内容
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません.  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

ポイント

  1. SAHなど致死的な二次性頭痛を見逃さない !
  2. クモ膜下出血の診断はまず早期頭部CT!
  3. 頭部CTが正常でもSAH除外はできない!
  4. 疑わしければ、 髄液検査やMRIを検討!
  5. 緑内障などの頭蓋外疾患にも要注意!

病態・疫学

頭痛の病態生理

✖️ 脳実質自体に痛みの受容体はない

⭕️ 硬膜髄膜くも膜は痛みを強く感じる

⭕️ 神経、 血管、 筋膜、 筋肉も同様

  筋収縮痛として、 緊張性頭痛は頻度が高い

頭痛の分類|国際頭痛分類第3版¹⁾

頭痛

診断アルゴリズム

鑑別の順番

  1. 緊急性のある二次性頭痛
  2. 緊急性のない二次性頭痛
  3. 頻度の高い一次性頭痛
  4. 稀な一次性頭痛

二次性頭痛を疑う所見|SNOOP²⁾

1項目でも該当すれば、 頭部CTを考慮する

頭痛
 Cephalalgia. 2002 Sep;22(7):568-613.

危険な頭痛の徴候

  • 突然発症した激しい頭痛 (雷鳴頭痛)
  • 徐々に増悪する頭痛
  • 初めて経験した頭痛
  • 随伴症状がある頭痛
  • 神経学的または身体所見で異常がある
  • 労作・咳・性行為などに伴い発現する頭痛

雷鳴頭痛の鑑別³⁾

頭痛
 Lancet Neuro. 2012 Oct;11(10):906-17.

くも膜下出血の診断

OttawaSAHルール 🔢計算ツール

対象:1時間以内に痛みのピークを迎えた頭痛があるが、神経障害は認めない成人患者

  1. 40歳以上
  2. 頸部痛や項部硬直
  3. 意識消失
  4. 労作時に発症
  5. 雷鳴頭痛
  6. 頸部屈曲制限
上記の6項目全てに当てはまらなかった場合は、SAHを除外クモ膜下出血を感度100%、 特異度15.3%で除外できた⁴⁾.
 JAMA. 2013 Sep 25;310(12):1248-55.

1.頭部CT

  • 発症6時間以内の感度・特異度は約100%.
  • 一方、 時間が経過したり、 貧血少量出血の場合診断に至らないことがあるので要注意.
頭痛

2.腰椎穿刺

  • CTで明らかな出血を認めないが、 症状からSAHが疑われる場合には髄液検査を追加.
  • 脳脊髄液は、 発症直後は血性発症後3~4日後はキサントクロミー様を示す.
  • すでにSAHと診断されている場合には診断的に行ってはならない.

3. 頭部MRI

  • MRIによるくも膜下出血の診断は、 CTと比較して特に急性期の診断率において劣る.
  • しかし、 微小な出血や亜急性期・慢性期の診断においては有用である.
  • また、 同時にMRAで脳動脈瘤の診断が可能であることも長所として挙げられる.
頭部CTやMRIで有意な所見がなく、 腰椎穿刺で正常な脳脊髄液が確認された場合には、 くも膜下出血は除外される.

その他見逃してはいけない疾患

急性閉塞隅角緑内障 

突然の視力低下、 眼痛、 霧視、 頭痛、 嘔気嘔吐、 眼球結膜充血(毛様充血)、 散瞳、 対光反射遅延・消失、 角膜混濁

中枢神経感染|脳膿瘍、髄膜脳炎

生涯経験したことのないような頭痛に発熱が伴う場合に想起

治療

  • 疼痛コントロール
  • 原疾患の治療 (関連コンテンツ参照)
  • 二次性頭痛の場合、多くは緊急での加療、 全身状態の安定化を要する

関連コンテンツ

🚑 ERマニュアル|脳出血

🚑 ERマニュアル|脳梗塞

🚑 ERマニュアル|くも膜下出血

🚑 ERマニュアル|腰椎穿刺

🔢 Ottawa SAHルール (SAHの予測)

🔢 POUNDスコア (片頭痛の予測)

参考文献

  1. 国際頭痛分類第3版
  2. Cephalalgia. 2002 Sep;22(7):568-613.
  3. Lancet Neuro. 2012 Oct;11(10):906-17.
  4. JAMA. 2013 Sep 25;310(12):1248-55

最終更新:2024年3月22日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧

頭痛

Headache
2021年07月31日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません.  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

ポイント

  1. SAHなど致死的な二次性頭痛を見逃さない !
  2. クモ膜下出血の診断はまず早期頭部CT!
  3. 頭部CTが正常でもSAH除外はできない!
  4. 疑わしければ、 髄液検査やMRIを検討!
  5. 緑内障などの頭蓋外疾患にも要注意!

病態・疫学

頭痛の病態生理

✖️ 脳実質自体に痛みの受容体はない

⭕️ 硬膜髄膜くも膜は痛みを強く感じる

⭕️ 神経、 血管、 筋膜、 筋肉も同様

  筋収縮痛として、 緊張性頭痛は頻度が高い

頭痛の分類|国際頭痛分類第3版¹⁾

頭痛

診断アルゴリズム

鑑別の順番

  1. 緊急性のある二次性頭痛
  2. 緊急性のない二次性頭痛
  3. 頻度の高い一次性頭痛
  4. 稀な一次性頭痛

二次性頭痛を疑う所見|SNOOP²⁾

1項目でも該当すれば、 頭部CTを考慮する

頭痛
 Cephalalgia. 2002 Sep;22(7):568-613.

危険な頭痛の徴候

  • 突然発症した激しい頭痛 (雷鳴頭痛)
  • 徐々に増悪する頭痛
  • 初めて経験した頭痛
  • 随伴症状がある頭痛
  • 神経学的または身体所見で異常がある
  • 労作・咳・性行為などに伴い発現する頭痛

雷鳴頭痛の鑑別³⁾

頭痛
 Lancet Neuro. 2012 Oct;11(10):906-17.

くも膜下出血の診断

OttawaSAHルール 🔢計算ツール

対象:1時間以内に痛みのピークを迎えた頭痛があるが、神経障害は認めない成人患者

  1. 40歳以上
  2. 頸部痛や項部硬直
  3. 意識消失
  4. 労作時に発症
  5. 雷鳴頭痛
  6. 頸部屈曲制限
上記の6項目全てに当てはまらなかった場合は、SAHを除外クモ膜下出血を感度100%、 特異度15.3%で除外できた⁴⁾.
 JAMA. 2013 Sep 25;310(12):1248-55.

1.頭部CT

  • 発症6時間以内の感度・特異度は約100%.
  • 一方、 時間が経過したり、 貧血少量出血の場合診断に至らないことがあるので要注意.
頭痛

2.腰椎穿刺

  • CTで明らかな出血を認めないが、 症状からSAHが疑われる場合には髄液検査を追加.
  • 脳脊髄液は、 発症直後は血性発症後3~4日後はキサントクロミー様を示す.
  • すでにSAHと診断されている場合には診断的に行ってはならない.

3. 頭部MRI

  • MRIによるくも膜下出血の診断は、 CTと比較して特に急性期の診断率において劣る.
  • しかし、 微小な出血や亜急性期・慢性期の診断においては有用である.
  • また、 同時にMRAで脳動脈瘤の診断が可能であることも長所として挙げられる.
頭部CTやMRIで有意な所見がなく、 腰椎穿刺で正常な脳脊髄液が確認された場合には、 くも膜下出血は除外される.

その他見逃してはいけない疾患

急性閉塞隅角緑内障 

突然の視力低下、 眼痛、 霧視、 頭痛、 嘔気嘔吐、 眼球結膜充血(毛様充血)、 散瞳、 対光反射遅延・消失、 角膜混濁

中枢神経感染|脳膿瘍、髄膜脳炎

生涯経験したことのないような頭痛に発熱が伴う場合に想起

治療

  • 疼痛コントロール
  • 原疾患の治療 (関連コンテンツ参照)
  • 二次性頭痛の場合、多くは緊急での加療、 全身状態の安定化を要する

関連コンテンツ

🚑 ERマニュアル|脳出血

🚑 ERマニュアル|脳梗塞

🚑 ERマニュアル|くも膜下出血

🚑 ERマニュアル|腰椎穿刺

🔢 Ottawa SAHルール (SAHの予測)

🔢 POUNDスコア (片頭痛の予測)

参考文献

  1. 国際頭痛分類第3版
  2. Cephalalgia. 2002 Sep;22(7):568-613.
  3. Lancet Neuro. 2012 Oct;11(10):906-17.
  4. JAMA. 2013 Sep 25;310(12):1248-55

最終更新:2024年3月22日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師

各領域の第一線の専門医が複数在籍

最新トピックに関する独自記事を配信中

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

ERマニュアル

当直や救急外来ですぐに役立つコンテンツを無料掲載!

監修は、SNSを用いた医学情報共有や医学教育を専門とする、聖路加国際病院救急部の清水真人先生。デジタルデバイスで読みやすいHOKUTOオリジナルの図表をご用意いたしました!