薬剤情報
後発品
薬効分類糖尿病薬・糖尿病薬 > 選択的ジペプチジルペプチダーゼ−4 (DPP−4) 阻害薬・選択的SGLT2阻害薬
一般名テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物・カナグリフロジン水和物配合剤錠
薬価220
メーカー田辺三菱製薬
最終更新2023年11月改訂(第4版)

用法・用量

通常、成人には1日1回1錠(テネリグリプチン/カナグリフロジンとして20mg/100mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する。

効能・効果

2型糖尿病(ただし、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物及びカナグリフロジン水和物の併用による治療が適切と判断される場合に限る)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。

5.2. 原則として、既にテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(テネリグリプチンとして1日20mg)及びカナグリフロジン水和物(カナグリフロジンとして1日100mg)を併用し状態が安定している場合に、使用を検討、あるいはテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(テネリグリプチンとして1日20mg)又はカナグリフロジン水和物(カナグリフロジンとして1日100mg)の単剤治療により効果不十分な場合に、使用を検討すること。

5.3. 本剤は2型糖尿病と診断された患者に対してのみ使用すること。

5.4. 高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の有効成分であるカナグリフロジン水和物の効果が期待できないため、投与しないこと〔8.7、9.2.1、16.6.1参照〕。

5.5. 中等度腎機能障害患者では本剤の有効成分であるカナグリフロジン水和物の効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること〔8.7、9.2.2、16.6.1参照〕。

5.6. 本剤投与中において、本剤の投与がテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物及びカナグリフロジン水和物の各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。

5.7. 本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 低血糖:低血糖症状が発現するおそれがある。他のDPP−4阻害剤で、スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来たす例やカナグリフロジンの海外臨床試験では、インスリン製剤との併用で低血糖が報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行い、α−グルコシダーゼ阻害薬との併用時に低血糖症状が認められた場合には、ブドウ糖を投与すること〔8.1、8.11、9.1.2、10.2、17.1.3参照〕。

11.1.2. 脱水(頻度不明):口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと(脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されている)〔8.2、9.1.3、9.8.2、10.2参照〕。

11.1.3. ケトアシドーシス(頻度不明):ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがある〔8.8参照〕。

11.1.4. 腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症(頻度不明):腎盂腎炎、外陰部壊死性筋膜炎及び会陰部壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがある〔8.3、9.1.4参照〕。

11.1.5. 腸閉塞(頻度不明):高度便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.1.5参照〕。

11.1.6. 肝機能障害(頻度不明):AST上昇、ALT上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。

11.1.7. 間質性肺炎(頻度不明):咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、速やかに胸部CT、速やかに血清マーカー等の検査を実施すること(間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと)。

11.1.8. 類天疱瘡(頻度不明):水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1.9. 急性膵炎(頻度不明):持続的な激しい腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.12参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 精神・神経系:(0.1〜1%未満)浮動性めまい、感覚鈍麻。

2). 消化器:(1%以上)口渇、便秘、(0.1〜1%未満)裂肛、消化器カンジダ症、(頻度不明)腹部膨満、上腹部痛、悪心、下痢。

3). 循環器:(0.1〜1%未満)心筋梗塞、高血圧、起立性低血圧。

4). 泌尿器:(1%以上)頻尿、多尿、(0.1〜1%未満)膀胱炎、尿閉。

5). 皮膚:(1%以上)湿疹、(0.1〜1%未満)発疹、酒さ、足部白癬、(頻度不明)皮膚そう痒症。

6). 耳:(0.1〜1%未満)耳不快感。

7). 生殖器:(1%以上)外陰部腟カンジダ症、(0.1〜1%未満)亀頭包皮炎、外陰腟そう痒症、陰部そう痒症。

8). 臨床検査:(1%以上)血中ケトン体増加、(0.1〜1%未満)血中ブドウ糖減少。

9). 全身症状:(0.1〜1%未満)疲労、(頻度不明)空腹。

10). 筋骨格系:(頻度不明)関節痛。

11). その他:(0.1〜1%未満)熱中症。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない]。

2.3. 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない]。

重要な基本的注意

8.1. 本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること〔9.1.2、11.1.1参照〕。

8.2. 本剤の有効成分であるカナグリフロジンの利尿作用により多尿・頻尿がみられることがあり、また、体液量が減少することがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分行うこと(特に体液量減少を起こしやすい患者(高齢者、腎機能障害患者、利尿薬併用患者等)においては、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること)〔9.1.3、9.2.2、9.8.2、10.2、11.1.2参照〕。

8.3. 本剤の有効成分であるカナグリフロジンの投与により、尿路感染及び性器感染を起こし、腎盂腎炎、外陰部壊死性筋膜炎及び会陰部壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症等の重篤な感染症に至ることがあるので、十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮すること。尿路感染及び性器感染の症状及びその対処方法について患者に説明すること〔9.1.4、11.1.4参照〕。

8.4. 本剤投与中は、血糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、本剤を3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には他の治療法への変更を考慮すること。

8.5. 本剤と他の糖尿病薬の併用における安全性は検討されていない。

8.6. 本剤の有効成分であるテネリグリプチンとGLP−1受容体作動薬はいずれもGLP−1受容体を介した血糖降下作用を有しており、テネリグリプチンとGLP−1受容体作動薬を併用した臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確立されていない。

8.7. 本剤の有効成分であるカナグリフロジンの投与により、血清クレアチニン上昇又はeGFR低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査すること。腎機能障害患者においては経過を十分に観察し、継続的にeGFR45mL/min/1.73㎡未満に低下した場合は投与の中止を検討すること〔5.4、5.5、9.2.1、9.2.2参照〕。

8.8. 本剤の有効成分であるカナグリフロジンの作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により、血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し、ケトーシスがあらわれ、ケトアシドーシスに至ることがある。著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため、次の点に留意すること。

・ 悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等の症状が認められた場合には、血中又は尿中ケトン体測定を含む検査を実施すること。

・ 特に、インスリン分泌能低下、インスリン製剤減量やインスリン製剤中止、過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので、観察を十分に行うこと。

・ 患者に対し、次の点を指導すること。

1). ケトアシドーシスの症状(悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等)を指導すること。

2). ケトアシドーシスの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診することを指導すること。

3). 血糖値が高値でなくともケトアシドーシスが発現しうることを指導すること。

〔11.1.3参照〕。

8.9. 本剤の有効成分であるカナグリフロジンは、尿中グルコース排泄促進作用を有するため、排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること。

8.10. 本剤の有効成分であるカナグリフロジンの投与による体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意すること。

8.11. 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること〔11.1.1参照〕。

8.12. 急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること〔11.1.9参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 心不全<NYHA心機能分類3〜4>のある患者:使用経験がなく、安全性が確立していない。

9.1.2. 低血糖を起こすおそれのある次の患者又は状態:低血糖を起こすおそれがある[1)脳下垂体機能不全又は副腎機能不全、2)栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態、3)激しい筋肉運動、4)過度のアルコール摂取者]〔8.1、11.1.1参照〕。

9.1.3. 脱水を起こしやすい患者(血糖コントロールが極めて不良の患者、高齢者、利尿剤併用患者等):本剤の成分であるカナグリフロジンの利尿作用により脱水を起こすおそれがある〔8.2、10.2、11.1.2参照〕。

9.1.4. 尿路感染、性器感染のある患者:症状を悪化させるおそれがある〔8.3、11.1.4参照〕。

9.1.5. 腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者:腸閉塞を起こすおそれがある〔11.1.5参照〕。

9.1.6. QT延長を起こしやすい患者(先天性QT延長症候群等QT延長の既往歴又はTorsade de pointesの既往歴のある患者、重度徐脈等の不整脈又はその既往歴のある患者、うっ血性心不全等の心疾患のある患者、低カリウム血症の患者等):QT延長を起こすおそれがある。海外臨床試験において本剤の有効成分であるテネリグリプチン160mgを1日1回投与したときにQT延長が報告されている〔17.3.1参照〕。

本剤の有効成分であるテネリグリプチンの承認用量は通常、20mg/日であり、最大用量は40mg/日である。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者:投与しないこと(カナグリフロジン水和物の効果が期待できない)〔5.4、8.7、16.6.1参照〕。

9.2.2. 中等度腎機能障害患者:投与の必要性を慎重に判断すること(カナグリフロジン水和物の効果が十分に得られない可能性がある)〔5.5、8.2、8.7、16.6.1参照〕。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 高度肝機能障害患者:これらの患者(Child−Pugh分類で合計スコア9超)を対象とした臨床試験は実施していない〔16.6.2参照〕。

相互作用

テネリグリプチンは、主としてCYP3A4及びフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO1及びFMO3)により代謝される。また、カナグリフロジンは、主としてUGT1A9及びUGT2B4により代謝される。テネリグリプチン及びカナグリフロジンはP−糖蛋白質の基質であり、弱い阻害作用を示した〔16.4.1、16.4.2、16.5.1、16.5.2参照〕。

10.2. 併用注意:

1). 糖尿病用薬(スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬、α−グルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド系薬剤、チアゾリジン系薬剤、GLP−1受容体作動薬、インスリン製剤等)〔11.1.1参照〕[低血糖症状が起こるおそれがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与すること(血糖降下作用が増強される)。特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること(血糖降下作用が増強される)]。

2). 血糖降下作用を増強する薬剤(β−遮断剤、サリチル酸剤、モノアミン酸化酵素阻害剤等)[血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(血糖降下作用が増強される)]。

3). 血糖降下作用を減弱する薬剤(アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等)[血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(血糖降下作用が減弱される)]。

4). QT延長を起こすことが知られている薬剤(クラス1A抗不整脈薬(キニジン硫酸塩水和物、プロカインアミド塩酸塩等)、クラス3抗不整脈薬(アミオダロン塩酸塩、ソタロール塩酸塩等))[QT延長等が起こるおそれがある(これらの薬剤では単独投与でもQT延長がみられている)]。

5). ジゴキシン〔16.7.3参照〕[カナグリフロジン300mgとの併用によりジゴキシンのCmax及びAUCがそれぞれ36%及び20%上昇したとの報告があるため、適切な観察を行うこと(カナグリフロジンのP−糖蛋白質阻害作用による)]。

6). リファンピシン、フェニトイン、フェノバルビタール、リトナビル等〔16.7.2参照〕[カナグリフロジンとリファンピシンとの併用によりカナグリフロジンのCmax及びAUCがそれぞれ28%及び51%低下したとの報告があるため、適切な観察を行うこと(カナグリフロジンの代謝酵素であるUGT1A9及びUGT2B4をこれらの薬剤が誘導することにより、カナグリフロジンの代謝が促進される)]。

7). 利尿作用を有する薬剤(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬等)〔8.2、9.1.3、11.1.2参照〕[必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること(これらの薬剤との併用により利尿作用が増強されるおそれがある)]。

8). 炭酸リチウム[リチウムの作用が減弱されるおそれがある(血清リチウム濃度が低下する可能性がある)]。

高齢者

9.8.1. 患者の状態を観察しながら投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

9.8.2. 高齢者では脱水症状(口渇等)の認知が遅れるおそれがあるので注意すること〔8.2、11.1.2参照〕。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与しないで、インスリン製剤等を使用すること(本剤の成分であるテネリグリプチン及びカナグリフロジンの動物実験(ラット)で胎仔への移行が報告されている。また、カナグリフロジンの動物実験(ラット)で、ヒトの妊娠中期及び後期にあたる期間の曝露により、幼若動物に腎盂拡張及び尿細管拡張が報告されている)。

(授乳婦)

授乳しないことが望ましい(本剤の成分であるテネリグリプチン及びカナグリフロジンの動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。また、カナグリフロジンの動物実験(ラット)では哺育期間中に出生仔体重増加抑制や幼若動物の腎盂拡張、尿細管拡張が認められている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

臨床検査結果に及ぼす影響

カナグリフロジンの作用機序により、本剤服用中は尿糖陽性、血清1,5−AG(1,5−アンヒドログルシトール)低値を示す。尿糖及び血清1,5−AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とはならないので注意すること。

過量投与

13.1. 処置

13.1.1. テネリグリプチンの過量投与時、末期腎不全患者では、血液透析によってテネリグリプチンは投与量の15.6%が除去されたとの報告がある〔16.6.1参照〕。

13.1.2. カナグリフロジンの過量投与時、末期腎不全患者では、4時間の透析によってカナグリフロジンはほとんど除去されなかったとの報告がある〔16.6.1参照〕。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

海外で行われた脳・心血管疾患の既往を有する血糖コントロール不良な2型糖尿病又は脳・心血管疾患の高いリスクを有する血糖コントロール不良な2型糖尿病患者を対象とした大規模臨床試験において、本剤の有効成分であるカナグリフロジンとして100又は300mgを1日1回投与された患者では、プラセボを投与された患者よりも、下肢切断の発現頻度が有意に高かった(ハザード比:1.97、95%信頼区間1.41−2.75)との報告がある。

本剤の有効成分であるカナグリフロジンの承認用量は100mg/日である。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

15.2.1. カニクイザルを用いたテネリグリプチンの52週間反復経口投与毒性試験において、75mg/kg/日投与で尾表皮剥脱・尾表皮痂皮・尾表皮潰瘍、四肢表皮剥脱・四肢表皮痂皮・四肢表皮潰瘍及び耳介表皮剥脱・耳介表皮痂皮・耳介表皮潰瘍等の皮膚症状が認められた。このときのAUC0−24hは、1日40mgをヒトに投与したときの約45倍に達していた。なお、同様の毒性所見は、他の動物種(ラット、マウス及びウサギ)及びヒトでは報告されていない。

15.2.2. 雌雄ラットを用いたカナグリフロジンの2年間反復投与がん原性試験(10、30及び100mg/kg/日)において、10mg/kg/日以上の雄で精巣間細胞腫、100mg/kg/日の雌雄で副腎褐色細胞腫及び腎臓に尿細管腫瘍の発生頻度の増加が認められた(ラットにカナグリフロジン10mg/kg/日(雄)又は100mg/kg/日(雌)を反復経口投与したときの曝露量(AUC0−24h)は、最大臨床推奨用量(1日1回100mg)の約6倍又は約84倍であった)。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

カナリア配合錠
後発品はありません
カナリア配合錠
カナリア配合錠

カナリア配合錠

糖尿病薬・糖尿病薬 > 選択的ジペプチジルペプチダーゼ−4 (DPP−4) 阻害薬・選択的SGLT2阻害薬
2023年11月改訂(第4版)
薬剤情報
後発品
薬効分類糖尿病薬・糖尿病薬 > 選択的ジペプチジルペプチダーゼ−4 (DPP−4) 阻害薬・選択的SGLT2阻害薬
一般名テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物・カナグリフロジン水和物配合剤錠
薬価220
メーカー田辺三菱製薬
最終更新2023年11月改訂(第4版)

用法・用量

通常、成人には1日1回1錠(テネリグリプチン/カナグリフロジンとして20mg/100mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する。

効能・効果

2型糖尿病(ただし、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物及びカナグリフロジン水和物の併用による治療が適切と判断される場合に限る)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。

5.2. 原則として、既にテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(テネリグリプチンとして1日20mg)及びカナグリフロジン水和物(カナグリフロジンとして1日100mg)を併用し状態が安定している場合に、使用を検討、あるいはテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(テネリグリプチンとして1日20mg)又はカナグリフロジン水和物(カナグリフロジンとして1日100mg)の単剤治療により効果不十分な場合に、使用を検討すること。

5.3. 本剤は2型糖尿病と診断された患者に対してのみ使用すること。

5.4. 高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の有効成分であるカナグリフロジン水和物の効果が期待できないため、投与しないこと〔8.7、9.2.1、16.6.1参照〕。

5.5. 中等度腎機能障害患者では本剤の有効成分であるカナグリフロジン水和物の効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること〔8.7、9.2.2、16.6.1参照〕。

5.6. 本剤投与中において、本剤の投与がテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物及びカナグリフロジン水和物の各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。

5.7. 本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 低血糖:低血糖症状が発現するおそれがある。他のDPP−4阻害剤で、スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来たす例やカナグリフロジンの海外臨床試験では、インスリン製剤との併用で低血糖が報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行い、α−グルコシダーゼ阻害薬との併用時に低血糖症状が認められた場合には、ブドウ糖を投与すること〔8.1、8.11、9.1.2、10.2、17.1.3参照〕。

11.1.2. 脱水(頻度不明):口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと(脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されている)〔8.2、9.1.3、9.8.2、10.2参照〕。

11.1.3. ケトアシドーシス(頻度不明):ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがある〔8.8参照〕。

11.1.4. 腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症(頻度不明):腎盂腎炎、外陰部壊死性筋膜炎及び会陰部壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがある〔8.3、9.1.4参照〕。

11.1.5. 腸閉塞(頻度不明):高度便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.1.5参照〕。

11.1.6. 肝機能障害(頻度不明):AST上昇、ALT上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。

11.1.7. 間質性肺炎(頻度不明):咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、速やかに胸部CT、速やかに血清マーカー等の検査を実施すること(間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと)。

11.1.8. 類天疱瘡(頻度不明):水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1.9. 急性膵炎(頻度不明):持続的な激しい腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.12参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 精神・神経系:(0.1〜1%未満)浮動性めまい、感覚鈍麻。

2). 消化器:(1%以上)口渇、便秘、(0.1〜1%未満)裂肛、消化器カンジダ症、(頻度不明)腹部膨満、上腹部痛、悪心、下痢。

3). 循環器:(0.1〜1%未満)心筋梗塞、高血圧、起立性低血圧。

4). 泌尿器:(1%以上)頻尿、多尿、(0.1〜1%未満)膀胱炎、尿閉。

5). 皮膚:(1%以上)湿疹、(0.1〜1%未満)発疹、酒さ、足部白癬、(頻度不明)皮膚そう痒症。

6). 耳:(0.1〜1%未満)耳不快感。

7). 生殖器:(1%以上)外陰部腟カンジダ症、(0.1〜1%未満)亀頭包皮炎、外陰腟そう痒症、陰部そう痒症。

8). 臨床検査:(1%以上)血中ケトン体増加、(0.1〜1%未満)血中ブドウ糖減少。

9). 全身症状:(0.1〜1%未満)疲労、(頻度不明)空腹。

10). 筋骨格系:(頻度不明)関節痛。

11). その他:(0.1〜1%未満)熱中症。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない]。

2.3. 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない]。

重要な基本的注意

8.1. 本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること〔9.1.2、11.1.1参照〕。

8.2. 本剤の有効成分であるカナグリフロジンの利尿作用により多尿・頻尿がみられることがあり、また、体液量が減少することがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分行うこと(特に体液量減少を起こしやすい患者(高齢者、腎機能障害患者、利尿薬併用患者等)においては、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること)〔9.1.3、9.2.2、9.8.2、10.2、11.1.2参照〕。

8.3. 本剤の有効成分であるカナグリフロジンの投与により、尿路感染及び性器感染を起こし、腎盂腎炎、外陰部壊死性筋膜炎及び会陰部壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症等の重篤な感染症に至ることがあるので、十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮すること。尿路感染及び性器感染の症状及びその対処方法について患者に説明すること〔9.1.4、11.1.4参照〕。

8.4. 本剤投与中は、血糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、本剤を3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には他の治療法への変更を考慮すること。

8.5. 本剤と他の糖尿病薬の併用における安全性は検討されていない。

8.6. 本剤の有効成分であるテネリグリプチンとGLP−1受容体作動薬はいずれもGLP−1受容体を介した血糖降下作用を有しており、テネリグリプチンとGLP−1受容体作動薬を併用した臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確立されていない。

8.7. 本剤の有効成分であるカナグリフロジンの投与により、血清クレアチニン上昇又はeGFR低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査すること。腎機能障害患者においては経過を十分に観察し、継続的にeGFR45mL/min/1.73㎡未満に低下した場合は投与の中止を検討すること〔5.4、5.5、9.2.1、9.2.2参照〕。

8.8. 本剤の有効成分であるカナグリフロジンの作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により、血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し、ケトーシスがあらわれ、ケトアシドーシスに至ることがある。著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため、次の点に留意すること。

・ 悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等の症状が認められた場合には、血中又は尿中ケトン体測定を含む検査を実施すること。

・ 特に、インスリン分泌能低下、インスリン製剤減量やインスリン製剤中止、過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので、観察を十分に行うこと。

・ 患者に対し、次の点を指導すること。

1). ケトアシドーシスの症状(悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等)を指導すること。

2). ケトアシドーシスの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診することを指導すること。

3). 血糖値が高値でなくともケトアシドーシスが発現しうることを指導すること。

〔11.1.3参照〕。

8.9. 本剤の有効成分であるカナグリフロジンは、尿中グルコース排泄促進作用を有するため、排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること。

8.10. 本剤の有効成分であるカナグリフロジンの投与による体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意すること。

8.11. 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること〔11.1.1参照〕。

8.12. 急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること〔11.1.9参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 心不全<NYHA心機能分類3〜4>のある患者:使用経験がなく、安全性が確立していない。

9.1.2. 低血糖を起こすおそれのある次の患者又は状態:低血糖を起こすおそれがある[1)脳下垂体機能不全又は副腎機能不全、2)栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態、3)激しい筋肉運動、4)過度のアルコール摂取者]〔8.1、11.1.1参照〕。

9.1.3. 脱水を起こしやすい患者(血糖コントロールが極めて不良の患者、高齢者、利尿剤併用患者等):本剤の成分であるカナグリフロジンの利尿作用により脱水を起こすおそれがある〔8.2、10.2、11.1.2参照〕。

9.1.4. 尿路感染、性器感染のある患者:症状を悪化させるおそれがある〔8.3、11.1.4参照〕。

9.1.5. 腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者:腸閉塞を起こすおそれがある〔11.1.5参照〕。

9.1.6. QT延長を起こしやすい患者(先天性QT延長症候群等QT延長の既往歴又はTorsade de pointesの既往歴のある患者、重度徐脈等の不整脈又はその既往歴のある患者、うっ血性心不全等の心疾患のある患者、低カリウム血症の患者等):QT延長を起こすおそれがある。海外臨床試験において本剤の有効成分であるテネリグリプチン160mgを1日1回投与したときにQT延長が報告されている〔17.3.1参照〕。

本剤の有効成分であるテネリグリプチンの承認用量は通常、20mg/日であり、最大用量は40mg/日である。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者:投与しないこと(カナグリフロジン水和物の効果が期待できない)〔5.4、8.7、16.6.1参照〕。

9.2.2. 中等度腎機能障害患者:投与の必要性を慎重に判断すること(カナグリフロジン水和物の効果が十分に得られない可能性がある)〔5.5、8.2、8.7、16.6.1参照〕。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 高度肝機能障害患者:これらの患者(Child−Pugh分類で合計スコア9超)を対象とした臨床試験は実施していない〔16.6.2参照〕。

相互作用

テネリグリプチンは、主としてCYP3A4及びフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO1及びFMO3)により代謝される。また、カナグリフロジンは、主としてUGT1A9及びUGT2B4により代謝される。テネリグリプチン及びカナグリフロジンはP−糖蛋白質の基質であり、弱い阻害作用を示した〔16.4.1、16.4.2、16.5.1、16.5.2参照〕。

10.2. 併用注意:

1). 糖尿病用薬(スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬、α−グルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド系薬剤、チアゾリジン系薬剤、GLP−1受容体作動薬、インスリン製剤等)〔11.1.1参照〕[低血糖症状が起こるおそれがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与すること(血糖降下作用が増強される)。特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること(血糖降下作用が増強される)]。

2). 血糖降下作用を増強する薬剤(β−遮断剤、サリチル酸剤、モノアミン酸化酵素阻害剤等)[血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(血糖降下作用が増強される)]。

3). 血糖降下作用を減弱する薬剤(アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等)[血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(血糖降下作用が減弱される)]。

4). QT延長を起こすことが知られている薬剤(クラス1A抗不整脈薬(キニジン硫酸塩水和物、プロカインアミド塩酸塩等)、クラス3抗不整脈薬(アミオダロン塩酸塩、ソタロール塩酸塩等))[QT延長等が起こるおそれがある(これらの薬剤では単独投与でもQT延長がみられている)]。

5). ジゴキシン〔16.7.3参照〕[カナグリフロジン300mgとの併用によりジゴキシンのCmax及びAUCがそれぞれ36%及び20%上昇したとの報告があるため、適切な観察を行うこと(カナグリフロジンのP−糖蛋白質阻害作用による)]。

6). リファンピシン、フェニトイン、フェノバルビタール、リトナビル等〔16.7.2参照〕[カナグリフロジンとリファンピシンとの併用によりカナグリフロジンのCmax及びAUCがそれぞれ28%及び51%低下したとの報告があるため、適切な観察を行うこと(カナグリフロジンの代謝酵素であるUGT1A9及びUGT2B4をこれらの薬剤が誘導することにより、カナグリフロジンの代謝が促進される)]。

7). 利尿作用を有する薬剤(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬等)〔8.2、9.1.3、11.1.2参照〕[必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること(これらの薬剤との併用により利尿作用が増強されるおそれがある)]。

8). 炭酸リチウム[リチウムの作用が減弱されるおそれがある(血清リチウム濃度が低下する可能性がある)]。

高齢者

9.8.1. 患者の状態を観察しながら投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

9.8.2. 高齢者では脱水症状(口渇等)の認知が遅れるおそれがあるので注意すること〔8.2、11.1.2参照〕。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与しないで、インスリン製剤等を使用すること(本剤の成分であるテネリグリプチン及びカナグリフロジンの動物実験(ラット)で胎仔への移行が報告されている。また、カナグリフロジンの動物実験(ラット)で、ヒトの妊娠中期及び後期にあたる期間の曝露により、幼若動物に腎盂拡張及び尿細管拡張が報告されている)。

(授乳婦)

授乳しないことが望ましい(本剤の成分であるテネリグリプチン及びカナグリフロジンの動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。また、カナグリフロジンの動物実験(ラット)では哺育期間中に出生仔体重増加抑制や幼若動物の腎盂拡張、尿細管拡張が認められている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

臨床検査結果に及ぼす影響

カナグリフロジンの作用機序により、本剤服用中は尿糖陽性、血清1,5−AG(1,5−アンヒドログルシトール)低値を示す。尿糖及び血清1,5−AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とはならないので注意すること。

過量投与

13.1. 処置

13.1.1. テネリグリプチンの過量投与時、末期腎不全患者では、血液透析によってテネリグリプチンは投与量の15.6%が除去されたとの報告がある〔16.6.1参照〕。

13.1.2. カナグリフロジンの過量投与時、末期腎不全患者では、4時間の透析によってカナグリフロジンはほとんど除去されなかったとの報告がある〔16.6.1参照〕。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

海外で行われた脳・心血管疾患の既往を有する血糖コントロール不良な2型糖尿病又は脳・心血管疾患の高いリスクを有する血糖コントロール不良な2型糖尿病患者を対象とした大規模臨床試験において、本剤の有効成分であるカナグリフロジンとして100又は300mgを1日1回投与された患者では、プラセボを投与された患者よりも、下肢切断の発現頻度が有意に高かった(ハザード比:1.97、95%信頼区間1.41−2.75)との報告がある。

本剤の有効成分であるカナグリフロジンの承認用量は100mg/日である。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

15.2.1. カニクイザルを用いたテネリグリプチンの52週間反復経口投与毒性試験において、75mg/kg/日投与で尾表皮剥脱・尾表皮痂皮・尾表皮潰瘍、四肢表皮剥脱・四肢表皮痂皮・四肢表皮潰瘍及び耳介表皮剥脱・耳介表皮痂皮・耳介表皮潰瘍等の皮膚症状が認められた。このときのAUC0−24hは、1日40mgをヒトに投与したときの約45倍に達していた。なお、同様の毒性所見は、他の動物種(ラット、マウス及びウサギ)及びヒトでは報告されていない。

15.2.2. 雌雄ラットを用いたカナグリフロジンの2年間反復投与がん原性試験(10、30及び100mg/kg/日)において、10mg/kg/日以上の雄で精巣間細胞腫、100mg/kg/日の雌雄で副腎褐色細胞腫及び腎臓に尿細管腫瘍の発生頻度の増加が認められた(ラットにカナグリフロジン10mg/kg/日(雄)又は100mg/kg/日(雌)を反復経口投与したときの曝露量(AUC0−24h)は、最大臨床推奨用量(1日1回100mg)の約6倍又は約84倍であった)。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

後発品はありません
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