薬剤情報
後発品
薬効分類抗HIV薬・抗HIV薬 > 非核酸 (非ヌクレオシド) 系HIV逆転写酵素阻害薬 (NNRTI) ・核酸 (ヌクレオシド) 系HIV逆転写酵素阻害薬 (NRTI)
一般名リルピビリン塩酸塩・エムトリシタビン・テノホビルアラフェナミドフマル酸塩錠
薬価5654.3
メーカーヤンセンファーマ
最終更新
2024年09月改訂(第5版)
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用法・用量

通常、成人及び12歳以上かつ体重35kg以上の小児には、1回1錠(リルピビリンとして25mg、テノホビル アラフェナミドとして25mg及びエムトリシタビンとして200mgを含有)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 本剤は、HIV−1感染症に対して1剤で治療を行うものであるため、他の抗HIV薬と併用しないこと。また、エムトリシタビンと類似の薬剤耐性、ウイルス学的特性を有しているラミブジンを含む製剤と併用しないこと。

7.2. 本剤はリルピビリン塩酸塩、テノホビル アラフェナミドフマル酸塩及びエムトリシタビンを含有する配合剤であるので、リルピビリン塩酸塩を含む製剤、テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含む製剤及びエムトリシタビンを含む製剤又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む製剤と併用しないこと。

7.3. 本剤投与後、クレアチニンクリアランスが30mL/min未満に低下した場合は、投与の中止を考慮すること〔8.2、16.6.3参照〕。

効能・効果

HIV−1感染症。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 次のいずれかのHIV−1感染患者に使用すること〔17.1.3、17.1.4参照〕。

・ 抗HIV薬の治療経験がなく、HIV−1 RNA量100000copies/mL以下である患者に使用すること。

・ ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制が得られており、リルピビリン、テノホビル又はエムトリシタビンに対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される抗HIV薬既治療患者に使用すること(ウイルス学的抑制:HIV−1 RNA量が50copies/mL未満)。

5.2. 本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。

5.3. 未治療のHIV−1感染患者を対象としたリルピビリンの海外臨床第3相試験において、次の結果が得られていることから、本剤による治療開始時には、これらの情報について考慮すること。

5.3.1. リルピビリンの海外臨床第3相試験において、ウイルス学的失敗例で、背景治療であるラミブジン/エムトリシタビン関連耐性の発現割合は、エファビレンツ群(対照薬群)よりもリルピビリン群で高かった〔18.3.2参照〕。

5.3.2. リルピビリンの海外臨床第3相試験において、ベースラインCD4陽性リンパ球数200cells/μL未満の被験者では、200cells/μL以上の被験者と比べて、ウイルス学的失敗例の割合が高かった〔17.1.3、17.1.4参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 重度の腎機能障害(頻度不明):急性腎障害、腎不全、腎尿細管壊死、ファンコニー症候群、近位尿細管腎症、間質性腎炎(急性間質性腎炎を含む)、腎性尿崩症等の重度腎機能障害があらわれることがあるので、臨床検査値に異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤投与中の患者では注意すること)〔10.2参照〕。

11.1.2. 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)(頻度不明):乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は肝細胞毒性が疑われる検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には、本剤の投与を一時中止すること(特に、肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること)。

テノホビル又はエムトリシタビンを含む核酸系逆転写酵素阻害剤の単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)が、女性に多く報告されている。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 免疫系障害:(頻度不明)免疫再構築症候群。

2). 代謝及び栄養障害:(0.5%未満)食欲減退、(頻度不明)体重増加、体脂肪再分布/体脂肪蓄積。

3). 精神障害:(0.5%以上)不眠症、異常な夢、(0.5%未満)うつ病、睡眠障害、(頻度不明)抑うつ気分。

4). 神経系障害:(0.5%以上)頭痛、(0.5%未満)浮動性めまい、傾眠。

5). 胃腸障害:(0.5%以上)下痢、鼓腸、悪心、(0.5%未満)腹痛、嘔吐、腹部不快感、消化不良。

6). 肝胆道系障害:(頻度不明)トランスアミナーゼ上昇。

7). 皮膚及び皮下組織障害:(0.5%未満)発疹、(頻度不明)血管性浮腫、蕁麻疹。

8). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(0.5%未満)疲労。

警告

B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、本剤の投与中止により、重症化するおそれがあるので注意すること〔9.1.3参照〕。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. リファンピシン投与中、リファブチン投与中、カルバマゼピン投与中、フェノバルビタール投与中、フェニトイン投与中、フェニトイン・フェノバルビタール投与中、ホスフェニトイン投与中、デキサメタゾン<全身投与><単回投与を除く>投与中、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品摂取中(St.John’s Wort)、プロトンポンプ阻害剤投与中(オメプラゾール、ランソプラゾール、アスピリン・ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、ボノプラザンフマル酸塩、アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩)の患者〔10.1参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。

8.1.1. 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。

8.1.2. 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。

8.1.3. 本剤を処方どおりに毎日服用すること。また、担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。

8.1.4. 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に担当医に相談すること。

8.2. 本剤投与前は、クレアチニンクリアランス等の腎機能検査を実施し、腎機能障害の有無を確認すること。投与開始時に、クレアチニンクリアランスが30mL/min以上であることを確認すること。また、本剤投与後も定期的な検査等により、患者の状態を注意深く観察すること〔7.3、9.1.2、10.2、16.6.3参照〕。

8.3. 抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること)。

8.4. エムトリシタビン製剤の試験において皮膚変色が発現し、その発現頻度は有色人種に高いことが示唆されている。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 不整脈を起こしやすい患者:低カリウム血症、著しい徐脈、急性心筋虚血、うっ血性心不全、先天性QT延長症候群等の患者では、QT延長により不整脈が発現するおそれがある(リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている)〔10.2、17.3.1参照〕。

9.1.2. 腎機能障害のリスクを有する患者:クレアチニンクリアランス及び血清リンの検査を実施すること〔8.2参照〕。

9.1.3. B型肝炎ウイルス(HBV)感染を合併している患者。

(1). B型肝炎ウイルス感染(HBV感染)を合併している患者:本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、本剤の投与中止により、重症化するおそれがある。

(2). B型肝炎ウイルス感染(HBV感染)を合併している患者:定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(リルピビリン製剤の海外臨床第3相試験において、これらの患者では、肝臓関連有害事象(臨床検査値異常を含む)の発現頻度が非重複感染患者より高かった[重複感染患者33.3%(18/54例)、非重複感染患者4.9%(31/632例)])〔1.警告の項参照〕。

(3). B型肝炎ウイルス感染(HBV感染)を合併している患者:本剤中止後数ヵ月間は、定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと(本剤中止後に肝炎が悪化した場合、非代償性肝不全となる可能性があるので、必要に応じて抗HBV薬の投与を考慮すること、本剤の投与中止により、急激な肝炎悪化がみられるおそれがある)〔1.警告の項参照〕。

9.1.4. C型肝炎ウイルス感染を合併している患者:定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(リルピビリン製剤の海外臨床第3相試験において、これらの患者では、肝臓関連有害事象(臨床検査値異常を含む)の発現頻度が非重複感染患者より高かった[重複感染患者33.3%(18/54例)、非重複感染患者4.9%(31/632例)])。

9.1.5. 病的骨折の既往のある患者又はその他の慢性骨疾患を有する患者:観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含有する製剤の非臨床試験及び臨床試験において、骨密度低下と骨代謝生化学マーカー上昇が認められ、骨代謝亢進が示唆された。また、抗HIV薬による治療経験がないHIV−1感染患者に対し、テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含有する製剤が投与された臨床試験において、骨密度が低下した症例が認められた)。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重度腎機能障害のある患者:エムトリシタビンの血中濃度が上昇する〔16.6.3参照〕。

相互作用

リルピビリンは、主にCYP3Aにより代謝される。

テノホビル及びエムトリシタビンは、糸球体ろ過と能動的な尿細管分泌により腎排泄される。

テノホビル アラフェナミドは、カテプシンA、CYP3A及びP糖蛋白の基質である。

10.1. 併用禁忌:

1). リファンピシン<リファジン>、リファブチン<ミコブティン>〔2.2、16.7.2参照〕[リルピビリン・テノホビルアラフェナミドの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進され、これらの薬剤のP糖蛋白誘導作用により、テノホビル アラフェナミドの血漿中濃度が低下するおそれがある)]。

2). カルバマゼピン<テグレトール>、フェノバルビタール<フェノバール等>、フェニトイン<アレビアチン、ヒダントール>、フェニトイン・フェノバルビタール<ヒダントールD/E/F、複合アレビアチン>、ホスフェニトイン<ホストイン>〔2.2参照〕、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)〔2.2参照〕[リルピビリン・テノホビルアラフェナミドの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進され、これらの薬剤のP糖蛋白誘導作用により、テノホビル アラフェナミドの血漿中濃度が低下するおそれがある)]。

3). デキサメタゾン<全身投与><単回投与を除く><デカドロン等>〔2.2参照〕[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される)]。

4). プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール<オメプラール、オメプラゾン>、ランソプラゾール<タケプロン>、アスピリン・ランソプラゾール<タケルダ>、ラベプラゾール<パリエット>、エソメプラゾール<ネキシウム>、ボノプラザンフマル酸塩<タケキャブ>、アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩<キャブピリン>)〔2.2、16.7.2参照〕[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する)]。

10.2. 併用注意:

1). H2遮断剤(ファモチジン、シメチジン、ニザチジン、ラニチジン)〔16.7.2参照〕[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤は、本剤投与の12時間以上前又は4時間以上後に投与すること(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する)]。

2). 制酸剤<PPI・H2ブロッカー以外>(乾燥水酸化アルミニウムゲル、沈降炭酸カルシウム等)[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤は、本剤投与の2時間以上前又は4時間以上後に投与すること(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する)]。

3). クラリスロマイシン、エリスロマイシン[リルピビリンの血中濃度が上昇する可能性があるので、代替としてアジスロマイシン等を考慮すること(これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される)]。

4). メサドン〔16.7.2参照〕[メサドンの血中濃度が低下することがある(機序不明)]。

5). アシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、バルガンシクロビル等[これら薬剤・テノホビル・エムトリシタビンの血中濃度が上昇し有害事象を増強するおそれがある(尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合、排泄経路の競合により排泄が遅延する)]。

6). QT延長を起こすことが知られている薬剤(アミオダロン、ソタロール等)〔9.1.1、17.3.1参照〕[QT延長、心室性頻拍<Torsade de Pointesを含む>が発現するおそれがある(リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている)]。

7). 腎毒性を有する薬剤〔8.2、11.1.1参照〕[これらの薬剤との併用は避けることが望ましい(これらの薬剤との併用により血漿中濃度が上昇するおそれがある)]。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に肝、腎及び心機能が低下していることが多い)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物試験(サル)においてテノホビルの胎仔への移行が報告されている)。

9.5.2. 妊娠中期及び妊娠後期の妊婦に本剤を投与したとき、出産後と比較し、リルピビリン血中濃度低下が認められている〔16.6.4参照〕。

(授乳婦)

授乳を避けさせること(なお、HIV感染女性患者は、乳児のHIV感染を避けるため、乳児に母乳を与えないことが望ましい)、テノホビル及びエムトリシタビンのヒト乳汁への移行が報告されているが、テノホビル アラフェナミドのヒト乳汁への移行は不明であり、また、リルピビリンは、動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されているが、ヒト乳汁への移行は不明である。

小児等

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は12歳未満の小児又は体重35kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。

過量投与

13.1. 処置

過量投与時、エムトリシタビン及びテノホビルは血液透析により一部除去される。

適用上の注意、取扱い上の注意

(取扱い上の注意)

20.1. 開栓後は、湿気を避けて保管すること。

20.2. 小児の手の届かない所に保管すること。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

オデフシィ配合錠
後発品はありません
オデフシィ配合錠
オデフシィ配合錠

オデフシィ配合錠

抗HIV薬・抗HIV薬 > 非核酸 (非ヌクレオシド) 系HIV逆転写酵素阻害薬 (NNRTI) ・核酸 (ヌクレオシド) 系HIV逆転写酵素阻害薬 (NRTI)
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用法・用量

通常、成人及び12歳以上かつ体重35kg以上の小児には、1回1錠(リルピビリンとして25mg、テノホビル アラフェナミドとして25mg及びエムトリシタビンとして200mgを含有)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 本剤は、HIV−1感染症に対して1剤で治療を行うものであるため、他の抗HIV薬と併用しないこと。また、エムトリシタビンと類似の薬剤耐性、ウイルス学的特性を有しているラミブジンを含む製剤と併用しないこと。

7.2. 本剤はリルピビリン塩酸塩、テノホビル アラフェナミドフマル酸塩及びエムトリシタビンを含有する配合剤であるので、リルピビリン塩酸塩を含む製剤、テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含む製剤及びエムトリシタビンを含む製剤又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む製剤と併用しないこと。

7.3. 本剤投与後、クレアチニンクリアランスが30mL/min未満に低下した場合は、投与の中止を考慮すること〔8.2、16.6.3参照〕。

効能・効果

HIV−1感染症。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 次のいずれかのHIV−1感染患者に使用すること〔17.1.3、17.1.4参照〕。

・ 抗HIV薬の治療経験がなく、HIV−1 RNA量100000copies/mL以下である患者に使用すること。

・ ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制が得られており、リルピビリン、テノホビル又はエムトリシタビンに対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される抗HIV薬既治療患者に使用すること(ウイルス学的抑制:HIV−1 RNA量が50copies/mL未満)。

5.2. 本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。

5.3. 未治療のHIV−1感染患者を対象としたリルピビリンの海外臨床第3相試験において、次の結果が得られていることから、本剤による治療開始時には、これらの情報について考慮すること。

5.3.1. リルピビリンの海外臨床第3相試験において、ウイルス学的失敗例で、背景治療であるラミブジン/エムトリシタビン関連耐性の発現割合は、エファビレンツ群(対照薬群)よりもリルピビリン群で高かった〔18.3.2参照〕。

5.3.2. リルピビリンの海外臨床第3相試験において、ベースラインCD4陽性リンパ球数200cells/μL未満の被験者では、200cells/μL以上の被験者と比べて、ウイルス学的失敗例の割合が高かった〔17.1.3、17.1.4参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 重度の腎機能障害(頻度不明):急性腎障害、腎不全、腎尿細管壊死、ファンコニー症候群、近位尿細管腎症、間質性腎炎(急性間質性腎炎を含む)、腎性尿崩症等の重度腎機能障害があらわれることがあるので、臨床検査値に異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤投与中の患者では注意すること)〔10.2参照〕。

11.1.2. 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)(頻度不明):乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は肝細胞毒性が疑われる検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には、本剤の投与を一時中止すること(特に、肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること)。

テノホビル又はエムトリシタビンを含む核酸系逆転写酵素阻害剤の単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)が、女性に多く報告されている。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 免疫系障害:(頻度不明)免疫再構築症候群。

2). 代謝及び栄養障害:(0.5%未満)食欲減退、(頻度不明)体重増加、体脂肪再分布/体脂肪蓄積。

3). 精神障害:(0.5%以上)不眠症、異常な夢、(0.5%未満)うつ病、睡眠障害、(頻度不明)抑うつ気分。

4). 神経系障害:(0.5%以上)頭痛、(0.5%未満)浮動性めまい、傾眠。

5). 胃腸障害:(0.5%以上)下痢、鼓腸、悪心、(0.5%未満)腹痛、嘔吐、腹部不快感、消化不良。

6). 肝胆道系障害:(頻度不明)トランスアミナーゼ上昇。

7). 皮膚及び皮下組織障害:(0.5%未満)発疹、(頻度不明)血管性浮腫、蕁麻疹。

8). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(0.5%未満)疲労。

警告

B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、本剤の投与中止により、重症化するおそれがあるので注意すること〔9.1.3参照〕。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. リファンピシン投与中、リファブチン投与中、カルバマゼピン投与中、フェノバルビタール投与中、フェニトイン投与中、フェニトイン・フェノバルビタール投与中、ホスフェニトイン投与中、デキサメタゾン<全身投与><単回投与を除く>投与中、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品摂取中(St.John’s Wort)、プロトンポンプ阻害剤投与中(オメプラゾール、ランソプラゾール、アスピリン・ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、ボノプラザンフマル酸塩、アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩)の患者〔10.1参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。

8.1.1. 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。

8.1.2. 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。

8.1.3. 本剤を処方どおりに毎日服用すること。また、担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。

8.1.4. 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に担当医に相談すること。

8.2. 本剤投与前は、クレアチニンクリアランス等の腎機能検査を実施し、腎機能障害の有無を確認すること。投与開始時に、クレアチニンクリアランスが30mL/min以上であることを確認すること。また、本剤投与後も定期的な検査等により、患者の状態を注意深く観察すること〔7.3、9.1.2、10.2、16.6.3参照〕。

8.3. 抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること)。

8.4. エムトリシタビン製剤の試験において皮膚変色が発現し、その発現頻度は有色人種に高いことが示唆されている。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 不整脈を起こしやすい患者:低カリウム血症、著しい徐脈、急性心筋虚血、うっ血性心不全、先天性QT延長症候群等の患者では、QT延長により不整脈が発現するおそれがある(リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている)〔10.2、17.3.1参照〕。

9.1.2. 腎機能障害のリスクを有する患者:クレアチニンクリアランス及び血清リンの検査を実施すること〔8.2参照〕。

9.1.3. B型肝炎ウイルス(HBV)感染を合併している患者。

(1). B型肝炎ウイルス感染(HBV感染)を合併している患者:本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、本剤の投与中止により、重症化するおそれがある。

(2). B型肝炎ウイルス感染(HBV感染)を合併している患者:定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(リルピビリン製剤の海外臨床第3相試験において、これらの患者では、肝臓関連有害事象(臨床検査値異常を含む)の発現頻度が非重複感染患者より高かった[重複感染患者33.3%(18/54例)、非重複感染患者4.9%(31/632例)])〔1.警告の項参照〕。

(3). B型肝炎ウイルス感染(HBV感染)を合併している患者:本剤中止後数ヵ月間は、定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと(本剤中止後に肝炎が悪化した場合、非代償性肝不全となる可能性があるので、必要に応じて抗HBV薬の投与を考慮すること、本剤の投与中止により、急激な肝炎悪化がみられるおそれがある)〔1.警告の項参照〕。

9.1.4. C型肝炎ウイルス感染を合併している患者:定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(リルピビリン製剤の海外臨床第3相試験において、これらの患者では、肝臓関連有害事象(臨床検査値異常を含む)の発現頻度が非重複感染患者より高かった[重複感染患者33.3%(18/54例)、非重複感染患者4.9%(31/632例)])。

9.1.5. 病的骨折の既往のある患者又はその他の慢性骨疾患を有する患者:観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含有する製剤の非臨床試験及び臨床試験において、骨密度低下と骨代謝生化学マーカー上昇が認められ、骨代謝亢進が示唆された。また、抗HIV薬による治療経験がないHIV−1感染患者に対し、テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含有する製剤が投与された臨床試験において、骨密度が低下した症例が認められた)。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重度腎機能障害のある患者:エムトリシタビンの血中濃度が上昇する〔16.6.3参照〕。

相互作用

リルピビリンは、主にCYP3Aにより代謝される。

テノホビル及びエムトリシタビンは、糸球体ろ過と能動的な尿細管分泌により腎排泄される。

テノホビル アラフェナミドは、カテプシンA、CYP3A及びP糖蛋白の基質である。

10.1. 併用禁忌:

1). リファンピシン<リファジン>、リファブチン<ミコブティン>〔2.2、16.7.2参照〕[リルピビリン・テノホビルアラフェナミドの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進され、これらの薬剤のP糖蛋白誘導作用により、テノホビル アラフェナミドの血漿中濃度が低下するおそれがある)]。

2). カルバマゼピン<テグレトール>、フェノバルビタール<フェノバール等>、フェニトイン<アレビアチン、ヒダントール>、フェニトイン・フェノバルビタール<ヒダントールD/E/F、複合アレビアチン>、ホスフェニトイン<ホストイン>〔2.2参照〕、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)〔2.2参照〕[リルピビリン・テノホビルアラフェナミドの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進され、これらの薬剤のP糖蛋白誘導作用により、テノホビル アラフェナミドの血漿中濃度が低下するおそれがある)]。

3). デキサメタゾン<全身投与><単回投与を除く><デカドロン等>〔2.2参照〕[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される)]。

4). プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール<オメプラール、オメプラゾン>、ランソプラゾール<タケプロン>、アスピリン・ランソプラゾール<タケルダ>、ラベプラゾール<パリエット>、エソメプラゾール<ネキシウム>、ボノプラザンフマル酸塩<タケキャブ>、アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩<キャブピリン>)〔2.2、16.7.2参照〕[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する)]。

10.2. 併用注意:

1). H2遮断剤(ファモチジン、シメチジン、ニザチジン、ラニチジン)〔16.7.2参照〕[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤は、本剤投与の12時間以上前又は4時間以上後に投与すること(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する)]。

2). 制酸剤<PPI・H2ブロッカー以外>(乾燥水酸化アルミニウムゲル、沈降炭酸カルシウム等)[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤は、本剤投与の2時間以上前又は4時間以上後に投与すること(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する)]。

3). クラリスロマイシン、エリスロマイシン[リルピビリンの血中濃度が上昇する可能性があるので、代替としてアジスロマイシン等を考慮すること(これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される)]。

4). メサドン〔16.7.2参照〕[メサドンの血中濃度が低下することがある(機序不明)]。

5). アシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、バルガンシクロビル等[これら薬剤・テノホビル・エムトリシタビンの血中濃度が上昇し有害事象を増強するおそれがある(尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合、排泄経路の競合により排泄が遅延する)]。

6). QT延長を起こすことが知られている薬剤(アミオダロン、ソタロール等)〔9.1.1、17.3.1参照〕[QT延長、心室性頻拍<Torsade de Pointesを含む>が発現するおそれがある(リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている)]。

7). 腎毒性を有する薬剤〔8.2、11.1.1参照〕[これらの薬剤との併用は避けることが望ましい(これらの薬剤との併用により血漿中濃度が上昇するおそれがある)]。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に肝、腎及び心機能が低下していることが多い)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物試験(サル)においてテノホビルの胎仔への移行が報告されている)。

9.5.2. 妊娠中期及び妊娠後期の妊婦に本剤を投与したとき、出産後と比較し、リルピビリン血中濃度低下が認められている〔16.6.4参照〕。

(授乳婦)

授乳を避けさせること(なお、HIV感染女性患者は、乳児のHIV感染を避けるため、乳児に母乳を与えないことが望ましい)、テノホビル及びエムトリシタビンのヒト乳汁への移行が報告されているが、テノホビル アラフェナミドのヒト乳汁への移行は不明であり、また、リルピビリンは、動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されているが、ヒト乳汁への移行は不明である。

小児等

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は12歳未満の小児又は体重35kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。

過量投与

13.1. 処置

過量投与時、エムトリシタビン及びテノホビルは血液透析により一部除去される。

適用上の注意、取扱い上の注意

(取扱い上の注意)

20.1. 開栓後は、湿気を避けて保管すること。

20.2. 小児の手の届かない所に保管すること。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

後発品はありません
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