内容
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

ポイント

  1. Catheter-Related Blood Stream Infection
  2. 刺入部発赤がなくても否定はできない!
  3. 疑ったら抜去が鉄則である!
  4. 抜去前に他の熱源を必ず否定する!

病態と疫学

分類

  1. 末梢静脈カテーテル関連血流感染症
  2. 中心静脈カテーテル関連血流感染症

原因菌

  • コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (CNS)黄色ブドウ球菌 (MSSA、MRSA)、 Candida、 腸球菌が代表的.
  • 悪性腫瘍の治療棟では、 グラム陰性桿菌E.faecium緑色連鎖球菌の出現率が増加.
  • 発熱、 悪寒、 戦慄など感染症としての症状がみられるが、 カテーテル抜去のみで解熱する場合もある

診断

  • 抗菌薬投与前にカテーテル末梢 (皮膚穿刺)から1セットずつ血液培養を採取する!
  • 刺入部の炎症所見を欠くことも多い.

診断基準¹⁾

  1. 少なくとも1セットの皮膚から採血した血液培養とカテーテル先端培養から同じ微生物が検出される(A-Ⅰ)
  2. または経皮的血液採取とカテーテルから採取された血液培養をもって決定される(A-Ⅱ)

  1) DTP…カテ側の方が2時間以上早い

  2) コロニー数…カテ側で3倍以上多い

DTP:differential time to positivity¹⁾

  • 血液培養陽性化までの時間差
  • カテーテルから採取した血液検体の方が、 末梢から採取された血液検体よりも少なくとも2時間以上早く陽転化 (A-Ⅱ)

治療(腎機能正常の場合)

治療は抗菌薬投与カテーテル抜去の2つ.

抗菌薬 (軽症)

抗菌薬 (重症)

治療期間

  • MSSA、 MRSA、 Candidaの場合、 カテーテル抜去かつ血液培養陰性から最低2週間
  • グラム陰性桿菌、 腸球菌の場合カテーテル抜去から7-14日間
  • CNSの場合、 カテーテル抜去から5-7日、 カテーテル温存 (ロック療法) で10-14日間
  • カテーテル抜去後72時間後も菌血症が持続する場合、 感染性心内膜炎、 骨髄炎、 膿瘍の合併を疑い長期間の抗菌薬投与 (6週間~) を考慮する

カテーテルの日常管理について

  1. 末梢静脈カテーテル → 3~4日ごとに交換
  2. 中心静脈カテーテル → 定期的な交換は不要 (機能不全、 感染徴候がある場合に交換).
  3. CVCやPICC は発熱だけで抜去せず、 他の熱源を否定してから抜去を検討
  4. カテーテルを温存する場合は、 菌がコロニゼーションしているカテーテルを通して、 抗菌薬を投与する

参考文献

  1. JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2017―敗血症およびカテーテル関連血流感染症―

最終更新:2022年2月28日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人
カテーテル関連血流感染症 (CRBSI)
こちらの記事の監修医師
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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カテーテル関連血流感染症 (CRBSI)
カテーテル関連血流感染症 (CRBSI)

カテーテル関連血流感染症 (CRBSI)

catheter-related blood stream infection
2022年02月28日更新
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ポイント

  1. Catheter-Related Blood Stream Infection
  2. 刺入部発赤がなくても否定はできない!
  3. 疑ったら抜去が鉄則である!
  4. 抜去前に他の熱源を必ず否定する!

病態と疫学

分類

  1. 末梢静脈カテーテル関連血流感染症
  2. 中心静脈カテーテル関連血流感染症

原因菌

  • コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (CNS)黄色ブドウ球菌 (MSSA、MRSA)、 Candida、 腸球菌が代表的.
  • 悪性腫瘍の治療棟では、 グラム陰性桿菌E.faecium緑色連鎖球菌の出現率が増加.
  • 発熱、 悪寒、 戦慄など感染症としての症状がみられるが、 カテーテル抜去のみで解熱する場合もある

診断

  • 抗菌薬投与前にカテーテル末梢 (皮膚穿刺)から1セットずつ血液培養を採取する!
  • 刺入部の炎症所見を欠くことも多い.

診断基準¹⁾

  1. 少なくとも1セットの皮膚から採血した血液培養とカテーテル先端培養から同じ微生物が検出される(A-Ⅰ)
  2. または経皮的血液採取とカテーテルから採取された血液培養をもって決定される(A-Ⅱ)

  1) DTP…カテ側の方が2時間以上早い

  2) コロニー数…カテ側で3倍以上多い

DTP:differential time to positivity¹⁾

  • 血液培養陽性化までの時間差
  • カテーテルから採取した血液検体の方が、 末梢から採取された血液検体よりも少なくとも2時間以上早く陽転化 (A-Ⅱ)

治療(腎機能正常の場合)

治療は抗菌薬投与カテーテル抜去の2つ.

抗菌薬 (軽症)

抗菌薬 (重症)

治療期間

  • MSSA、 MRSA、 Candidaの場合、 カテーテル抜去かつ血液培養陰性から最低2週間
  • グラム陰性桿菌、 腸球菌の場合カテーテル抜去から7-14日間
  • CNSの場合、 カテーテル抜去から5-7日、 カテーテル温存 (ロック療法) で10-14日間
  • カテーテル抜去後72時間後も菌血症が持続する場合、 感染性心内膜炎、 骨髄炎、 膿瘍の合併を疑い長期間の抗菌薬投与 (6週間~) を考慮する

カテーテルの日常管理について

  1. 末梢静脈カテーテル → 3~4日ごとに交換
  2. 中心静脈カテーテル → 定期的な交換は不要 (機能不全、 感染徴候がある場合に交換).
  3. CVCやPICC は発熱だけで抜去せず、 他の熱源を否定してから抜去を検討
  4. カテーテルを温存する場合は、 菌がコロニゼーションしているカテーテルを通して、 抗菌薬を投与する

参考文献

  1. JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2017―敗血症およびカテーテル関連血流感染症―

最終更新:2022年2月28日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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