診断基準および重症度分類は、 「急性膵炎の診断基準 厚生労働省難治性疾患に関する調査研究班 2008年¹⁾」で定められ、 「急性膵炎診療ガイドライン2021 第5版²⁾」においても引用されている。
以下の3項目中2項目以上を満たし、 他の膵疾患および急性腹症を除外したものを急性膵炎と診断する。 ただし、 慢性膵炎の急性増悪は急性膵炎に含める。
💡ポイント
膵酵素は特異性の高いもの (膵アミラーゼ、リパーゼなど) を測定することが望ましい。 リパーゼの方感度・特異度が高い。
重症:予後因子≧3点 or 造影CT Grade≧2
最初の24時間での積極的輸液で死亡率減少。 ただし、 過剰輸液とならないようなモニタリングが必要であり、 また晶質液を用いること²⁾。
明確な推奨はないが、 200-500ml/時間または5-10ml/㎏/時間で投与し 最初の24時間で2500-4000mlの輸液することもある。 ただし患者の状態にあわせ適切なモニタリング下で輸液過量には注意が必要である。
迅速な鎮痛薬使用が推奨される²⁾。 時にオピオイドの使用も考慮する。
過去のエビデンスから、 軽症に対しては行わないことが強く推奨されている²⁾。 重症または壊死性膵炎に対しても生命予後や感染性膵合併症発生に対する明らかな改善効果は証明されていない²⁾。 投与するときは、経験的に膵臓への移行がよいカルバペネム系など(例:MEPM 1g 8時間毎)を選択することがある。
胆石性膵炎の場合、 ERCPの適応につき消化器内科コンサルト。 なお、 胆管炎合併もしくは胆汁 (黄疸や胆管拡張など) を認める場合、 早期のERCP / ESTが強く推奨される²⁾。 その他のケースにおいて、明確なエビデンスはなく施設対応。
集中治療室でのモニタリング下で、 積極的輸液、 栄養管理(早期経腸栄養)、 またACS (腹部コンパートメント症候群) 予防のためのIAP (腹腔内圧)の測定が推奨される²⁾(膀胱内圧を用いる)。
タンパク分解酵素阻害薬はエビデンス不十分²⁾
早期経腸栄養は48時間以内の開始を推奨²⁾
稀だが、 予後は良い。 薬物誘発性膵炎の機序として、 ①免疫反応(メルカプトプリン [6-MP]、メサラジン [5-ASA]、スルホンアミドなど)、 ②直接毒性作用 (利尿薬、 スルホンアミド)、 ③有毒代謝産物の蓄積 (バルプロ酸ナトリウム、 ペンタミジン、 テトラサイクリンなど)、④虚血 (利尿薬、アザチオプリンなど)、 ⑤血栓 (エストロゲンなど)、 ⑥膵液粘度上昇 (利尿薬やステロイドなど)が報告されている。
最終更新:2024年6月10日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人
診断基準および重症度分類は、 「急性膵炎の診断基準 厚生労働省難治性疾患に関する調査研究班 2008年¹⁾」で定められ、 「急性膵炎診療ガイドライン2021 第5版²⁾」においても引用されている。
以下の3項目中2項目以上を満たし、 他の膵疾患および急性腹症を除外したものを急性膵炎と診断する。 ただし、 慢性膵炎の急性増悪は急性膵炎に含める。
💡ポイント
膵酵素は特異性の高いもの (膵アミラーゼ、リパーゼなど) を測定することが望ましい。 リパーゼの方感度・特異度が高い。
重症:予後因子≧3点 or 造影CT Grade≧2
最初の24時間での積極的輸液で死亡率減少。 ただし、 過剰輸液とならないようなモニタリングが必要であり、 また晶質液を用いること²⁾。
明確な推奨はないが、 200-500ml/時間または5-10ml/㎏/時間で投与し 最初の24時間で2500-4000mlの輸液することもある。 ただし患者の状態にあわせ適切なモニタリング下で輸液過量には注意が必要である。
迅速な鎮痛薬使用が推奨される²⁾。 時にオピオイドの使用も考慮する。
過去のエビデンスから、 軽症に対しては行わないことが強く推奨されている²⁾。 重症または壊死性膵炎に対しても生命予後や感染性膵合併症発生に対する明らかな改善効果は証明されていない²⁾。 投与するときは、経験的に膵臓への移行がよいカルバペネム系など(例:MEPM 1g 8時間毎)を選択することがある。
胆石性膵炎の場合、 ERCPの適応につき消化器内科コンサルト。 なお、 胆管炎合併もしくは胆汁 (黄疸や胆管拡張など) を認める場合、 早期のERCP / ESTが強く推奨される²⁾。 その他のケースにおいて、明確なエビデンスはなく施設対応。
集中治療室でのモニタリング下で、 積極的輸液、 栄養管理(早期経腸栄養)、 またACS (腹部コンパートメント症候群) 予防のためのIAP (腹腔内圧)の測定が推奨される²⁾(膀胱内圧を用いる)。
タンパク分解酵素阻害薬はエビデンス不十分²⁾
早期経腸栄養は48時間以内の開始を推奨²⁾
稀だが、 予後は良い。 薬物誘発性膵炎の機序として、 ①免疫反応(メルカプトプリン [6-MP]、メサラジン [5-ASA]、スルホンアミドなど)、 ②直接毒性作用 (利尿薬、 スルホンアミド)、 ③有毒代謝産物の蓄積 (バルプロ酸ナトリウム、 ペンタミジン、 テトラサイクリンなど)、④虚血 (利尿薬、アザチオプリンなど)、 ⑤血栓 (エストロゲンなど)、 ⑥膵液粘度上昇 (利尿薬やステロイドなど)が報告されている。
最終更新:2024年6月10日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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