を観察しながら、少なくとも2週間以上の間隔で1回量を0.25mgずつ増量し、維持量(標準1回量0.25〜0.75mg)を定める。

なお、年齢、症状により適宜増減するが、1回量の上限は1.0mgとする。

〈産褥性乳汁分泌抑制〉

通常、成人にはカベルゴリンとして1.0mgを胎児娩出後に1回のみ食後に経口投与する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉本剤投与は、少量から開始し、消化器症状(悪心、嘔吐等)、血圧等の観察を十分に行い、慎重に維持量まで増量すること。

7.2. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉胎児娩出後4時間以内の投与は避け、呼吸、脈拍、血圧等が安定した後、投与すること(また、胎児娩出後2日以内に投与することが望ましい)、投与後(特に投与当日)は観察を十分に行う、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと(類薬において血圧上昇、頭痛、中枢神経症状等があらわれたとの報告がある)。

効能・効果

1). パーキンソン病。

2). 乳汁漏出症。

3). 高プロラクチン血性排卵障害。

4). 高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)。

5). 産褥性乳汁分泌抑制。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈パーキンソン病〉非麦角製剤の治療効果が不十分又は忍容性に問題があると考えられる患者のみに投与すること〔8.4、11.1.4参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 幻覚(5.5%)、妄想(1.8%)、失神(頻度不明)、せん妄(頻度不明)、錯乱(頻度不明)〔9.1.4参照〕。

11.1.2. 悪性症候群(頻度不明):パーキンソン病治療において、本剤の急激な減量又は中止により、高熱、意識障害、高度筋硬直、不随意運動、血清CK上昇等があらわれることがあるので、このような場合には、再投与後、漸減し、体冷却、水分補給等の適切な処置を行うこと(なお、投与継続中に同様の症状があらわれることがある)〔8.5参照〕。

11.1.3. 間質性肺炎(頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音異常(捻髪音)等があらわれた場合には、速やかに胸部X線検査を実施し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

11.1.4. 胸膜炎(頻度不明)、胸水(頻度不明)、胸膜線維症(頻度不明)、肺線維症(頻度不明)、心膜炎(頻度不明)、心嚢液貯留(頻度不明):胸膜炎、胸水、心嚢液貯留があらわれることがある。また、本剤の長期投与又はドパミン受容体刺激作用を有する麦角製剤の治療歴のある患者に本剤を投与した場合、胸膜線維症、肺線維症、心膜炎があらわれることがある。本剤の投与中に胸痛、浮腫、呼吸器症状等があらわれた場合には、速やかに胸部X線検査を実施し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔5.1、8.4、9.1.1参照〕。

11.1.5. 心臓弁膜症(頻度不明):心雑音の発現又は心雑音増悪等があらわれた場合には、速やかに胸部X線検査、速やかに心エコー検査等を実施すること(心臓弁尖肥厚、心臓弁可動制限及びこれらに伴う心臓弁狭窄等の心臓弁膜病変が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと)〔8.3、8.4参照〕。

11.1.6. 後腹膜線維症(頻度不明):背部痛、下肢浮腫、腎機能障害等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.1.1参照〕。

11.1.7. 突発的睡眠(頻度不明):前兆のない突発的睡眠があらわれることがある〔8.1参照〕。

11.1.8. 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

11.1.9. 狭心症(頻度不明)、肢端紅痛症(頻度不明)〔9.1.6参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 〈パーキンソン病〉

@. 〈パーキンソン病〉消化器:(5%以上)嘔気・悪心、胃部不快感、食欲不振、(5%未満)口渇、嘔吐、便秘、下痢、胃もたれ感、口内炎、腹痛、胃痛、胸やけ、(頻度不明)胃炎。

A. 〈パーキンソン病〉精神神経系:(5%未満)興奮、不眠、不安、抑うつ、徘徊等の精神症状、ふらつき、めまい、頭重感、頭痛、ジスキネジア、睡眠時ミオクローヌス等の神経症状、(頻度不明)傾眠、病的性欲亢進、病的賭博、*薬剤離脱症候群(*無感情、*不安、*うつ、*疲労感、*発汗、*疼痛等)[*:異常が認められた場合には、投与再開又は減量前の投与量に戻すなど、適切な処置を行うこと(パーキンソン病の場合)]、攻撃性(パーキンソン病の場合)。

B. 〈パーキンソン病〉循環器:(5%未満)起立性低血圧、血圧低下、立ちくらみ、動悸、浮腫、高血圧、(頻度不明)胸部不快感、胸痛、指血管攣縮。

C. 〈パーキンソン病〉呼吸器:(頻度不明)息苦しさ。

D. 〈パーキンソン病〉血液:(5%以上)赤血球数減少、血色素量減少、ヘマトクリット値減少、(5%未満)血小板数減少、白血球数減少、白血球数増加。

E. 〈パーキンソン病〉過敏症:(5%未満)発疹、顔のほてり、そう痒、(頻度不明)紅斑、顔面浮腫、蕁麻疹。

F. 〈パーキンソン病〉泌尿器:(5%未満)排尿障害、尿失禁。

G. 〈パーキンソン病〉その他:(5%以上)CK上昇、(5%未満)倦怠感、総コレステロール上昇、筋肉痛、発汗、脱毛、(頻度不明)下肢痙攣、無力症。

2). 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉

@. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉消化器:(5%以上)嘔気・悪心、(5%未満)嘔吐、便秘、むかつき、腹痛、下痢、胃部不快感、胃痛、胸やけ、胃炎。

A. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉精神神経系:(5%以上)頭痛、(5%未満)めまい、ふらつき、眠気、いらいら感、(頻度不明)うつ病、異常感覚、攻撃性、病的性欲亢進、病的賭博。

B. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉循環器:(5%未満)立ちくらみ、動悸、血圧低下、(頻度不明)浮腫、指血管攣縮、起立性低血圧。

C. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉呼吸器:(頻度不明)息苦しさ。

D. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉血液:(5%未満)血小板数減少、白血球数減少、(頻度不明)血色素量減少。

E. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉過敏症:(5%未満)ほてり、(頻度不明)発疹、紅斑、顔面浮腫、蕁麻疹、そう痒。

F. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉その他:(5%未満)ざ瘡、倦怠感、トリグリセライド上昇、(頻度不明)脱毛、乳房痛、下肢痙攣、無力症、CK上昇。

乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫を対象とした国内臨床試験における発現頻度。

3). 〈産褥性乳汁分泌抑制〉

@. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉消化器:(5%未満)嘔気・悪心、胃部不快感、胃痛、(頻度不明)嘔吐、腹痛。

A. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉精神神経系:(5%未満)頭痛、ふらつき、頭重感、(頻度不明)傾眠、一過性半盲、攻撃性、病的性欲亢進、病的賭博。

B. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉循環器:(5%未満)立ちくらみ、(頻度不明)ほてり、浮腫、指血管攣縮、動悸。

C. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉呼吸器:(頻度不明)息苦しさ。

D. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉血液:(5%未満)血小板数増加、白血球数減少。

E. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉過敏症:(頻度不明)蕁麻疹、そう痒、発疹、紅斑、顔面浮腫。

F. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉その他:(5%未満)トリグリセライド上昇、総コレステロール上昇、(頻度不明)倦怠感、鼻血、下肢痙攣、脱毛、無力症、CK上昇。

禁忌

2.1. 麦角製剤に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 心エコー検査により、心臓弁尖肥厚、心臓弁可動制限及びこれらに伴う心臓弁狭窄等の心臓弁膜の病変が確認された患者及びその既往のある患者[症状を悪化させるおそれがある]〔8.3、8.4参照〕。

2.3. 妊娠中毒症の患者[産褥期に痙攣、脳血管障害、心臓発作、高血圧が発現するおそれがある]。

2.4. 産褥期高血圧の患者[産褥期に痙攣、脳血管障害、心臓発作、高血圧が発現するおそれがある]。

重要な基本的注意

8.1. 〈効能共通〉前兆のない突発的睡眠、傾眠、起立性低血圧がみられることがあるので、自動車の運転、機械の操作、高所作業等危険を伴う作業には従事させないよう注意すること〔11.1.7参照〕。

8.2. 〈効能共通〉レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等に病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害の症状について説明すること。

8.3. 〈パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉本剤の長期投与において心臓弁膜症があらわれることがあるので、投与前・投与中に次の検査を行い、十分な観察を行うこと。なお、投与中止により改善がみられたとの報告例もある〔2.2、11.1.5参照〕。

8.3.1. 〈パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉本剤投与開始に際しては、聴診等の身体所見の観察、心エコー検査により潜在する心臓弁膜症の有無を確認する(パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫の場合)。

8.3.2. 〈パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉本剤投与中は、投与開始後3〜6ヵ月以内に、それ以降は少なくとも6〜12ヵ月毎に心エコー検査を行うこと。また、十分な観察(聴診等の身体所見、胸部X線、CT等)を定期的に行うこと。

8.4. 〈パーキンソン病〉非麦角製剤と比較して、本剤を含む麦角製剤投与中の心臓弁膜症、線維症の報告が多いので、パーキンソン病に対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで本剤の投与を開始するとともに、投与継続中はリスクとベネフィットを考慮すること〔2.2、5.1、11.1.4、11.1.5参照〕。

8.5. 〈パーキンソン病〉本剤の減量・中止が必要な場合は、漸減すること(急激な減量又は中止により、悪性症候群があらわれることがあり、また、ドパミン受容体作動薬の急激な減量又は中止により、薬剤離脱症候群(無感情、不安、うつ、疲労感、発汗、疼痛等の症状を特徴とする)があらわれることがある)〔11.1.2参照〕。

8.6. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害〉投与開始前にトルコ鞍の検査を行うこと。

8.7. 〈高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉トルコ鞍外に進展する高プロラクチン血性下垂体腺腫の患者において、本剤の投与による腺腫の縮小により髄液鼻漏がみられ、髄膜炎に至ることがあるので、異常が認められた場合には、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと〔9.1.7参照〕。

8.8. 〈高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉視野障害のみられる高プロラクチン血性下垂体腺腫の患者において、本剤投与により腺腫の縮小がみられ、一旦、視野障害が改善した後、トルコ鞍の空洞化により視交叉部が鞍内に陥入することによって、再び視野障害があらわれたとの報告があるので、異常が認められた場合には、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと〔9.1.7参照〕。

8.9. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉場合により氷罨法等の補助的方法を併用すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 胸膜炎、胸水、胸膜線維症、肺線維症、心膜炎、心嚢液貯留、後腹膜線維症又はその既往歴のある患者:これらを悪化させるおそれがある〔11.1.4、11.1.6参照〕。

9.1.2. 消化性潰瘍や消化管出血又はその既往歴のある患者:症状を悪化させるおそれがある。

9.1.3. レイノー病の患者:末梢血管障害を悪化させるおそれがある。

9.1.4. 精神病又はその既往歴のある患者:ドパミン受容体作動性のため統合失調症の症状である幻覚、妄想などを悪化させる可能性がある〔11.1.1参照〕。

9.1.5. 低血圧症の患者:血圧低下がみられることがある。

9.1.6. 重篤な心血管障害又はその既往歴のある患者:外国で狭心症の報告がある〔11.1.9参照〕。

9.1.7. 下垂体腫瘍がトルコ鞍外に進展し視力障害著明などの高プロラクチン血性下垂体腺腫の患者:腺腫の縮小により髄液鼻漏を来すことがあり、また視野障害再発を来すことが報告されている。外科的な処置を必要とする下垂体腺腫の場合、類薬の使用により残存腺腫の線維化及び易出血性の変化が起こり、手術の際に腺腫の摘出に支障を来すことが報告されている〔8.7、8.8参照〕。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 高度肝機能障害又はその既往のある患者:外国で重度の肝不全患者で本剤の血中AUCが上昇することが明らかにされている。

(生殖能を有する者)

9.4.1. 〈効能共通〉妊娠を希望する患者に本剤を投与する場合には、妊娠を早期に確認するため定期的に妊娠反応等の検査を実施すること。

9.4.2. 〈パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)、産褥性乳汁分泌抑制〉生殖能を有する者:妊娠を望まない患者には避妊の方法を指導すること。

9.4.3. 〈パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉生殖能を有する者:本剤を長期連用する場合には、プロラクチン分泌が抑制され、婦人科的異常が起こる可能性があるので、定期的に一般的な婦人科検査を実施すること〔15.2参照〕。

相互作用

本剤の代謝にはCYP3A4が関与している。

CYP3A4活性を阻害する薬剤又はCYP3A4によって代謝される薬剤との併用により、本剤の代謝が阻害され本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。またCYP3A4を誘導する薬剤との併用により、本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。

10.2. 併用注意:

1). 血圧降下剤[血圧降下作用を増強することがある(作用機序は異なるが、本剤と血圧降下剤の相乗・相加作用による)]。

2). ドパミン拮抗剤(フェノチアジン系薬剤(クロルプロマジン等)、ブチロフェノン系薬剤(ハロペリドール等)、メトクロプラミド等)[相互に作用を減弱するおそれがある(本剤はドパミン作動薬であり、これらの薬剤とドパミン受容体において競合的に拮抗する)]。

3). マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン)[本剤の副作用が増強する可能性がある(マクロライド系抗生物質はCYP3A4を阻害するので、併用により本剤の代謝が阻害される可能性がある)]。

高齢者

用量に留意して患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(本剤は主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

9.5.1. 〈パーキンソン病〉パーキンソン病で妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。生殖発生毒性試験(サル)においてパーキンソン病の臨床用量上限までの試験は実施していない。

9.5.2. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉乳汁漏出症で妊婦又は妊娠している可能性、高プロラクチン血性排卵障害で妊婦又は妊娠している可能性、高プロラクチン血性下垂体腺腫で妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。なお、下垂体腺腫のある患者では本剤の投与中止により妊娠中に下垂体腺腫の拡大が起こることがあるので、本剤中止後も観察を十分に行い、腺腫の拡大を示す症状(頭痛、視野狭窄等)に注意すること。

(授乳婦)

9.6.1. 授乳を望む母親には本剤を投与しないこと(本剤は乳汁分泌を抑制する)。

9.6.2. 授乳婦への投与に際しては、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中への移行の有無は不明であるが、ラットではカベルゴリン及び代謝物が乳汁中へ移行することが認められている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

過量投与

13.1. 症状

ヒトで過量投与した経験はないが、ドパミン受容体の過剰刺激に伴う症状が発現すると予想される(すなわち、悪心、嘔吐、胃部不快感、幻覚、妄想、頭重感、めまい、起立性低血圧が起こることがある)。

13.2. 処置

過量投与時、著しい幻覚などに対してはドパミン拮抗薬の投与等を行うこと。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

(取扱い上の注意)

開封後は湿気を避け、遮光して保存すること。

その他の注意

15.2. 非臨床試験に基づく情報

類薬の動物実験(ラット)で、長期大量投与により、子宮腫瘍がみられた例があるとの報告がある〔9.4.3参照〕。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

カベルゴリン錠1.0mg「サワイ」
カベルゴリン錠1.0mg「サワイ」

カベルゴリン錠1.0mg「サワイ」

パーキンソン治療薬 > ドパミン受容体 (D2) 刺激薬 プロラクチン (PRL) 分泌抑制薬 > ドパミン受容体 (D2) 刺激薬
2023年03月改訂(第1版)
薬剤情報
後発品
薬効分類パーキンソン治療薬 > ドパミン受容体 (D2) 刺激薬 プロラクチン (PRL) 分泌抑制薬 > ドパミン受容体 (D2) 刺激薬
一般名カベルゴリン錠
薬価141.9
メーカー沢井製薬
最終更新2023年03月改訂(第1版)

用法・用量

〈パーキンソン病〉

通常、成人にはカベルゴリンとして1日量0.25mgから始め、2週目には1日量を0.5mgとし、以後経過を観察しながら、1週間毎に1日量として0.5mgずつ増量し、維持量を定めるが、最高用量は1日3mgとする。いずれの投与量の場合も1日1回朝食後経口投与する。

〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉

通常、成人には1週1回(同一曜日)就寝前経口投与とし、カベルゴリンとして1回量0.25mgから始め、以後臨床症状を観察しながら、少なくとも2週間以上の間隔で1回量を0.25mgずつ増量し、維持量(標準1回量0.25〜0.75mg)を定める。

なお、年齢、症状により適宜増減するが、1回量の上限は1.0mgとする。

〈産褥性乳汁分泌抑制〉

通常、成人にはカベルゴリンとして1.0mgを胎児娩出後に1回のみ食後に経口投与する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉本剤投与は、少量から開始し、消化器症状(悪心、嘔吐等)、血圧等の観察を十分に行い、慎重に維持量まで増量すること。

7.2. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉胎児娩出後4時間以内の投与は避け、呼吸、脈拍、血圧等が安定した後、投与すること(また、胎児娩出後2日以内に投与することが望ましい)、投与後(特に投与当日)は観察を十分に行う、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと(類薬において血圧上昇、頭痛、中枢神経症状等があらわれたとの報告がある)。

効能・効果

1). パーキンソン病。

2). 乳汁漏出症。

3). 高プロラクチン血性排卵障害。

4). 高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)。

5). 産褥性乳汁分泌抑制。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈パーキンソン病〉非麦角製剤の治療効果が不十分又は忍容性に問題があると考えられる患者のみに投与すること〔8.4、11.1.4参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 幻覚(5.5%)、妄想(1.8%)、失神(頻度不明)、せん妄(頻度不明)、錯乱(頻度不明)〔9.1.4参照〕。

11.1.2. 悪性症候群(頻度不明):パーキンソン病治療において、本剤の急激な減量又は中止により、高熱、意識障害、高度筋硬直、不随意運動、血清CK上昇等があらわれることがあるので、このような場合には、再投与後、漸減し、体冷却、水分補給等の適切な処置を行うこと(なお、投与継続中に同様の症状があらわれることがある)〔8.5参照〕。

11.1.3. 間質性肺炎(頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音異常(捻髪音)等があらわれた場合には、速やかに胸部X線検査を実施し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

11.1.4. 胸膜炎(頻度不明)、胸水(頻度不明)、胸膜線維症(頻度不明)、肺線維症(頻度不明)、心膜炎(頻度不明)、心嚢液貯留(頻度不明):胸膜炎、胸水、心嚢液貯留があらわれることがある。また、本剤の長期投与又はドパミン受容体刺激作用を有する麦角製剤の治療歴のある患者に本剤を投与した場合、胸膜線維症、肺線維症、心膜炎があらわれることがある。本剤の投与中に胸痛、浮腫、呼吸器症状等があらわれた場合には、速やかに胸部X線検査を実施し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔5.1、8.4、9.1.1参照〕。

11.1.5. 心臓弁膜症(頻度不明):心雑音の発現又は心雑音増悪等があらわれた場合には、速やかに胸部X線検査、速やかに心エコー検査等を実施すること(心臓弁尖肥厚、心臓弁可動制限及びこれらに伴う心臓弁狭窄等の心臓弁膜病変が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと)〔8.3、8.4参照〕。

11.1.6. 後腹膜線維症(頻度不明):背部痛、下肢浮腫、腎機能障害等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.1.1参照〕。

11.1.7. 突発的睡眠(頻度不明):前兆のない突発的睡眠があらわれることがある〔8.1参照〕。

11.1.8. 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

11.1.9. 狭心症(頻度不明)、肢端紅痛症(頻度不明)〔9.1.6参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 〈パーキンソン病〉

@. 〈パーキンソン病〉消化器:(5%以上)嘔気・悪心、胃部不快感、食欲不振、(5%未満)口渇、嘔吐、便秘、下痢、胃もたれ感、口内炎、腹痛、胃痛、胸やけ、(頻度不明)胃炎。

A. 〈パーキンソン病〉精神神経系:(5%未満)興奮、不眠、不安、抑うつ、徘徊等の精神症状、ふらつき、めまい、頭重感、頭痛、ジスキネジア、睡眠時ミオクローヌス等の神経症状、(頻度不明)傾眠、病的性欲亢進、病的賭博、*薬剤離脱症候群(*無感情、*不安、*うつ、*疲労感、*発汗、*疼痛等)[*:異常が認められた場合には、投与再開又は減量前の投与量に戻すなど、適切な処置を行うこと(パーキンソン病の場合)]、攻撃性(パーキンソン病の場合)。

B. 〈パーキンソン病〉循環器:(5%未満)起立性低血圧、血圧低下、立ちくらみ、動悸、浮腫、高血圧、(頻度不明)胸部不快感、胸痛、指血管攣縮。

C. 〈パーキンソン病〉呼吸器:(頻度不明)息苦しさ。

D. 〈パーキンソン病〉血液:(5%以上)赤血球数減少、血色素量減少、ヘマトクリット値減少、(5%未満)血小板数減少、白血球数減少、白血球数増加。

E. 〈パーキンソン病〉過敏症:(5%未満)発疹、顔のほてり、そう痒、(頻度不明)紅斑、顔面浮腫、蕁麻疹。

F. 〈パーキンソン病〉泌尿器:(5%未満)排尿障害、尿失禁。

G. 〈パーキンソン病〉その他:(5%以上)CK上昇、(5%未満)倦怠感、総コレステロール上昇、筋肉痛、発汗、脱毛、(頻度不明)下肢痙攣、無力症。

2). 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉

@. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉消化器:(5%以上)嘔気・悪心、(5%未満)嘔吐、便秘、むかつき、腹痛、下痢、胃部不快感、胃痛、胸やけ、胃炎。

A. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉精神神経系:(5%以上)頭痛、(5%未満)めまい、ふらつき、眠気、いらいら感、(頻度不明)うつ病、異常感覚、攻撃性、病的性欲亢進、病的賭博。

B. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉循環器:(5%未満)立ちくらみ、動悸、血圧低下、(頻度不明)浮腫、指血管攣縮、起立性低血圧。

C. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉呼吸器:(頻度不明)息苦しさ。

D. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉血液:(5%未満)血小板数減少、白血球数減少、(頻度不明)血色素量減少。

E. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉過敏症:(5%未満)ほてり、(頻度不明)発疹、紅斑、顔面浮腫、蕁麻疹、そう痒。

F. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉その他:(5%未満)ざ瘡、倦怠感、トリグリセライド上昇、(頻度不明)脱毛、乳房痛、下肢痙攣、無力症、CK上昇。

乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫を対象とした国内臨床試験における発現頻度。

3). 〈産褥性乳汁分泌抑制〉

@. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉消化器:(5%未満)嘔気・悪心、胃部不快感、胃痛、(頻度不明)嘔吐、腹痛。

A. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉精神神経系:(5%未満)頭痛、ふらつき、頭重感、(頻度不明)傾眠、一過性半盲、攻撃性、病的性欲亢進、病的賭博。

B. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉循環器:(5%未満)立ちくらみ、(頻度不明)ほてり、浮腫、指血管攣縮、動悸。

C. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉呼吸器:(頻度不明)息苦しさ。

D. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉血液:(5%未満)血小板数増加、白血球数減少。

E. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉過敏症:(頻度不明)蕁麻疹、そう痒、発疹、紅斑、顔面浮腫。

F. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉その他:(5%未満)トリグリセライド上昇、総コレステロール上昇、(頻度不明)倦怠感、鼻血、下肢痙攣、脱毛、無力症、CK上昇。

禁忌

2.1. 麦角製剤に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 心エコー検査により、心臓弁尖肥厚、心臓弁可動制限及びこれらに伴う心臓弁狭窄等の心臓弁膜の病変が確認された患者及びその既往のある患者[症状を悪化させるおそれがある]〔8.3、8.4参照〕。

2.3. 妊娠中毒症の患者[産褥期に痙攣、脳血管障害、心臓発作、高血圧が発現するおそれがある]。

2.4. 産褥期高血圧の患者[産褥期に痙攣、脳血管障害、心臓発作、高血圧が発現するおそれがある]。

重要な基本的注意

8.1. 〈効能共通〉前兆のない突発的睡眠、傾眠、起立性低血圧がみられることがあるので、自動車の運転、機械の操作、高所作業等危険を伴う作業には従事させないよう注意すること〔11.1.7参照〕。

8.2. 〈効能共通〉レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等に病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害の症状について説明すること。

8.3. 〈パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉本剤の長期投与において心臓弁膜症があらわれることがあるので、投与前・投与中に次の検査を行い、十分な観察を行うこと。なお、投与中止により改善がみられたとの報告例もある〔2.2、11.1.5参照〕。

8.3.1. 〈パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉本剤投与開始に際しては、聴診等の身体所見の観察、心エコー検査により潜在する心臓弁膜症の有無を確認する(パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫の場合)。

8.3.2. 〈パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉本剤投与中は、投与開始後3〜6ヵ月以内に、それ以降は少なくとも6〜12ヵ月毎に心エコー検査を行うこと。また、十分な観察(聴診等の身体所見、胸部X線、CT等)を定期的に行うこと。

8.4. 〈パーキンソン病〉非麦角製剤と比較して、本剤を含む麦角製剤投与中の心臓弁膜症、線維症の報告が多いので、パーキンソン病に対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで本剤の投与を開始するとともに、投与継続中はリスクとベネフィットを考慮すること〔2.2、5.1、11.1.4、11.1.5参照〕。

8.5. 〈パーキンソン病〉本剤の減量・中止が必要な場合は、漸減すること(急激な減量又は中止により、悪性症候群があらわれることがあり、また、ドパミン受容体作動薬の急激な減量又は中止により、薬剤離脱症候群(無感情、不安、うつ、疲労感、発汗、疼痛等の症状を特徴とする)があらわれることがある)〔11.1.2参照〕。

8.6. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害〉投与開始前にトルコ鞍の検査を行うこと。

8.7. 〈高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉トルコ鞍外に進展する高プロラクチン血性下垂体腺腫の患者において、本剤の投与による腺腫の縮小により髄液鼻漏がみられ、髄膜炎に至ることがあるので、異常が認められた場合には、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと〔9.1.7参照〕。

8.8. 〈高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉視野障害のみられる高プロラクチン血性下垂体腺腫の患者において、本剤投与により腺腫の縮小がみられ、一旦、視野障害が改善した後、トルコ鞍の空洞化により視交叉部が鞍内に陥入することによって、再び視野障害があらわれたとの報告があるので、異常が認められた場合には、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと〔9.1.7参照〕。

8.9. 〈産褥性乳汁分泌抑制〉場合により氷罨法等の補助的方法を併用すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 胸膜炎、胸水、胸膜線維症、肺線維症、心膜炎、心嚢液貯留、後腹膜線維症又はその既往歴のある患者:これらを悪化させるおそれがある〔11.1.4、11.1.6参照〕。

9.1.2. 消化性潰瘍や消化管出血又はその既往歴のある患者:症状を悪化させるおそれがある。

9.1.3. レイノー病の患者:末梢血管障害を悪化させるおそれがある。

9.1.4. 精神病又はその既往歴のある患者:ドパミン受容体作動性のため統合失調症の症状である幻覚、妄想などを悪化させる可能性がある〔11.1.1参照〕。

9.1.5. 低血圧症の患者:血圧低下がみられることがある。

9.1.6. 重篤な心血管障害又はその既往歴のある患者:外国で狭心症の報告がある〔11.1.9参照〕。

9.1.7. 下垂体腫瘍がトルコ鞍外に進展し視力障害著明などの高プロラクチン血性下垂体腺腫の患者:腺腫の縮小により髄液鼻漏を来すことがあり、また視野障害再発を来すことが報告されている。外科的な処置を必要とする下垂体腺腫の場合、類薬の使用により残存腺腫の線維化及び易出血性の変化が起こり、手術の際に腺腫の摘出に支障を来すことが報告されている〔8.7、8.8参照〕。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 高度肝機能障害又はその既往のある患者:外国で重度の肝不全患者で本剤の血中AUCが上昇することが明らかにされている。

(生殖能を有する者)

9.4.1. 〈効能共通〉妊娠を希望する患者に本剤を投与する場合には、妊娠を早期に確認するため定期的に妊娠反応等の検査を実施すること。

9.4.2. 〈パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)、産褥性乳汁分泌抑制〉生殖能を有する者:妊娠を望まない患者には避妊の方法を指導すること。

9.4.3. 〈パーキンソン病、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉生殖能を有する者:本剤を長期連用する場合には、プロラクチン分泌が抑制され、婦人科的異常が起こる可能性があるので、定期的に一般的な婦人科検査を実施すること〔15.2参照〕。

相互作用

本剤の代謝にはCYP3A4が関与している。

CYP3A4活性を阻害する薬剤又はCYP3A4によって代謝される薬剤との併用により、本剤の代謝が阻害され本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。またCYP3A4を誘導する薬剤との併用により、本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。

10.2. 併用注意:

1). 血圧降下剤[血圧降下作用を増強することがある(作用機序は異なるが、本剤と血圧降下剤の相乗・相加作用による)]。

2). ドパミン拮抗剤(フェノチアジン系薬剤(クロルプロマジン等)、ブチロフェノン系薬剤(ハロペリドール等)、メトクロプラミド等)[相互に作用を減弱するおそれがある(本剤はドパミン作動薬であり、これらの薬剤とドパミン受容体において競合的に拮抗する)]。

3). マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン)[本剤の副作用が増強する可能性がある(マクロライド系抗生物質はCYP3A4を阻害するので、併用により本剤の代謝が阻害される可能性がある)]。

高齢者

用量に留意して患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(本剤は主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

9.5.1. 〈パーキンソン病〉パーキンソン病で妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。生殖発生毒性試験(サル)においてパーキンソン病の臨床用量上限までの試験は実施していない。

9.5.2. 〈乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)〉乳汁漏出症で妊婦又は妊娠している可能性、高プロラクチン血性排卵障害で妊婦又は妊娠している可能性、高プロラクチン血性下垂体腺腫で妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。なお、下垂体腺腫のある患者では本剤の投与中止により妊娠中に下垂体腺腫の拡大が起こることがあるので、本剤中止後も観察を十分に行い、腺腫の拡大を示す症状(頭痛、視野狭窄等)に注意すること。

(授乳婦)

9.6.1. 授乳を望む母親には本剤を投与しないこと(本剤は乳汁分泌を抑制する)。

9.6.2. 授乳婦への投与に際しては、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中への移行の有無は不明であるが、ラットではカベルゴリン及び代謝物が乳汁中へ移行することが認められている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

過量投与

13.1. 症状

ヒトで過量投与した経験はないが、ドパミン受容体の過剰刺激に伴う症状が発現すると予想される(すなわち、悪心、嘔吐、胃部不快感、幻覚、妄想、頭重感、めまい、起立性低血圧が起こることがある)。

13.2. 処置

過量投与時、著しい幻覚などに対してはドパミン拮抗薬の投与等を行うこと。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

(取扱い上の注意)

開封後は湿気を避け、遮光して保存すること。

その他の注意

15.2. 非臨床試験に基づく情報

類薬の動物実験(ラット)で、長期大量投与により、子宮腫瘍がみられた例があるとの報告がある〔9.4.3参照〕。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

薬剤情報

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