本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

ポイント

❶高齢者転倒+股関節痛・荷重不能で疑い、 X線

❷X線陰性でも疑えばMRIで不顕性骨折を除外

❸頚部 (Garden) か転子部 (安定/不安定) で方針

❹疼痛は神経ブロック (FICB) を積極的に併用

❺48時間以内の早期手術を目標に整形外科へ

❻退院前に骨粗鬆症治療 (二次骨折予防) を開始

初期対応

はじめに

- 高齢者の転倒+股関節痛・荷重不能で疑う

- 患肢の短縮・外旋を確認する

- まず単純X線 (両股関節正面+患側側面)

- X線陰性でも疑えばMRI /困難ならCT¹⁾

- 早期に鎮痛 (後述の神経ブロックを積極的に)

- 早期手術 (≦48時間) を目標に整形コンサル¹⁾²⁾

初期評価とオーダー

- 受傷原因 (失神・不整脈・脳血管障害・低血糖)

- 他部位外傷 (頭部・脊椎・上肢) の評価

- 採血 (血算・生化・凝固) ・心電図・胸部X線

- 内服確認 : 抗凝固・抗血小板薬の有無

 手術時期・麻酔法に影響

見逃し・鑑別

- 不顕性骨折 (occult fracture) に注意

非転位型は歩行可能なこともあり見逃し注意。 X線陰性でも疑えばMRI (感度ほぼ100%)¹⁾

- 受傷は結果 「転倒の原因を精査」

- 骨盤・寛骨臼・大腿骨骨幹部骨折との鑑別

分類と治療方針

関節包内=頚部骨折 (血流障害で骨頭壊死・偽関節が起きやすい)、 包外=転子部骨折 (癒合しやすいが出血多い) に大別¹⁾

部位

分類

方針

頸部

Garden分類 I~IV

非転位 (I・II) /転位 (III・IV)

転子部

Evans/AO分類

安定型/不安定型 (後内側粉砕・逆斜)

早期手術を推奨

頚部・転子部いずれも早期手術 (受傷/入院後48時間以内) が推奨される。 48時間以内手術で死亡・合併症が低下¹⁾²⁾³⁾

参考 : 抗凝固薬内服例¹⁾

DOACは効果減弱を待つ 「watch and wait」 は非推奨。 過度な手術遅延は転帰を悪化。 ワルファリンはビタミンK等で是正。 手術時期・麻酔法は整形・麻酔科と協議。

Garden分類と治療方針

大腿骨近位部骨折
  • Stage Ⅰ、Ⅱ : 観血的整復固定術を主に選択.
  • Stage Ⅲ、Ⅳ : 人工骨頭置換術を主に選択.
  • 主圧縮骨梁の方向を確認する (図)
  • Stage Ⅲでは、 頸部後方のWeitbrecht支帯が保たれているため、 骨頭が内反および後方回旋するが、 StageⅣは完全断裂してるため逆に骨頭は回転しない.

周術期・二次骨折予防

VTE予防 : 早期離床+間欠的空気圧迫、 リスクに応じ抗凝固薬¹⁾

せん妄予防、 早期離床・リハ、 栄養・褥瘡管理 (多職種連携)¹⁾

二次骨折予防 (FLS) : 脆弱性骨折後に骨粗鬆症治療を開始 (ビスホスホネート/デノスマブ等)¹⁾

出典

1) 日本整形外科学会・日本骨折治療学会 監修. 大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021 (改訂第3版) . 南江堂

2) Timing matters in hip fracture surgery. PLoS One. 2012;7(10):e46175. PMID 23056256

3) Impact of timing of surgery in elderly hip fracture patients. Sci Rep. 2018 Sep 17;8(1):13933. PMID 30224765

4) Peripheral nerve blocks for hip fractures. Cochrane Database Syst Rev. 2017;5:CD001159. PMID 28494088

5) NICE Clinical Guideline CG124. Hip fracture: management. 2011

最終更新 : 2026年7月10日
監修医師 : 聖路加国際病院救急科 清水真人

大腿骨近位部骨折
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
大腿骨近位部骨折
大腿骨近位部骨折

大腿骨近位部骨折

proximal femoral fracture
2026年07月10日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

ポイント

❶高齢者転倒+股関節痛・荷重不能で疑い、 X線

❷X線陰性でも疑えばMRIで不顕性骨折を除外

❸頚部 (Garden) か転子部 (安定/不安定) で方針

❹疼痛は神経ブロック (FICB) を積極的に併用

❺48時間以内の早期手術を目標に整形外科へ

❻退院前に骨粗鬆症治療 (二次骨折予防) を開始

初期対応

はじめに

- 高齢者の転倒+股関節痛・荷重不能で疑う

- 患肢の短縮・外旋を確認する

- まず単純X線 (両股関節正面+患側側面)

- X線陰性でも疑えばMRI /困難ならCT¹⁾

- 早期に鎮痛 (後述の神経ブロックを積極的に)

- 早期手術 (≦48時間) を目標に整形コンサル¹⁾²⁾

初期評価とオーダー

- 受傷原因 (失神・不整脈・脳血管障害・低血糖)

- 他部位外傷 (頭部・脊椎・上肢) の評価

- 採血 (血算・生化・凝固) ・心電図・胸部X線

- 内服確認 : 抗凝固・抗血小板薬の有無

 手術時期・麻酔法に影響

見逃し・鑑別

- 不顕性骨折 (occult fracture) に注意

非転位型は歩行可能なこともあり見逃し注意。 X線陰性でも疑えばMRI (感度ほぼ100%)¹⁾

- 受傷は結果 「転倒の原因を精査」

- 骨盤・寛骨臼・大腿骨骨幹部骨折との鑑別

分類と治療方針

関節包内=頚部骨折 (血流障害で骨頭壊死・偽関節が起きやすい)、 包外=転子部骨折 (癒合しやすいが出血多い) に大別¹⁾

部位

分類

方針

頸部

Garden分類 I~IV

非転位 (I・II) /転位 (III・IV)

転子部

Evans/AO分類

安定型/不安定型 (後内側粉砕・逆斜)

早期手術を推奨

頚部・転子部いずれも早期手術 (受傷/入院後48時間以内) が推奨される。 48時間以内手術で死亡・合併症が低下¹⁾²⁾³⁾

参考 : 抗凝固薬内服例¹⁾

DOACは効果減弱を待つ 「watch and wait」 は非推奨。 過度な手術遅延は転帰を悪化。 ワルファリンはビタミンK等で是正。 手術時期・麻酔法は整形・麻酔科と協議。

Garden分類と治療方針

大腿骨近位部骨折
  • Stage Ⅰ、Ⅱ : 観血的整復固定術を主に選択.
  • Stage Ⅲ、Ⅳ : 人工骨頭置換術を主に選択.
  • 主圧縮骨梁の方向を確認する (図)
  • Stage Ⅲでは、 頸部後方のWeitbrecht支帯が保たれているため、 骨頭が内反および後方回旋するが、 StageⅣは完全断裂してるため逆に骨頭は回転しない.

周術期・二次骨折予防

VTE予防 : 早期離床+間欠的空気圧迫、 リスクに応じ抗凝固薬¹⁾

せん妄予防、 早期離床・リハ、 栄養・褥瘡管理 (多職種連携)¹⁾

二次骨折予防 (FLS) : 脆弱性骨折後に骨粗鬆症治療を開始 (ビスホスホネート/デノスマブ等)¹⁾

出典

1) 日本整形外科学会・日本骨折治療学会 監修. 大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021 (改訂第3版) . 南江堂

2) Timing matters in hip fracture surgery. PLoS One. 2012;7(10):e46175. PMID 23056256

3) Impact of timing of surgery in elderly hip fracture patients. Sci Rep. 2018 Sep 17;8(1):13933. PMID 30224765

4) Peripheral nerve blocks for hip fractures. Cochrane Database Syst Rev. 2017;5:CD001159. PMID 28494088

5) NICE Clinical Guideline CG124. Hip fracture: management. 2011

最終更新 : 2026年7月10日
監修医師 : 聖路加国際病院救急科 清水真人

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師

各領域の第一線の専門医が複数在籍

最新トピックに関する独自記事を配信中

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

ERマニュアル

当直や救急外来ですぐに役立つコンテンツを無料掲載!

監修は、SNSを用いた医学情報共有や医学教育を専門とする、聖路加国際病院救急部の清水真人先生。デジタルデバイスで読みやすいHOKUTOオリジナルの図表をご用意いたしました!