薬効分類 | 造血薬 > G−CSF |
一般名 | レノグラスチム (遺伝子組換え) 注射用 |
薬価 | 4668円 |
メーカー | 中外製薬 |
最終更新 | 2022年06月改訂(第2版) |
1). 造血幹細胞の末梢血中への動員
@. がん化学療法終了後の動員
成人・小児:通常、がん化学療法剤投与終了後(翌日以降)から、レノグラスチム(遺伝子組換え)として1日量5μg/kgを1日1回又は2回に分けてアフェレーシスが終了する時点まで皮下投与する。十分な動員効果が期待できないと考えられる場合には1日量の上限を10μg/kgとする。なお、状態に応じて適宜減量する。
A. 自家末梢血幹細胞移植を目的とした本剤単独による動員
成人・小児:通常、レノグラスチム(遺伝子組換え)として1日量10μg/kgを1日1回又は2回に分けて4〜6日間、アフェレーシスが終了する時点まで皮下投与する。なお、状態に応じて適宜減量する。
B. 末梢血幹細胞移植ドナーに対する本剤単独での動員
通常、成人にはレノグラスチム(遺伝子組換え)として1日量10μg/kgを1日1回又は2回に分けて4〜6日間、アフェレーシスが終了する時点まで皮下投与する。なお、状態に応じて適宜減量する。
アフェレーシス終了前に白血球数が50000/mm3以上に増加した場合は減量し、減量後、白血球数が75000/mm3に達した場合は投与を中止する。
2). 造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進
@. 成人:通常、造血幹細胞移植施行翌日ないし5日後より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回点滴静注する。
A. 小児:造血幹細胞移植施行翌日ないし5日後より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回点滴静注する。
好中球数が5000/mm3以上に増加した場合は症状を観察しながら投与を中止する。
なお、本剤投与の中止時期の指標である好中球数が緊急時等で確認できない場合には、白血球数の半数を好中球数として推定する。
なお、いずれの場合も年齢、症状により適宜増減する。
3). がん化学療法による好中球減少症
@. 急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病
成人・小児:通常、がん化学療法剤投与終了後(翌日以降)で骨髄中の芽球が十分減少し末梢血液中に芽球が認められない時点から、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与(点滴静注を含む)する。出血傾向等の問題がない場合は、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与する。
A. 悪性リンパ腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍(睾丸腫瘍、卵巣腫瘍など)、神経芽細胞腫、小児がん
成人・小児:通常、がん化学療法剤投与終了後(翌日以降)から、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与する。出血傾向等により皮下投与が困難な場合には、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与(点滴静注を含む)する。
B. その他のがん腫
成人・小児:通常、がん化学療法により好中球数1000/mm3未満で発熱(原則として38℃以上)あるいは好中球数500/mm3未満が観察された時点から、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与する。出血傾向等により皮下投与が困難な場合には、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与(点滴静注を含む)する。
また、がん化学療法により好中球数1000/mm3未満で発熱(原則として38℃以上)あるいは好中球数500/mm3未満が観察され、引き続き同一のがん化学療法を施行する症例に対しては、次回以降のがん化学療法施行時には好中球数1000/mm3未満が観察された時点から、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与する。出血傾向等により皮下投与が困難な場合は、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与(点滴静注を含む)する。
好中球数が最低値を示す時期を経過後5000/mm3に達した場合は投与を中止する。
なお、本剤投与の開始時期及び中止時期の指標である好中球数が緊急時等で確認できない場合には、白血球数の半数を好中球数として推定する。
なお、いずれの場合も年齢、症状により適宜増減する。
4). 骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症
成人:通常、好中球数1000/mm3未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与する。
好中球数が5000/mm3以上に増加した場合は症状を観察しながら減量、あるいは投与を中止する。
5). 再生不良性貧血に伴う好中球減少症
@. 成人:通常、好中球数1000/mm3未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与する。
A. 小児:好中球数1000/mm3未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回皮下投与又は静脈内投与する。
好中球数が5000/mm3以上に増加した場合は症状を観察しながら減量、あるいは投与を中止する。
6). 先天性・特発性好中球減少症
@. 成人:通常、好中球数1000/mm3未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与又は静脈内投与する。
A. 小児:好中球数1000/mm3未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与又は静脈内投与する。
好中球数が5000/mm3以上に増加した場合は症状を観察しながら減量、あるいは投与を中止する。
7). ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す好中球減少症
@. 成人:通常、好中球数1000/mm3未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与する。
A. 小児:好中球数1000/mm3未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与する。
投与期間は2週間を目安とするが、好中球数が3000/mm3以上に増加した場合は症状を観察しながら減量、あるいは投与を中止する。
8). 免疫抑制療法(腎移植)に伴う好中球減少症
@. 成人:通常、好中球数1500/mm3(白血球数3000/mm3)未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与する。
A. 小児:好中球数1500/mm3(白血球数3000/mm3)未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与する。
好中球数が5000/mm3以上に増加した場合は症状を観察しながら減量、あるいは投与を中止する。
なお、いずれの場合も年齢、症状により適宜増減する。
9). 再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法
成人・小児:通常、フルダラビン、シタラビン等の抗悪性腫瘍剤併用化学療法の開始前日から併用化学療法終了日まで(通常5〜6日間)連日、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回皮下投与又は静脈内投与(点滴静注を含む)する。
なお、状態に応じて適宜減量する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉がん化学療法終了後の本剤の使用により末梢血幹細胞を動員する場合、アフェレーシスは、白血球数が最低値を示す時期に達した後の回復期に1〜3日間連続して施行することを目安とし、末梢血中のCD34+細胞数を確認して行うことが望ましい。
7.2. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉本剤単独で末梢血幹細胞を動員する場合、アフェレーシスは、本剤投与開始5日目から1〜3日間連続して施行することを目安とし、末梢血中のCD34+細胞数を確認して行うことが望ましい。
7.3. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉本剤単独で末梢血幹細胞を動員する場合、特に末梢血幹細胞移植ドナーへの本剤の使用に際しては、副作用として、骨痛、発熱、頭痛、倦怠感、Al−P上昇、LDH上昇、ALT上昇、AST上昇がみられることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与し、用量・投与期間を適宜調節すること。
7.4. 〈がん化学療法による好中球減少症〉その他のがん腫に対する用法及び用量における、同一のがん化学療法とは、抗悪性腫瘍薬の種類及びその用量も同一の化学療法レジメンである。
7.5. 〈がん化学療法による好中球減少症〉本剤の投与により、好中球数が最低値を示す時期を経過後5000/mm3に達した場合は投与を中止するが、好中球数が2000/mm3以上に回復し、感染症が疑われるような症状がなく、本剤に対する反応性から患者の安全が確保できると判断した場合には、本剤の減量あるいは中止を検討すること。
7.6. 〈がん化学療法による好中球減少症〉がん化学療法剤の投与前24時間以内及び投与終了後24時間以内の本剤の投与は避けること。
7.7. 〈ヒト免疫不全ウイルス<HIV>感染症の治療に支障を来す好中球減少症〉投与期間は2週間を目安とし、さらに継続投与が必要な場合でも6週間を限度とする(本剤を6週間を超えて投与した場合の安全性は確立していない)。また、ヒト免疫不全ウイルス<HIV>感染症の治療に支障を来す好中球減少症の場合、本剤を1週間以上投与しても好中球数の増加がみられない場合は投与を中止し、適切な処置を取ること。
7.8. 〈免疫抑制療法<腎移植>に伴う好中球減少症〉投与期間中は観察を十分に行い、好中球数2500/mm3(白血球数5000/mm3)以上を維持するように投与量を調節すること。
1). 造血幹細胞の末梢血中への動員:
@. がん化学療法終了後の造血幹細胞の末梢血中への動員。
A. 自家末梢血幹細胞移植を目的とした本剤単独による造血幹細胞の末梢血中への動員。
B. 末梢血幹細胞移植ドナーに対する本剤単独での造血幹細胞の末梢血中への動員。
2). 造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進。
3). がん化学療法による好中球減少症:
@. 急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病のがん化学療法による好中球減少症。
A. 悪性リンパ腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍(睾丸胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍など)、神経芽細胞腫、小児がんのがん化学療法による好中球減少症。
B. その他のがん腫のがん化学療法による好中球減少症。
4). 骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症。
5). 再生不良性貧血に伴う好中球減少症。
6). 先天性好中球減少症・特発性好中球減少症。
7). ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV感染症)の治療に支障を来す好中球減少症。
8). 免疫抑制療法<腎移植>に伴う好中球減少症。
9). 再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉自家末梢血幹細胞移植を目的としてがん患者に使用する場合は、対象患者は化学療法や放射線療法に感受性のある悪性腫瘍の患者であること。
5.2. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉末梢血幹細胞採取が不良な場合は、その後の治療計画の変更を考慮すること。
5.3. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉本剤単独で末梢血幹細胞を動員する場合、特に末梢血幹細胞移植ドナーへの本剤の使用に際しては、諸検査で異常のみられない健康人を対象とすることを原則とし、脾腫、脳血管障害、虚血性心疾患、血栓症、自己免疫性疾患の合併又は既往を有する対象は避けることが望ましい。
5.4. 〈がん化学療法による好中球減少症〉胚細胞腫瘍で卵巣腫瘍に該当するものは、未熟奇形腫、未分化胚細胞腫、卵黄嚢腫瘍などである。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)。
11.1.2. 間質性肺炎(頻度不明):間質性肺炎が発現又は間質性肺炎増悪することがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難及び胸部X線検査異常等が認められた場合には、本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.3. 芽球の増加(頻度不明):急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群患者において、芽球増加を促進させることがある〔2.2、8.6−8.8、8.12参照〕。
11.1.4. 急性呼吸窮迫症候群(頻度不明):急速に進行する呼吸困難、低酸素血症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には本剤の投与を中止し、呼吸管理等の適切な処置を行うこと。
11.1.5. 毛細血管漏出症候群(頻度不明):低血圧、低アルブミン血症、浮腫、肺水腫、胸水、腹水、血液濃縮等が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.6. 大型血管炎(大動脈炎症、総頸動脈炎症、鎖骨下動脈炎症等)(頻度不明):発熱、CRP上昇、大動脈壁肥厚等が認められた場合には、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.7. 脾腫、脾破裂(いずれも頻度不明):脾臓腫大が認められた場合は、必要に応じて本剤の減量、中止等の適切な処置を行うこと〔8.3参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 皮膚:(2%未満)皮疹・発疹、蕁麻疹、皮膚そう痒感、(頻度不明)好中球浸潤・有痛性紅斑・発熱を伴う皮膚障害(Sweet症候群等)。
2). 肝臓:(2%未満)肝機能異常、ALT上昇、AST上昇、γ−GTP上昇、ビリルビン上昇。
3). 消化器:(2%未満)嘔気・嘔吐、食欲不振、下痢、*腹痛。
4). 筋・骨格系:(2%未満)背部痛、骨痛、関節痛、胸痛、(頻度不明)筋肉痛、四肢痛。
5). 呼吸器:(2%未満)肺水腫、呼吸困難、低酸素血症、(頻度不明)胸水。
6). 腎臓:(頻度不明)糸球体腎炎。
7). 血液:(2%未満)血小板減少。
8). その他:(2%以上)LDH上昇、Al−P上昇、(2%未満)発熱、CRP上昇、尿酸上昇、頭痛、倦怠感、浮腫、(頻度不明)動悸。
発現頻度は使用成績調査を含む。
*)一変承認時(2001年12月)までの臨床試験で報告された副作用頻度を記載。
2.1. 本剤又は他の顆粒球コロニー形成刺激因子製剤に過敏症の患者〔8.2、9.1.1参照〕。
2.2. 骨髄中芽球が十分減少してない骨髄性白血病<抗悪性腫瘍剤との併用療法除く>患者及び末梢血液中に芽球の認められる骨髄性白血病<抗悪性腫瘍剤との併用療法除く>患者〔11.1.3参照〕。
8.1. 〈効能共通〉本剤投与中は定期的に血液検査を行い、必要以上に好中球数(白血球数)が増加しないように十分注意すること(必要以上に好中球数(白血球数)増加が認められた場合は、減量、休薬するなど適切な処置を取ること)。
8.2. 〈効能共通〉過敏症等の反応を予測するために、使用に際してはアレルギー既往歴、薬物過敏症等について十分な問診を行うこと〔2.1、9.1.1、9.1.2参照〕。
8.3. 〈効能共通〉本剤投与により脾腫、脾破裂が発現することがあるので、血液学的検査値の推移に留意するとともに、腹部超音波検査等により観察を十分に行うこと〔11.1.7参照〕。
8.4. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉アフェレーシスは適切なガイドラインに基づいて行うこと(アフェレーシス中には心停止などの重篤な有害事象が認められることがあるので、血圧など全身状態の推移には十分な注意を払い、有害事象発生時には直ちに適切な処置を行うこと)。
8.5. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉本剤単独で末梢血幹細胞を動員する場合、特に末梢血幹細胞移植ドナーへの本剤の使用に際しては、次の点に留意すること。
8.5.1. 末梢血幹細胞移植ドナー又はドナーに十分な同意能力がない場合は代諾者に、本剤使用による長期の安全性については確立していないこと、並びにそのため科学的データを収集中であることを十分説明し同意を得てから使用すること。
8.5.2. 末梢血幹細胞移植ドナーの場合、レシピエントへの感染を避けるため、事前にHBs抗原、HBc抗体、HCV抗体、HIV−1抗体、HIV−2抗体、HTLV−1抗体及び梅毒血清学的検査を行い、レシピエントへの感染の危険性がないことを確認し、また、CMV、ヘルペス血清学的検査を行うことが望ましい。
8.5.3. 末梢血幹細胞移植ドナーの場合、本剤の使用に際しては、血液学的検査値が正常であることを確認し、臨床所見を観察しながら投与するとともに、本剤投与終了後においても安全性の確認を十分に行うこと。
8.5.4. 末梢血幹細胞移植ドナーの場合、本剤の使用による骨痛、頭痛等の発現に対しては、非麻薬性鎮痛剤を投与するなどの適切な処置を行うこと。ただし、造血幹細胞の末梢血中への動員の場合、アフェレーシス施行により血小板減少等が現れることがあるので、アスピリン等の血小板凝集抑制作用を有する薬剤の使用には十分に注意すること。
8.5.5. 末梢血幹細胞移植ドナーの場合、本剤投与終了後及びアフェレーシス後には、白血球減少、血小板減少がみられることがあるので、血液学的検査値の推移に留意し、高度血小板減少がみられた際には、さらなるアフェレーシスは中止するとともに、アフェレーシスにより得られた自己血による血小板輸血を考慮すること。
8.6. 〈造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進、がん化学療法による好中球減少症〉造血幹細胞移植症例のうち原疾患が骨髄性白血病の患者では本剤の使用に先立ち、採取細胞についてin vitro試験により、本剤刺激による白血病細胞の増加の有無を確認することが望ましい(また、定期的に血液検査及び骨髄検査を行うこと)〔11.1.3参照〕。
8.7. 〈造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進、がん化学療法による好中球減少症〉急性骨髄性白血病<造血幹細胞移植時・がん化学療法による好中球減少症>患者では、本剤の使用に先立ち、採取細胞についてin vitro試験により本剤刺激による白血病細胞の増加の有無を確認することが望ましい(また、定期的に血液検査及び骨髄検査を行うこと)〔11.1.3参照〕。
8.8. 〈骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症〉骨髄異形成症候群のうち、芽球増加を伴う病型例は骨髄性白血病への移行の危険性が知られていることから、本剤の使用に際しては採取細胞についてin vitroで芽球コロニーの増加が認められないことを確認することが望ましい〔11.1.3参照〕。
8.9. 〈ヒト免疫不全ウイルス<HIV>感染症の治療に支障を来す好中球減少症〉顆粒球系前駆細胞が減少し、本剤に対する反応性が減弱する可能性があるため、投与期間中は観察を十分に行い、必要以上に好中球数が増加しないよう慎重に投与すること(なお、本剤投与によりHIVが増殖する可能性は否定できないので原疾患に対する観察を十分に行うこと)。
8.10. 〈再生不良性貧血に伴う好中球減少症、先天性好中球減少症〉自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。また、自己投与させる場合、溶解時や投与する際の操作方法を指導すること。自己投与適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には、直ちに連絡するよう注意を与えること。
8.11. 〈再生不良性貧血に伴う好中球減少症、先天性好中球減少症〉本剤を自己投与させる場合、使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法について指導を徹底し、すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの注射針及び注射器を廃棄する容器を提供することが望ましい。
8.12. 〈再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法〉芽球増加を促進させることがあるので、定期的に血液検査及び骨髄検査を行い、芽球の増加が認められた場合には本剤の投与を中止すること〔11.1.3参照〕。
8.13. 〈再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法〉本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:フィルグラスチム(遺伝子組換え)及びレノグラスチム(遺伝子組換え)(再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法)」等)を熟読すること。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 薬剤過敏症の既往歴のある患者〔2.1、8.2参照〕。
9.1.2. アレルギー素因のある患者〔8.2参照〕。
9.1.3. 高度心肺機能障害のある患者:有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
(腎機能障害患者)
9.2.1. 高度腎機能障害患者:有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
(肝機能障害患者)
9.3.1. 高度肝機能障害患者:有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
本剤の投与に際しては、好中球数(白血球数)の測定を頻回に行い、過剰の増加(目安として好中球数5000/mm3以上)を避けるよう必要により投与期間を適宜調節するなど、慎重に行うこと(一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い)。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
〈造血幹細胞の末梢血中への動員、造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進、骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す好中球減少症、免疫抑制療法(腎移植)に伴う好中球減少症〉小児等の造血幹細胞の末梢血中への動員、小児等の造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進、小児等の骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症、小児等のヒト免疫不全ウイルス<HIV>感染症治療に支障を来す好中球減少症、小児等の免疫抑制療法<腎移植>に伴う好中球減少症を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤調製時の注意
14.1.1. 本剤は投与に際して、1バイアル当り添付の溶解液(注射用水1mL)により溶解して用いる。
14.1.2. 点滴静注に際しては、5%ブドウ糖注射液、生理食塩液等に混和する。
14.2. 薬剤投与時の注意
14.2.1. 本剤を投与する場合は他剤<5%ブドウ糖注射液・生理食塩液を除く>との混注を行わないこと。
14.2.2. 使用後のバイアル中の薬剤残液は廃棄すること。
14.2.3. 静脈内投与の場合は、できるだけ投与速度を遅くすること。
15.1. 臨床使用に基づく情報
15.1.1. 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した再生不良性貧血及び先天性好中球減少症患者において、骨髄異形成症候群又は急性骨髄性白血病へ移行したとの報告がある。
15.1.2. 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した再生不良性貧血、骨髄異形成症候群及び先天性好中球減少症患者において、染色体異常が認められたとの報告がある。
15.1.3. 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した末梢血幹細胞移植ドナーにおいて、骨髄増殖性疾患及び急性骨髄性白血病が発症したとの報告がある。
15.1.4. 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した末梢血幹細胞移植ドナーにおいて、因果関係は明確ではないものの、脳血管障害、心筋梗塞、心停止、虹彩炎、痛風性関節炎、非ホジキンリンパ腫がみられたとの報告がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報
顆粒球コロニー形成刺激因子が、in vitroあるいはin vivoで数種のヒト膀胱癌細胞株に対し増殖促進傾向及びヒト骨肉腫細胞株に対し増殖促進傾向を示したとの報告がある。
(保管上の注意)
室温保存。
薬効分類 | 造血薬 > G−CSF |
一般名 | レノグラスチム (遺伝子組換え) 注射用 |
薬価 | 4668円 |
メーカー | 中外製薬 |
最終更新 | 2022年06月改訂(第2版) |
1). 造血幹細胞の末梢血中への動員
@. がん化学療法終了後の動員
成人・小児:通常、がん化学療法剤投与終了後(翌日以降)から、レノグラスチム(遺伝子組換え)として1日量5μg/kgを1日1回又は2回に分けてアフェレーシスが終了する時点まで皮下投与する。十分な動員効果が期待できないと考えられる場合には1日量の上限を10μg/kgとする。なお、状態に応じて適宜減量する。
A. 自家末梢血幹細胞移植を目的とした本剤単独による動員
成人・小児:通常、レノグラスチム(遺伝子組換え)として1日量10μg/kgを1日1回又は2回に分けて4〜6日間、アフェレーシスが終了する時点まで皮下投与する。なお、状態に応じて適宜減量する。
B. 末梢血幹細胞移植ドナーに対する本剤単独での動員
通常、成人にはレノグラスチム(遺伝子組換え)として1日量10μg/kgを1日1回又は2回に分けて4〜6日間、アフェレーシスが終了する時点まで皮下投与する。なお、状態に応じて適宜減量する。
アフェレーシス終了前に白血球数が50000/mm3以上に増加した場合は減量し、減量後、白血球数が75000/mm3に達した場合は投与を中止する。
2). 造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進
@. 成人:通常、造血幹細胞移植施行翌日ないし5日後より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回点滴静注する。
A. 小児:造血幹細胞移植施行翌日ないし5日後より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回点滴静注する。
好中球数が5000/mm3以上に増加した場合は症状を観察しながら投与を中止する。
なお、本剤投与の中止時期の指標である好中球数が緊急時等で確認できない場合には、白血球数の半数を好中球数として推定する。
なお、いずれの場合も年齢、症状により適宜増減する。
3). がん化学療法による好中球減少症
@. 急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病
成人・小児:通常、がん化学療法剤投与終了後(翌日以降)で骨髄中の芽球が十分減少し末梢血液中に芽球が認められない時点から、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与(点滴静注を含む)する。出血傾向等の問題がない場合は、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与する。
A. 悪性リンパ腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍(睾丸腫瘍、卵巣腫瘍など)、神経芽細胞腫、小児がん
成人・小児:通常、がん化学療法剤投与終了後(翌日以降)から、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与する。出血傾向等により皮下投与が困難な場合には、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与(点滴静注を含む)する。
B. その他のがん腫
成人・小児:通常、がん化学療法により好中球数1000/mm3未満で発熱(原則として38℃以上)あるいは好中球数500/mm3未満が観察された時点から、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与する。出血傾向等により皮下投与が困難な場合には、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与(点滴静注を含む)する。
また、がん化学療法により好中球数1000/mm3未満で発熱(原則として38℃以上)あるいは好中球数500/mm3未満が観察され、引き続き同一のがん化学療法を施行する症例に対しては、次回以降のがん化学療法施行時には好中球数1000/mm3未満が観察された時点から、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与する。出血傾向等により皮下投与が困難な場合は、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与(点滴静注を含む)する。
好中球数が最低値を示す時期を経過後5000/mm3に達した場合は投与を中止する。
なお、本剤投与の開始時期及び中止時期の指標である好中球数が緊急時等で確認できない場合には、白血球数の半数を好中球数として推定する。
なお、いずれの場合も年齢、症状により適宜増減する。
4). 骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症
成人:通常、好中球数1000/mm3未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与する。
好中球数が5000/mm3以上に増加した場合は症状を観察しながら減量、あるいは投与を中止する。
5). 再生不良性貧血に伴う好中球減少症
@. 成人:通常、好中球数1000/mm3未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与する。
A. 小児:好中球数1000/mm3未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回皮下投与又は静脈内投与する。
好中球数が5000/mm3以上に増加した場合は症状を観察しながら減量、あるいは投与を中止する。
6). 先天性・特発性好中球減少症
@. 成人:通常、好中球数1000/mm3未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与又は静脈内投与する。
A. 小児:好中球数1000/mm3未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与又は静脈内投与する。
好中球数が5000/mm3以上に増加した場合は症状を観察しながら減量、あるいは投与を中止する。
7). ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す好中球減少症
@. 成人:通常、好中球数1000/mm3未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与する。
A. 小児:好中球数1000/mm3未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回静脈内投与する。
投与期間は2週間を目安とするが、好中球数が3000/mm3以上に増加した場合は症状を観察しながら減量、あるいは投与を中止する。
8). 免疫抑制療法(腎移植)に伴う好中球減少症
@. 成人:通常、好中球数1500/mm3(白血球数3000/mm3)未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与する。
A. 小児:好中球数1500/mm3(白血球数3000/mm3)未満の状態を示した時点より、レノグラスチム(遺伝子組換え)として2μg/kgを1日1回皮下投与する。
好中球数が5000/mm3以上に増加した場合は症状を観察しながら減量、あるいは投与を中止する。
なお、いずれの場合も年齢、症状により適宜増減する。
9). 再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法
成人・小児:通常、フルダラビン、シタラビン等の抗悪性腫瘍剤併用化学療法の開始前日から併用化学療法終了日まで(通常5〜6日間)連日、レノグラスチム(遺伝子組換え)として5μg/kgを1日1回皮下投与又は静脈内投与(点滴静注を含む)する。
なお、状態に応じて適宜減量する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉がん化学療法終了後の本剤の使用により末梢血幹細胞を動員する場合、アフェレーシスは、白血球数が最低値を示す時期に達した後の回復期に1〜3日間連続して施行することを目安とし、末梢血中のCD34+細胞数を確認して行うことが望ましい。
7.2. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉本剤単独で末梢血幹細胞を動員する場合、アフェレーシスは、本剤投与開始5日目から1〜3日間連続して施行することを目安とし、末梢血中のCD34+細胞数を確認して行うことが望ましい。
7.3. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉本剤単独で末梢血幹細胞を動員する場合、特に末梢血幹細胞移植ドナーへの本剤の使用に際しては、副作用として、骨痛、発熱、頭痛、倦怠感、Al−P上昇、LDH上昇、ALT上昇、AST上昇がみられることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与し、用量・投与期間を適宜調節すること。
7.4. 〈がん化学療法による好中球減少症〉その他のがん腫に対する用法及び用量における、同一のがん化学療法とは、抗悪性腫瘍薬の種類及びその用量も同一の化学療法レジメンである。
7.5. 〈がん化学療法による好中球減少症〉本剤の投与により、好中球数が最低値を示す時期を経過後5000/mm3に達した場合は投与を中止するが、好中球数が2000/mm3以上に回復し、感染症が疑われるような症状がなく、本剤に対する反応性から患者の安全が確保できると判断した場合には、本剤の減量あるいは中止を検討すること。
7.6. 〈がん化学療法による好中球減少症〉がん化学療法剤の投与前24時間以内及び投与終了後24時間以内の本剤の投与は避けること。
7.7. 〈ヒト免疫不全ウイルス<HIV>感染症の治療に支障を来す好中球減少症〉投与期間は2週間を目安とし、さらに継続投与が必要な場合でも6週間を限度とする(本剤を6週間を超えて投与した場合の安全性は確立していない)。また、ヒト免疫不全ウイルス<HIV>感染症の治療に支障を来す好中球減少症の場合、本剤を1週間以上投与しても好中球数の増加がみられない場合は投与を中止し、適切な処置を取ること。
7.8. 〈免疫抑制療法<腎移植>に伴う好中球減少症〉投与期間中は観察を十分に行い、好中球数2500/mm3(白血球数5000/mm3)以上を維持するように投与量を調節すること。
1). 造血幹細胞の末梢血中への動員:
@. がん化学療法終了後の造血幹細胞の末梢血中への動員。
A. 自家末梢血幹細胞移植を目的とした本剤単独による造血幹細胞の末梢血中への動員。
B. 末梢血幹細胞移植ドナーに対する本剤単独での造血幹細胞の末梢血中への動員。
2). 造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進。
3). がん化学療法による好中球減少症:
@. 急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病のがん化学療法による好中球減少症。
A. 悪性リンパ腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍(睾丸胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍など)、神経芽細胞腫、小児がんのがん化学療法による好中球減少症。
B. その他のがん腫のがん化学療法による好中球減少症。
4). 骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症。
5). 再生不良性貧血に伴う好中球減少症。
6). 先天性好中球減少症・特発性好中球減少症。
7). ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV感染症)の治療に支障を来す好中球減少症。
8). 免疫抑制療法<腎移植>に伴う好中球減少症。
9). 再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉自家末梢血幹細胞移植を目的としてがん患者に使用する場合は、対象患者は化学療法や放射線療法に感受性のある悪性腫瘍の患者であること。
5.2. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉末梢血幹細胞採取が不良な場合は、その後の治療計画の変更を考慮すること。
5.3. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉本剤単独で末梢血幹細胞を動員する場合、特に末梢血幹細胞移植ドナーへの本剤の使用に際しては、諸検査で異常のみられない健康人を対象とすることを原則とし、脾腫、脳血管障害、虚血性心疾患、血栓症、自己免疫性疾患の合併又は既往を有する対象は避けることが望ましい。
5.4. 〈がん化学療法による好中球減少症〉胚細胞腫瘍で卵巣腫瘍に該当するものは、未熟奇形腫、未分化胚細胞腫、卵黄嚢腫瘍などである。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)。
11.1.2. 間質性肺炎(頻度不明):間質性肺炎が発現又は間質性肺炎増悪することがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難及び胸部X線検査異常等が認められた場合には、本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.3. 芽球の増加(頻度不明):急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群患者において、芽球増加を促進させることがある〔2.2、8.6−8.8、8.12参照〕。
11.1.4. 急性呼吸窮迫症候群(頻度不明):急速に進行する呼吸困難、低酸素血症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には本剤の投与を中止し、呼吸管理等の適切な処置を行うこと。
11.1.5. 毛細血管漏出症候群(頻度不明):低血圧、低アルブミン血症、浮腫、肺水腫、胸水、腹水、血液濃縮等が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.6. 大型血管炎(大動脈炎症、総頸動脈炎症、鎖骨下動脈炎症等)(頻度不明):発熱、CRP上昇、大動脈壁肥厚等が認められた場合には、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.7. 脾腫、脾破裂(いずれも頻度不明):脾臓腫大が認められた場合は、必要に応じて本剤の減量、中止等の適切な処置を行うこと〔8.3参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 皮膚:(2%未満)皮疹・発疹、蕁麻疹、皮膚そう痒感、(頻度不明)好中球浸潤・有痛性紅斑・発熱を伴う皮膚障害(Sweet症候群等)。
2). 肝臓:(2%未満)肝機能異常、ALT上昇、AST上昇、γ−GTP上昇、ビリルビン上昇。
3). 消化器:(2%未満)嘔気・嘔吐、食欲不振、下痢、*腹痛。
4). 筋・骨格系:(2%未満)背部痛、骨痛、関節痛、胸痛、(頻度不明)筋肉痛、四肢痛。
5). 呼吸器:(2%未満)肺水腫、呼吸困難、低酸素血症、(頻度不明)胸水。
6). 腎臓:(頻度不明)糸球体腎炎。
7). 血液:(2%未満)血小板減少。
8). その他:(2%以上)LDH上昇、Al−P上昇、(2%未満)発熱、CRP上昇、尿酸上昇、頭痛、倦怠感、浮腫、(頻度不明)動悸。
発現頻度は使用成績調査を含む。
*)一変承認時(2001年12月)までの臨床試験で報告された副作用頻度を記載。
2.1. 本剤又は他の顆粒球コロニー形成刺激因子製剤に過敏症の患者〔8.2、9.1.1参照〕。
2.2. 骨髄中芽球が十分減少してない骨髄性白血病<抗悪性腫瘍剤との併用療法除く>患者及び末梢血液中に芽球の認められる骨髄性白血病<抗悪性腫瘍剤との併用療法除く>患者〔11.1.3参照〕。
8.1. 〈効能共通〉本剤投与中は定期的に血液検査を行い、必要以上に好中球数(白血球数)が増加しないように十分注意すること(必要以上に好中球数(白血球数)増加が認められた場合は、減量、休薬するなど適切な処置を取ること)。
8.2. 〈効能共通〉過敏症等の反応を予測するために、使用に際してはアレルギー既往歴、薬物過敏症等について十分な問診を行うこと〔2.1、9.1.1、9.1.2参照〕。
8.3. 〈効能共通〉本剤投与により脾腫、脾破裂が発現することがあるので、血液学的検査値の推移に留意するとともに、腹部超音波検査等により観察を十分に行うこと〔11.1.7参照〕。
8.4. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉アフェレーシスは適切なガイドラインに基づいて行うこと(アフェレーシス中には心停止などの重篤な有害事象が認められることがあるので、血圧など全身状態の推移には十分な注意を払い、有害事象発生時には直ちに適切な処置を行うこと)。
8.5. 〈造血幹細胞の末梢血中への動員〉本剤単独で末梢血幹細胞を動員する場合、特に末梢血幹細胞移植ドナーへの本剤の使用に際しては、次の点に留意すること。
8.5.1. 末梢血幹細胞移植ドナー又はドナーに十分な同意能力がない場合は代諾者に、本剤使用による長期の安全性については確立していないこと、並びにそのため科学的データを収集中であることを十分説明し同意を得てから使用すること。
8.5.2. 末梢血幹細胞移植ドナーの場合、レシピエントへの感染を避けるため、事前にHBs抗原、HBc抗体、HCV抗体、HIV−1抗体、HIV−2抗体、HTLV−1抗体及び梅毒血清学的検査を行い、レシピエントへの感染の危険性がないことを確認し、また、CMV、ヘルペス血清学的検査を行うことが望ましい。
8.5.3. 末梢血幹細胞移植ドナーの場合、本剤の使用に際しては、血液学的検査値が正常であることを確認し、臨床所見を観察しながら投与するとともに、本剤投与終了後においても安全性の確認を十分に行うこと。
8.5.4. 末梢血幹細胞移植ドナーの場合、本剤の使用による骨痛、頭痛等の発現に対しては、非麻薬性鎮痛剤を投与するなどの適切な処置を行うこと。ただし、造血幹細胞の末梢血中への動員の場合、アフェレーシス施行により血小板減少等が現れることがあるので、アスピリン等の血小板凝集抑制作用を有する薬剤の使用には十分に注意すること。
8.5.5. 末梢血幹細胞移植ドナーの場合、本剤投与終了後及びアフェレーシス後には、白血球減少、血小板減少がみられることがあるので、血液学的検査値の推移に留意し、高度血小板減少がみられた際には、さらなるアフェレーシスは中止するとともに、アフェレーシスにより得られた自己血による血小板輸血を考慮すること。
8.6. 〈造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進、がん化学療法による好中球減少症〉造血幹細胞移植症例のうち原疾患が骨髄性白血病の患者では本剤の使用に先立ち、採取細胞についてin vitro試験により、本剤刺激による白血病細胞の増加の有無を確認することが望ましい(また、定期的に血液検査及び骨髄検査を行うこと)〔11.1.3参照〕。
8.7. 〈造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進、がん化学療法による好中球減少症〉急性骨髄性白血病<造血幹細胞移植時・がん化学療法による好中球減少症>患者では、本剤の使用に先立ち、採取細胞についてin vitro試験により本剤刺激による白血病細胞の増加の有無を確認することが望ましい(また、定期的に血液検査及び骨髄検査を行うこと)〔11.1.3参照〕。
8.8. 〈骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症〉骨髄異形成症候群のうち、芽球増加を伴う病型例は骨髄性白血病への移行の危険性が知られていることから、本剤の使用に際しては採取細胞についてin vitroで芽球コロニーの増加が認められないことを確認することが望ましい〔11.1.3参照〕。
8.9. 〈ヒト免疫不全ウイルス<HIV>感染症の治療に支障を来す好中球減少症〉顆粒球系前駆細胞が減少し、本剤に対する反応性が減弱する可能性があるため、投与期間中は観察を十分に行い、必要以上に好中球数が増加しないよう慎重に投与すること(なお、本剤投与によりHIVが増殖する可能性は否定できないので原疾患に対する観察を十分に行うこと)。
8.10. 〈再生不良性貧血に伴う好中球減少症、先天性好中球減少症〉自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。また、自己投与させる場合、溶解時や投与する際の操作方法を指導すること。自己投与適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には、直ちに連絡するよう注意を与えること。
8.11. 〈再生不良性貧血に伴う好中球減少症、先天性好中球減少症〉本剤を自己投与させる場合、使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法について指導を徹底し、すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの注射針及び注射器を廃棄する容器を提供することが望ましい。
8.12. 〈再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法〉芽球増加を促進させることがあるので、定期的に血液検査及び骨髄検査を行い、芽球の増加が認められた場合には本剤の投与を中止すること〔11.1.3参照〕。
8.13. 〈再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法〉本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:フィルグラスチム(遺伝子組換え)及びレノグラスチム(遺伝子組換え)(再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法)」等)を熟読すること。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 薬剤過敏症の既往歴のある患者〔2.1、8.2参照〕。
9.1.2. アレルギー素因のある患者〔8.2参照〕。
9.1.3. 高度心肺機能障害のある患者:有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
(腎機能障害患者)
9.2.1. 高度腎機能障害患者:有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
(肝機能障害患者)
9.3.1. 高度肝機能障害患者:有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
本剤の投与に際しては、好中球数(白血球数)の測定を頻回に行い、過剰の増加(目安として好中球数5000/mm3以上)を避けるよう必要により投与期間を適宜調節するなど、慎重に行うこと(一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い)。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
〈造血幹細胞の末梢血中への動員、造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進、骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す好中球減少症、免疫抑制療法(腎移植)に伴う好中球減少症〉小児等の造血幹細胞の末梢血中への動員、小児等の造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進、小児等の骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症、小児等のヒト免疫不全ウイルス<HIV>感染症治療に支障を来す好中球減少症、小児等の免疫抑制療法<腎移植>に伴う好中球減少症を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤調製時の注意
14.1.1. 本剤は投与に際して、1バイアル当り添付の溶解液(注射用水1mL)により溶解して用いる。
14.1.2. 点滴静注に際しては、5%ブドウ糖注射液、生理食塩液等に混和する。
14.2. 薬剤投与時の注意
14.2.1. 本剤を投与する場合は他剤<5%ブドウ糖注射液・生理食塩液を除く>との混注を行わないこと。
14.2.2. 使用後のバイアル中の薬剤残液は廃棄すること。
14.2.3. 静脈内投与の場合は、できるだけ投与速度を遅くすること。
15.1. 臨床使用に基づく情報
15.1.1. 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した再生不良性貧血及び先天性好中球減少症患者において、骨髄異形成症候群又は急性骨髄性白血病へ移行したとの報告がある。
15.1.2. 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した再生不良性貧血、骨髄異形成症候群及び先天性好中球減少症患者において、染色体異常が認められたとの報告がある。
15.1.3. 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した末梢血幹細胞移植ドナーにおいて、骨髄増殖性疾患及び急性骨髄性白血病が発症したとの報告がある。
15.1.4. 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した末梢血幹細胞移植ドナーにおいて、因果関係は明確ではないものの、脳血管障害、心筋梗塞、心停止、虹彩炎、痛風性関節炎、非ホジキンリンパ腫がみられたとの報告がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報
顆粒球コロニー形成刺激因子が、in vitroあるいはin vivoで数種のヒト膀胱癌細胞株に対し増殖促進傾向及びヒト骨肉腫細胞株に対し増殖促進傾向を示したとの報告がある。
(保管上の注意)
室温保存。
薬剤写真、用法用量、効能効果や後発品の情報が一度に参照でき、関連情報へ簡単にアクセスができます。
一般名、製品名どちらでも検索可能!
※ ご使用いただく際に、必ず最新の添付文書および安全性情報も併せてご確認下さい。