内容
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません.  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

病態・疫学

消化管出血の定義

トライツ靱帯を境界として出血源が…

⬆ 口側であれば 「上部消化管出血」

⬇ 肛門側であれば 「下部消化管出血」

上部消化管出血を示唆する所見

  • 下血(黒色便やタール便)
  • 経鼻胃管から血性orコーヒー残渣様排液
  • BUN/クレアチニン比≧30など

下部消化管出血を示唆する所見

  • 顕微鏡的血便(便潜血検査陽性)
  • 血便(血塊がついた便や鮮血便)

診断における注意点

  • 小腸や上行結腸からの出血でも、 経過時間によっては下血・黒色便として観察される
  • 上部消化管からの大量出血の場合にも、 10%程度で血便・鮮血便を認める¹⁾
  • また、血便や吐血がなくても、 ふらつきや嘔気、 息切れ、 めまい、 失神、 動悸などの貧血を示唆する症候の場合には鑑別に挙げることが重要.

診断

問診と身体診察|①静脈瘤性

  • 静脈瘤性か、非静脈瘤性かで治療方針が変わってくるため患者背景は重要.
  • 静脈瘤性を疑う病歴として、 肝硬変静脈瘤の指摘消化管出血歴多量飲酒歴など.
  • 既往歴の聴取ができない場合には、 黄疸や脾腫、 くも状血管拡張、 腹水、 ベッドサイドエコーによる肝表面の凹凸や辺縁の鈍化なども有用な情報となる.

問診と身体診察|②非静脈瘤性

  • 非静脈瘤性の原因として最も多いのは、 出血性胃・十二指腸潰瘍である.
  • ヘリコバクターピロリ菌に起因するものが低下傾向にある一方、 NSAIDs抗血小板薬抗凝固薬に起因するものが近年増加²⁾.
  • 常用薬以外で、 直近に内服した市販薬や湿布薬の追加聴取も行う.

治療

ABCの確保|緊急気道確保を検討

  • ショックの徴候バイタル測定をすぐ行う.
  • 常に急変のリスクを考え、モニタリングする.
  • ショック、 意識障害、 大量吐血は、緊急気道確保の適応となる (躊躇しない).
  • 心疾患の既往があり、 β-blockerを内服している場合は頻脈がマスクされることがある.
  • 末梢静脈路を2本確保し大量輸液に備える.

輸血の目標|Hb≧7g/dl、Plt≧5万/μg

  • Hb値は急性出血を反映しないことがある.
  • 活動性出血があり、 初期輸液に反応しない場合は、 Hb値が正常でも輸血を考慮する.
  • 循環動態が安定している場合、Hb値の目標は7.0g/dL、 心疾患既往があれば8.0g/dL.
  • 血小板も5万/μg以上を目標に輸血が推奨³⁾.

内視鏡的治療のタイミング

静脈瘤性を疑った場合

非静脈瘤性を疑った場合

  • 可能であれば、来院24時間以内の検査推奨⁴⁾
  • ショックや、 鮮血様の吐血・血便があれば、 緊急内視鏡を検討すべきである.
  • ただし、 それ以外の患者に関してはまだ明確なコンセンサスはなく、 各施設の体制や方針による点が大きい.
  • 再出血リスク評価として、 GBS (Glasgow-Blatchford score) が知られている.
  • 入院後30日死亡予測としてABCスコアが知られている.
内視鏡で止血が得られない場合に、 SBチューブ挿入やIVR、 手術を考慮することもあるため、 事前にそれぞれの資材の場所や動線を確認しておくと良い.

造影CT検査について

  • 出血点や活動性出血の有無、併存疾患、血管走行、静脈瘤など事前情報を得られる.
  • バイタルサイン、CT撮影までにかかる時間、内視鏡が開始できる時間、IVRや手術移行への可能性など、総合的に判断し、 時には気管挿管も含めた万全の管理下で撮影すること.

関連コンテンツ

🚑 ERマニュアル|下部消化管出血

🔢 Glasgow‐Blatchford スコア

🔢 ABCスコア

📖 消化性潰瘍診療ガイドライン2015

📖 肝硬変診療ガイドライン2015

📖 非静脈瘤性上部消化管出血における

  内視鏡診療ガイドライン


最終更新:2022年2月12日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人
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聖路加国際病院 救急部 清水真人先生
聖路加国際病院
救急部 清水真人先生

2013年慶應義塾大学医学部を卒業。初期臨床研修修了後、2015年聖路加国際病院救急部入局。就任間もなく聖路加ベストティーチャー賞を連続受賞。救急・集中治療、 医学教育を専門とする他、Webツールの医療現場での利用に精通し、 複数の雑誌で連載を行う。

聖路加国際病院 救急部 清水真人先生
聖路加国際病院
救急部 清水真人先生

2013年慶應義塾大学医学部を卒業。初期臨床研修修了後、2015年聖路加国際病院救急部入局。就任間もなく聖路加ベストティーチャー賞を連続受賞。救急・集中治療、 医学教育を専門とする他、Webツールの医療現場での利用に精通し、 複数の雑誌で連載を行う。

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病態・疫学

消化管出血の定義

トライツ靱帯を境界として出血源が…

⬆ 口側であれば 「上部消化管出血」

⬇ 肛門側であれば 「下部消化管出血」

上部消化管出血を示唆する所見

  • 下血(黒色便やタール便)
  • 経鼻胃管から血性orコーヒー残渣様排液
  • BUN/クレアチニン比≧30など

下部消化管出血を示唆する所見

  • 顕微鏡的血便(便潜血検査陽性)
  • 血便(血塊がついた便や鮮血便)

診断における注意点

  • 小腸や上行結腸からの出血でも、 経過時間によっては下血・黒色便として観察される
  • 上部消化管からの大量出血の場合にも、 10%程度で血便・鮮血便を認める¹⁾
  • また、血便や吐血がなくても、 ふらつきや嘔気、 息切れ、 めまい、 失神、 動悸などの貧血を示唆する症候の場合には鑑別に挙げることが重要.

診断

問診と身体診察|①静脈瘤性

  • 静脈瘤性か、非静脈瘤性かで治療方針が変わってくるため患者背景は重要.
  • 静脈瘤性を疑う病歴として、 肝硬変静脈瘤の指摘消化管出血歴多量飲酒歴など.
  • 既往歴の聴取ができない場合には、 黄疸や脾腫、 くも状血管拡張、 腹水、 ベッドサイドエコーによる肝表面の凹凸や辺縁の鈍化なども有用な情報となる.

問診と身体診察|②非静脈瘤性

  • 非静脈瘤性の原因として最も多いのは、 出血性胃・十二指腸潰瘍である.
  • ヘリコバクターピロリ菌に起因するものが低下傾向にある一方、 NSAIDs抗血小板薬抗凝固薬に起因するものが近年増加²⁾.
  • 常用薬以外で、 直近に内服した市販薬や湿布薬の追加聴取も行う.

治療

ABCの確保|緊急気道確保を検討

  • ショックの徴候バイタル測定をすぐ行う.
  • 常に急変のリスクを考え、モニタリングする.
  • ショック、 意識障害、 大量吐血は、緊急気道確保の適応となる (躊躇しない).
  • 心疾患の既往があり、 β-blockerを内服している場合は頻脈がマスクされることがある.
  • 末梢静脈路を2本確保し大量輸液に備える.

輸血の目標|Hb≧7g/dl、Plt≧5万/μg

  • Hb値は急性出血を反映しないことがある.
  • 活動性出血があり、 初期輸液に反応しない場合は、 Hb値が正常でも輸血を考慮する.
  • 循環動態が安定している場合、Hb値の目標は7.0g/dL、 心疾患既往があれば8.0g/dL.
  • 血小板も5万/μg以上を目標に輸血が推奨³⁾.

内視鏡的治療のタイミング

静脈瘤性を疑った場合

非静脈瘤性を疑った場合

  • 可能であれば、来院24時間以内の検査推奨⁴⁾
  • ショックや、 鮮血様の吐血・血便があれば、 緊急内視鏡を検討すべきである.
  • ただし、 それ以外の患者に関してはまだ明確なコンセンサスはなく、 各施設の体制や方針による点が大きい.
  • 再出血リスク評価として、 GBS (Glasgow-Blatchford score) が知られている.
  • 入院後30日死亡予測としてABCスコアが知られている.
内視鏡で止血が得られない場合に、 SBチューブ挿入やIVR、 手術を考慮することもあるため、 事前にそれぞれの資材の場所や動線を確認しておくと良い.

造影CT検査について

  • 出血点や活動性出血の有無、併存疾患、血管走行、静脈瘤など事前情報を得られる.
  • バイタルサイン、CT撮影までにかかる時間、内視鏡が開始できる時間、IVRや手術移行への可能性など、総合的に判断し、 時には気管挿管も含めた万全の管理下で撮影すること.

関連コンテンツ

🚑 ERマニュアル|下部消化管出血

🔢 Glasgow‐Blatchford スコア

🔢 ABCスコア

📖 消化性潰瘍診療ガイドライン2015

📖 肝硬変診療ガイドライン2015

📖 非静脈瘤性上部消化管出血における

  内視鏡診療ガイドライン


最終更新:2022年2月12日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人
こちらの記事の監修医師
聖路加国際病院 救急部 清水真人先生
聖路加国際病院
救急部 清水真人先生

2013年慶應義塾大学医学部を卒業。初期臨床研修修了後、2015年聖路加国際病院救急部入局。就任間もなく聖路加ベストティーチャー賞を連続受賞。救急・集中治療、 医学教育を専門とする他、Webツールの医療現場での利用に精通し、 複数の雑誌で連載を行う。

聖路加国際病院 救急部 清水真人先生
聖路加国際病院
救急部 清水真人先生

2013年慶應義塾大学医学部を卒業。初期臨床研修修了後、2015年聖路加国際病院救急部入局。就任間もなく聖路加ベストティーチャー賞を連続受賞。救急・集中治療、 医学教育を専門とする他、Webツールの医療現場での利用に精通し、 複数の雑誌で連載を行う。

聖路加国際病院
こちらの記事の監修医師
聖路加国際病院 救急部 清水真人先生
聖路加国際病院
救急部 清水真人先生

聖路加国際病院救急部 医員

日本救急医学会 専門医

聖路加ベストティーチャー賞受賞

聖路加国際病院 救急部 清水真人先生
聖路加国際病院
救急部 清水真人先生

2013年慶應義塾大学医学部を卒業。初期臨床研修修了後、2015年聖路加国際病院救急部入局。就任間もなく聖路加ベストティーチャー賞を連続受賞。救急・集中治療、 医学教育を専門とする他、Webツールの医療現場での利用に精通し、 複数の雑誌で連載を行う。

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