内容
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません.  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

病態・疫学

消化管出血の定義

トライツ靱帯を境界として出血源が…

⬆ 口側であれば 「上部消化管出血」

⬇ 肛門側であれば 「下部消化管出血」

上部消化管出血を示唆する所見

  • 下血(黒色便やタール便)
  • 経鼻胃管から血性orコーヒー残渣様排液
  • BUN/クレアチニン比≧30など

下部消化管出血を示唆する所見

  • 顕微鏡的血便(便潜血検査陽性)
  • 血便(血塊がついた便や鮮血便)

診断における注意点

  • 小腸や上行結腸からの出血でも、経過時間によっては下血・黒色便として観察される
  • 上部消化管からの大量出血の場合にも、10%程度で血便・鮮血便を認める¹⁾
  • また、血便や吐血がなくても、ふらつきや嘔気、息切れ、めまい、失神、動悸などの貧血を示唆する症候の場合には鑑別に挙げることが重要

血便の鑑別疾患¹⁾

  • 憩室出血(5~42%)
  • 虚血性腸炎(6~18%)
  • 肛門直腸:痔核、裂肛、直腸潰瘍(6~16%)
  • 新生物:ポリープや癌(3~11%)
  • 血管形成異常(0~3%)
  • ポリープ切除後(0~13%)
  • 炎症性腸疾患(2~4%)
  • 放射線大腸炎(1~3%)
  • 非特異的大腸炎(3~29%)
  • 小腸/上部消化管出血(3~13%)
  • その他の原因(1~9%)
  • 原因不明(6~23%)
全体として憩室出血が最も多い. 50歳未満の患者では痔核が、65歳以上では血管異形成が主な要因である.

診断

1. 重症度・リスクの評価

🔢 NOBLADSスコア

  • 重症度リスクスコア →計算はこちら
  • 2点以下は低リスク、 4点以上は高リスク⁴⁾
  • 高リスク患者では、最終血便から24時間以内の内視鏡検査の有用性を示す報告が多い.

🔢 Oaklandスコア

  • 帰宅判断スコア →計算はこちら
  • 8点以下は低リスク、 9点以上は高リスク⁵⁾
  • 低リスク患者では、 安全な外来フォローが可能かもしれない(感度98.4%、特異度16%)

🔢 ABCスコア

  • 消化管出血患者の入院後30日以内の死亡予測スコア →計算はこちら
  • 下部消化管出血だけでなく、上部消化管出血の評価も可能⁶⁾.
  • 2021年に報告されたスコアであり今後のvalidationに期待.

2. 出血部位と原因|造影CT検査

  • 最終血便から24時間以内²⁾や、 0.3~0.5mL/分の出血³⁾は、 血管外漏出の検出率が高い.
  • ただし、被曝や造影剤アレルギーの点からもルーチンでの撮影は推奨されない.
  • 憩室出血歴や内視鏡歴がなければ、内視鏡前に補助的に造影CTを選択しても良い.

2. 出血部位と原因|内視鏡検査

  • 上部消化管出血と比較して、死亡率は低く、多くが自然止血される.
  • しかし、重度血便患者の10~15%が上部消化管出血源を持っているため、 ショック患者やBUN/Creの開大が診られる場合は上部消化管内視鏡検査が優先されることがある.
  • 大腸憩室出血における出血点同定率は11~51%と報告されている.
  • 造影CT有無、 内視鏡検査タイミング、前処置有無などにより幅がある.

治療

1. 内視鏡検査

  • 急性下部消化管出血の診断能は45~90%.
  • 憩室出血に対しては、主にクリップ法を選択.
  • バイタル不安定内視鏡的止血が困難な場合はアンギオグラフィーや外科的止血術へ移行する.

2. アンギオグラフィー / IVR

  • 0.5~1.0mL/分の出血がないと病変を同定できないため、 事前に造影CT/CTアンギオグラフィー核医学検査を推奨.
  • 病変同定時にそのまま治療へ移行でき、 前処置などの準備時間を必要としない.
  • 上部~下部消化管まで1度に評価できるのも良い点である.

3. 外科的治療

  • リスクが高い症例で、 他の止血処置がうまくいかない場合に考慮.
  • 術前に出血部位の同定が望ましい.

関連コンテンツ

🚑 ERマニュアル|上部消化管出血

🔢 NOBLADSスコア

🔢 Oakland スコア

🔢 ABCスコア

📘 大腸憩室症(憩室出血/炎) ガイドライン

参考文献

  1. Dig Dis Sci. 1995;40(7):1520. 
  2. Gastroenterol Endosc. 2018:60:1558-71
  3. Radiology. 2003 Sep;228(3):743-52. 
  4. Clin Gastroenterol Hepatol. 2016 Nov;14(11):1562-1570.e2.
  5. JAMA Network Open. 2020;3(7):e209630. 
  6. Gut. 2021 Apr;70(4):707-716.

最終更新:2021年2月13日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人
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消化管出血の定義

トライツ靱帯を境界として出血源が…

⬆ 口側であれば 「上部消化管出血」

⬇ 肛門側であれば 「下部消化管出血」

上部消化管出血を示唆する所見

  • 下血(黒色便やタール便)
  • 経鼻胃管から血性orコーヒー残渣様排液
  • BUN/クレアチニン比≧30など

下部消化管出血を示唆する所見

  • 顕微鏡的血便(便潜血検査陽性)
  • 血便(血塊がついた便や鮮血便)

診断における注意点

  • 小腸や上行結腸からの出血でも、経過時間によっては下血・黒色便として観察される
  • 上部消化管からの大量出血の場合にも、10%程度で血便・鮮血便を認める¹⁾
  • また、血便や吐血がなくても、ふらつきや嘔気、息切れ、めまい、失神、動悸などの貧血を示唆する症候の場合には鑑別に挙げることが重要

血便の鑑別疾患¹⁾

  • 憩室出血(5~42%)
  • 虚血性腸炎(6~18%)
  • 肛門直腸:痔核、裂肛、直腸潰瘍(6~16%)
  • 新生物:ポリープや癌(3~11%)
  • 血管形成異常(0~3%)
  • ポリープ切除後(0~13%)
  • 炎症性腸疾患(2~4%)
  • 放射線大腸炎(1~3%)
  • 非特異的大腸炎(3~29%)
  • 小腸/上部消化管出血(3~13%)
  • その他の原因(1~9%)
  • 原因不明(6~23%)
全体として憩室出血が最も多い. 50歳未満の患者では痔核が、65歳以上では血管異形成が主な要因である.

診断

1. 重症度・リスクの評価

🔢 NOBLADSスコア

  • 重症度リスクスコア →計算はこちら
  • 2点以下は低リスク、 4点以上は高リスク⁴⁾
  • 高リスク患者では、最終血便から24時間以内の内視鏡検査の有用性を示す報告が多い.

🔢 Oaklandスコア

  • 帰宅判断スコア →計算はこちら
  • 8点以下は低リスク、 9点以上は高リスク⁵⁾
  • 低リスク患者では、 安全な外来フォローが可能かもしれない(感度98.4%、特異度16%)

🔢 ABCスコア

  • 消化管出血患者の入院後30日以内の死亡予測スコア →計算はこちら
  • 下部消化管出血だけでなく、上部消化管出血の評価も可能⁶⁾.
  • 2021年に報告されたスコアであり今後のvalidationに期待.

2. 出血部位と原因|造影CT検査

  • 最終血便から24時間以内²⁾や、 0.3~0.5mL/分の出血³⁾は、 血管外漏出の検出率が高い.
  • ただし、被曝や造影剤アレルギーの点からもルーチンでの撮影は推奨されない.
  • 憩室出血歴や内視鏡歴がなければ、内視鏡前に補助的に造影CTを選択しても良い.

2. 出血部位と原因|内視鏡検査

  • 上部消化管出血と比較して、死亡率は低く、多くが自然止血される.
  • しかし、重度血便患者の10~15%が上部消化管出血源を持っているため、 ショック患者やBUN/Creの開大が診られる場合は上部消化管内視鏡検査が優先されることがある.
  • 大腸憩室出血における出血点同定率は11~51%と報告されている.
  • 造影CT有無、 内視鏡検査タイミング、前処置有無などにより幅がある.

治療

1. 内視鏡検査

  • 急性下部消化管出血の診断能は45~90%.
  • 憩室出血に対しては、主にクリップ法を選択.
  • バイタル不安定内視鏡的止血が困難な場合はアンギオグラフィーや外科的止血術へ移行する.

2. アンギオグラフィー / IVR

  • 0.5~1.0mL/分の出血がないと病変を同定できないため、 事前に造影CT/CTアンギオグラフィー核医学検査を推奨.
  • 病変同定時にそのまま治療へ移行でき、 前処置などの準備時間を必要としない.
  • 上部~下部消化管まで1度に評価できるのも良い点である.

3. 外科的治療

  • リスクが高い症例で、 他の止血処置がうまくいかない場合に考慮.
  • 術前に出血部位の同定が望ましい.

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🔢 NOBLADSスコア

🔢 Oakland スコア

🔢 ABCスコア

📘 大腸憩室症(憩室出血/炎) ガイドライン

参考文献

  1. Dig Dis Sci. 1995;40(7):1520. 
  2. Gastroenterol Endosc. 2018:60:1558-71
  3. Radiology. 2003 Sep;228(3):743-52. 
  4. Clin Gastroenterol Hepatol. 2016 Nov;14(11):1562-1570.e2.
  5. JAMA Network Open. 2020;3(7):e209630. 
  6. Gut. 2021 Apr;70(4):707-716.

最終更新:2021年2月13日
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