内容
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません.  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください. 

ポイント

- 壊死性筋膜炎を必ず否定する

- 蜂窩織炎 = CEZ、CTRX だけではない

- 黄色ブドウ球菌、 連鎖球菌感染が一般的

- ただし、免疫不全者では非典型的な菌も

- 血液培養は案外陽性になる

病態

「蜂窩織炎 (cellulitis)」とは、 表皮、 真皮を超え、 皮下組織まで感染が及んだ状態
一方、 真皮に留まるものは 「丹毒 (erysipelas)」と呼ばれる

原因菌

連鎖球菌、 黄色ブドウ球菌が主だが, 免疫不全者や特定の状況では非典型的な菌も原因となる

- 免疫不全者 : 腸内細菌, 緑膿菌など

- ネコ咬傷 : Pasteurella multocida

- イヌ咬傷 : Capnocytophaga canimorsus

- 熱帯魚水槽 : Mycobacterium marinum

- 免疫不全で海水暴露 : Vibrio vulnificus

- 免疫不全で淡水暴露 : Aeromonas hydrophila

診断

まず壊死性筋膜炎、 壊死性脂肪織炎を否定。 以下の場合、外科コンサルトと広域抗菌薬。

危険な所見

- エコーで筋膜上に4mmを超える液体貯留

- 不自然に強い疼痛

- 数時間単位での進行

- 握雪感がある

蜂窩織炎の一般的所見

- 皮膚の発赤、 腫脹、 疼痛、 熱感を認める

- 初期は発赤を欠き、 熱感、 疼痛のみの場合も

悪寒戦慄時は血液培養2セット採取。 皮下膿瘍合併例はドレナージとグラム染色で菌体確認

治療

MSSA、連鎖球菌に対して

- CEZ 2g 8時間ごと または

CTRX 1-2g 24時間ごと

S.pyogenes (A群β溶連菌) を疑う場合

- CLDM 600mg 8時間ごとを追加

ショックや壊死性筋膜炎疑い

- MEPM 1g 8時間ごとVCM 1g 12時間ごと

外来治療例

- L-ケフレックス1日2000mg分2 または

ST合剤2錠分2を治るまで内服

その他の治療

- 浮腫改善のため安静時の下肢挙上を指示

- 掻痒感が出現するが、 掻いたりタオルで洗わないように指導

鑑別疾患

- 関節炎 (偽痛風、痛風、化膿性関節炎)

- 深部静脈血栓症

- 再発性多発軟骨炎

- 接触性皮膚炎、薬疹 (TEN、SJS)、 Sweet病

最終更新 : 2024年3月24日
監修医師 : 聖路加国際病院救急部 清水真人

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧

蜂窩織炎

Cellulitis
2021年10月26日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません.  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください. 

ポイント

- 壊死性筋膜炎を必ず否定する

- 蜂窩織炎 = CEZ、CTRX だけではない

- 黄色ブドウ球菌、 連鎖球菌感染が一般的

- ただし、免疫不全者では非典型的な菌も

- 血液培養は案外陽性になる

病態

「蜂窩織炎 (cellulitis)」とは、 表皮、 真皮を超え、 皮下組織まで感染が及んだ状態
一方、 真皮に留まるものは 「丹毒 (erysipelas)」と呼ばれる

原因菌

連鎖球菌、 黄色ブドウ球菌が主だが, 免疫不全者や特定の状況では非典型的な菌も原因となる

- 免疫不全者 : 腸内細菌, 緑膿菌など

- ネコ咬傷 : Pasteurella multocida

- イヌ咬傷 : Capnocytophaga canimorsus

- 熱帯魚水槽 : Mycobacterium marinum

- 免疫不全で海水暴露 : Vibrio vulnificus

- 免疫不全で淡水暴露 : Aeromonas hydrophila

診断

まず壊死性筋膜炎、 壊死性脂肪織炎を否定。 以下の場合、外科コンサルトと広域抗菌薬。

危険な所見

- エコーで筋膜上に4mmを超える液体貯留

- 不自然に強い疼痛

- 数時間単位での進行

- 握雪感がある

蜂窩織炎の一般的所見

- 皮膚の発赤、 腫脹、 疼痛、 熱感を認める

- 初期は発赤を欠き、 熱感、 疼痛のみの場合も

悪寒戦慄時は血液培養2セット採取。 皮下膿瘍合併例はドレナージとグラム染色で菌体確認

治療

MSSA、連鎖球菌に対して

- CEZ 2g 8時間ごと または

CTRX 1-2g 24時間ごと

S.pyogenes (A群β溶連菌) を疑う場合

- CLDM 600mg 8時間ごとを追加

ショックや壊死性筋膜炎疑い

- MEPM 1g 8時間ごとVCM 1g 12時間ごと

外来治療例

- L-ケフレックス1日2000mg分2 または

ST合剤2錠分2を治るまで内服

その他の治療

- 浮腫改善のため安静時の下肢挙上を指示

- 掻痒感が出現するが、 掻いたりタオルで洗わないように指導

鑑別疾患

- 関節炎 (偽痛風、痛風、化膿性関節炎)

- 深部静脈血栓症

- 再発性多発軟骨炎

- 接触性皮膚炎、薬疹 (TEN、SJS)、 Sweet病

最終更新 : 2024年3月24日
監修医師 : 聖路加国際病院救急部 清水真人

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師

各領域の第一線の専門医が複数在籍

最新トピックに関する独自記事を配信中

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

ERマニュアル

当直や救急外来ですぐに役立つコンテンツを無料掲載!

監修は、SNSを用いた医学情報共有や医学教育を専門とする、聖路加国際病院救急部の清水真人先生。デジタルデバイスで読みやすいHOKUTOオリジナルの図表をご用意いたしました!