内容
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません.  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

ポイント

  1. SAHなど致死的な二次性頭痛を見逃さない 
  2. クモ膜下出血の診断はまず早期頭部CT
  3. 頭部CTが正常でもSAH除外はできない
  4. 疑わしければ、 髄液検査やMRIを検討
  5. 緑内障などの頭蓋外疾患にも要注意

病態・疫学

頭痛の分類|国際頭痛分類第3版¹⁾

頭痛
心筋梗塞や大動脈解離など頭蓋外が主たる病院の疾患による頭痛が含まれていることもあり、 全身の診察も怠ってはならな

頭痛は珍しくない|ただし、ときに致死的

  • 頭痛主訴の患者は、ER全体の0.6~4.5%
  • 2~30%と幅があるが、 二次性頭痛と診断される患者が潜んでいる
  • 精査を要する患者の適切な選択が重要

頭痛の病態生理|なぜ痛むのか

✖️ 脳実質自体に痛みの受容体はない

⭕️ 硬膜髄膜くも膜は痛みを強く感じる

⭕️ 神経、 血管、 筋膜、 筋肉も同様

  筋収縮痛として、 緊張性頭痛は頻度が高い

診断アルゴリズム

鑑別の順番

  1. 緊急性のある二次性頭痛
  2. 緊急性のない二次性頭痛
  3. 頻度の高い一次性頭痛
  4. 稀な一次性頭痛

二次性頭痛を疑う所見|SNOOP²⁾

1項目でも該当すれば、 頭部CTを考慮する

頭痛
 Cephalalgia. 2002 Sep;22(7):568-613.

危険な頭痛の徴候

  • 突然発症した激しい頭痛 (雷鳴頭痛)
  • 徐々に増悪する頭痛
  • 初めて経験した頭痛
  • 随伴症状がある頭痛
  • 神経学的または身体所見で異常がある
  • 労作・咳・性行為などに伴い発現する頭痛

雷鳴頭痛の鑑別³⁾

1分以内に疼痛がピークに達するような頭痛を雷鳴頭痛と呼ぶ。

頭痛
 Lancet Neuro. 2012 Oct;11(10):906-17.

くも膜下出血の診断

OttawaSAHルール 🔢計算ツール

対象:1時間以内に痛みのピークを迎えた頭痛があるが、神経障害は認めない成人患者

  1. 40歳以上
  2. 頸部痛や項部硬直
  3. 意識消失
  4. 労作時に発症
  5. 雷鳴頭痛
  6. 頸部屈曲制限
上記の6項目全てに当てはまらなかった場合は、SAHを除外クモ膜下出血を感度100%、 特異度15.3%で除外できた⁴⁾.
 JAMA. 2013 Sep 25;310(12):1248-55.

1.頭部CT

  • 発症6時間以内の感度・特異度は約100%.
  • 一方、 時間が経過したり、 貧血少量出血の場合診断に至らないことがあるので要注意.
頭痛

2.腰椎穿刺 >>解説はこちら

  • CTで明らかな出血を認めないが、 症状からSAHが疑われる場合には髄液検査を追加.
  • 脳脊髄液は、 発症直後は血性発症後3~4日後はキサントクロミー様を示す.
  • すでにSAHと診断されている場合には診断的に行ってはならない.

3. 頭部MRI

  • MRIによるくも膜下出血の診断は、 CTと比較して特に急性期の診断率において劣る.
  • しかし、 微小な出血や亜急性期・慢性期の診断においては有用である.
  • また、 同時にMRAで脳動脈瘤の診断が可能であることも長所として挙げられる.
頭部CTやMRIで有意な所見がなく、 腰椎穿刺で正常な脳脊髄液が確認された場合には、 くも膜下出血は除外される.

その他見逃してはいけない疾患

急性閉塞隅角緑内障 

突然の視力低下、 眼痛、 霧視、 頭痛、 嘔気嘔吐、 眼球結膜充血(毛様充血)、 散瞳、 対光反射遅延・消失、 角膜混濁

中枢神経感染|脳膿瘍、髄膜脳炎

生涯経験したことのないような頭痛に発熱が伴う場合に想起

一次性頭痛

片頭痛や緊張型頭痛、 群発頭痛が代表

🔢片頭痛の診断基準 (ICHD-3)

国際頭痛分類 第3版の診断基準

🔢POUNDスコア

片頭痛の診断予測ルール

🔢HIT-6 (Headache Impact Test-6)

頭痛の評価スケール

頭痛の治療

  • 疼痛コントロール
  • 原疾患の治療 (関連コンテンツ参照)
  • 二次性頭痛の場合、多くは緊急での加療、 全身状態の安定化を要する

関連コンテンツ

🚑 ERマニュアル|脳出血

🚑 ERマニュアル|脳梗塞

🚑 ERマニュアル|くも膜下出血

🚑 ERマニュアル|腰椎穿刺

🔢 Ottawa SAHルール (SAHの予測)

🔢 POUNDスコア (片頭痛の予測)

参考文献

  1. 国際頭痛分類第3版
  2. Cephalalgia. 2002 Sep;22(7):568-613.
  3. Lancet Neuro. 2012 Oct;11(10):906-17.
  4. JAMA. 2013 Sep 25;310(12):1248-55

最終更新:2024年4月8日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧

頭痛

Headache
2021年07月31日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません.  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

ポイント

  1. SAHなど致死的な二次性頭痛を見逃さない 
  2. クモ膜下出血の診断はまず早期頭部CT
  3. 頭部CTが正常でもSAH除外はできない
  4. 疑わしければ、 髄液検査やMRIを検討
  5. 緑内障などの頭蓋外疾患にも要注意

病態・疫学

頭痛の分類|国際頭痛分類第3版¹⁾

頭痛
心筋梗塞や大動脈解離など頭蓋外が主たる病院の疾患による頭痛が含まれていることもあり、 全身の診察も怠ってはならな

頭痛は珍しくない|ただし、ときに致死的

  • 頭痛主訴の患者は、ER全体の0.6~4.5%
  • 2~30%と幅があるが、 二次性頭痛と診断される患者が潜んでいる
  • 精査を要する患者の適切な選択が重要

頭痛の病態生理|なぜ痛むのか

✖️ 脳実質自体に痛みの受容体はない

⭕️ 硬膜髄膜くも膜は痛みを強く感じる

⭕️ 神経、 血管、 筋膜、 筋肉も同様

  筋収縮痛として、 緊張性頭痛は頻度が高い

診断アルゴリズム

鑑別の順番

  1. 緊急性のある二次性頭痛
  2. 緊急性のない二次性頭痛
  3. 頻度の高い一次性頭痛
  4. 稀な一次性頭痛

二次性頭痛を疑う所見|SNOOP²⁾

1項目でも該当すれば、 頭部CTを考慮する

頭痛
 Cephalalgia. 2002 Sep;22(7):568-613.

危険な頭痛の徴候

  • 突然発症した激しい頭痛 (雷鳴頭痛)
  • 徐々に増悪する頭痛
  • 初めて経験した頭痛
  • 随伴症状がある頭痛
  • 神経学的または身体所見で異常がある
  • 労作・咳・性行為などに伴い発現する頭痛

雷鳴頭痛の鑑別³⁾

1分以内に疼痛がピークに達するような頭痛を雷鳴頭痛と呼ぶ。

頭痛
 Lancet Neuro. 2012 Oct;11(10):906-17.

くも膜下出血の診断

OttawaSAHルール 🔢計算ツール

対象:1時間以内に痛みのピークを迎えた頭痛があるが、神経障害は認めない成人患者

  1. 40歳以上
  2. 頸部痛や項部硬直
  3. 意識消失
  4. 労作時に発症
  5. 雷鳴頭痛
  6. 頸部屈曲制限
上記の6項目全てに当てはまらなかった場合は、SAHを除外クモ膜下出血を感度100%、 特異度15.3%で除外できた⁴⁾.
 JAMA. 2013 Sep 25;310(12):1248-55.

1.頭部CT

  • 発症6時間以内の感度・特異度は約100%.
  • 一方、 時間が経過したり、 貧血少量出血の場合診断に至らないことがあるので要注意.
頭痛

2.腰椎穿刺 >>解説はこちら

  • CTで明らかな出血を認めないが、 症状からSAHが疑われる場合には髄液検査を追加.
  • 脳脊髄液は、 発症直後は血性発症後3~4日後はキサントクロミー様を示す.
  • すでにSAHと診断されている場合には診断的に行ってはならない.

3. 頭部MRI

  • MRIによるくも膜下出血の診断は、 CTと比較して特に急性期の診断率において劣る.
  • しかし、 微小な出血や亜急性期・慢性期の診断においては有用である.
  • また、 同時にMRAで脳動脈瘤の診断が可能であることも長所として挙げられる.
頭部CTやMRIで有意な所見がなく、 腰椎穿刺で正常な脳脊髄液が確認された場合には、 くも膜下出血は除外される.

その他見逃してはいけない疾患

急性閉塞隅角緑内障 

突然の視力低下、 眼痛、 霧視、 頭痛、 嘔気嘔吐、 眼球結膜充血(毛様充血)、 散瞳、 対光反射遅延・消失、 角膜混濁

中枢神経感染|脳膿瘍、髄膜脳炎

生涯経験したことのないような頭痛に発熱が伴う場合に想起

一次性頭痛

片頭痛や緊張型頭痛、 群発頭痛が代表

🔢片頭痛の診断基準 (ICHD-3)

国際頭痛分類 第3版の診断基準

🔢POUNDスコア

片頭痛の診断予測ルール

🔢HIT-6 (Headache Impact Test-6)

頭痛の評価スケール

頭痛の治療

  • 疼痛コントロール
  • 原疾患の治療 (関連コンテンツ参照)
  • 二次性頭痛の場合、多くは緊急での加療、 全身状態の安定化を要する

関連コンテンツ

🚑 ERマニュアル|脳出血

🚑 ERマニュアル|脳梗塞

🚑 ERマニュアル|くも膜下出血

🚑 ERマニュアル|腰椎穿刺

🔢 Ottawa SAHルール (SAHの予測)

🔢 POUNDスコア (片頭痛の予測)

参考文献

  1. 国際頭痛分類第3版
  2. Cephalalgia. 2002 Sep;22(7):568-613.
  3. Lancet Neuro. 2012 Oct;11(10):906-17.
  4. JAMA. 2013 Sep 25;310(12):1248-55

最終更新:2024年4月8日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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