薬剤情報
後発品
薬効分類非麻薬性オピオイド系鎮痛薬
一般名トラマドール塩酸塩徐放錠 (2)
薬価91.1
メーカー日本臓器製薬
最終更新2024年05月改訂(第7版)

用法・用量

通常、成人にはトラマドール塩酸塩として1日100〜300mgを2回に分けて経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。ただし1回200mg、1日400mgを超えないこととする。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 初回投与量

本剤を初めて投与する場合は、1回50mgから開始することが望ましい。なお、他のトラマドール塩酸塩経口剤から切り替える場合は、その経口剤の1日投与量、鎮痛効果及び副作用を考慮して、本剤の初回投与量を設定すること。

7.2. 投与間隔

本剤の投与は1日2回とし、朝、夕に服用することが望ましい。

7.3. 増量及び減量

本剤投与開始後に患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調整を行うこと(増量・減量の目安は、1回50mg、1日100mgずつ行うことが望ましい)。

7.4. がん疼痛患者における疼痛増強時の臨時追加投与(レスキュー薬)

がん疼痛患者における疼痛増強時の臨時追加投与(レスキュー薬):本剤服用中に疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突出痛が発現した場合は、直ちにトラマドール塩酸塩即放性製剤の臨時追加投与を行って鎮痛を図ること(臨時追加投与の1回投与量は、定時投与中の本剤の1日量の1/8〜1/4を経口投与すること、ただし、トラマドール塩酸塩としての1日総投与量は400mgを超えないこと)。

7.5. 投与の継続

慢性疼痛患者において、本剤の投与開始後4週間を経過してもなお期待する効果が得られない場合は、他の適切な治療への変更を検討すること(また、定期的に症状及び効果を確認し、投与の継続の必要性について検討すること)。

7.6. 投与の中止

7.6.1. 本剤の投与を必要としなくなった場合は、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。

7.6.2. がん疼痛患者において、本剤の1日の定時投与量が300mgで鎮痛効果が不十分となった場合、本剤の投与を中止し、モルヒネ等の強オピオイド鎮痛剤への変更を考慮すること。その場合には、定時投与量の1/5の用量の経口モルヒネを初回投与量の目安とすることが望ましい。また、経口モルヒネ以外の強オピオイド鎮痛剤に変更する場合は、経口モルヒネとの換算で投与量を求めることが望ましい。

7.7. 高齢者への投与

75歳以上の高齢者では、本剤の血中濃度が高い状態で持続し、作用及び副作用が増強するおそれがあるので、1日300mgを超えないことが望ましい〔16.6.1参照〕。

効能・効果

非オピオイド鎮痛剤で治療困難な次記における鎮痛:

慢性疼痛における鎮痛。

疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

慢性疼痛患者においては、原因となる器質的病変、心理的・社会的要因、依存リスクを含めた包括的な診断を行い、本剤の投与の適否を慎重に判断すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. ショック、アナフィラキシー(頻度不明):呼吸困難、気管支痙攣、喘鳴、血管神経性浮腫等があらわれることがある。

11.1.2. 呼吸抑制(頻度不明)。

11.1.3. 痙攣(頻度不明)。

11.1.4. 依存性(頻度不明):長期使用時に、耐性、精神的依存及び身体的依存が生じることがある。本剤の中止又は減量時において、激越、不安、神経過敏、不眠症、運動過多、振戦、胃腸症状、パニック発作、幻覚、錯感覚、耳鳴等の退薬症候が生じることがある〔8.1参照〕。

11.1.5. 意識消失(頻度不明)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 消化器:(5%以上)悪心(41.6%)、便秘(38.1%)、嘔吐(15.3%)、食欲減退、(1〜5%未満)腹部不快感、(1%未満)消化不良、胃炎、腹部膨満感、下痢、胃食道逆流性疾患、上腹部痛、口内炎、出血性胃炎、口唇炎、口角口唇炎、(頻度不明)口の錯感覚、胃腸音異常、口内乾燥、腹痛、おくび、イレウス。

2). 精神神経系:(5%以上)傾眠(20.3%)、浮動性めまい(10.3%)、(1〜5%未満)頭痛、(1%未満)回転性めまい、振戦、不眠症、耳鳴、味覚不全、感覚鈍麻、頭部不快感、片頭痛、体位性めまい、錯感覚、譫妄、不安、(頻度不明)睡眠障害、健忘、幻覚、鎮静、悪夢、落ち着きのなさ、活動性低下、異常行動、無感情、不快気分、不随意性筋収縮、記憶障害、ジスキネジー、眼振、疲労、気分変動、うつ病、頭重感、激越、抑うつ気分、両手のしびれ感、ふらつき感、不快感、協調運動異常、失神、錯乱、精神運動亢進、錯覚、言語障害。

3). 呼吸器:(頻度不明)呼吸困難、口腔咽頭痛、咽喉乾燥、口腔咽頭不快感、発声障害。

4). 循環器:(1%未満)動悸、高血圧、ほてり、(頻度不明)不整脈、蒼白、胸内苦悶、頻脈、徐脈、血圧上昇、血圧低下、起立性低血圧。

5). 血液凝固系:(1%未満)好中球数増加、(頻度不明)ヘマトクリット減少、血小板減少、好酸球増加・好酸球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少、赤血球減少、白血球増加。

6). 肝臓:(1%未満)肝機能異常、ALT増加、AST増加、LDH増加、(頻度不明)Al−P増加、ビリルビン増加。

7). 皮膚:(1〜5%未満)皮膚そう痒症、多汗症、(1%未満)湿疹、発疹、薬疹、冷汗、蕁麻疹、寝汗。

8). 腎臓及び尿路系:(1〜5%未満)排尿困難、(1%未満)尿中血陽性、尿中ブドウ糖陽性、膀胱炎、頻尿、尿閉、血中クレアチニン増加、尿量減少、(頻度不明)尿蛋白陽性、BUN増加、夜間頻尿。

9). 代謝異常:(1%未満)血中尿酸増加、脱水、(頻度不明)トリグリセリド増加。

10). その他:(5%以上)口渇(6.9%)、(1〜5%未満)倦怠感、CK増加、(1%未満)末梢性浮腫、異常感、胸部不快感、体重減少、(頻度不明)熱感、視力障害、背部痛、疼痛、霧視、散瞳、無力症、関節痛、四肢痛、筋骨格硬直、易刺激性、悪寒、発熱、冷感、視調節障害、心電図QT延長、浮腫、転倒。

禁忌

2.1. 12歳未満の小児〔9.7.1参照〕。

2.2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者〔9.1.6参照〕。

2.3. アルコールによる急性中毒、睡眠剤による急性中毒、鎮痛剤による急性中毒、オピオイド鎮痛剤による急性中毒又は向精神薬による急性中毒患者[中枢神経抑制及び呼吸抑制を悪化させるおそれがある]。

2.4. モノアミン酸化酵素阻害剤投与中又は投与中止後14日以内(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)の患者〔10.1参照〕。

2.5. ナルメフェン塩酸塩水和物投与中の患者又はナルメフェン塩酸塩水和物投与中止後1週間以内の患者〔10.1参照〕。

2.6. 治療により十分な管理がされていないてんかん患者[症状が悪化するおそれがある]〔9.1.2参照〕。

2.7. 高度腎機能障害又は高度肝機能障害のある患者〔9.2.1、9.3.1参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること〔11.1.4参照〕。

8.2. 本剤を投与した際に、悪心、嘔吐、便秘等の症状があらわれることがある。悪心・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を、便秘に対する対策として下剤の併用を考慮し、本剤投与時の副作用の発現に十分注意すること。

8.3. 眠気、めまい、意識消失が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意し、なお、意識消失により自動車事故に至った例も報告されている。

8.4. 鎮痛剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意すること。

8.5. 本剤は徐放性製剤であることから、急激な血中濃度の上昇による重篤な副作用の発現を避けるため、服用に際して割ったり、砕いたり又はかみ砕いたりしないように指示すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 18歳未満の肥満、18歳未満の閉塞性睡眠時無呼吸症候群又は18歳未満の重篤な肺疾患を有する患者:投与しないこと(重篤な呼吸抑制のリスクが増加するおそれがある)。

9.1.2. てんかん<治療により十分な管理がされていないてんかんを除く>のある患者、痙攣発作を起こしやすい患者又は痙攣発作の既往歴のある患者:本剤投与中は観察を十分に行うこと(痙攣発作を誘発することがある)〔2.6参照〕。

9.1.3. 薬物乱用又は薬物依存傾向のある患者:厳重な医師の管理下に、短期間に限って投与すること(依存性を生じやすい)。

9.1.4. 呼吸抑制状態にある患者:呼吸抑制を増強するおそれがある。

9.1.5. 脳器質的障害のある患者:呼吸抑制や頭蓋内圧上昇を来すおそれがある。

9.1.6. オピオイド鎮痛剤に対し過敏症の既往歴のある患者(本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者を除く)〔2.2参照〕。

9.1.7. ショック状態にある患者:循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 高度腎機能障害のある患者:投与しないこと(高い血中濃度が持続し、作用及び副作用が増強するおそれがある)〔2.7参照〕。

9.2.2. 腎機能障害<高度腎機能障害を除く>のある患者:高い血中濃度が持続するおそれがある。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 高度肝機能障害のある患者:投与しないこと(高い血中濃度が持続し、作用及び副作用が増強するおそれがある)〔2.7参照〕。

9.3.2. 肝機能障害<高度肝機能障害を除く>のある患者:高い血中濃度が持続するおそれがある。

相互作用

本剤は主にCYP2D6及びCYP3A4により代謝される。

10.1. 併用禁忌:

1). モノアミン酸化酵素阻害剤<リネゾリド・メチルチオニニウム塩化物以外>(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>、サフィナミドメシル酸塩<エクフィナ>)〔2.4参照〕[外国において、セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)を含む中枢神経系の重篤な副作用<攻撃的行動・固縮・痙攣・昏睡・頭痛>、呼吸器系の重篤な副作用<呼吸抑制>及び心血管系の重篤な副作用<低血圧・高血圧>が報告されているので、モノアミン酸化酵素阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者には投与しないこと(また、本剤投与中止後にモノアミン酸化酵素阻害剤の投与を開始する場合には、2〜3日間の間隔をあけることが望ましい)(相加的に作用が増強され、また中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる)]。

2). ナルメフェン塩酸塩水和物<セリンクロ>〔2.5参照〕[離脱症状を起こすおそれがあり、本剤の鎮痛作用を減弱させるため、効果を得るために必要な用量が通常用量より多くなる、呼吸抑制等の中枢神経抑制症状が発現するおそれがある(ナルメフェンを投与中又は投与中止後1週間以内の患者には投与しないこと)(ナルメフェンのμオピオイド受容体拮抗作用により、本剤に対して競合的に阻害する)]。

10.2. 併用注意:

1). オピオイド鎮痛剤、中枢神経抑制剤(フェノチアジン系薬剤、催眠鎮静剤等)[痙攣閾値の低下や呼吸抑制の増強を来すおそれがある(本剤と相加的に作用が増強されると考えられる)]。

2). 三環系抗うつ剤、セロトニン作用薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>等)[セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがあり、また、痙攣発作の危険性を増大させるおそれがある(相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる)]。

3). リネゾリド[セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがあり、また、痙攣発作の危険性を増大させるおそれがある(リネゾリドの非選択的、可逆的モノアミン酸化酵素阻害作用により、相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる)]。

4). メチルチオニニウム塩化物水和物<メチレンブルー>[セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがある(メチルチオニニウム塩化物水和物のモノアミン酸化酵素阻害作用によりセロトニン作用が増強される)]。

5). アルコール[呼吸抑制が生じるおそれがある(本剤と相加的に作用が増強されると考えられる)]。

6). カルバマゼピン[同時あるいは前投与で本剤の鎮痛効果を下げ作用時間を短縮させる可能性がある(本剤の代謝酵素が誘導される)]。

7). キニジン[相互に作用が増強するおそれがある(機序不明)]。

8). ジゴキシン[外国において、ジゴキシン中毒が発現したとの報告がある(機序不明)]。

9). オンダンセトロン塩酸塩水和物[本剤の鎮痛作用を減弱させるおそれがある(本剤の中枢におけるセロトニン作用が抑制されると考えられる)]。

10). ブプレノルフィン、ペンタゾシン等[本剤の鎮痛作用を減弱させるおそれがあり、また、退薬症候を起こすおそれがある(本剤が作用するμ−オピオイド受容体の部分アゴニストである)]。

11). クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)[出血を伴うプロトロンビン時間の延長・斑状出血等の抗凝血作用への影響がみられたとの報告がある(機序不明)]。

高齢者

高齢者:患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(生理機能が低下していることが多く、代謝・排泄が遅延し副作用があらわれやすい)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(胎盤を通過し、退薬症候が新生児に起こる可能性があり、なお、動物実験で、器官形成に影響、骨化に影響及び出生仔生存に影響を及ぼすことが報告されている)。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(静脈内投与(国内未承認)の場合、0.1%が乳汁中に移行することが知られている)。

小児等

9.7.1. 12歳未満の小児:投与しないこと(海外において、12歳未満の小児で死亡を含む重篤な呼吸抑制のリスクが高いとの報告がある)〔2.1参照〕。

9.7.2. 12歳以上の小児:12歳以上の小児に対する有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.7.3. 肥満を有する小児、閉塞性睡眠時無呼吸症候群を有する小児又は重篤な肺疾患を有する小児:投与しないこと(重篤な呼吸抑制のリスクが増加するおそれがある)。

過量投与

13.1. 症状

過量投与時、中毒による典型的な症状は、縮瞳、嘔吐、心血管虚脱、昏睡に至る意識障害、痙攣、呼吸停止に至る呼吸抑制等が報告されている。

13.2. 処置

過量投与時、緊急処置として、気道を確保し、症状に応じた呼吸管理と循環の管理を行うこと(本剤摂取後2時間以内の場合、胃内容物の吸引、胃洗浄あるいは活性炭投与等の処置が有効である)。また、過量投与時の呼吸抑制に対してはナロキソンの投与、過量投与時の痙攣に対してはジアゼパムの静脈内投与を行うこと(ナロキソンは動物実験で痙攣を増悪させるとの報告があるので注意すること)。本剤は透析によってはほとんど除去されないため、過量投与時の急性中毒に対して、解毒のための血液透析、あるいは血液濾過のみの治療は不適切である。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

14.1.1. 本剤の投与にあたっては、具体的な服用方法、服用時の注意点、保管方法等を十分に説明し、本剤の目的以外への使用をしないように指導するとともに、本剤を子供の手の届かないところに保管するよう指導すること。

14.1.2. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

14.1.3. 有効成分放出後の基剤(抜け殻)が糞便中に排泄されることがある。

(取扱い上の注意)

PTPシート又は容器開封後は、高温高湿を避けて保存すること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

遺伝的にCYP2D6の活性が過剰であることが判明している患者(Ultra−rapid Metabolizer)では、トラマドールの活性代謝物の血中濃度が上昇し、呼吸抑制等の副作用が発現しやすくなるおそれがある。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

ツートラム錠100mg
ツートラム錠100mg

ツートラム錠100mg

非麻薬性オピオイド系鎮痛薬
2024年05月改訂(第7版)
薬剤情報
後発品
薬効分類非麻薬性オピオイド系鎮痛薬
一般名トラマドール塩酸塩徐放錠 (2)
薬価91.1
メーカー日本臓器製薬
最終更新2024年05月改訂(第7版)

用法・用量

通常、成人にはトラマドール塩酸塩として1日100〜300mgを2回に分けて経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。ただし1回200mg、1日400mgを超えないこととする。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 初回投与量

本剤を初めて投与する場合は、1回50mgから開始することが望ましい。なお、他のトラマドール塩酸塩経口剤から切り替える場合は、その経口剤の1日投与量、鎮痛効果及び副作用を考慮して、本剤の初回投与量を設定すること。

7.2. 投与間隔

本剤の投与は1日2回とし、朝、夕に服用することが望ましい。

7.3. 増量及び減量

本剤投与開始後に患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調整を行うこと(増量・減量の目安は、1回50mg、1日100mgずつ行うことが望ましい)。

7.4. がん疼痛患者における疼痛増強時の臨時追加投与(レスキュー薬)

がん疼痛患者における疼痛増強時の臨時追加投与(レスキュー薬):本剤服用中に疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突出痛が発現した場合は、直ちにトラマドール塩酸塩即放性製剤の臨時追加投与を行って鎮痛を図ること(臨時追加投与の1回投与量は、定時投与中の本剤の1日量の1/8〜1/4を経口投与すること、ただし、トラマドール塩酸塩としての1日総投与量は400mgを超えないこと)。

7.5. 投与の継続

慢性疼痛患者において、本剤の投与開始後4週間を経過してもなお期待する効果が得られない場合は、他の適切な治療への変更を検討すること(また、定期的に症状及び効果を確認し、投与の継続の必要性について検討すること)。

7.6. 投与の中止

7.6.1. 本剤の投与を必要としなくなった場合は、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。

7.6.2. がん疼痛患者において、本剤の1日の定時投与量が300mgで鎮痛効果が不十分となった場合、本剤の投与を中止し、モルヒネ等の強オピオイド鎮痛剤への変更を考慮すること。その場合には、定時投与量の1/5の用量の経口モルヒネを初回投与量の目安とすることが望ましい。また、経口モルヒネ以外の強オピオイド鎮痛剤に変更する場合は、経口モルヒネとの換算で投与量を求めることが望ましい。

7.7. 高齢者への投与

75歳以上の高齢者では、本剤の血中濃度が高い状態で持続し、作用及び副作用が増強するおそれがあるので、1日300mgを超えないことが望ましい〔16.6.1参照〕。

効能・効果

非オピオイド鎮痛剤で治療困難な次記における鎮痛:

慢性疼痛における鎮痛。

疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

慢性疼痛患者においては、原因となる器質的病変、心理的・社会的要因、依存リスクを含めた包括的な診断を行い、本剤の投与の適否を慎重に判断すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. ショック、アナフィラキシー(頻度不明):呼吸困難、気管支痙攣、喘鳴、血管神経性浮腫等があらわれることがある。

11.1.2. 呼吸抑制(頻度不明)。

11.1.3. 痙攣(頻度不明)。

11.1.4. 依存性(頻度不明):長期使用時に、耐性、精神的依存及び身体的依存が生じることがある。本剤の中止又は減量時において、激越、不安、神経過敏、不眠症、運動過多、振戦、胃腸症状、パニック発作、幻覚、錯感覚、耳鳴等の退薬症候が生じることがある〔8.1参照〕。

11.1.5. 意識消失(頻度不明)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 消化器:(5%以上)悪心(41.6%)、便秘(38.1%)、嘔吐(15.3%)、食欲減退、(1〜5%未満)腹部不快感、(1%未満)消化不良、胃炎、腹部膨満感、下痢、胃食道逆流性疾患、上腹部痛、口内炎、出血性胃炎、口唇炎、口角口唇炎、(頻度不明)口の錯感覚、胃腸音異常、口内乾燥、腹痛、おくび、イレウス。

2). 精神神経系:(5%以上)傾眠(20.3%)、浮動性めまい(10.3%)、(1〜5%未満)頭痛、(1%未満)回転性めまい、振戦、不眠症、耳鳴、味覚不全、感覚鈍麻、頭部不快感、片頭痛、体位性めまい、錯感覚、譫妄、不安、(頻度不明)睡眠障害、健忘、幻覚、鎮静、悪夢、落ち着きのなさ、活動性低下、異常行動、無感情、不快気分、不随意性筋収縮、記憶障害、ジスキネジー、眼振、疲労、気分変動、うつ病、頭重感、激越、抑うつ気分、両手のしびれ感、ふらつき感、不快感、協調運動異常、失神、錯乱、精神運動亢進、錯覚、言語障害。

3). 呼吸器:(頻度不明)呼吸困難、口腔咽頭痛、咽喉乾燥、口腔咽頭不快感、発声障害。

4). 循環器:(1%未満)動悸、高血圧、ほてり、(頻度不明)不整脈、蒼白、胸内苦悶、頻脈、徐脈、血圧上昇、血圧低下、起立性低血圧。

5). 血液凝固系:(1%未満)好中球数増加、(頻度不明)ヘマトクリット減少、血小板減少、好酸球増加・好酸球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少、赤血球減少、白血球増加。

6). 肝臓:(1%未満)肝機能異常、ALT増加、AST増加、LDH増加、(頻度不明)Al−P増加、ビリルビン増加。

7). 皮膚:(1〜5%未満)皮膚そう痒症、多汗症、(1%未満)湿疹、発疹、薬疹、冷汗、蕁麻疹、寝汗。

8). 腎臓及び尿路系:(1〜5%未満)排尿困難、(1%未満)尿中血陽性、尿中ブドウ糖陽性、膀胱炎、頻尿、尿閉、血中クレアチニン増加、尿量減少、(頻度不明)尿蛋白陽性、BUN増加、夜間頻尿。

9). 代謝異常:(1%未満)血中尿酸増加、脱水、(頻度不明)トリグリセリド増加。

10). その他:(5%以上)口渇(6.9%)、(1〜5%未満)倦怠感、CK増加、(1%未満)末梢性浮腫、異常感、胸部不快感、体重減少、(頻度不明)熱感、視力障害、背部痛、疼痛、霧視、散瞳、無力症、関節痛、四肢痛、筋骨格硬直、易刺激性、悪寒、発熱、冷感、視調節障害、心電図QT延長、浮腫、転倒。

禁忌

2.1. 12歳未満の小児〔9.7.1参照〕。

2.2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者〔9.1.6参照〕。

2.3. アルコールによる急性中毒、睡眠剤による急性中毒、鎮痛剤による急性中毒、オピオイド鎮痛剤による急性中毒又は向精神薬による急性中毒患者[中枢神経抑制及び呼吸抑制を悪化させるおそれがある]。

2.4. モノアミン酸化酵素阻害剤投与中又は投与中止後14日以内(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)の患者〔10.1参照〕。

2.5. ナルメフェン塩酸塩水和物投与中の患者又はナルメフェン塩酸塩水和物投与中止後1週間以内の患者〔10.1参照〕。

2.6. 治療により十分な管理がされていないてんかん患者[症状が悪化するおそれがある]〔9.1.2参照〕。

2.7. 高度腎機能障害又は高度肝機能障害のある患者〔9.2.1、9.3.1参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること〔11.1.4参照〕。

8.2. 本剤を投与した際に、悪心、嘔吐、便秘等の症状があらわれることがある。悪心・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を、便秘に対する対策として下剤の併用を考慮し、本剤投与時の副作用の発現に十分注意すること。

8.3. 眠気、めまい、意識消失が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意し、なお、意識消失により自動車事故に至った例も報告されている。

8.4. 鎮痛剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意すること。

8.5. 本剤は徐放性製剤であることから、急激な血中濃度の上昇による重篤な副作用の発現を避けるため、服用に際して割ったり、砕いたり又はかみ砕いたりしないように指示すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 18歳未満の肥満、18歳未満の閉塞性睡眠時無呼吸症候群又は18歳未満の重篤な肺疾患を有する患者:投与しないこと(重篤な呼吸抑制のリスクが増加するおそれがある)。

9.1.2. てんかん<治療により十分な管理がされていないてんかんを除く>のある患者、痙攣発作を起こしやすい患者又は痙攣発作の既往歴のある患者:本剤投与中は観察を十分に行うこと(痙攣発作を誘発することがある)〔2.6参照〕。

9.1.3. 薬物乱用又は薬物依存傾向のある患者:厳重な医師の管理下に、短期間に限って投与すること(依存性を生じやすい)。

9.1.4. 呼吸抑制状態にある患者:呼吸抑制を増強するおそれがある。

9.1.5. 脳器質的障害のある患者:呼吸抑制や頭蓋内圧上昇を来すおそれがある。

9.1.6. オピオイド鎮痛剤に対し過敏症の既往歴のある患者(本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者を除く)〔2.2参照〕。

9.1.7. ショック状態にある患者:循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 高度腎機能障害のある患者:投与しないこと(高い血中濃度が持続し、作用及び副作用が増強するおそれがある)〔2.7参照〕。

9.2.2. 腎機能障害<高度腎機能障害を除く>のある患者:高い血中濃度が持続するおそれがある。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 高度肝機能障害のある患者:投与しないこと(高い血中濃度が持続し、作用及び副作用が増強するおそれがある)〔2.7参照〕。

9.3.2. 肝機能障害<高度肝機能障害を除く>のある患者:高い血中濃度が持続するおそれがある。

相互作用

本剤は主にCYP2D6及びCYP3A4により代謝される。

10.1. 併用禁忌:

1). モノアミン酸化酵素阻害剤<リネゾリド・メチルチオニニウム塩化物以外>(セレギリン塩酸塩<エフピー>、ラサギリンメシル酸塩<アジレクト>、サフィナミドメシル酸塩<エクフィナ>)〔2.4参照〕[外国において、セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)を含む中枢神経系の重篤な副作用<攻撃的行動・固縮・痙攣・昏睡・頭痛>、呼吸器系の重篤な副作用<呼吸抑制>及び心血管系の重篤な副作用<低血圧・高血圧>が報告されているので、モノアミン酸化酵素阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者には投与しないこと(また、本剤投与中止後にモノアミン酸化酵素阻害剤の投与を開始する場合には、2〜3日間の間隔をあけることが望ましい)(相加的に作用が増強され、また中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる)]。

2). ナルメフェン塩酸塩水和物<セリンクロ>〔2.5参照〕[離脱症状を起こすおそれがあり、本剤の鎮痛作用を減弱させるため、効果を得るために必要な用量が通常用量より多くなる、呼吸抑制等の中枢神経抑制症状が発現するおそれがある(ナルメフェンを投与中又は投与中止後1週間以内の患者には投与しないこと)(ナルメフェンのμオピオイド受容体拮抗作用により、本剤に対して競合的に阻害する)]。

10.2. 併用注意:

1). オピオイド鎮痛剤、中枢神経抑制剤(フェノチアジン系薬剤、催眠鎮静剤等)[痙攣閾値の低下や呼吸抑制の増強を来すおそれがある(本剤と相加的に作用が増強されると考えられる)]。

2). 三環系抗うつ剤、セロトニン作用薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>等)[セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがあり、また、痙攣発作の危険性を増大させるおそれがある(相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる)]。

3). リネゾリド[セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがあり、また、痙攣発作の危険性を増大させるおそれがある(リネゾリドの非選択的、可逆的モノアミン酸化酵素阻害作用により、相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる)]。

4). メチルチオニニウム塩化物水和物<メチレンブルー>[セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがある(メチルチオニニウム塩化物水和物のモノアミン酸化酵素阻害作用によりセロトニン作用が増強される)]。

5). アルコール[呼吸抑制が生じるおそれがある(本剤と相加的に作用が増強されると考えられる)]。

6). カルバマゼピン[同時あるいは前投与で本剤の鎮痛効果を下げ作用時間を短縮させる可能性がある(本剤の代謝酵素が誘導される)]。

7). キニジン[相互に作用が増強するおそれがある(機序不明)]。

8). ジゴキシン[外国において、ジゴキシン中毒が発現したとの報告がある(機序不明)]。

9). オンダンセトロン塩酸塩水和物[本剤の鎮痛作用を減弱させるおそれがある(本剤の中枢におけるセロトニン作用が抑制されると考えられる)]。

10). ブプレノルフィン、ペンタゾシン等[本剤の鎮痛作用を減弱させるおそれがあり、また、退薬症候を起こすおそれがある(本剤が作用するμ−オピオイド受容体の部分アゴニストである)]。

11). クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)[出血を伴うプロトロンビン時間の延長・斑状出血等の抗凝血作用への影響がみられたとの報告がある(機序不明)]。

高齢者

高齢者:患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(生理機能が低下していることが多く、代謝・排泄が遅延し副作用があらわれやすい)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(胎盤を通過し、退薬症候が新生児に起こる可能性があり、なお、動物実験で、器官形成に影響、骨化に影響及び出生仔生存に影響を及ぼすことが報告されている)。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(静脈内投与(国内未承認)の場合、0.1%が乳汁中に移行することが知られている)。

小児等

9.7.1. 12歳未満の小児:投与しないこと(海外において、12歳未満の小児で死亡を含む重篤な呼吸抑制のリスクが高いとの報告がある)〔2.1参照〕。

9.7.2. 12歳以上の小児:12歳以上の小児に対する有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.7.3. 肥満を有する小児、閉塞性睡眠時無呼吸症候群を有する小児又は重篤な肺疾患を有する小児:投与しないこと(重篤な呼吸抑制のリスクが増加するおそれがある)。

過量投与

13.1. 症状

過量投与時、中毒による典型的な症状は、縮瞳、嘔吐、心血管虚脱、昏睡に至る意識障害、痙攣、呼吸停止に至る呼吸抑制等が報告されている。

13.2. 処置

過量投与時、緊急処置として、気道を確保し、症状に応じた呼吸管理と循環の管理を行うこと(本剤摂取後2時間以内の場合、胃内容物の吸引、胃洗浄あるいは活性炭投与等の処置が有効である)。また、過量投与時の呼吸抑制に対してはナロキソンの投与、過量投与時の痙攣に対してはジアゼパムの静脈内投与を行うこと(ナロキソンは動物実験で痙攣を増悪させるとの報告があるので注意すること)。本剤は透析によってはほとんど除去されないため、過量投与時の急性中毒に対して、解毒のための血液透析、あるいは血液濾過のみの治療は不適切である。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

14.1.1. 本剤の投与にあたっては、具体的な服用方法、服用時の注意点、保管方法等を十分に説明し、本剤の目的以外への使用をしないように指導するとともに、本剤を子供の手の届かないところに保管するよう指導すること。

14.1.2. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

14.1.3. 有効成分放出後の基剤(抜け殻)が糞便中に排泄されることがある。

(取扱い上の注意)

PTPシート又は容器開封後は、高温高湿を避けて保存すること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

遺伝的にCYP2D6の活性が過剰であることが判明している患者(Ultra−rapid Metabolizer)では、トラマドールの活性代謝物の血中濃度が上昇し、呼吸抑制等の副作用が発現しやすくなるおそれがある。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

薬剤情報

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