出血部位に応じて、"前鼻出血"と"後鼻出血"に分類され¹⁾、 80~90%が前鼻出血とされる²⁾
多くは、 鼻中隔前方の領域 (キーゼルバッハ部位) から発生し、 この部位は前篩骨動脈、 蝶口蓋動脈、 顔面動脈 (上唇動脈) の3つの主要血管が吻合している³⁾。
鼻出血の10~20%は、 蝶口蓋動脈より生じる鼻腔後方からの出血に起因する²⁾。 前鼻出血と比較し、 出血量が多く、 コントロール困難となる可能性が高い²⁾。
処置と同時に以下の問診を行う。 なお、 大量出血が疑われたり、 バイタルサインに異常を認める場合、 問診よりも気道確保と静脈ラインの確保、 止血を優先する⁴⁾
- 最初に出血したのは左右どちらか⁴⁾
- 鼻出血の誘引はなにか
- 抗血小板薬や抗凝固薬などの内服歴⁴⁾
- 凝固障害や肝機能障害などの既往歴・家族歴³⁾
なにより重要なのはABCの安定化、 そして用指圧迫である。 ボスミン液の使い方やその他の対応についても後述する
気道および循環動態の評価が肝要である。 大量出血が疑われたり、 バイタルサイン異常がある場合、 気道と血管の確保、 輸液を行う⁴⁾。
全身状態が良好であれば、 座位で頭部を前屈させ⁴⁾、 用指的に鼻翼を圧迫する (10分以上)。 キーゼルバッハ部位からの出血の多くは圧迫で止血可能である。
口腔内の血液を嚥下すると催吐作用があるため、 適宜膿盆に吐き出すよう指示する³⁾。
止血が得られない場合、 出血側に血管収縮薬 (アドレナリン液) を含ませたガーゼを詰めさらに圧迫を行う。 この際、 局所麻酔剤 (リドカイン液) を使用することで患者の苦痛緩和が得られる。
希釈例1) ボスミン液0.1%を3~5倍希釈 (ボスミン3000~5000倍希釈)
希釈例2) ボスミン液0.1%:キシロカイン液4%を1:2~4程度で混合 (ボスミン3000~5000倍希釈)
出血がおさまってくるようであれば、 院内で10~15分程度経過観察をした後に帰宅⁴⁾とし、 翌日の耳鼻科受診を指示する。 それまでは鼻をかむこと・入浴・飲酒・運動は禁止する。 鼻内に詰めた血管収縮薬を含ませたガーゼは、 止血が得られたら、 帰宅前に必ず抜去する (乾燥後に抜去すると鼻腔粘膜を傷つけるため)。
パッキングしたまま帰宅をさせる場合は、 吸収性もしくは非吸収性の詰め物を行う⁴⁾。
▼吸収性 (サージセルやゼルフォームなど)
圧迫効果は低いが、 抜去の必要がなく、 患者の不快感は少ない⁴⁾。
▼非吸収性 (メロセルやviscoなど)
挿入時は潤滑剤として抗菌薬の軟膏を塗布し、 鼻腔内を顔面に垂直方向に挿入する。 生理食塩水や抗菌薬溶液 (5~10cc) を含ませ膨張させ、 圧迫する。 救急外来で抜去はせず、 翌日以降に耳鼻科を受診するよう指示する⁵⁾。
上記処置を行なっても出血の量が変化せず、 多量に口から血液を吐き出すような所見が続く場合、 後鼻出血が考えられ、 焼灼術などを目的とした耳鼻科医へのコンサルトが必要となる。 専門医を待つ間、 バルーンカテーテルによる後鼻腔圧迫が有用である⁴⁾。
救急外来での精査は必要ないが、 繰り返している場合は専門医での精査するよう指示する。
- 高血圧⁴⁾
- 血液疾患
・ 遺伝性出血性毛細血管拡張症⁴⁾
(Osler-Weber-Rendu病)
・ von Willebrand病⁴⁾
・ 血小板減少症⁴⁾
・ 血友病⁷⁾
- 悪性腫瘍⁴⁾
・ 鼻腔癌や上咽頭癌
出典
最終更新日 : 2024年4月9日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
出血部位に応じて、"前鼻出血"と"後鼻出血"に分類され¹⁾、 80~90%が前鼻出血とされる²⁾
多くは、 鼻中隔前方の領域 (キーゼルバッハ部位) から発生し、 この部位は前篩骨動脈、 蝶口蓋動脈、 顔面動脈 (上唇動脈) の3つの主要血管が吻合している³⁾。
鼻出血の10~20%は、 蝶口蓋動脈より生じる鼻腔後方からの出血に起因する²⁾。 前鼻出血と比較し、 出血量が多く、 コントロール困難となる可能性が高い²⁾。
処置と同時に以下の問診を行う。 なお、 大量出血が疑われたり、 バイタルサインに異常を認める場合、 問診よりも気道確保と静脈ラインの確保、 止血を優先する⁴⁾
- 最初に出血したのは左右どちらか⁴⁾
- 鼻出血の誘引はなにか
- 抗血小板薬や抗凝固薬などの内服歴⁴⁾
- 凝固障害や肝機能障害などの既往歴・家族歴³⁾
なにより重要なのはABCの安定化、 そして用指圧迫である。 ボスミン液の使い方やその他の対応についても後述する
気道および循環動態の評価が肝要である。 大量出血が疑われたり、 バイタルサイン異常がある場合、 気道と血管の確保、 輸液を行う⁴⁾。
全身状態が良好であれば、 座位で頭部を前屈させ⁴⁾、 用指的に鼻翼を圧迫する (10分以上)。 キーゼルバッハ部位からの出血の多くは圧迫で止血可能である。
口腔内の血液を嚥下すると催吐作用があるため、 適宜膿盆に吐き出すよう指示する³⁾。
止血が得られない場合、 出血側に血管収縮薬 (アドレナリン液) を含ませたガーゼを詰めさらに圧迫を行う。 この際、 局所麻酔剤 (リドカイン液) を使用することで患者の苦痛緩和が得られる。
希釈例1) ボスミン液0.1%を3~5倍希釈 (ボスミン3000~5000倍希釈)
希釈例2) ボスミン液0.1%:キシロカイン液4%を1:2~4程度で混合 (ボスミン3000~5000倍希釈)
出血がおさまってくるようであれば、 院内で10~15分程度経過観察をした後に帰宅⁴⁾とし、 翌日の耳鼻科受診を指示する。 それまでは鼻をかむこと・入浴・飲酒・運動は禁止する。 鼻内に詰めた血管収縮薬を含ませたガーゼは、 止血が得られたら、 帰宅前に必ず抜去する (乾燥後に抜去すると鼻腔粘膜を傷つけるため)。
パッキングしたまま帰宅をさせる場合は、 吸収性もしくは非吸収性の詰め物を行う⁴⁾。
▼吸収性 (サージセルやゼルフォームなど)
圧迫効果は低いが、 抜去の必要がなく、 患者の不快感は少ない⁴⁾。
▼非吸収性 (メロセルやviscoなど)
挿入時は潤滑剤として抗菌薬の軟膏を塗布し、 鼻腔内を顔面に垂直方向に挿入する。 生理食塩水や抗菌薬溶液 (5~10cc) を含ませ膨張させ、 圧迫する。 救急外来で抜去はせず、 翌日以降に耳鼻科を受診するよう指示する⁵⁾。
上記処置を行なっても出血の量が変化せず、 多量に口から血液を吐き出すような所見が続く場合、 後鼻出血が考えられ、 焼灼術などを目的とした耳鼻科医へのコンサルトが必要となる。 専門医を待つ間、 バルーンカテーテルによる後鼻腔圧迫が有用である⁴⁾。
救急外来での精査は必要ないが、 繰り返している場合は専門医での精査するよう指示する。
- 高血圧⁴⁾
- 血液疾患
・ 遺伝性出血性毛細血管拡張症⁴⁾
(Osler-Weber-Rendu病)
・ von Willebrand病⁴⁾
・ 血小板減少症⁴⁾
・ 血友病⁷⁾
- 悪性腫瘍⁴⁾
・ 鼻腔癌や上咽頭癌
出典
最終更新日 : 2024年4月9日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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