薬剤情報
後発品
薬効分類ビグアナイド (BG) 系糖尿病薬
一般名メトホルミン塩酸塩500mgMT錠
薬価10.1
メーカー辰巳化学
最終更新2023年11月改訂(第7版)

用法・用量

1.2型糖尿病:メトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2〜3回に分割して食直前又は食後に経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、1日750〜1500mgとする。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日最高投与量は2250mgまでとする。

10歳以上の小児にはメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2〜3回に分割して食直前又は食後に経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、1日500〜1500mgとする。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日最高投与量は2000mgまでとする。

2.多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発:他の排卵誘発薬との併用で、メトホルミン塩酸塩として500mgの1日1回経口投与より開始する。患者の忍容性を確認しながら増量し、1日投与量として1500mgを超えない範囲で、1日2〜3回に分割して経口投与する。なお、本剤は排卵までに中止する。

3.多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:他の卵巣刺激薬との併用で、メトホルミン塩酸塩として500mgの1日1回経口投与より開始する。患者の忍容性を確認しながら増量し、1日投与量として1500mgを超えない範囲で、1日2〜3回に分割して経口投与する。なお、本剤は採卵までに中止する。

用法・用量(補足)

<用法及び用量に関連する使用上の注意>

中等度腎機能障害のある患者(eGFR30mL/min/1.73㎡以上60mL/min/1.73㎡未満)では、メトホルミンの血中濃度が上昇し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性があるため、次の点に注意する;1.投与は、少量より開始する、2.投与中は、より頻回に腎機能(eGFR等)を確認するなど慎重に経過を観察し、投与の適否及び投与量の調節を検討する、3.効果不十分な場合は、メトホルミン塩酸塩として1日最高投与量を次の目安まで増量することができるが、効果を観察しながら徐々に増量する[中等度腎機能障害患者における1日最高投与量の目安:45≦eGFR<60;1500mg、30≦eGFR<45;750mg](eGFR:推算糸球体濾過量(mL/min/1.73㎡))、また、投与にあたっては、1日量を1日2〜3回分割投与する。特に、eGFR30mL/min/1.73㎡以上45mL/min/1.73㎡未満の患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。

効能・効果

1.2型糖尿病

1).食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない場合の2型糖尿病。

2).食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用し十分な効果が得られない場合の2型糖尿病。

2.多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発(但し、肥満、耐糖能異常、又はインスリン抵抗性のいずれかを呈する患者に限る)、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激(但し、肥満、耐糖能異常、又はインスリン抵抗性のいずれかを呈する患者に限る)。

効能・効果(補足)

<効能又は効果に関連する使用上の注意>

1.多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:糖尿病を合併する多嚢胞性卵巣症候群の患者では糖尿病の治療を優先する。

2.多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発:ゴナドトロピン製剤を除く排卵誘発薬で十分な効果が得られない場合に本剤の併用を考慮する。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

重大な副作用

1.重大な副作用(頻度不明)

1).乳酸アシドーシス:乳酸アシドーシス(血中乳酸値上昇、乳酸/ピルビン酸比上昇、血液pH低下等を示す)は予後不良のことが多く、一般的に発現する臨床症状は様々であるが、胃腸症状、倦怠感、筋肉痛、過呼吸等の症状がみられることが多く、これらの症状が現れた場合には直ちに投与を中止し、必要な検査を行う。なお、乳酸アシドーシスの疑いが大きい場合には、乳酸の測定結果等を待つことなく適切な処置を行う。

2).低血糖:低血糖が現れることがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する。低血糖症状(初期症状:脱力感、高度空腹感、発汗等)が認められた場合には通常はショ糖を投与し、α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与する。

3).肝機能障害、黄疸:著しいAST上昇(著しいGOT上昇)、著しいALT上昇(著しいGPT上昇)、著しいAl−P上昇、著しいγ−GTP上昇、著しいビリルビン上昇等を伴う肝機能障害、黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

4).横紋筋融解症:筋肉痛、脱力感、CK上昇(CPK上昇)、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症が現れることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

その他の副作用

2.その他の副作用:次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行う。

1).消化器:(頻度不明)下痢、悪心、食欲不振、腹痛、消化不良、嘔吐、腹部膨満感、便秘、胃炎、胃腸障害、放屁増加[乳酸アシドーシスの初期症状であることもあるので注意する]。

2).血液:(頻度不明)貧血、白血球増加、好酸球増加、白血球減少、血小板減少。

3).過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒[発現した場合は投与を中止する]。

4).肝臓:(頻度不明)肝機能異常。

5).腎臓:(頻度不明)BUN上昇、クレアチニン上昇。

6).代謝異常:(頻度不明)乳酸上昇、CK上昇(CPK上昇)、血中カリウム上昇、血中尿酸増加、ケトーシス。

7).その他:(頻度不明)眩暈・ふらつき、*全身倦怠感[*:乳酸アシドーシスの初期症状であることもあるので注意する]、空腹感、眠気、動悸、脱力感、発汗、味覚異常、頭重、頭痛、浮腫、※ビタミンB12減少[※:長期使用によりビタミンB12の吸収不良が現れることがある]、*筋肉痛[*:乳酸アシドーシスの初期症状であることもあるので注意する]。

警告

重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがあり、死亡に至った例も報告されているので、乳酸アシドーシスを起こしやすい患者には投与しない。腎機能障害又は肝機能障害のある患者、高齢者に投与する場合には、定期的に腎機能や肝機能を確認するなど慎重に投与する。特に75歳以上の高齢者では、本剤投与の適否を慎重に判断する。

禁忌

1.次に示す患者:

1).乳酸アシドーシスの既往のある患者[乳酸アシドーシスを起こしやすい]。

2).重度腎機能障害(eGFR30mL/min/1.73㎡未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)[乳酸アシドーシスを起こしやすい;腎臓における本剤の排泄が減少し、本剤の血中濃度が上昇する]。

3).重度肝機能障害のある患者[乳酸アシドーシスを起こしやすい;肝臓における乳酸の代謝能が低下する]。

4).心血管系に高度障害、肺機能に高度障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者[乳酸アシドーシスを起こしやすい;嫌気的解糖の亢進により乳酸産生が増加する]。

5).脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、経口摂取が困難な患者等)[乳酸アシドーシスを起こしやすい]。

6).過度のアルコール摂取者[乳酸アシドーシスを起こしやすい;肝臓における乳酸の代謝能が低下し、また、脱水状態を来すことがある]。

2.重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須である]。

3.重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない、また、乳酸アシドーシスを起こしやすい]。

4.栄養不良状態、飢餓状態、衰弱状態、脳下垂体機能不全又は副腎機能不全の患者[低血糖を起こす恐れがある]。

5.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。

6.本剤の成分又はビグアナイド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者。

慎重投与

次に掲げる状態の患者:

1.不規則な食事摂取、食事摂取量不足[低血糖を起こす恐れがある]。

2.激しい筋肉運動[低血糖を起こす恐れがある]。

3.軽度〜中等度腎機能障害[乳酸アシドーシスを起こす恐れがある]。

4.軽度〜中等度肝機能障害[乳酸アシドーシスを起こす恐れがある]。

5.感染症[乳酸アシドーシスを起こす恐れがある]。

6.高齢者。

7.「併用注意」1)に示す薬剤との併用[乳酸アシドーシスを起こす恐れがある]。

8.他の糖尿病用薬投与中の患者。

基本的注意等

(重要な基本的注意)

1.まれに重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがある(リスク因子としては、腎機能障害、肝機能障害、低酸素血症を伴いやすい状態、脱水(利尿作用を有する薬剤の併用を含む)、過度のアルコール摂取、感染症、高齢者等が知られている)。特に、脱水、過度のアルコール摂取等により患者の状態が急変することもあるので、次の点に注意する。

1).本剤の投与開始前及びその後も投与中は定期的に、腎機能(eGFR等)及び肝機能を確認するとともに、患者の状態に十分注意して投与の適否及び投与量の調節を検討する。なお、高齢者等、特に慎重な経過観察が必要な場合には、より頻回に確認する。

2).脱水症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害剤等)との併用時には、特に脱水に注意する。

3).本剤の投与開始時及びその後も投与中は適切に、次の内容を患者及びその家族に十分指導する。

(1).過度のアルコール摂取を避ける。

(2).発熱、下痢、嘔吐、食事摂取不良等の体調不良(シックデイ)の時は脱水状態が懸念されるため、いったん服用を中止し、医師に相談する。

(3).乳酸アシドーシスの症状(胃腸障害、倦怠感、筋肉痛、過呼吸等)が現れた場合には、直ちに受診する。

4).ヨード造影剤を用いて検査を行う患者においては、本剤の併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、検査前は本剤の投与を一時的に中止(但し、緊急に検査を行う必要がある場合を除く)し、ヨード造影剤投与後48時間は本剤の投与を再開しない(なお、投与再開時には、患者の状態に注意する)。

2.低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意する。

3.本剤の使用にあたっては、患者及びその家族に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明する。

4.2型糖尿病:投与する場合には、少量より開始し、血糖値、尿糖等を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、本剤を3〜4カ月投与しても効果が不十分な場合には、速やかに他の治療法への切り替えを行う。

5.2型糖尿病:本剤とイメグリミン塩酸塩は作用機序の一部が共通している可能性があること、また、イメグリミン塩酸塩の国内臨床試験において、ビグアナイド系薬剤とイメグリミン塩酸塩を併用した場合、他の糖尿病用薬との併用療法と比較して消化器症状が多く認められたとの報告があることから、併用薬剤の選択の際には留意する。

6.多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:本剤は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用する。多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、生殖補助医療における調節卵巣刺激の場合、本剤投与により予想されるリスク及び妊娠初期の本剤の服用を避けるための服用中止時期について、あらかじめ患者に説明を行う。

7.多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:患者に対しては、あらかじめ次の点を説明する。

1).多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:本剤との関連は明確ではないが、本剤を用いた不妊治療において、卵巣過剰刺激症候群が現れることがあるので、自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)や急激な体重増加が認められた場合には直ちに医師等に相談する。

2).多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発に本剤を用いた場合、卵巣過剰刺激の結果として多胎妊娠となる可能性がある。

8.多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:妊娠初期の投与を避けるため、次の対応を行う。

1).多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激の場合、各治療周期における本剤投与開始前に妊娠していないことを確認する。

2).多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発においては、患者に、本剤投与前少なくとも1カ月間及び治療期間中は基礎体温を必ず記録させ、排卵の有無を確認する。

3).多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激の場合、排卵後又は採卵後に服用を継続することがないよう、服用中止時期を患者に指示する。

相互作用

本剤はほとんど代謝されず、未変化体のまま、主にOCT2を介して尿中に排泄される。

1.併用禁忌:アルコール<過度の摂取>[乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、本剤投与中は過度のアルコール摂取(飲酒)を避ける(肝臓における乳酸の代謝能が低下し、また、脱水状態を来すことがある)]。

2.併用注意:

1).ヨード造影剤、腎毒性の強い抗生物質、利尿作用を有する薬剤:

(1).ヨード造影剤[併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、ヨード造影剤を用いて検査を行う場合には、本剤の投与を一時的に中止する(腎機能が低下し、本剤の排泄が低下することが考えられている)]。

(2).腎毒性の強い抗生物質(ゲンタマイシン等)[併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、併用する場合は本剤の投与を一時的に減量・中止するなど適切な処置を行う(腎機能が低下し、本剤の排泄が低下することが考えられている)]。

(3).利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害剤等)[脱水により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、脱水症状が現れた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行う(利尿作用を有する薬剤により、体液量が減少し脱水状態になることがある)]。

2).血糖降下作用を増強する薬剤:

(1).糖尿病用薬:

①.糖尿病用薬(インスリン製剤、速効型インスリン分泌促進薬、チアゾリジン系薬剤、DPP−4阻害剤、GLP−1受容体作動薬、SGLT2阻害剤、イメグリミン塩酸塩等)[併用により低血糖が起こることがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与し、低血糖症状が認められた場合には、通常はショ糖を投与する(併用による血糖降下作用の増強)]。

②.糖尿病用薬(スルホニルウレア剤)[併用により低血糖が起こることがあり、スルホニルウレア剤併用時に低血糖のリスクが増加する恐れがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与し、低血糖症状が認められた場合には、通常はショ糖を投与する(併用による血糖降下作用の増強)]。

③.糖尿病用薬(α−グルコシダーゼ阻害剤)[併用により低血糖が起こることがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与し、低血糖症状が認められた場合には、α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)との併用の場合にはブドウ糖を投与する(併用による血糖降下作用の増強)]。

(2).蛋白同化ホルモン剤[併用により低血糖が起こることがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与し、低血糖症状が認められた場合には、通常はショ糖を投与する(機序不明)]。

(3).サリチル酸剤(アスピリン等)[併用により低血糖が起こることがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与し、低血糖症状が認められた場合には、通常はショ糖を投与する(サリチル酸剤の血糖降下作用が考えられている)]。

(4).β遮断剤(プロプラノロール等)[併用により低血糖が起こることがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与し、低血糖症状が認められた場合には、通常はショ糖を投与する(β遮断作用によりアドレナリンを介した低血糖からの回復を遅らせることが考えられている)]。

(5).モノアミン酸化酵素阻害剤[併用により低血糖が起こることがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与し、低血糖症状が認められた場合には、通常はショ糖を投与する(モノアミン酸化酵素阻害剤によるインスリン分泌促進、糖新生抑制が考えられている)]。

3).血糖降下作用を減弱する薬剤:

(1).アドレナリン[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(アドレナリンによる末梢での糖利用抑制、肝での糖新生促進、インスリン分泌抑制が考えられている)]。

(2).副腎皮質ホルモン[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(副腎皮質ホルモンによる肝での糖新生促進等が考えられている)]。

(3).甲状腺ホルモン[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(甲状腺ホルモンは糖代謝全般に作用し血糖値を変動させると考えられている)]。

(4).卵胞ホルモン[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(卵胞ホルモンには耐糖能を変化させ、血糖を上昇させる作用が認められている)]。

(5).利尿剤[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(利尿剤によるカリウム喪失によりインスリン分泌の低下が考えられている)]。

(6).ピラジナミド[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(機序不明)]。

(7).イソニアジド[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(イソニアジドによる炭水化物代謝阻害が考えられている)]。

(8).ニコチン酸[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(ニコチン酸による血糖上昇作用が考えられている)]。

(9).フェノチアジン系薬剤[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(フェノチアジン系薬剤によるインスリン分泌抑制、副腎からのアドレナリン遊離が考えられている)]。

4).その他:

(1).OCT2を阻害する薬剤、MATE1を阻害する薬剤、又はMATE2−Kを阻害する薬剤(シメチジン、ドルテグラビル、ビクテグラビル、バンデタニブ、イサブコナゾニウム硫酸塩、ピミテスピブ等)[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強する恐れがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて本剤を減量するなど慎重に投与する(OCT2、MATE1、又はMATE2−Kを介した本剤の腎排泄が阻害されると考えられている)]。

(2).イメグリミン塩酸塩[消化器症状の発現に注意する(特に併用初期に多く発現する傾向が認められている)]。

高齢者への注意

(高齢者への投与)

高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい。これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすいので、次の点に注意する。

1.高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい(これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすい)ので、本剤の投与開始前、投与中は定期的に、特に慎重な経過観察が必要な場合にはより頻回に腎機能や肝機能を確認するなど十分に観察しながら慎重に投与する[本剤はほとんど代謝されず、未変化体のまま尿中に排泄され、また、肝機能の低下により乳酸の代謝能が低下する]。

2.高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい(これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすい)ので、腎機能や脱水症状等患者の状態に十分注意して投与の中止や減量を検討する。特に75歳以上の高齢者では、乳酸アシドーシスが多く報告されており、予後も不良であることが多いため、本剤投与の適否をより慎重に判断する[他社が実施した国内におけるメトホルミン塩酸塩製剤の承認時までの臨床試験において、75歳以上の高齢者への1日1500mgを超える用量の使用経験は限られている]。

3.高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい(これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすい)ので、血清クレアチニン値が正常範囲内であっても、年齢によっては実際の腎機能が低下していることがあるので、eGFR等も考慮して、慎重に患者の状態を観察する。

妊婦・産婦・授乳婦への投与

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない[動物実験(ラット、ウサギ)で胎仔への移行が認められており、一部の動物実験(ラット)で催奇形作用が報告されており、また、妊婦は乳酸アシドーシスを起こしやすい]。

2.授乳中の婦人への投与を避け、やむを得ず投与する場合は授乳を中止させる[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている]。

新生児・乳児・幼児・小児への投与

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は10歳未満の小児に対する安全性は確立していない。

過量投与

1.過量投与時の症状:乳酸アシドーシスが起こることがある。

2.過量投与時の処置:アシドーシスの補正(炭酸水素ナトリウム静注等)、輸液(強制利尿)、血液透析等の適切な処置を行う。

取扱い上の注意

(適用上の注意)

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

1.錠剤を取り出すときに特異なにおいがすることがある[本剤の原料に由来する成分による]。

2.本剤とオルメサルタン メドキソミル製剤等との一包化は避ける[一包化して高温高湿度条件下にて保存した場合、本剤が変色することがある]。

3.安定性試験:加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)の結果、本剤は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。

その他の注意

インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。

メトホルミン塩酸塩錠500mgMT「TCK」
メトホルミン塩酸塩錠500mgMT「TCK」

メトホルミン塩酸塩錠500mgMT「TCK」

ビグアナイド (BG) 系糖尿病薬
2023年11月改訂(第7版)
薬剤情報
後発品
薬効分類ビグアナイド (BG) 系糖尿病薬
一般名メトホルミン塩酸塩500mgMT錠
薬価10.1
メーカー辰巳化学
最終更新2023年11月改訂(第7版)

用法・用量

1.2型糖尿病:メトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2〜3回に分割して食直前又は食後に経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、1日750〜1500mgとする。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日最高投与量は2250mgまでとする。

10歳以上の小児にはメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2〜3回に分割して食直前又は食後に経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、1日500〜1500mgとする。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日最高投与量は2000mgまでとする。

2.多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発:他の排卵誘発薬との併用で、メトホルミン塩酸塩として500mgの1日1回経口投与より開始する。患者の忍容性を確認しながら増量し、1日投与量として1500mgを超えない範囲で、1日2〜3回に分割して経口投与する。なお、本剤は排卵までに中止する。

3.多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:他の卵巣刺激薬との併用で、メトホルミン塩酸塩として500mgの1日1回経口投与より開始する。患者の忍容性を確認しながら増量し、1日投与量として1500mgを超えない範囲で、1日2〜3回に分割して経口投与する。なお、本剤は採卵までに中止する。

用法・用量(補足)

<用法及び用量に関連する使用上の注意>

中等度腎機能障害のある患者(eGFR30mL/min/1.73㎡以上60mL/min/1.73㎡未満)では、メトホルミンの血中濃度が上昇し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性があるため、次の点に注意する;1.投与は、少量より開始する、2.投与中は、より頻回に腎機能(eGFR等)を確認するなど慎重に経過を観察し、投与の適否及び投与量の調節を検討する、3.効果不十分な場合は、メトホルミン塩酸塩として1日最高投与量を次の目安まで増量することができるが、効果を観察しながら徐々に増量する[中等度腎機能障害患者における1日最高投与量の目安:45≦eGFR<60;1500mg、30≦eGFR<45;750mg](eGFR:推算糸球体濾過量(mL/min/1.73㎡))、また、投与にあたっては、1日量を1日2〜3回分割投与する。特に、eGFR30mL/min/1.73㎡以上45mL/min/1.73㎡未満の患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。

効能・効果

1.2型糖尿病

1).食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない場合の2型糖尿病。

2).食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用し十分な効果が得られない場合の2型糖尿病。

2.多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発(但し、肥満、耐糖能異常、又はインスリン抵抗性のいずれかを呈する患者に限る)、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激(但し、肥満、耐糖能異常、又はインスリン抵抗性のいずれかを呈する患者に限る)。

効能・効果(補足)

<効能又は効果に関連する使用上の注意>

1.多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:糖尿病を合併する多嚢胞性卵巣症候群の患者では糖尿病の治療を優先する。

2.多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発:ゴナドトロピン製剤を除く排卵誘発薬で十分な効果が得られない場合に本剤の併用を考慮する。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

重大な副作用

1.重大な副作用(頻度不明)

1).乳酸アシドーシス:乳酸アシドーシス(血中乳酸値上昇、乳酸/ピルビン酸比上昇、血液pH低下等を示す)は予後不良のことが多く、一般的に発現する臨床症状は様々であるが、胃腸症状、倦怠感、筋肉痛、過呼吸等の症状がみられることが多く、これらの症状が現れた場合には直ちに投与を中止し、必要な検査を行う。なお、乳酸アシドーシスの疑いが大きい場合には、乳酸の測定結果等を待つことなく適切な処置を行う。

2).低血糖:低血糖が現れることがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する。低血糖症状(初期症状:脱力感、高度空腹感、発汗等)が認められた場合には通常はショ糖を投与し、α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与する。

3).肝機能障害、黄疸:著しいAST上昇(著しいGOT上昇)、著しいALT上昇(著しいGPT上昇)、著しいAl−P上昇、著しいγ−GTP上昇、著しいビリルビン上昇等を伴う肝機能障害、黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

4).横紋筋融解症:筋肉痛、脱力感、CK上昇(CPK上昇)、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症が現れることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行う。

その他の副作用

2.その他の副作用:次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行う。

1).消化器:(頻度不明)下痢、悪心、食欲不振、腹痛、消化不良、嘔吐、腹部膨満感、便秘、胃炎、胃腸障害、放屁増加[乳酸アシドーシスの初期症状であることもあるので注意する]。

2).血液:(頻度不明)貧血、白血球増加、好酸球増加、白血球減少、血小板減少。

3).過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒[発現した場合は投与を中止する]。

4).肝臓:(頻度不明)肝機能異常。

5).腎臓:(頻度不明)BUN上昇、クレアチニン上昇。

6).代謝異常:(頻度不明)乳酸上昇、CK上昇(CPK上昇)、血中カリウム上昇、血中尿酸増加、ケトーシス。

7).その他:(頻度不明)眩暈・ふらつき、*全身倦怠感[*:乳酸アシドーシスの初期症状であることもあるので注意する]、空腹感、眠気、動悸、脱力感、発汗、味覚異常、頭重、頭痛、浮腫、※ビタミンB12減少[※:長期使用によりビタミンB12の吸収不良が現れることがある]、*筋肉痛[*:乳酸アシドーシスの初期症状であることもあるので注意する]。

警告

重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがあり、死亡に至った例も報告されているので、乳酸アシドーシスを起こしやすい患者には投与しない。腎機能障害又は肝機能障害のある患者、高齢者に投与する場合には、定期的に腎機能や肝機能を確認するなど慎重に投与する。特に75歳以上の高齢者では、本剤投与の適否を慎重に判断する。

禁忌

1.次に示す患者:

1).乳酸アシドーシスの既往のある患者[乳酸アシドーシスを起こしやすい]。

2).重度腎機能障害(eGFR30mL/min/1.73㎡未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)[乳酸アシドーシスを起こしやすい;腎臓における本剤の排泄が減少し、本剤の血中濃度が上昇する]。

3).重度肝機能障害のある患者[乳酸アシドーシスを起こしやすい;肝臓における乳酸の代謝能が低下する]。

4).心血管系に高度障害、肺機能に高度障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者[乳酸アシドーシスを起こしやすい;嫌気的解糖の亢進により乳酸産生が増加する]。

5).脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、経口摂取が困難な患者等)[乳酸アシドーシスを起こしやすい]。

6).過度のアルコール摂取者[乳酸アシドーシスを起こしやすい;肝臓における乳酸の代謝能が低下し、また、脱水状態を来すことがある]。

2.重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須である]。

3.重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない、また、乳酸アシドーシスを起こしやすい]。

4.栄養不良状態、飢餓状態、衰弱状態、脳下垂体機能不全又は副腎機能不全の患者[低血糖を起こす恐れがある]。

5.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。

6.本剤の成分又はビグアナイド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者。

慎重投与

次に掲げる状態の患者:

1.不規則な食事摂取、食事摂取量不足[低血糖を起こす恐れがある]。

2.激しい筋肉運動[低血糖を起こす恐れがある]。

3.軽度〜中等度腎機能障害[乳酸アシドーシスを起こす恐れがある]。

4.軽度〜中等度肝機能障害[乳酸アシドーシスを起こす恐れがある]。

5.感染症[乳酸アシドーシスを起こす恐れがある]。

6.高齢者。

7.「併用注意」1)に示す薬剤との併用[乳酸アシドーシスを起こす恐れがある]。

8.他の糖尿病用薬投与中の患者。

基本的注意等

(重要な基本的注意)

1.まれに重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがある(リスク因子としては、腎機能障害、肝機能障害、低酸素血症を伴いやすい状態、脱水(利尿作用を有する薬剤の併用を含む)、過度のアルコール摂取、感染症、高齢者等が知られている)。特に、脱水、過度のアルコール摂取等により患者の状態が急変することもあるので、次の点に注意する。

1).本剤の投与開始前及びその後も投与中は定期的に、腎機能(eGFR等)及び肝機能を確認するとともに、患者の状態に十分注意して投与の適否及び投与量の調節を検討する。なお、高齢者等、特に慎重な経過観察が必要な場合には、より頻回に確認する。

2).脱水症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害剤等)との併用時には、特に脱水に注意する。

3).本剤の投与開始時及びその後も投与中は適切に、次の内容を患者及びその家族に十分指導する。

(1).過度のアルコール摂取を避ける。

(2).発熱、下痢、嘔吐、食事摂取不良等の体調不良(シックデイ)の時は脱水状態が懸念されるため、いったん服用を中止し、医師に相談する。

(3).乳酸アシドーシスの症状(胃腸障害、倦怠感、筋肉痛、過呼吸等)が現れた場合には、直ちに受診する。

4).ヨード造影剤を用いて検査を行う患者においては、本剤の併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、検査前は本剤の投与を一時的に中止(但し、緊急に検査を行う必要がある場合を除く)し、ヨード造影剤投与後48時間は本剤の投与を再開しない(なお、投与再開時には、患者の状態に注意する)。

2.低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意する。

3.本剤の使用にあたっては、患者及びその家族に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明する。

4.2型糖尿病:投与する場合には、少量より開始し、血糖値、尿糖等を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、本剤を3〜4カ月投与しても効果が不十分な場合には、速やかに他の治療法への切り替えを行う。

5.2型糖尿病:本剤とイメグリミン塩酸塩は作用機序の一部が共通している可能性があること、また、イメグリミン塩酸塩の国内臨床試験において、ビグアナイド系薬剤とイメグリミン塩酸塩を併用した場合、他の糖尿病用薬との併用療法と比較して消化器症状が多く認められたとの報告があることから、併用薬剤の選択の際には留意する。

6.多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:本剤は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用する。多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、生殖補助医療における調節卵巣刺激の場合、本剤投与により予想されるリスク及び妊娠初期の本剤の服用を避けるための服用中止時期について、あらかじめ患者に説明を行う。

7.多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:患者に対しては、あらかじめ次の点を説明する。

1).多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:本剤との関連は明確ではないが、本剤を用いた不妊治療において、卵巣過剰刺激症候群が現れることがあるので、自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)や急激な体重増加が認められた場合には直ちに医師等に相談する。

2).多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発に本剤を用いた場合、卵巣過剰刺激の結果として多胎妊娠となる可能性がある。

8.多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:妊娠初期の投与を避けるため、次の対応を行う。

1).多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激の場合、各治療周期における本剤投与開始前に妊娠していないことを確認する。

2).多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発においては、患者に、本剤投与前少なくとも1カ月間及び治療期間中は基礎体温を必ず記録させ、排卵の有無を確認する。

3).多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激:多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激の場合、排卵後又は採卵後に服用を継続することがないよう、服用中止時期を患者に指示する。

相互作用

本剤はほとんど代謝されず、未変化体のまま、主にOCT2を介して尿中に排泄される。

1.併用禁忌:アルコール<過度の摂取>[乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、本剤投与中は過度のアルコール摂取(飲酒)を避ける(肝臓における乳酸の代謝能が低下し、また、脱水状態を来すことがある)]。

2.併用注意:

1).ヨード造影剤、腎毒性の強い抗生物質、利尿作用を有する薬剤:

(1).ヨード造影剤[併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、ヨード造影剤を用いて検査を行う場合には、本剤の投与を一時的に中止する(腎機能が低下し、本剤の排泄が低下することが考えられている)]。

(2).腎毒性の強い抗生物質(ゲンタマイシン等)[併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、併用する場合は本剤の投与を一時的に減量・中止するなど適切な処置を行う(腎機能が低下し、本剤の排泄が低下することが考えられている)]。

(3).利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害剤等)[脱水により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、脱水症状が現れた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行う(利尿作用を有する薬剤により、体液量が減少し脱水状態になることがある)]。

2).血糖降下作用を増強する薬剤:

(1).糖尿病用薬:

①.糖尿病用薬(インスリン製剤、速効型インスリン分泌促進薬、チアゾリジン系薬剤、DPP−4阻害剤、GLP−1受容体作動薬、SGLT2阻害剤、イメグリミン塩酸塩等)[併用により低血糖が起こることがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与し、低血糖症状が認められた場合には、通常はショ糖を投与する(併用による血糖降下作用の増強)]。

②.糖尿病用薬(スルホニルウレア剤)[併用により低血糖が起こることがあり、スルホニルウレア剤併用時に低血糖のリスクが増加する恐れがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与し、低血糖症状が認められた場合には、通常はショ糖を投与する(併用による血糖降下作用の増強)]。

③.糖尿病用薬(α−グルコシダーゼ阻害剤)[併用により低血糖が起こることがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与し、低血糖症状が認められた場合には、α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)との併用の場合にはブドウ糖を投与する(併用による血糖降下作用の増強)]。

(2).蛋白同化ホルモン剤[併用により低血糖が起こることがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与し、低血糖症状が認められた場合には、通常はショ糖を投与する(機序不明)]。

(3).サリチル酸剤(アスピリン等)[併用により低血糖が起こることがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与し、低血糖症状が認められた場合には、通常はショ糖を投与する(サリチル酸剤の血糖降下作用が考えられている)]。

(4).β遮断剤(プロプラノロール等)[併用により低血糖が起こることがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与し、低血糖症状が認められた場合には、通常はショ糖を投与する(β遮断作用によりアドレナリンを介した低血糖からの回復を遅らせることが考えられている)]。

(5).モノアミン酸化酵素阻害剤[併用により低血糖が起こることがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与し、低血糖症状が認められた場合には、通常はショ糖を投与する(モノアミン酸化酵素阻害剤によるインスリン分泌促進、糖新生抑制が考えられている)]。

3).血糖降下作用を減弱する薬剤:

(1).アドレナリン[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(アドレナリンによる末梢での糖利用抑制、肝での糖新生促進、インスリン分泌抑制が考えられている)]。

(2).副腎皮質ホルモン[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(副腎皮質ホルモンによる肝での糖新生促進等が考えられている)]。

(3).甲状腺ホルモン[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(甲状腺ホルモンは糖代謝全般に作用し血糖値を変動させると考えられている)]。

(4).卵胞ホルモン[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(卵胞ホルモンには耐糖能を変化させ、血糖を上昇させる作用が認められている)]。

(5).利尿剤[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(利尿剤によるカリウム喪失によりインスリン分泌の低下が考えられている)]。

(6).ピラジナミド[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(機序不明)]。

(7).イソニアジド[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(イソニアジドによる炭水化物代謝阻害が考えられている)]。

(8).ニコチン酸[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(ニコチン酸による血糖上昇作用が考えられている)]。

(9).フェノチアジン系薬剤[併用により血糖降下作用が減弱することがあるので、患者の状態を十分観察しながら投与する(フェノチアジン系薬剤によるインスリン分泌抑制、副腎からのアドレナリン遊離が考えられている)]。

4).その他:

(1).OCT2を阻害する薬剤、MATE1を阻害する薬剤、又はMATE2−Kを阻害する薬剤(シメチジン、ドルテグラビル、ビクテグラビル、バンデタニブ、イサブコナゾニウム硫酸塩、ピミテスピブ等)[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強する恐れがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて本剤を減量するなど慎重に投与する(OCT2、MATE1、又はMATE2−Kを介した本剤の腎排泄が阻害されると考えられている)]。

(2).イメグリミン塩酸塩[消化器症状の発現に注意する(特に併用初期に多く発現する傾向が認められている)]。

高齢者への注意

(高齢者への投与)

高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい。これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすいので、次の点に注意する。

1.高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい(これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすい)ので、本剤の投与開始前、投与中は定期的に、特に慎重な経過観察が必要な場合にはより頻回に腎機能や肝機能を確認するなど十分に観察しながら慎重に投与する[本剤はほとんど代謝されず、未変化体のまま尿中に排泄され、また、肝機能の低下により乳酸の代謝能が低下する]。

2.高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい(これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすい)ので、腎機能や脱水症状等患者の状態に十分注意して投与の中止や減量を検討する。特に75歳以上の高齢者では、乳酸アシドーシスが多く報告されており、予後も不良であることが多いため、本剤投与の適否をより慎重に判断する[他社が実施した国内におけるメトホルミン塩酸塩製剤の承認時までの臨床試験において、75歳以上の高齢者への1日1500mgを超える用量の使用経験は限られている]。

3.高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい(これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすい)ので、血清クレアチニン値が正常範囲内であっても、年齢によっては実際の腎機能が低下していることがあるので、eGFR等も考慮して、慎重に患者の状態を観察する。

妊婦・産婦・授乳婦への投与

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない[動物実験(ラット、ウサギ)で胎仔への移行が認められており、一部の動物実験(ラット)で催奇形作用が報告されており、また、妊婦は乳酸アシドーシスを起こしやすい]。

2.授乳中の婦人への投与を避け、やむを得ず投与する場合は授乳を中止させる[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている]。

新生児・乳児・幼児・小児への投与

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は10歳未満の小児に対する安全性は確立していない。

過量投与

1.過量投与時の症状:乳酸アシドーシスが起こることがある。

2.過量投与時の処置:アシドーシスの補正(炭酸水素ナトリウム静注等)、輸液(強制利尿)、血液透析等の適切な処置を行う。

取扱い上の注意

(適用上の注意)

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

1.錠剤を取り出すときに特異なにおいがすることがある[本剤の原料に由来する成分による]。

2.本剤とオルメサルタン メドキソミル製剤等との一包化は避ける[一包化して高温高湿度条件下にて保存した場合、本剤が変色することがある]。

3.安定性試験:加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)の結果、本剤は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。

その他の注意

インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。

薬剤情報

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