薬剤情報
後発品
薬効分類キャンディン系抗真菌薬
一般名カスポファンギン酢酸塩注射用
薬価23386
メーカーMSD
最終更新2022年11月改訂(第2版)

用法・用量

〈成人〉

真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症

通常、カスポファンギンとして投与初日に70mgを、投与2日目以降は50mgを1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。

カンジダ属又はアスペルギルス属による次記の真菌感染症

・ 食道カンジダ症

通常、カスポファンギンとして50mgを1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。

・ 侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症

通常、カスポファンギンとして投与初日に70mgを、投与2日目以降は50mgを1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。

〈小児〉

真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症、カンジダ属又はアスペルギルス属による食道カンジダ症、侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症

通常、カスポファンギンとして投与初日に70mg/u(体表面積)を、投与2日目以降は50mg/u(体表面積)を1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。なお、1日1回50mg/u(体表面積)の投与で効果不十分の場合には、1日1回70mg/u(体表面積)まで増量することができる。いずれの場合も1日用量として70mgを超えないこと。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈成人〉中等度肝機能障害を伴う患者に対しては、次を目安に本剤の用量調節をすること〔16.6.1参照〕。

1). 〈成人〉中等度肝機能障害<Child−Pughスコア7〜9>を伴う食道カンジダ症:35mgを1日1回。

2). 〈成人〉中等度肝機能障害<Child−Pughスコア7〜9>を伴う発熱性好中球減少症、侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症:投与初日に70mg、投与2日目以降は35mgを1日1回。

〈成人〉軽度肝機能障害<Child−Pughスコア5〜6>を伴う患者に対しては通常の用量を投与する。

〈成人〉重度肝機能障害<Child−Pughスコア10以上>を伴う患者に対しては本剤の投与経験がない。

7.2. 〈成人〉エファビレンツ、ネビラピン、リファンピシン、デキサメタゾン、フェニトイン、カルバマゼピンと本剤を併用する場合、成人は本剤70mgの1日1回投与を検討すること〔10.2、16.7.3、16.7.4参照〕。

7.3. 〈小児〉3ヵ月未満の患者では血中濃度が高くなる可能性があるので、3ヵ月未満の患者に投与する際は減量を考慮すること〔16.1.2参照〕。

7.4. 〈小児〉小児の肝機能障害患者に対する検討は行われていない。

7.5. 〈小児〉エファビレンツ、ネビラピン、リファンピシン、デキサメタゾン、フェニトイン、カルバマゼピンと本剤を併用する場合、小児は本剤70mg/u(体表面積)の1日1回投与を検討すること(なお、1日用量として70mgを超えないこと)〔10.2、16.7.3、16.7.4参照〕。

効能・効果

1). 真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症。

2). カンジダ属又はアスペルギルス属による次記の真菌感染症。

@. 食道カンジダ症。

A. 侵襲性カンジダ症。

B. アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性壊死性肺アスペルギルス症、肺アスペルギローマ)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症〉本剤は次の3条件を満たす症例に投与すること:1回の検温で38℃以上又は1時間以上持続する37.5℃以上の発熱で、好中球数が500/mm3未満、又は1000/mm3未満で500/mm3未満に減少することが予測され、適切な抗菌薬投与を行っても解熱せず、抗真菌薬の投与が必要と考えられる場合に投与。

5.2. 〈真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症〉発熱性好中球減少症の患者への投与は、発熱性好中球減少症の治療に十分な経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。

5.3. 〈真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症〉発熱性好中球減少症に投与する場合には、投与前に適切な培養検査等を行い、起炎菌を明らかにする努力を行うこと(起炎菌が判明した際には、本剤投与継続の必要性を検討すること)。

5.4. 〈侵襲性カンジダ症〉カンジダ血症、腹腔内膿瘍、腹膜炎、胸腔内感染以外における検討は行われていない〔17.1.1、17.1.2参照〕。

5.5. 〈侵襲性アスペルギルス症〉他の治療が無効あるいは忍容性に問題がある患者に本剤の使用を考慮すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. アナフィラキシー(頻度不明):発疹、顔面腫脹、血管浮腫、そう痒症、熱感、気管支痙攣、呼吸困難、潮紅等の異常があらわれることがある。

11.1.2. 肝機能障害(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇や肝機能障害があらわれることがある〔8.2参照〕。

11.1.3. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)(頻度不明)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 眼障害:(1〜5%未満)眼そう痒症。

2). 胃腸障害:(1〜5%未満)悪心、腹部圧痛、下痢、血便排泄、下部消化管出血、口の感覚鈍麻、(頻度不明)嘔吐。

3). 全身障害及び投与局所様態:(1〜5%未満)悪寒、発熱、血管穿刺部位炎症、(頻度不明)腫脹、末梢性浮腫。

4). 肝胆道系障害:(5%以上)肝機能異常。

5). 臨床検査:(5%以上)ALT増加、AST増加、γ−GTP増加、(1〜5%未満)血中Al−P増加、血中カリウム減少、プロトロンビン時間延長、活性化部分トロンボプラスチン時間延長、血中ビリルビン増加、血中カルシウム減少、血中クロール増加、血中ブドウ糖減少、血中カリウム増加、CRP増加、ヘマトクリット減少、血小板数減少、総蛋白減少、白血球数減少、尿中ビリルビン増加、好酸球数増加、LDH増加、(頻度不明)ヘモグロビン減少、抱合ビリルビン増加、血中アルブミン減少、血中クレアチニン増加、血中マグネシウム減少。

6). 代謝及び栄養障害:(1〜5%未満)糖尿病、(頻度不明)低カリウム血症、高カルシウム血症。

7). 神経系障害:(1〜5%未満)浮動性めまい、頭痛、失神。

8). 皮膚及び皮下組織障害:(1〜5%未満)発疹、(頻度不明)皮膚そう痒症、多汗症。

9). 血管障害:(1〜5%未満)静脈炎、高血圧、血管障害、(頻度不明)潮紅。

10). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(1〜5%未満)肺水腫、(頻度不明)呼吸困難。

11). 血液及びリンパ系障害:(1〜5%未満)貧血。

12). 腎及び尿路障害:(1〜5%未満)腎機能障害。

禁忌

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

重要な基本的注意

8.1. 本剤の投与期間は患者の臨床症状、効果等に基づき決定し、治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること〔17.1.1、17.1.2参照〕。

8.2. 肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分観察すること〔11.1.2参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 薬物過敏症<本剤の成分に対する過敏症を除く>の既往歴のある患者:特に他のキャンディン系抗真菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者には注意すること。

相互作用

10.2. 併用注意:

1). シクロスポリン〔16.7.1参照〕[本剤をシクロスポリンと併用した際、シクロスポリンの血中濃度に変化はみられなかったが、本剤のAUCは増加し、また、両薬剤の併用により一過性のALT及びAST増加が認められたため、シクロスポリンが投与されている患者への本剤の投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみとし、両薬剤を併用する場合は、肝酵素の綿密なモニタリングの実施を考慮すること(併用による本剤のAUCの増加には、トランスポーター(OATP1B1)を介した本剤の肝取り込みの阻害が関与していると考えられる)]。

2). タクロリムス〔16.7.2参照〕[本剤をタクロリムスと併用した際、タクロリムスの投与後12時間血中濃度<C12hr>を減少させたが、本剤の血中濃度に有意な変化はみられなかったため、本剤とタクロリムスを併用する場合は、タクロリムスの血中濃度のモニタリング及びタクロリムスの用量調節が推奨される(機序不明)]。

3). リファンピシン:

@. リファンピシン〔7.2、7.5、16.7.3参照〕[本剤をリファンピシン単回投与と併用した際、本剤のAUCが増加し、リファンピシンの血中濃度に有意な変化はみられなかった(リファンピシンの併用による本剤のクリアランス誘導には代謝過程よりも肝取り込みトランスポーター(OATP1B1)を介した輸送過程が影響すると考えられる)]。

A. リファンピシン〔7.2、7.5、16.7.3参照〕[リファンピシンの誘導作用が定常状態下で本剤を併用した際、本剤のトラフ濃度が減少し、リファンピシンの血中濃度に有意な変化はみられなかった(リファンピシンの併用による本剤のクリアランス誘導には代謝過程よりも肝取り込みトランスポーター(OATP1B1)を介した輸送過程が影響すると考えられる)]。

4). エファビレンツ、ネビラピン、フェニトイン、デキサメタゾン、カルバマゼピン〔7.2、7.5、16.7.4参照〕[これらの薬剤と本剤の併用により、臨床的に有意な本剤の血中濃度の低下が生じるおそれがある(これらの薬剤の併用による本剤のクリアランス誘導には代謝過程よりも取り込み輸送過程が影響すると考えられる)]。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ラットでは母動物に毒性があらわれる用量(5mg/kg/日)で、胎仔体重減少並びに胎仔頭蓋不完全骨化及び胎仔体躯不完全骨化発現率の増加が認められており、さらに、同用量で胎仔頸肋の発現率増加がみられており、動物試験(ラット、ウサギ)で、胎盤通過が認められている)。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトの母乳中に移行するか否かは不明であるが、ラットでは乳汁移行が認められている)。

小児等

投与に際しては観察を十分に行うこと。小児の臨床試験では、成人と比べALT増加、AST増加、肝機能異常の発現頻度が高いことが報告されている。低出生体重児、新生児及び3ヵ月未満の乳児を対象とした国内臨床試験は実施していない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤調製時の注意

14.1.1. 〈成人〉バイアル中の本剤の溶解:バイアルを常温に戻し、本品1バイアル(70mgバイアル又は50mgバイアル)に、生理食塩液あるいは注射用水10.5mLを注入し、ゆっくりと振り混ぜて粉末状の本剤を完全に溶解させる。バイアル中に溶解した本剤の溶液が混濁又は沈殿している場合はその溶液を使用しないこと。本剤の溶解後の濃度は、7.2mg/mL(70mgバイアル)又は5.2mg/mL(50mgバイアル)とそれぞれ異なるので希釈する時は注意すること。

14.1.2. 〈成人〉本剤投与時の調製方法:希釈液は、生理食塩液又は乳酸リンゲル液を用いる。通常、バイアル中で溶解した本剤の溶液の必要量(次参照)を、250mLの希釈液の入った点滴静注用バッグ又はボトルに添加して希釈し、点滴静注液とする。

調製後の点滴静注液が混濁又は沈殿している場合はその静注液を使用しないこと。1日1回用量が50mg又は35mgの場合には、必要に応じて希釈液を100mLに減じて用いることができる。

[点滴静注液の調製法]

1). 1日1回用量70mg(70mgバイアル1本):点滴静注用バッグ又はボトルへ添加する本剤の溶液量10mL、通常の調製法(250mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.28mg/mL、希釈液を減量した調製法(100mLの希釈液に本剤溶液を添加)は推奨しない*。

2). 1日1回用量70mg(50mgバイアル2本)[70mgバイアルが利用できない場合には、50mgバイアル2本を用いて1日1回用量70mgの点滴静注液を調製することができる]:点滴静注用バッグ又はボトルへ添加する本剤の溶液量14mL、通常の調製法(250mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.28mg/mL、希釈液を減量した調製法(100mLの希釈液に本剤溶液を添加)は推奨しない*。

3). 1日1回用量50mg(70mgバイアル1本)[50mgバイアルが利用できない場合には、70mgバイアル1本を用いて1日1回用量50mgの点滴静注液を調製することができる]:点滴静注用バッグ又はボトルへ添加する本剤の溶液量7mL、通常の調製法(250mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.20mg/mL、希釈液を減量した調製法(100mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.47mg/mL。

4). 1日1回用量50mg(50mgバイアル1本):点滴静注用バッグ又はボトルへ添加する本剤の溶液量10mL、通常の調製法(250mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度は0.20mg/mL、希釈液を減量した調製法(100mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.47mg/mL。

5). 1日1回用量35mg(中等度肝機能障害用)(70mgバイアル1本):点滴静注用バッグ又はボトルへ添加する本剤の溶液量5mL、通常の調製法(250mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.14mg/mL、希釈液を減量した調製法(100mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.34mg/mL。

6). 1日1回用量35mg(中等度肝機能障害用)(50mgバイアル1本):点滴静注用バッグ又はボトルへ添加する本剤の溶液量7mL、通常の調製法(250mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.14mg/mL、希釈液を減量した調製法(100mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.34mg/mL。

70mgバイアル、50mgバイアルのいずれを用いる際も、バイアル中の本剤の溶解には生理食塩液あるいは注射用水を10.5mL用いること。

*100mLの希釈液を用いた調製法は推奨しない。調製後の最終濃度が0.5mg/mLを超えないこと。

14.1.3. 〈小児〉患者の体表面積(BSA)に基づく1日1回の用量の計算:本剤投与前に患者の体表面積(BSA)※に基づいて用量を計算する。

投与初日の用量(mg)は、BSA(u)×70mg/uで計算し、投与2日目以降の用量(mg)は、BSA(u)×50mg/uで計算する。

ただし、投与初日及び投与2日目以降の1日用量は、患者毎に計算された用量に関わらず、70mgを超えないこと。

14.1.4. 〈小児〉バイアル中の本剤の溶解:バイアルを常温に戻し、本品1バイアル(70mgバイアル又は50mgバイアル)に、生理食塩液あるいは注射用水10.5mLを注入し、ゆっくりと振り混ぜて粉末状の本剤を完全に溶解させる。バイアル中に溶解した本剤の溶液が混濁又は沈殿している場合はその溶液を使用しないこと。本剤の溶解後の濃度は、7.2mg/mL(70mgバイアル)又は5.2mg/mL(50mgバイアル)とそれぞれ異なるので希釈する時は注意すること。

14.1.5. 〈小児〉本剤投与時の調製方法:希釈液は、生理食塩液又は乳酸リンゲル液を用いる。バイアル中で溶解した本剤の溶液から計算した用量に相当する必要量を、点滴静注用バッグ又はボトルに添加して希釈し、点滴静注液とする。調製後の点滴静注液が混濁又は沈殿している場合はその静注液を使用しないこと。調製後の最終濃度が0.5mg/mLを超えないこと。

14.1.6. 〈共通〉本剤の調製に際しては、ブドウ糖を含む希釈液を使用しないこと(本剤はブドウ糖を含む希釈液中では不安定である)。

14.1.7. 〈共通〉調製後は速やかに使用すること(やむを得ず保存を必要とする場合でも、バイアル中で溶解した本剤の溶液は、25℃以下で24時間以内に使用すること)。また、希釈した点滴静注液は、25℃以下では24時間以内、冷所(2〜8℃)では48時間以内に使用すること。

14.2. 薬剤投与時の注意

本剤の投与に際しては、他の薬物<生理食塩液・注射用水・乳酸リンゲル液を除く>と混合しない、また、他剤と同じラインで同時に点滴静注を行わないこと(他剤と連続注入する場合には、本剤の投与前後にラインを生理食塩水又は乳酸リンゲル液でフラッシュすること)、他の薬物と混合した場合及び他剤と同じラインで同時に点滴静注を行った場合のデータはない。

※)患者の体表面積(BSA)は次に示すMosteller式により算出する。

BSA(u)=√(身長(cm)×体重(kg)÷3600)。

貯法

(保管上の注意)

2〜8℃。

カンサイダス点滴静注用70mg
後発品はありません
カンサイダス点滴静注用70mg
カンサイダス点滴静注用70mg

カンサイダス点滴静注用70mg

キャンディン系抗真菌薬
2022年11月改訂(第2版)
薬剤情報
後発品
薬効分類キャンディン系抗真菌薬
一般名カスポファンギン酢酸塩注射用
薬価23386
メーカーMSD
最終更新2022年11月改訂(第2版)

用法・用量

〈成人〉

真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症

通常、カスポファンギンとして投与初日に70mgを、投与2日目以降は50mgを1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。

カンジダ属又はアスペルギルス属による次記の真菌感染症

・ 食道カンジダ症

通常、カスポファンギンとして50mgを1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。

・ 侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症

通常、カスポファンギンとして投与初日に70mgを、投与2日目以降は50mgを1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。

〈小児〉

真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症、カンジダ属又はアスペルギルス属による食道カンジダ症、侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症

通常、カスポファンギンとして投与初日に70mg/u(体表面積)を、投与2日目以降は50mg/u(体表面積)を1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。なお、1日1回50mg/u(体表面積)の投与で効果不十分の場合には、1日1回70mg/u(体表面積)まで増量することができる。いずれの場合も1日用量として70mgを超えないこと。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈成人〉中等度肝機能障害を伴う患者に対しては、次を目安に本剤の用量調節をすること〔16.6.1参照〕。

1). 〈成人〉中等度肝機能障害<Child−Pughスコア7〜9>を伴う食道カンジダ症:35mgを1日1回。

2). 〈成人〉中等度肝機能障害<Child−Pughスコア7〜9>を伴う発熱性好中球減少症、侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症:投与初日に70mg、投与2日目以降は35mgを1日1回。

〈成人〉軽度肝機能障害<Child−Pughスコア5〜6>を伴う患者に対しては通常の用量を投与する。

〈成人〉重度肝機能障害<Child−Pughスコア10以上>を伴う患者に対しては本剤の投与経験がない。

7.2. 〈成人〉エファビレンツ、ネビラピン、リファンピシン、デキサメタゾン、フェニトイン、カルバマゼピンと本剤を併用する場合、成人は本剤70mgの1日1回投与を検討すること〔10.2、16.7.3、16.7.4参照〕。

7.3. 〈小児〉3ヵ月未満の患者では血中濃度が高くなる可能性があるので、3ヵ月未満の患者に投与する際は減量を考慮すること〔16.1.2参照〕。

7.4. 〈小児〉小児の肝機能障害患者に対する検討は行われていない。

7.5. 〈小児〉エファビレンツ、ネビラピン、リファンピシン、デキサメタゾン、フェニトイン、カルバマゼピンと本剤を併用する場合、小児は本剤70mg/u(体表面積)の1日1回投与を検討すること(なお、1日用量として70mgを超えないこと)〔10.2、16.7.3、16.7.4参照〕。

効能・効果

1). 真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症。

2). カンジダ属又はアスペルギルス属による次記の真菌感染症。

@. 食道カンジダ症。

A. 侵襲性カンジダ症。

B. アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性壊死性肺アスペルギルス症、肺アスペルギローマ)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症〉本剤は次の3条件を満たす症例に投与すること:1回の検温で38℃以上又は1時間以上持続する37.5℃以上の発熱で、好中球数が500/mm3未満、又は1000/mm3未満で500/mm3未満に減少することが予測され、適切な抗菌薬投与を行っても解熱せず、抗真菌薬の投与が必要と考えられる場合に投与。

5.2. 〈真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症〉発熱性好中球減少症の患者への投与は、発熱性好中球減少症の治療に十分な経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。

5.3. 〈真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症〉発熱性好中球減少症に投与する場合には、投与前に適切な培養検査等を行い、起炎菌を明らかにする努力を行うこと(起炎菌が判明した際には、本剤投与継続の必要性を検討すること)。

5.4. 〈侵襲性カンジダ症〉カンジダ血症、腹腔内膿瘍、腹膜炎、胸腔内感染以外における検討は行われていない〔17.1.1、17.1.2参照〕。

5.5. 〈侵襲性アスペルギルス症〉他の治療が無効あるいは忍容性に問題がある患者に本剤の使用を考慮すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. アナフィラキシー(頻度不明):発疹、顔面腫脹、血管浮腫、そう痒症、熱感、気管支痙攣、呼吸困難、潮紅等の異常があらわれることがある。

11.1.2. 肝機能障害(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇や肝機能障害があらわれることがある〔8.2参照〕。

11.1.3. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)(頻度不明)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 眼障害:(1〜5%未満)眼そう痒症。

2). 胃腸障害:(1〜5%未満)悪心、腹部圧痛、下痢、血便排泄、下部消化管出血、口の感覚鈍麻、(頻度不明)嘔吐。

3). 全身障害及び投与局所様態:(1〜5%未満)悪寒、発熱、血管穿刺部位炎症、(頻度不明)腫脹、末梢性浮腫。

4). 肝胆道系障害:(5%以上)肝機能異常。

5). 臨床検査:(5%以上)ALT増加、AST増加、γ−GTP増加、(1〜5%未満)血中Al−P増加、血中カリウム減少、プロトロンビン時間延長、活性化部分トロンボプラスチン時間延長、血中ビリルビン増加、血中カルシウム減少、血中クロール増加、血中ブドウ糖減少、血中カリウム増加、CRP増加、ヘマトクリット減少、血小板数減少、総蛋白減少、白血球数減少、尿中ビリルビン増加、好酸球数増加、LDH増加、(頻度不明)ヘモグロビン減少、抱合ビリルビン増加、血中アルブミン減少、血中クレアチニン増加、血中マグネシウム減少。

6). 代謝及び栄養障害:(1〜5%未満)糖尿病、(頻度不明)低カリウム血症、高カルシウム血症。

7). 神経系障害:(1〜5%未満)浮動性めまい、頭痛、失神。

8). 皮膚及び皮下組織障害:(1〜5%未満)発疹、(頻度不明)皮膚そう痒症、多汗症。

9). 血管障害:(1〜5%未満)静脈炎、高血圧、血管障害、(頻度不明)潮紅。

10). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(1〜5%未満)肺水腫、(頻度不明)呼吸困難。

11). 血液及びリンパ系障害:(1〜5%未満)貧血。

12). 腎及び尿路障害:(1〜5%未満)腎機能障害。

禁忌

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

重要な基本的注意

8.1. 本剤の投与期間は患者の臨床症状、効果等に基づき決定し、治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること〔17.1.1、17.1.2参照〕。

8.2. 肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分観察すること〔11.1.2参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 薬物過敏症<本剤の成分に対する過敏症を除く>の既往歴のある患者:特に他のキャンディン系抗真菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者には注意すること。

相互作用

10.2. 併用注意:

1). シクロスポリン〔16.7.1参照〕[本剤をシクロスポリンと併用した際、シクロスポリンの血中濃度に変化はみられなかったが、本剤のAUCは増加し、また、両薬剤の併用により一過性のALT及びAST増加が認められたため、シクロスポリンが投与されている患者への本剤の投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみとし、両薬剤を併用する場合は、肝酵素の綿密なモニタリングの実施を考慮すること(併用による本剤のAUCの増加には、トランスポーター(OATP1B1)を介した本剤の肝取り込みの阻害が関与していると考えられる)]。

2). タクロリムス〔16.7.2参照〕[本剤をタクロリムスと併用した際、タクロリムスの投与後12時間血中濃度<C12hr>を減少させたが、本剤の血中濃度に有意な変化はみられなかったため、本剤とタクロリムスを併用する場合は、タクロリムスの血中濃度のモニタリング及びタクロリムスの用量調節が推奨される(機序不明)]。

3). リファンピシン:

@. リファンピシン〔7.2、7.5、16.7.3参照〕[本剤をリファンピシン単回投与と併用した際、本剤のAUCが増加し、リファンピシンの血中濃度に有意な変化はみられなかった(リファンピシンの併用による本剤のクリアランス誘導には代謝過程よりも肝取り込みトランスポーター(OATP1B1)を介した輸送過程が影響すると考えられる)]。

A. リファンピシン〔7.2、7.5、16.7.3参照〕[リファンピシンの誘導作用が定常状態下で本剤を併用した際、本剤のトラフ濃度が減少し、リファンピシンの血中濃度に有意な変化はみられなかった(リファンピシンの併用による本剤のクリアランス誘導には代謝過程よりも肝取り込みトランスポーター(OATP1B1)を介した輸送過程が影響すると考えられる)]。

4). エファビレンツ、ネビラピン、フェニトイン、デキサメタゾン、カルバマゼピン〔7.2、7.5、16.7.4参照〕[これらの薬剤と本剤の併用により、臨床的に有意な本剤の血中濃度の低下が生じるおそれがある(これらの薬剤の併用による本剤のクリアランス誘導には代謝過程よりも取り込み輸送過程が影響すると考えられる)]。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ラットでは母動物に毒性があらわれる用量(5mg/kg/日)で、胎仔体重減少並びに胎仔頭蓋不完全骨化及び胎仔体躯不完全骨化発現率の増加が認められており、さらに、同用量で胎仔頸肋の発現率増加がみられており、動物試験(ラット、ウサギ)で、胎盤通過が認められている)。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトの母乳中に移行するか否かは不明であるが、ラットでは乳汁移行が認められている)。

小児等

投与に際しては観察を十分に行うこと。小児の臨床試験では、成人と比べALT増加、AST増加、肝機能異常の発現頻度が高いことが報告されている。低出生体重児、新生児及び3ヵ月未満の乳児を対象とした国内臨床試験は実施していない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤調製時の注意

14.1.1. 〈成人〉バイアル中の本剤の溶解:バイアルを常温に戻し、本品1バイアル(70mgバイアル又は50mgバイアル)に、生理食塩液あるいは注射用水10.5mLを注入し、ゆっくりと振り混ぜて粉末状の本剤を完全に溶解させる。バイアル中に溶解した本剤の溶液が混濁又は沈殿している場合はその溶液を使用しないこと。本剤の溶解後の濃度は、7.2mg/mL(70mgバイアル)又は5.2mg/mL(50mgバイアル)とそれぞれ異なるので希釈する時は注意すること。

14.1.2. 〈成人〉本剤投与時の調製方法:希釈液は、生理食塩液又は乳酸リンゲル液を用いる。通常、バイアル中で溶解した本剤の溶液の必要量(次参照)を、250mLの希釈液の入った点滴静注用バッグ又はボトルに添加して希釈し、点滴静注液とする。

調製後の点滴静注液が混濁又は沈殿している場合はその静注液を使用しないこと。1日1回用量が50mg又は35mgの場合には、必要に応じて希釈液を100mLに減じて用いることができる。

[点滴静注液の調製法]

1). 1日1回用量70mg(70mgバイアル1本):点滴静注用バッグ又はボトルへ添加する本剤の溶液量10mL、通常の調製法(250mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.28mg/mL、希釈液を減量した調製法(100mLの希釈液に本剤溶液を添加)は推奨しない*。

2). 1日1回用量70mg(50mgバイアル2本)[70mgバイアルが利用できない場合には、50mgバイアル2本を用いて1日1回用量70mgの点滴静注液を調製することができる]:点滴静注用バッグ又はボトルへ添加する本剤の溶液量14mL、通常の調製法(250mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.28mg/mL、希釈液を減量した調製法(100mLの希釈液に本剤溶液を添加)は推奨しない*。

3). 1日1回用量50mg(70mgバイアル1本)[50mgバイアルが利用できない場合には、70mgバイアル1本を用いて1日1回用量50mgの点滴静注液を調製することができる]:点滴静注用バッグ又はボトルへ添加する本剤の溶液量7mL、通常の調製法(250mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.20mg/mL、希釈液を減量した調製法(100mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.47mg/mL。

4). 1日1回用量50mg(50mgバイアル1本):点滴静注用バッグ又はボトルへ添加する本剤の溶液量10mL、通常の調製法(250mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度は0.20mg/mL、希釈液を減量した調製法(100mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.47mg/mL。

5). 1日1回用量35mg(中等度肝機能障害用)(70mgバイアル1本):点滴静注用バッグ又はボトルへ添加する本剤の溶液量5mL、通常の調製法(250mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.14mg/mL、希釈液を減量した調製法(100mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.34mg/mL。

6). 1日1回用量35mg(中等度肝機能障害用)(50mgバイアル1本):点滴静注用バッグ又はボトルへ添加する本剤の溶液量7mL、通常の調製法(250mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.14mg/mL、希釈液を減量した調製法(100mLの希釈液に本剤溶液を添加)で希釈後の本剤の濃度0.34mg/mL。

70mgバイアル、50mgバイアルのいずれを用いる際も、バイアル中の本剤の溶解には生理食塩液あるいは注射用水を10.5mL用いること。

*100mLの希釈液を用いた調製法は推奨しない。調製後の最終濃度が0.5mg/mLを超えないこと。

14.1.3. 〈小児〉患者の体表面積(BSA)に基づく1日1回の用量の計算:本剤投与前に患者の体表面積(BSA)※に基づいて用量を計算する。

投与初日の用量(mg)は、BSA(u)×70mg/uで計算し、投与2日目以降の用量(mg)は、BSA(u)×50mg/uで計算する。

ただし、投与初日及び投与2日目以降の1日用量は、患者毎に計算された用量に関わらず、70mgを超えないこと。

14.1.4. 〈小児〉バイアル中の本剤の溶解:バイアルを常温に戻し、本品1バイアル(70mgバイアル又は50mgバイアル)に、生理食塩液あるいは注射用水10.5mLを注入し、ゆっくりと振り混ぜて粉末状の本剤を完全に溶解させる。バイアル中に溶解した本剤の溶液が混濁又は沈殿している場合はその溶液を使用しないこと。本剤の溶解後の濃度は、7.2mg/mL(70mgバイアル)又は5.2mg/mL(50mgバイアル)とそれぞれ異なるので希釈する時は注意すること。

14.1.5. 〈小児〉本剤投与時の調製方法:希釈液は、生理食塩液又は乳酸リンゲル液を用いる。バイアル中で溶解した本剤の溶液から計算した用量に相当する必要量を、点滴静注用バッグ又はボトルに添加して希釈し、点滴静注液とする。調製後の点滴静注液が混濁又は沈殿している場合はその静注液を使用しないこと。調製後の最終濃度が0.5mg/mLを超えないこと。

14.1.6. 〈共通〉本剤の調製に際しては、ブドウ糖を含む希釈液を使用しないこと(本剤はブドウ糖を含む希釈液中では不安定である)。

14.1.7. 〈共通〉調製後は速やかに使用すること(やむを得ず保存を必要とする場合でも、バイアル中で溶解した本剤の溶液は、25℃以下で24時間以内に使用すること)。また、希釈した点滴静注液は、25℃以下では24時間以内、冷所(2〜8℃)では48時間以内に使用すること。

14.2. 薬剤投与時の注意

本剤の投与に際しては、他の薬物<生理食塩液・注射用水・乳酸リンゲル液を除く>と混合しない、また、他剤と同じラインで同時に点滴静注を行わないこと(他剤と連続注入する場合には、本剤の投与前後にラインを生理食塩水又は乳酸リンゲル液でフラッシュすること)、他の薬物と混合した場合及び他剤と同じラインで同時に点滴静注を行った場合のデータはない。

※)患者の体表面積(BSA)は次に示すMosteller式により算出する。

BSA(u)=√(身長(cm)×体重(kg)÷3600)。

貯法

(保管上の注意)

2〜8℃。

後発品はありません
薬剤情報

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