速効型インスリン分泌促進薬
薬効分類 | 速効型インスリン分泌促進薬 |
一般名 | レパグリニド錠 |
薬価 | 8.7円 |
メーカー | 沢井製薬 |
最終更新 | 2022年04月改訂(第4版) |
レパグリニドとして1回0.25mgより開始し、1日3回毎食直前に経口投与する。維持用量は1回0.25〜0.5mgで、必要に応じて適宜増減する。なお、1回量を1mgまで増量することができる。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
本剤は食後投与では速やかな吸収が得られず効果が減弱するので、効果的に食後の血糖上昇を抑制するため、本剤の投与は毎食直前(10分以内)とする。また、本剤は投与後速やかに薬効を発現するため、食事の30分以上前の投与では食事開始前に低血糖を誘発する可能性がある。
2型糖尿病。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮する。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等、糖尿病類似の症状(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意する。
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
1.重大な副作用(頻度不明)
1).低血糖:低血糖及び低血糖症状が現れることがあるので、眩暈・ふらつき、震え、空腹感、冷汗、意識消失等の低血糖症状が認められた場合には通常はショ糖を投与し、α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与するなど適切な処置を行う。
2).肝機能障害:肝機能障害が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
3).心筋梗塞:外国において心筋梗塞の発症が報告されているので、投与に際しては観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
2.その他の副作用:次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行う。
1).代謝:(頻度不明)血清カリウム上昇、尿酸上昇。
2).消化器:(頻度不明)下痢、便秘、腹痛、悪心、腹部膨満感、逆流性食道炎、胃炎。
3).精神神経系:(頻度不明)振戦、眩暈・ふらつき、しびれ感、頭痛、眠気、イライラ感、浮遊感、集中力低下。
4).過敏症:(頻度不明)蕁麻疹、そう痒、発疹、紅斑[このような症状が認められた場合には投与を中止する]。
5).肝臓:(頻度不明)ビリルビン上昇、AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al−P上昇、γ−GTP上昇。
6).腎臓:(頻度不明)クレアチニン上昇、BUN上昇。
7).血液:(頻度不明)白血球増加。
8).眼:(頻度不明)羞明、視野狭窄、霧視。
9).循環器:(頻度不明)血圧上昇、期外収縮、動悸、頻脈。
10).その他:(頻度不明)空腹感、倦怠感、脱力感、多汗、冷汗、浮腫、体重増加、ほてり、顔面蒼白、冷感、気分不良。
1.重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない]。
2.重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない]。
3.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。
4.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
1.肝機能障害のある患者[本剤は主に肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇し低血糖を起こす恐れがあるので、重度の肝機能障害のある患者には低用量(1回0.125mg)から投与を開始するなど、慎重に投与する(なお、国内では肝機能障害のある患者への投与経験が限られている)]。
2.重度腎機能障害のある患者[血中濃度が上昇し低血糖を起こす恐れがある(なお、国内では透析を必要とする重度の腎機能障害のある患者への投与経験はない)]。
3.インスリン製剤投与中の患者[低血糖のリスクが増加する恐れがある]。
4.次に掲げる患者又は状態:
1).虚血性心疾患のある患者[外国において心筋梗塞を発症した症例が報告されている]。
2).脳下垂体機能不全又は副腎機能不全[低血糖を起こす恐れがある]。
3).下痢、嘔吐等の胃腸障害[低血糖を起こす恐れがある]。
4).栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態[低血糖を起こす恐れがある]。
5).激しい筋肉運動[低血糖を起こす恐れがある]。
6).過度のアルコール摂取[低血糖を起こす恐れがある]。
7).高齢者。
(重要な基本的注意)
1.本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明する。特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加する恐れがあるので、併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討する。
2.低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意し、低血糖症状(眩暈・ふらつき、震え、空腹感、冷汗、意識消失等)が認められた場合には通常はショ糖を投与し、α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)との併用により低血糖症状が認められた場合には、α−グルコシダーゼ阻害剤が二糖類の消化・吸収を遅延するので、ショ糖ではなくブドウ糖を投与するなど適切な処置を行う。
3.本剤は、他の速効型インスリン分泌促進剤に比べて作用持続時間が長いため、投与後数時間は低血糖を起こすことがある(また、他の速効型インスリン分泌促進剤に比べて低血糖の発現頻度が高かったので注意する)。
4.本剤投与中は、血糖を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、本剤を2〜3カ月投与しても効果が不十分な場合には、より適切と考えられる治療への変更を考慮する。
5.投与の継続中に、投与の必要がなくなる場合や、減量する必要がある場合があり、また患者の不養生、感染症の合併等により効果がなくなったり、不十分となる場合があるので、食事摂取量、血糖値、感染症の有無等に留意のうえ、常に投与継続の可否、投与量、薬剤の選択等に注意する。
6.本剤は速やかなインスリン分泌促進作用を有し、その作用点はスルホニルウレア剤と同じであり、スルホニルウレア剤との相加・相乗の臨床効果及び安全性が確立されていないので、スルホニルウレア剤と併用しない。
7.本剤の適用においては、糖尿病治療の基本である食事療法・運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮する。
8.本剤を投与する際は、空腹時血糖が126mg/dL以上、又は食後血糖1時間値又は2時間値が200mg/dL以上を示す場合に限る。
9.本剤とGLP−1受容体作動薬との併用における有効性及び安全性は検討されていない。
本剤は、主として薬物代謝酵素CYP2C8及び一部CYP3A4で代謝される。
併用注意:
1.血糖降下作用を増強する薬剤:
1).インスリン製剤[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する;特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加する恐れがあるので、併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討する(機序の異なる血糖降下作用が相加的に増強される)]。
2).ビグアナイド系薬剤(メトホルミン等)、チアゾリジン系薬剤(ピオグリタゾン)、DPP−4阻害剤(シタグリプチン等)、GLP−1受容体作動薬、SGLT2阻害剤、イメグリミン塩酸塩[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(機序の異なる血糖降下作用が相加的に増強される)]。
3).α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する;α−グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはショ糖ではなくブドウ糖を投与する(機序の異なる血糖降下作用が相加的に増強される)]。
4).β遮断剤(プロプラノロール等)、モノアミン酸化酵素阻害剤[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(これらの薬剤の肝における糖新生の抑制及び末梢におけるインスリン感受性の増強作用による)]。
5).サリチル酸製剤(アスピリン等)[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(サリチル酸製剤の血糖降下作用による)]。
6).蛋白同化ホルモン剤[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(一部の糖尿病患者では蛋白同化ホルモン剤により血糖低下作用を示すことがある)]。
7).テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン、ミノサイクリン等)[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(テトラサイクリン系抗生物質のインスリン感受性増強作用による)]。
8).シクロスポリン[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(シクロスポリンはCYP3A4及び肝取り込みトランスポーターOATP1B1を阻害し本剤の血中濃度を増加させる可能性がある)]。
9).デフェラシロクス、クロピドグレル、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、ファビピラビル[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(CYP2C8阻害作用により、本剤の代謝が抑制されると考えられており、併用により、本剤の血中濃度が増加したとの報告がある)]。
2.血糖降下作用を減弱する薬剤:
1).アドレナリン[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(アドレナリンの末梢でのブドウ糖取り込み抑制、肝での糖新生促進、インスリン分泌抑制による)]。
2).副腎皮質ホルモン(メチルプレドニゾロン等)[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(副腎皮質ホルモンの肝での糖新生促進作用及び末梢組織でのインスリン感受性低下作用による)]。
3).卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール等)[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(機序は不明であるが、卵胞ホルモンによるコルチゾール分泌変化、組織での糖利用変化、成長ホルモンの過剰産生、肝機能の変化、末梢でのインスリン感受性低下等が考えられている)]。
4).ニコチン酸[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(ニコチン酸の肝でのブドウ糖同化抑制による)]。
5).ピラジナミド[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(機序は不明ではあるが、ピラジナミド服用患者では血糖のコントロールがより難しいとの報告がある)]。
6).フェノチアジン系薬剤(クロルプロマジン等)[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(フェノチアジン系薬剤のインスリン遊離抑制作用及び副腎からのアドレナリン遊離作用による)]。
7).利尿剤(チアジド系利尿剤等)[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(利尿剤による血清カリウムの低下、インスリンの分泌障害、組織におけるインスリンの感受性低下が考えられている)]。
8).フェニトイン[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(フェニトインはインスリン分泌を直接抑制する)]。
9).リファンピシン[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(リファンピシンの薬物代謝酵素誘導により、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
3.その他:
1).イソニアジド[血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与する(イソニアジドは本剤の主要代謝酵素であるCYP2C8の阻害作用を有するため、本剤の血中濃度が上昇する可能性があり、また、イソニアジドの糖質代謝阻害により血糖値上昇及び耐糖能異常を引き起こす)]。
2).甲状腺ホルモン(乾燥甲状腺等)[血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与する(甲状腺ホルモンは糖代謝全般に作用し血糖値を変動させると考えられている)]。
(高齢者への投与)
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、血糖値に留意し、定期的に検査を行うなど経過を十分に観察しながら慎重に投与する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない(また、胎仔の器官形成期に投与されたラット及びウサギでは胎仔致死作用及び胎仔骨格異常・胎仔骨格変異の発現頻度の増加がみられ、更に妊娠末期及び授乳期に投与されたラットでは出生仔四肢骨異常が認められている)]。
2.授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させる[ラットで乳汁中への移行が認められている]。
(小児等への投与)
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
(適用上の注意)
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
1.取扱い上の注意:錠剤表面に使用色素による赤い斑点がみられることがある。
2.安定性試験:PTP包装(PTPシートをアルミピロー包装(乾燥剤入り))したものを用いた加速試験(40℃75%RH、6カ月)の結果、通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
本剤と心血管イベントの関連について明確な結論は得られていないが、外国の疫学的研究で本剤投与群の急性冠動脈症候群の発現頻度がスルホニルウレア剤投与群に比べ高いことを示唆する報告がある。また、外国の臨床試験において本剤とNPHインスリン併用時に重篤な心筋虚血の発現が認められた症例が報告されている。
薬効分類 | 速効型インスリン分泌促進薬 |
一般名 | レパグリニド錠 |
薬価 | 8.7円 |
メーカー | 沢井製薬 |
最終更新 | 2022年04月改訂(第4版) |
レパグリニドとして1回0.25mgより開始し、1日3回毎食直前に経口投与する。維持用量は1回0.25〜0.5mgで、必要に応じて適宜増減する。なお、1回量を1mgまで増量することができる。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
本剤は食後投与では速やかな吸収が得られず効果が減弱するので、効果的に食後の血糖上昇を抑制するため、本剤の投与は毎食直前(10分以内)とする。また、本剤は投与後速やかに薬効を発現するため、食事の30分以上前の投与では食事開始前に低血糖を誘発する可能性がある。
2型糖尿病。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮する。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等、糖尿病類似の症状(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意する。
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
1.重大な副作用(頻度不明)
1).低血糖:低血糖及び低血糖症状が現れることがあるので、眩暈・ふらつき、震え、空腹感、冷汗、意識消失等の低血糖症状が認められた場合には通常はショ糖を投与し、α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与するなど適切な処置を行う。
2).肝機能障害:肝機能障害が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
3).心筋梗塞:外国において心筋梗塞の発症が報告されているので、投与に際しては観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
2.その他の副作用:次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行う。
1).代謝:(頻度不明)血清カリウム上昇、尿酸上昇。
2).消化器:(頻度不明)下痢、便秘、腹痛、悪心、腹部膨満感、逆流性食道炎、胃炎。
3).精神神経系:(頻度不明)振戦、眩暈・ふらつき、しびれ感、頭痛、眠気、イライラ感、浮遊感、集中力低下。
4).過敏症:(頻度不明)蕁麻疹、そう痒、発疹、紅斑[このような症状が認められた場合には投与を中止する]。
5).肝臓:(頻度不明)ビリルビン上昇、AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al−P上昇、γ−GTP上昇。
6).腎臓:(頻度不明)クレアチニン上昇、BUN上昇。
7).血液:(頻度不明)白血球増加。
8).眼:(頻度不明)羞明、視野狭窄、霧視。
9).循環器:(頻度不明)血圧上昇、期外収縮、動悸、頻脈。
10).その他:(頻度不明)空腹感、倦怠感、脱力感、多汗、冷汗、浮腫、体重増加、ほてり、顔面蒼白、冷感、気分不良。
1.重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない]。
2.重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない]。
3.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。
4.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
1.肝機能障害のある患者[本剤は主に肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇し低血糖を起こす恐れがあるので、重度の肝機能障害のある患者には低用量(1回0.125mg)から投与を開始するなど、慎重に投与する(なお、国内では肝機能障害のある患者への投与経験が限られている)]。
2.重度腎機能障害のある患者[血中濃度が上昇し低血糖を起こす恐れがある(なお、国内では透析を必要とする重度の腎機能障害のある患者への投与経験はない)]。
3.インスリン製剤投与中の患者[低血糖のリスクが増加する恐れがある]。
4.次に掲げる患者又は状態:
1).虚血性心疾患のある患者[外国において心筋梗塞を発症した症例が報告されている]。
2).脳下垂体機能不全又は副腎機能不全[低血糖を起こす恐れがある]。
3).下痢、嘔吐等の胃腸障害[低血糖を起こす恐れがある]。
4).栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態[低血糖を起こす恐れがある]。
5).激しい筋肉運動[低血糖を起こす恐れがある]。
6).過度のアルコール摂取[低血糖を起こす恐れがある]。
7).高齢者。
(重要な基本的注意)
1.本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明する。特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加する恐れがあるので、併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討する。
2.低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意し、低血糖症状(眩暈・ふらつき、震え、空腹感、冷汗、意識消失等)が認められた場合には通常はショ糖を投与し、α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)との併用により低血糖症状が認められた場合には、α−グルコシダーゼ阻害剤が二糖類の消化・吸収を遅延するので、ショ糖ではなくブドウ糖を投与するなど適切な処置を行う。
3.本剤は、他の速効型インスリン分泌促進剤に比べて作用持続時間が長いため、投与後数時間は低血糖を起こすことがある(また、他の速効型インスリン分泌促進剤に比べて低血糖の発現頻度が高かったので注意する)。
4.本剤投与中は、血糖を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、本剤を2〜3カ月投与しても効果が不十分な場合には、より適切と考えられる治療への変更を考慮する。
5.投与の継続中に、投与の必要がなくなる場合や、減量する必要がある場合があり、また患者の不養生、感染症の合併等により効果がなくなったり、不十分となる場合があるので、食事摂取量、血糖値、感染症の有無等に留意のうえ、常に投与継続の可否、投与量、薬剤の選択等に注意する。
6.本剤は速やかなインスリン分泌促進作用を有し、その作用点はスルホニルウレア剤と同じであり、スルホニルウレア剤との相加・相乗の臨床効果及び安全性が確立されていないので、スルホニルウレア剤と併用しない。
7.本剤の適用においては、糖尿病治療の基本である食事療法・運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮する。
8.本剤を投与する際は、空腹時血糖が126mg/dL以上、又は食後血糖1時間値又は2時間値が200mg/dL以上を示す場合に限る。
9.本剤とGLP−1受容体作動薬との併用における有効性及び安全性は検討されていない。
本剤は、主として薬物代謝酵素CYP2C8及び一部CYP3A4で代謝される。
併用注意:
1.血糖降下作用を増強する薬剤:
1).インスリン製剤[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する;特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加する恐れがあるので、併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討する(機序の異なる血糖降下作用が相加的に増強される)]。
2).ビグアナイド系薬剤(メトホルミン等)、チアゾリジン系薬剤(ピオグリタゾン)、DPP−4阻害剤(シタグリプチン等)、GLP−1受容体作動薬、SGLT2阻害剤、イメグリミン塩酸塩[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(機序の異なる血糖降下作用が相加的に増強される)]。
3).α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する;α−グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはショ糖ではなくブドウ糖を投与する(機序の異なる血糖降下作用が相加的に増強される)]。
4).β遮断剤(プロプラノロール等)、モノアミン酸化酵素阻害剤[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(これらの薬剤の肝における糖新生の抑制及び末梢におけるインスリン感受性の増強作用による)]。
5).サリチル酸製剤(アスピリン等)[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(サリチル酸製剤の血糖降下作用による)]。
6).蛋白同化ホルモン剤[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(一部の糖尿病患者では蛋白同化ホルモン剤により血糖低下作用を示すことがある)]。
7).テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン、ミノサイクリン等)[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(テトラサイクリン系抗生物質のインスリン感受性増強作用による)]。
8).シクロスポリン[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(シクロスポリンはCYP3A4及び肝取り込みトランスポーターOATP1B1を阻害し本剤の血中濃度を増加させる可能性がある)]。
9).デフェラシロクス、クロピドグレル、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、ファビピラビル[低血糖症状(空腹感・あくび・悪心・無気力・だるさ等の初期症状から、血圧上昇・発汗・震え・顔面蒼白等の症状を経て意識消失・痙攣・昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する(CYP2C8阻害作用により、本剤の代謝が抑制されると考えられており、併用により、本剤の血中濃度が増加したとの報告がある)]。
2.血糖降下作用を減弱する薬剤:
1).アドレナリン[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(アドレナリンの末梢でのブドウ糖取り込み抑制、肝での糖新生促進、インスリン分泌抑制による)]。
2).副腎皮質ホルモン(メチルプレドニゾロン等)[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(副腎皮質ホルモンの肝での糖新生促進作用及び末梢組織でのインスリン感受性低下作用による)]。
3).卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール等)[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(機序は不明であるが、卵胞ホルモンによるコルチゾール分泌変化、組織での糖利用変化、成長ホルモンの過剰産生、肝機能の変化、末梢でのインスリン感受性低下等が考えられている)]。
4).ニコチン酸[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(ニコチン酸の肝でのブドウ糖同化抑制による)]。
5).ピラジナミド[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(機序は不明ではあるが、ピラジナミド服用患者では血糖のコントロールがより難しいとの報告がある)]。
6).フェノチアジン系薬剤(クロルプロマジン等)[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(フェノチアジン系薬剤のインスリン遊離抑制作用及び副腎からのアドレナリン遊離作用による)]。
7).利尿剤(チアジド系利尿剤等)[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(利尿剤による血清カリウムの低下、インスリンの分泌障害、組織におけるインスリンの感受性低下が考えられている)]。
8).フェニトイン[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(フェニトインはインスリン分泌を直接抑制する)]。
9).リファンピシン[血糖降下剤の効果を減弱させ血糖値が上昇してコントロール不良になることがあるので、食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意し、併用する場合は頻回に血糖値を測定するなど血糖コントロールに注意し、必要に応じ投与量を調節する(リファンピシンの薬物代謝酵素誘導により、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
3.その他:
1).イソニアジド[血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与する(イソニアジドは本剤の主要代謝酵素であるCYP2C8の阻害作用を有するため、本剤の血中濃度が上昇する可能性があり、また、イソニアジドの糖質代謝阻害により血糖値上昇及び耐糖能異常を引き起こす)]。
2).甲状腺ホルモン(乾燥甲状腺等)[血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与する(甲状腺ホルモンは糖代謝全般に作用し血糖値を変動させると考えられている)]。
(高齢者への投与)
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、血糖値に留意し、定期的に検査を行うなど経過を十分に観察しながら慎重に投与する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない(また、胎仔の器官形成期に投与されたラット及びウサギでは胎仔致死作用及び胎仔骨格異常・胎仔骨格変異の発現頻度の増加がみられ、更に妊娠末期及び授乳期に投与されたラットでは出生仔四肢骨異常が認められている)]。
2.授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させる[ラットで乳汁中への移行が認められている]。
(小児等への投与)
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
(適用上の注意)
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
1.取扱い上の注意:錠剤表面に使用色素による赤い斑点がみられることがある。
2.安定性試験:PTP包装(PTPシートをアルミピロー包装(乾燥剤入り))したものを用いた加速試験(40℃75%RH、6カ月)の結果、通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
本剤と心血管イベントの関連について明確な結論は得られていないが、外国の疫学的研究で本剤投与群の急性冠動脈症候群の発現頻度がスルホニルウレア剤投与群に比べ高いことを示唆する報告がある。また、外国の臨床試験において本剤とNPHインスリン併用時に重篤な心筋虚血の発現が認められた症例が報告されている。
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