薬剤情報
後発品
薬効分類局所麻酔薬
一般名リドカイン塩酸塩注射液
薬価59
メーカーサンドファーマ
最終更新2023年09月改訂(第1版)

用法・用量

通常、成人に対してリドカイン塩酸塩として、1回200mg(40mL)を基準最高用量とする。ただし、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減する。

なお、各種麻酔方法による用量は次のとおりである。()内は注射液としての用量である。

1). 硬膜外麻酔:25〜150mg(5〜30mL)。

2). 硬膜外麻酔[交感神経遮断]:25〜100mg(5〜20mL)。

3). 伝達麻酔:15〜200mg(3〜40mL)。

4). 伝達麻酔[指趾神経遮断]:15〜50mg(3〜10mL)。

5). 伝達麻酔[肋間神経遮断]:25mgまで(5mLまで)。

6). 浸潤麻酔:10〜200mg(2〜40mL)。

7). 静脈内区域麻酔[上肢手術]:200mgまで(40mLまで)。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈上肢手術における静脈内区域麻酔〉上肢手術における静脈内区域麻酔の場合、注入後20分以内は駆血帯を解除しないこと。

7.2. 〈上肢手術における静脈内区域麻酔〉静脈内区域麻酔には、血管収縮剤(アドレナリン等)を添加しないこと。

効能・効果

硬膜外麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔、上肢手術における静脈内区域麻酔。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 〈効能共通〉ショック(頻度不明):徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こしたとの報告がある。

11.1.2. 〈効能共通〉意識障害、振戦、痙攣(いずれも頻度不明):意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと〔13.過量投与の項参照〕。

11.1.3. 〈硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔〉異常感覚、知覚・運動障害(いずれも頻度不明):注射針又はカテーテルの留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性異常感覚が発現することがある。また、硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔時、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害、硬膜外麻酔では神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、膀胱直腸障害等の神経学的疾患があらわれることがある。

11.1.4. 〈硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔〉悪性高熱(頻度不明):まれに原因不明の頻脈・不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋強直、血液暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿(ポートワイン色尿)等を伴う重篤な悪性高熱があらわれることがあるので、本剤を投与中、悪性高熱に伴うこれらの症状を認めた場合は、直ちに投与を中止し、ダントロレンナトリウムの静注、全身冷却、純酸素による過換気、酸塩基平衡の是正等、適切な処置を行うこと(また、本症は腎不全を続発することがあるので、尿量の維持を図ること)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 中枢神経:(頻度不明)眠気、不安、興奮、霧視、眩暈等[このような症状があらわれた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがある]。

2). 消化器:(頻度不明)悪心・嘔吐等[このような症状があらわれた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがある]。

3). 過敏症:(頻度不明)蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫等。

禁忌

2.1. 〈効能共通〉本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 〈硬膜外麻酔〉大量出血やショック状態の患者[過度の血圧低下が起こることがある]。

2.3. 〈硬膜外麻酔〉注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある]。

2.4. 〈硬膜外麻酔〉敗血症の患者[敗血症性髄膜炎を生じるおそれがある]。

重要な基本的注意

8.1. 〈効能共通〉まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておくこと。なお、事前の静脈路確保が望ましい。

8.2. 〈効能共通〉本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の点に留意すること。

8.2.1. 〈効能共通〉患者の全身状態の観察を十分に行うこと。

8.2.2. 〈効能共通〉できるだけ薄い濃度のものを用いること。

8.2.3. 〈効能共通〉できるだけ必要最少量にとどめること。

8.2.4. 〈効能共通〉前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、鎮静薬、鎮痛薬等を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい(なお、高齢者、小児、全身状態不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと)〔9.1.1、9.7小児等、9.8高齢者の項参照〕。

8.3. 〈硬膜外麻酔〉本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の点に留意すること。

8.3.1. 〈硬膜外麻酔〉必要に応じて血管収縮剤の併用を考慮すること。

8.3.2. 〈硬膜外麻酔〉注射の速度はできるだけ遅くすること。

8.3.3. 〈硬膜外麻酔〉硬膜外麻酔の場合、注射針が、血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。

8.3.4. 〈硬膜外麻酔〉硬膜外麻酔の場合、試験的に注入(test dose)し、注射針又はカテーテルが適切に留置されていることを確認すること。

8.3.5. 〈硬膜外麻酔〉麻酔範囲が予期した以上に広がることにより、過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制を来すことがあるので、麻酔範囲に注意すること。

8.4. 〈硬膜外麻酔〉注射針又はカテーテルが適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。

8.5. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の点に留意すること。

8.5.1. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉必要に応じて血管収縮剤の併用を考慮すること。

8.5.2. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉注射の速度はできるだけ遅くすること。

8.5.3. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉伝達麻酔・浸潤麻酔の場合、注射針が、血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。

8.5.4. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉血管の多い部位(頭部、顔面、扁桃等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少量を投与すること。

8.6. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉注射針又はカテーテルが適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。

8.7. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時は次の点に留意すること。

8.7.1. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時、持続性眼筋運動障害が発現するおそれがあるので、できるだけ薄い濃度で、必要最少量を用いることとし、外眼筋内への注入は避けること(また、血管収縮剤は眼筋運動障害を悪化させることがあるので、必要な場合にのみ使用すること)。

8.7.2. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時、視神経鞘内への誤注入により、一過性失明、心肺停止を起こすことがあるので、注射針はできるだけ短く、先の鈍いものを使用することが望ましい。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 〈効能共通〉全身状態不良な患者:生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある〔8.2.4参照〕。

9.1.2. 〈効能共通〉心刺激伝導障害のある患者:症状を悪化させることがある。

9.1.3. 〈硬膜外麻酔〉中枢神経系疾患:髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者及び脊髄に腫瘍・脊椎に腫瘍又は脊髄に結核・脊椎に結核等のある患者:硬膜外麻酔により病状が悪化するおそれがある。

9.1.4. 〈硬膜外麻酔〉血液凝固障害や抗凝血薬投与中の患者:やむを得ず投与する場合は観察を十分に行うこと(出血しやすいため、血腫形成や脊髄障害を起こすことがある)。

9.1.5. 〈硬膜外麻酔〉脊柱に著明な変形のある患者:やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行うこと(脊髄損傷や神経根損傷のおそれがあり、また麻酔範囲の予測も困難である)。

9.1.6. 〈硬膜外麻酔〉腹部腫瘤のある患者:投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと(仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中はさらに増悪することがある)。

9.1.7. 〈硬膜外麻酔〉重篤な高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者:患者の全身状態の観察を十分に行うこと(血圧低下や病状の悪化が起こりやすい)。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重篤な腎機能障害のある患者:中毒症状が発現しやすくなる。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重篤な肝機能障害のある患者:中毒症状が発現しやすくなる。

相互作用

本剤は、主として肝代謝酵素CYP1A2及びCYP3A4で代謝される。

10.2. 併用注意:

クラス3抗不整脈剤(アミオダロン等)[心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと(作用が増強することが考えられる)]。

高齢者

〈硬膜外麻酔〉投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与すること(一般に麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下している)〔8.2.4参照〕。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

9.5.1. 〈効能共通〉妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.5.2. 〈硬膜外麻酔〉妊娠後期の患者には、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与すること(妊娠末期は、仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中はさらに増悪することがある)。

9.5.3. 〈伝達麻酔〉傍頸管ブロックにより胎児の徐脈を起こすおそれがある。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト乳汁中への移行が報告されている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない〔8.2.4参照〕。

過量投与

過量投与時、局所麻酔剤の血中濃度の上昇に伴い、中毒が発現する。特に誤って血管内に投与した場合には、数分以内に発現することがあり、その症状は、主に中枢神経系症状及び心血管系症状としてあらわれる〔11.1.2参照〕。

13.1. 症状

13.1.1. 中枢神経系症状:過量投与時、初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦等があらわれる(症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがあり、より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある)。

13.1.2. 心血管系症状:過量投与時、血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。

13.2. 処置

過量投与時、振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤調製時の注意

本剤の容器は、ポリエチレン製のため、高圧蒸気滅菌をしないこと。

14.2. 薬剤投与後の注意

14.2.1. 開封後の使用は1回限りとし、残液は廃棄すること。

14.2.2. 本剤は金属を侵す性質があるので、長時間金属器具(カニューレ、注射針等)に接触させないことが望ましい(なお、金属器具を使用した場合は、使用後十分に水洗すること)。

(取扱い上の注意)

薬液の漏出や容器に破損が認められるものは使用しないこと。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. ポルフィリン症の患者に投与した場合、急性腹症、四肢麻痺、意識障害等の急性症状を誘発するおそれがある。

15.1.2. 因果関係は明らかでないが、外国において術後に本剤を関節内(特に肩関節)に持続投与された患者で軟骨融解を発現したとの報告がある。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

保険給付上の注意、その他上記以外の使用上の注意

(参考情報)

ポリアンプの切り離し方法

1. トップタブの切れ目付近を両手で持ち切り離す。

2. 首部に負荷がかからないように固定し、5連ポリアンプを1.の切れ目に沿って上部から下部に向かって切り離す。

3. 首部を持ち、トップタブを端から横方向に切り離す。

4. 首部を持ち、ポリアンプの上部から下部に向かって1本ずつ切り離す。

ポリアンプを個々に切り離す際、アンプル下部から切り離すと、首部(開封時に切断される部分:添付文書図の矢印参照)に負荷がかかり、液漏れが発生することがあるので、ポリアンプは、必ず上部から下部に向かって切り離すこと。

ポリアンプの開封方法

1. ポリアンプを一振りして、首の部分に溜まっている液体を落とす。

2. ポリアンプ本体の肩の部分を持ち、上部をねじって取り外す。このとき本体を強く握らないこと。

キシロカイン注ポリアンプ0.5%
キシロカイン注ポリアンプ0.5%

キシロカイン注ポリアンプ0.5%

局所麻酔薬
2023年09月改訂(第1版)
薬剤情報
後発品
薬効分類局所麻酔薬
一般名リドカイン塩酸塩注射液
薬価59
メーカーサンドファーマ
最終更新2023年09月改訂(第1版)

用法・用量

通常、成人に対してリドカイン塩酸塩として、1回200mg(40mL)を基準最高用量とする。ただし、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減する。

なお、各種麻酔方法による用量は次のとおりである。()内は注射液としての用量である。

1). 硬膜外麻酔:25〜150mg(5〜30mL)。

2). 硬膜外麻酔[交感神経遮断]:25〜100mg(5〜20mL)。

3). 伝達麻酔:15〜200mg(3〜40mL)。

4). 伝達麻酔[指趾神経遮断]:15〜50mg(3〜10mL)。

5). 伝達麻酔[肋間神経遮断]:25mgまで(5mLまで)。

6). 浸潤麻酔:10〜200mg(2〜40mL)。

7). 静脈内区域麻酔[上肢手術]:200mgまで(40mLまで)。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈上肢手術における静脈内区域麻酔〉上肢手術における静脈内区域麻酔の場合、注入後20分以内は駆血帯を解除しないこと。

7.2. 〈上肢手術における静脈内区域麻酔〉静脈内区域麻酔には、血管収縮剤(アドレナリン等)を添加しないこと。

効能・効果

硬膜外麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔、上肢手術における静脈内区域麻酔。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 〈効能共通〉ショック(頻度不明):徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こしたとの報告がある。

11.1.2. 〈効能共通〉意識障害、振戦、痙攣(いずれも頻度不明):意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと〔13.過量投与の項参照〕。

11.1.3. 〈硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔〉異常感覚、知覚・運動障害(いずれも頻度不明):注射針又はカテーテルの留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性異常感覚が発現することがある。また、硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔時、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害、硬膜外麻酔では神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、膀胱直腸障害等の神経学的疾患があらわれることがある。

11.1.4. 〈硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔〉悪性高熱(頻度不明):まれに原因不明の頻脈・不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋強直、血液暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿(ポートワイン色尿)等を伴う重篤な悪性高熱があらわれることがあるので、本剤を投与中、悪性高熱に伴うこれらの症状を認めた場合は、直ちに投与を中止し、ダントロレンナトリウムの静注、全身冷却、純酸素による過換気、酸塩基平衡の是正等、適切な処置を行うこと(また、本症は腎不全を続発することがあるので、尿量の維持を図ること)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 中枢神経:(頻度不明)眠気、不安、興奮、霧視、眩暈等[このような症状があらわれた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがある]。

2). 消化器:(頻度不明)悪心・嘔吐等[このような症状があらわれた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがある]。

3). 過敏症:(頻度不明)蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫等。

禁忌

2.1. 〈効能共通〉本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 〈硬膜外麻酔〉大量出血やショック状態の患者[過度の血圧低下が起こることがある]。

2.3. 〈硬膜外麻酔〉注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある]。

2.4. 〈硬膜外麻酔〉敗血症の患者[敗血症性髄膜炎を生じるおそれがある]。

重要な基本的注意

8.1. 〈効能共通〉まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておくこと。なお、事前の静脈路確保が望ましい。

8.2. 〈効能共通〉本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の点に留意すること。

8.2.1. 〈効能共通〉患者の全身状態の観察を十分に行うこと。

8.2.2. 〈効能共通〉できるだけ薄い濃度のものを用いること。

8.2.3. 〈効能共通〉できるだけ必要最少量にとどめること。

8.2.4. 〈効能共通〉前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、鎮静薬、鎮痛薬等を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい(なお、高齢者、小児、全身状態不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと)〔9.1.1、9.7小児等、9.8高齢者の項参照〕。

8.3. 〈硬膜外麻酔〉本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の点に留意すること。

8.3.1. 〈硬膜外麻酔〉必要に応じて血管収縮剤の併用を考慮すること。

8.3.2. 〈硬膜外麻酔〉注射の速度はできるだけ遅くすること。

8.3.3. 〈硬膜外麻酔〉硬膜外麻酔の場合、注射針が、血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。

8.3.4. 〈硬膜外麻酔〉硬膜外麻酔の場合、試験的に注入(test dose)し、注射針又はカテーテルが適切に留置されていることを確認すること。

8.3.5. 〈硬膜外麻酔〉麻酔範囲が予期した以上に広がることにより、過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制を来すことがあるので、麻酔範囲に注意すること。

8.4. 〈硬膜外麻酔〉注射針又はカテーテルが適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。

8.5. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の点に留意すること。

8.5.1. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉必要に応じて血管収縮剤の併用を考慮すること。

8.5.2. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉注射の速度はできるだけ遅くすること。

8.5.3. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉伝達麻酔・浸潤麻酔の場合、注射針が、血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。

8.5.4. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉血管の多い部位(頭部、顔面、扁桃等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少量を投与すること。

8.6. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉注射針又はカテーテルが適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。

8.7. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時は次の点に留意すること。

8.7.1. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時、持続性眼筋運動障害が発現するおそれがあるので、できるだけ薄い濃度で、必要最少量を用いることとし、外眼筋内への注入は避けること(また、血管収縮剤は眼筋運動障害を悪化させることがあるので、必要な場合にのみ使用すること)。

8.7.2. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時、視神経鞘内への誤注入により、一過性失明、心肺停止を起こすことがあるので、注射針はできるだけ短く、先の鈍いものを使用することが望ましい。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 〈効能共通〉全身状態不良な患者:生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある〔8.2.4参照〕。

9.1.2. 〈効能共通〉心刺激伝導障害のある患者:症状を悪化させることがある。

9.1.3. 〈硬膜外麻酔〉中枢神経系疾患:髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者及び脊髄に腫瘍・脊椎に腫瘍又は脊髄に結核・脊椎に結核等のある患者:硬膜外麻酔により病状が悪化するおそれがある。

9.1.4. 〈硬膜外麻酔〉血液凝固障害や抗凝血薬投与中の患者:やむを得ず投与する場合は観察を十分に行うこと(出血しやすいため、血腫形成や脊髄障害を起こすことがある)。

9.1.5. 〈硬膜外麻酔〉脊柱に著明な変形のある患者:やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行うこと(脊髄損傷や神経根損傷のおそれがあり、また麻酔範囲の予測も困難である)。

9.1.6. 〈硬膜外麻酔〉腹部腫瘤のある患者:投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと(仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中はさらに増悪することがある)。

9.1.7. 〈硬膜外麻酔〉重篤な高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者:患者の全身状態の観察を十分に行うこと(血圧低下や病状の悪化が起こりやすい)。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 重篤な腎機能障害のある患者:中毒症状が発現しやすくなる。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重篤な肝機能障害のある患者:中毒症状が発現しやすくなる。

相互作用

本剤は、主として肝代謝酵素CYP1A2及びCYP3A4で代謝される。

10.2. 併用注意:

クラス3抗不整脈剤(アミオダロン等)[心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと(作用が増強することが考えられる)]。

高齢者

〈硬膜外麻酔〉投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与すること(一般に麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下している)〔8.2.4参照〕。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

9.5.1. 〈効能共通〉妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.5.2. 〈硬膜外麻酔〉妊娠後期の患者には、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与すること(妊娠末期は、仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中はさらに増悪することがある)。

9.5.3. 〈伝達麻酔〉傍頸管ブロックにより胎児の徐脈を起こすおそれがある。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト乳汁中への移行が報告されている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない〔8.2.4参照〕。

過量投与

過量投与時、局所麻酔剤の血中濃度の上昇に伴い、中毒が発現する。特に誤って血管内に投与した場合には、数分以内に発現することがあり、その症状は、主に中枢神経系症状及び心血管系症状としてあらわれる〔11.1.2参照〕。

13.1. 症状

13.1.1. 中枢神経系症状:過量投与時、初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦等があらわれる(症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがあり、より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある)。

13.1.2. 心血管系症状:過量投与時、血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。

13.2. 処置

過量投与時、振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤調製時の注意

本剤の容器は、ポリエチレン製のため、高圧蒸気滅菌をしないこと。

14.2. 薬剤投与後の注意

14.2.1. 開封後の使用は1回限りとし、残液は廃棄すること。

14.2.2. 本剤は金属を侵す性質があるので、長時間金属器具(カニューレ、注射針等)に接触させないことが望ましい(なお、金属器具を使用した場合は、使用後十分に水洗すること)。

(取扱い上の注意)

薬液の漏出や容器に破損が認められるものは使用しないこと。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. ポルフィリン症の患者に投与した場合、急性腹症、四肢麻痺、意識障害等の急性症状を誘発するおそれがある。

15.1.2. 因果関係は明らかでないが、外国において術後に本剤を関節内(特に肩関節)に持続投与された患者で軟骨融解を発現したとの報告がある。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

保険給付上の注意、その他上記以外の使用上の注意

(参考情報)

ポリアンプの切り離し方法

1. トップタブの切れ目付近を両手で持ち切り離す。

2. 首部に負荷がかからないように固定し、5連ポリアンプを1.の切れ目に沿って上部から下部に向かって切り離す。

3. 首部を持ち、トップタブを端から横方向に切り離す。

4. 首部を持ち、ポリアンプの上部から下部に向かって1本ずつ切り離す。

ポリアンプを個々に切り離す際、アンプル下部から切り離すと、首部(開封時に切断される部分:添付文書図の矢印参照)に負荷がかかり、液漏れが発生することがあるので、ポリアンプは、必ず上部から下部に向かって切り離すこと。

ポリアンプの開封方法

1. ポリアンプを一振りして、首の部分に溜まっている液体を落とす。

2. ポリアンプ本体の肩の部分を持ち、上部をねじって取り外す。このとき本体を強く握らないこと。

薬剤情報

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※ ご使用いただく際に、必ず最新の添付文書および安全性情報も併せてご確認下さい。