内容
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

適応と禁忌

「適応」は下記疾患を疑った時¹⁾

NEJM. 2006 Sep 28;355(13):e12.より

✅ 感染症:髄膜炎、 脳炎

✅ 炎症疾患:MS、 GBS

✅ 腫瘍、 代謝産物の評価

✅ ミエログラフィー など

「禁忌」は下記を合併している時²⁾

Reg Anesth Pain Med. 2010;35:64-101より

✅ 脳圧亢進

✅ 皮膚感染

✅ 硬膜外膿瘍

凝固異常は絶対禁忌となるのか

凝固異常を伴う際には注意を要する。 ただし、明確なラインはない。 例えば、 UpToDate®では血小板<5−8万、INR>1.4と記載されている³⁾。

UpToDate® Lumbar puncture: Technique, indications, contraindications, and complications in adults

穿刺方法

穿刺前の体勢

背中をできるだけ丸めて膝を抱え込む。

難しければ看護師など介助依頼

背中をベッドに垂直に立てる。

この際、 術者の目線が穿刺部位と同じになるまでしっかりとベッドを上げても良い。

穿刺部位の決定

L3/4、 L4/5、 L5/S1いずれの高さも可

脊髄はL1まで、以後馬尾が髄液中に浮遊

Jacoby lineを指標に穿刺部位を決定する

左右腸骨稜の最高点を結んだ線=L4棘突起

穿刺角度と深度の決定

頭側に約15度向けた角度で刺入する

患者の臍もしくは臍上めがけて刺入
腰椎穿刺

女性2~2.5cm、 男性2.5~3.5cm程度で到達

一般的に2cm弱(1.7cm程度)までは安全に穿刺可能とされる。 なお、 姿勢が不十分だと+1cm程度遠くなる。
ワンポイント:骨にあたるようなら、 まずは同じ刺入点より、 矢状面方向に1度ずつ針先の向きを変えて再挿入する。  必ず皮膚直下まで針を抜いてから向きを変えないと、針が曲ってしまうので注意。 

髄液漏出の確認

・内筒を抜いて髄液の漏出がないか、 1mm進めるごとに確認する。

ワンポイント:3cm以上挿入して骨にあたるようなら、 針が上向きか下向きになり、 脊柱管を避けて椎体後面にあたっている可能性が高い。 今度は同じ刺入部から、横断面に1度ずつ針先の向きを変えて再挿入する。 上記の方法でも骨にあたる場合は、 穿刺部位を1mm程度ずらす。それでもだめなら1椎体ずらす。 刺入椎体間を変更してもだめなら「傍正中法」を試すか、 検者を変更する。

腰椎穿刺の合併症

 ・ 頭痛 (PLPHA)

 ・ 硬膜下血腫 

  *脊髄麻酔では1/220000

 ・ 神経根痛

 ・ 感染症

 ・ 脳ヘルニア

腰椎穿刺後頭痛について

PLPHAとは¹⁾

Post-lumbar puncture headacheの略で、 腰椎穿刺後に発症する頭痛のことをPLPHAと呼ぶことがある。 10~30%にみられ、12~24時間後に発症することが多い。 また、 立位で増悪し、臥位で寛解するのが特徴である。

その対処法は?

予防法としては以下が挙げられる。 

  • なるべく細い針を使用 (21~23G)
  • 無理な力をいれないようリラックス
  • 穿刺針抜去時には必ず内筒を挿入 (頭痛のリスクが1/3になったとの報告)⁴⁾

なお、 穿刺後安静に強い根拠はない⁵⁾

関連コンテンツ

🚑 ERマニュアル|頭痛

🚑 ERマニュアル|髄膜炎

🚑 ERマニュアル|くも膜下出血

出典

1) NEJM. 2006 Sep 28;355(13):e12.

2) Reg Anesth Pain Med. 2010;35:64-101

3) UpToDate® Lumbar puncture: Technique, indications, contraindications, and complications in adults (last updated: Oct 07, 2021)

4) NEJM. 1997 Apr 17;336(16):1190.

5) JAMA. 2006 Oct 25;296(16):2012-22.

最終更新:2024年3月23日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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腰椎穿刺

Lumbar puncture
2021年10月26日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

適応と禁忌

「適応」は下記疾患を疑った時¹⁾

NEJM. 2006 Sep 28;355(13):e12.より

✅ 感染症:髄膜炎、 脳炎

✅ 炎症疾患:MS、 GBS

✅ 腫瘍、 代謝産物の評価

✅ ミエログラフィー など

「禁忌」は下記を合併している時²⁾

Reg Anesth Pain Med. 2010;35:64-101より

✅ 脳圧亢進

✅ 皮膚感染

✅ 硬膜外膿瘍

凝固異常は絶対禁忌となるのか

凝固異常を伴う際には注意を要する。 ただし、明確なラインはない。 例えば、 UpToDate®では血小板<5−8万、INR>1.4と記載されている³⁾。

UpToDate® Lumbar puncture: Technique, indications, contraindications, and complications in adults

穿刺方法

穿刺前の体勢

背中をできるだけ丸めて膝を抱え込む。

難しければ看護師など介助依頼

背中をベッドに垂直に立てる。

この際、 術者の目線が穿刺部位と同じになるまでしっかりとベッドを上げても良い。

穿刺部位の決定

L3/4、 L4/5、 L5/S1いずれの高さも可

脊髄はL1まで、以後馬尾が髄液中に浮遊

Jacoby lineを指標に穿刺部位を決定する

左右腸骨稜の最高点を結んだ線=L4棘突起

穿刺角度と深度の決定

頭側に約15度向けた角度で刺入する

患者の臍もしくは臍上めがけて刺入
腰椎穿刺

女性2~2.5cm、 男性2.5~3.5cm程度で到達

一般的に2cm弱(1.7cm程度)までは安全に穿刺可能とされる。 なお、 姿勢が不十分だと+1cm程度遠くなる。
ワンポイント:骨にあたるようなら、 まずは同じ刺入点より、 矢状面方向に1度ずつ針先の向きを変えて再挿入する。  必ず皮膚直下まで針を抜いてから向きを変えないと、針が曲ってしまうので注意。 

髄液漏出の確認

・内筒を抜いて髄液の漏出がないか、 1mm進めるごとに確認する。

ワンポイント:3cm以上挿入して骨にあたるようなら、 針が上向きか下向きになり、 脊柱管を避けて椎体後面にあたっている可能性が高い。 今度は同じ刺入部から、横断面に1度ずつ針先の向きを変えて再挿入する。 上記の方法でも骨にあたる場合は、 穿刺部位を1mm程度ずらす。それでもだめなら1椎体ずらす。 刺入椎体間を変更してもだめなら「傍正中法」を試すか、 検者を変更する。

腰椎穿刺の合併症

 ・ 頭痛 (PLPHA)

 ・ 硬膜下血腫 

  *脊髄麻酔では1/220000

 ・ 神経根痛

 ・ 感染症

 ・ 脳ヘルニア

腰椎穿刺後頭痛について

PLPHAとは¹⁾

Post-lumbar puncture headacheの略で、 腰椎穿刺後に発症する頭痛のことをPLPHAと呼ぶことがある。 10~30%にみられ、12~24時間後に発症することが多い。 また、 立位で増悪し、臥位で寛解するのが特徴である。

その対処法は?

予防法としては以下が挙げられる。 

  • なるべく細い針を使用 (21~23G)
  • 無理な力をいれないようリラックス
  • 穿刺針抜去時には必ず内筒を挿入 (頭痛のリスクが1/3になったとの報告)⁴⁾

なお、 穿刺後安静に強い根拠はない⁵⁾

関連コンテンツ

🚑 ERマニュアル|頭痛

🚑 ERマニュアル|髄膜炎

🚑 ERマニュアル|くも膜下出血

出典

1) NEJM. 2006 Sep 28;355(13):e12.

2) Reg Anesth Pain Med. 2010;35:64-101

3) UpToDate® Lumbar puncture: Technique, indications, contraindications, and complications in adults (last updated: Oct 07, 2021)

4) NEJM. 1997 Apr 17;336(16):1190.

5) JAMA. 2006 Oct 25;296(16):2012-22.

最終更新:2024年3月23日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

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