内容
監修医師

頭痛 > 髄膜炎

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません.  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

ポイント

  • 少しでも疑う場合、 腰椎穿刺抗菌薬
  • 項部硬直がなくても髄膜炎を否定不可!
  • 来院時は意識清明の場合もあり注意!
  • 髄液HSV-PCR1回陰性はHSV否定不可!
  • 神経症状があれば腰椎穿刺前に頭部CT
  • 抗菌薬量は通常の倍以上であり注意!

病態・疫学

  • 髄膜もしくはくも膜の炎症であり、発熱意識障害項部硬直などをきたす.
  • 致死的になりうるが、 項部硬直をきたさない例もあり、 常に疑わないと見逃す疾患.
  • 脳髄膜炎の場合は意識障害をきたすが、 髄膜炎のみの場合意識障害を伴わず、 経過中に脳髄膜炎に進展する場合もあり要注意.

病態によって以下に分けられる

  1. 急性細菌性
  2. ウイルス性
  3. 非感染性 (膠原病、薬物性、癌性など)
  4. 再発性 (HSV-2: モラレ髄膜炎)
  5. 亜急性、慢性

診断

腰椎穿刺と各種検査

  • 腰椎穿刺を行い、髄液一般検査、グラム染色、一般培養、抗酸菌培養提出
  • 髄液グラム染色は必須!細胞数0の細菌性髄膜炎もある.
  • 単純ヘルペスウイルスPCRを必要に応じて提出する (2回陰性を確認するまでヘルペスウイルス中枢感染は否定しない).
  • なお、 LPの前に、 以下に当てはまる場合頭部CTを撮像し頭蓋内占拠病変がないことを確認しておくのが無難. 頭蓋内圧が亢進している場合、 LP施行で脳ヘルニアを引き起こし致死的になりうる.

事前の頭部CT撮像を考慮する症例

Hasbun et al. NEJM 2001

  • 60歳以上
  • 免疫不全者
  • 中枢疾患の既往
  • 1週間以内の痙攣発作
  • 意識レベル低下
  • 従命不可
  • その他中枢神経病変が疑われる場合

髄膜炎の原因菌

  • 年代ごとに代表的な菌は決まっている
  • 「治療」の項目を参照

その他

  • 無脾症、小脾症、脾臓機能低下→肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、髄膜炎菌
  • 乳製品、酪農関連→リステリア症

治療

年代ごとの代表的起炎菌と治療

髄膜炎・脳炎

抗菌薬量が通常よりも多いので注意. 市中発生の髄膜炎では、 それぞれの抗菌薬は以下のように対応している

  1. 肺炎球菌:ABPC、CTRX、VCM
  2. インフルエンザ桿菌:CTRX、ABPC
  3. 髄膜炎菌:CTRX
  4. リステリア菌:ABPC

髄液培養で各種菌が陰性の場合、 バンコマイシンアンピシリンセフトリアキソン順次中止していく.

その他

  • アシクロビルは意識障害など中枢神経症状を合併している場合に投与検討.
  • アシクロビルは髄液のHSV-PCR2回陰性であることを確認するまで投与を継続.
  • クリプトコッカス髄膜炎(C.neoformans)が否定できないHIV感染者などでは、 髄液墨汁染色 (感度低い)、 クリプトコッカス抗原検査を行う (免疫正常でも罹患の可能性あり).

①成人髄膜炎、腎障害なし、意識障害あり

②脳外科手術後の2次性細菌性髄膜炎

  • ブドウ球菌 (MSSA、MRSA)、 AmpC過剰産生菌、 ESBL産生菌、 腸球菌、 緑膿菌、 院内グラム陰性菌などを考慮.
  • MEPM2g 8時間毎 + VCM1g 12時間毎

関連コンテンツ

最終更新:2022年2月28日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人
髄膜炎・脳炎
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ポイント

  • 少しでも疑う場合、 腰椎穿刺抗菌薬
  • 項部硬直がなくても髄膜炎を否定不可!
  • 来院時は意識清明の場合もあり注意!
  • 髄液HSV-PCR1回陰性はHSV否定不可!
  • 神経症状があれば腰椎穿刺前に頭部CT
  • 抗菌薬量は通常の倍以上であり注意!

病態・疫学

  • 髄膜もしくはくも膜の炎症であり、発熱意識障害項部硬直などをきたす.
  • 致死的になりうるが、 項部硬直をきたさない例もあり、 常に疑わないと見逃す疾患.
  • 脳髄膜炎の場合は意識障害をきたすが、 髄膜炎のみの場合意識障害を伴わず、 経過中に脳髄膜炎に進展する場合もあり要注意.

病態によって以下に分けられる

  1. 急性細菌性
  2. ウイルス性
  3. 非感染性 (膠原病、薬物性、癌性など)
  4. 再発性 (HSV-2: モラレ髄膜炎)
  5. 亜急性、慢性

診断

腰椎穿刺と各種検査

  • 腰椎穿刺を行い、髄液一般検査、グラム染色、一般培養、抗酸菌培養提出
  • 髄液グラム染色は必須!細胞数0の細菌性髄膜炎もある.
  • 単純ヘルペスウイルスPCRを必要に応じて提出する (2回陰性を確認するまでヘルペスウイルス中枢感染は否定しない).
  • なお、 LPの前に、 以下に当てはまる場合頭部CTを撮像し頭蓋内占拠病変がないことを確認しておくのが無難. 頭蓋内圧が亢進している場合、 LP施行で脳ヘルニアを引き起こし致死的になりうる.

事前の頭部CT撮像を考慮する症例

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  • 60歳以上
  • 免疫不全者
  • 中枢疾患の既往
  • 1週間以内の痙攣発作
  • 意識レベル低下
  • 従命不可
  • その他中枢神経病変が疑われる場合

髄膜炎の原因菌

  • 年代ごとに代表的な菌は決まっている
  • 「治療」の項目を参照

その他

  • 無脾症、小脾症、脾臓機能低下→肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、髄膜炎菌
  • 乳製品、酪農関連→リステリア症

治療

年代ごとの代表的起炎菌と治療

髄膜炎・脳炎

抗菌薬量が通常よりも多いので注意. 市中発生の髄膜炎では、 それぞれの抗菌薬は以下のように対応している

  1. 肺炎球菌:ABPC、CTRX、VCM
  2. インフルエンザ桿菌:CTRX、ABPC
  3. 髄膜炎菌:CTRX
  4. リステリア菌:ABPC

髄液培養で各種菌が陰性の場合、 バンコマイシンアンピシリンセフトリアキソン順次中止していく.

その他

  • アシクロビルは意識障害など中枢神経症状を合併している場合に投与検討.
  • アシクロビルは髄液のHSV-PCR2回陰性であることを確認するまで投与を継続.
  • クリプトコッカス髄膜炎(C.neoformans)が否定できないHIV感染者などでは、 髄液墨汁染色 (感度低い)、 クリプトコッカス抗原検査を行う (免疫正常でも罹患の可能性あり).

①成人髄膜炎、腎障害なし、意識障害あり

②脳外科手術後の2次性細菌性髄膜炎

  • ブドウ球菌 (MSSA、MRSA)、 AmpC過剰産生菌、 ESBL産生菌、 腸球菌、 緑膿菌、 院内グラム陰性菌などを考慮.
  • MEPM2g 8時間毎 + VCM1g 12時間毎

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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