内容
監修医師

頭痛 / 痺れ > 脳梗塞

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません.  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

ポイント

  1. rt-PAの適応は発症から4.5時間以内
  2. 発症不明でもMRI所見によっては適応に
  3. 治療は介入が早ければ早いほど効果的
  4. rt-PAに追加した血栓回収療法を検討

病態・疫学

  • 脳梗塞は中年、高齢者に多くみられる
  • ADLや生命予後に大きく関わる疾患である
  • アテローム性、ラクナ、塞栓性に大別できる
  • BAD型はアテローム性として対応する
BAD : Branch atheromatous disease

診断

  1. 神経局所症状を呈するケースが殆どである.
  2. 発症早期であれば、CT評価が基本である.
  3. その後、MRIまたはCTAを追加する.

early CT signの確認

脳梗塞
  1. Hyperdense MCA Sign
  2. レンズ核の輪郭不明瞭化
  3. 皮質-白質境界・島皮質の不明瞭化
  4. 脳溝の消失・脳実質の低信号化

脳梗塞の重症度評価

🔢 NIHSS 米国立衛生研究所脳卒中スケ-ル

🔢 GCS (Glasgow Coma Scale)

🔢 JCS (Japan Coma Scale)

🔢 MMT 徒手筋力テスト

バイタルサインと身体所見を確認したうえで、 神経学的診察を行う. 神経学的所見は、 NIHSSなどを用い、 系統立てて確認すると見落としが少ない.

治療

血栓溶解療法 (rt-PA)

治療は早ければ早いほど効果は高い

アルテプラーゼ(グルトパ®アクチバシン®)

🔢rt-PAの治療適応外事項を満たす項目がある場合は血栓溶解薬を使用してはいけない

脳梗塞

>>rt-PAのチェックリストを利用する

血栓回収療法 (血管内治療)

脳卒中治療ガイドライン2021年 (改訂2023) において以下のすべてを満たす症例で、 rt-PAを含む内科治療に追加して発から6時間以内に (可及的速やかに) ステントリトリーバーまたは血栓吸引カテーテルを用いた機械的血栓回収療法を開始することが勧められる (推奨度 A エビデンスレベル高)。

①内頚動脈または中大脳動脈M1の急性閉塞
②発症前のmRSスコア 0~1
③頭部CTまたはMRI DWIでASPECTS≧6点
④NIHSSスコア ≧6
⑤年齢≧18歳

発症から6時間を超えた場合でも、 24時間まではリスク・ベネフィットを考慮し検討

rt-PA以外の脳梗塞治療薬

脳梗塞
  • 原因と重症度によって使い分ける.
  • BAD型はアテローム血栓性に基づく.

<使用例>

予防

TIA後の脳梗塞発症リスクと治療方針

  • ABCD2スコアを用いたリスク評価を推奨.
  • TIA の急性期(発症 48 時間以内)の再発防止には、アスピリン 160~300mg/日の投与.
  • ABCD2 スコア ≧4点では、 急性期に限定した抗血小板薬2剤併用療法が勧められる.

心房細動の脳梗塞発症リスクと治療方針

  • CHADS₂スコアまたはCHA₂DS₂-VAScスコア などを利用して予防適応を判断する
  • 2020年不整脈薬物治療ガイドラインでは、 CHADS₂スコアの使用が推奨されている
  • 1点以上すべてのDOAC推奨、ワルファリン考慮可で、 原則 INR 1.6~2.6を目標とする
  • その他のリスクは、 心筋症、 年齢65歳以上、 血管疾患、 持続性・永続性心房細動、 低体重、 腎機能障害、 左房径>45mm

関連コンテンツ

🔢 表・計算ツール

🚑 ERマニュアル

最終更新 : 2024年3月24日
監修医師 : 聖路加国際病院救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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脳梗塞

Brain Infarction
2022年04月06日更新

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ポイント

  1. rt-PAの適応は発症から4.5時間以内
  2. 発症不明でもMRI所見によっては適応に
  3. 治療は介入が早ければ早いほど効果的
  4. rt-PAに追加した血栓回収療法を検討

病態・疫学

  • 脳梗塞は中年、高齢者に多くみられる
  • ADLや生命予後に大きく関わる疾患である
  • アテローム性、ラクナ、塞栓性に大別できる
  • BAD型はアテローム性として対応する
BAD : Branch atheromatous disease

診断

  1. 神経局所症状を呈するケースが殆どである.
  2. 発症早期であれば、CT評価が基本である.
  3. その後、MRIまたはCTAを追加する.

early CT signの確認

脳梗塞
  1. Hyperdense MCA Sign
  2. レンズ核の輪郭不明瞭化
  3. 皮質-白質境界・島皮質の不明瞭化
  4. 脳溝の消失・脳実質の低信号化

脳梗塞の重症度評価

🔢 NIHSS 米国立衛生研究所脳卒中スケ-ル

🔢 GCS (Glasgow Coma Scale)

🔢 JCS (Japan Coma Scale)

🔢 MMT 徒手筋力テスト

バイタルサインと身体所見を確認したうえで、 神経学的診察を行う. 神経学的所見は、 NIHSSなどを用い、 系統立てて確認すると見落としが少ない.

治療

血栓溶解療法 (rt-PA)

治療は早ければ早いほど効果は高い

アルテプラーゼ(グルトパ®アクチバシン®)

🔢rt-PAの治療適応外事項を満たす項目がある場合は血栓溶解薬を使用してはいけない

脳梗塞

>>rt-PAのチェックリストを利用する

血栓回収療法 (血管内治療)

脳卒中治療ガイドライン2021年 (改訂2023) において以下のすべてを満たす症例で、 rt-PAを含む内科治療に追加して発から6時間以内に (可及的速やかに) ステントリトリーバーまたは血栓吸引カテーテルを用いた機械的血栓回収療法を開始することが勧められる (推奨度 A エビデンスレベル高)。

①内頚動脈または中大脳動脈M1の急性閉塞
②発症前のmRSスコア 0~1
③頭部CTまたはMRI DWIでASPECTS≧6点
④NIHSSスコア ≧6
⑤年齢≧18歳

発症から6時間を超えた場合でも、 24時間まではリスク・ベネフィットを考慮し検討

rt-PA以外の脳梗塞治療薬

脳梗塞
  • 原因と重症度によって使い分ける.
  • BAD型はアテローム血栓性に基づく.

<使用例>

予防

TIA後の脳梗塞発症リスクと治療方針

  • ABCD2スコアを用いたリスク評価を推奨.
  • TIA の急性期(発症 48 時間以内)の再発防止には、アスピリン 160~300mg/日の投与.
  • ABCD2 スコア ≧4点では、 急性期に限定した抗血小板薬2剤併用療法が勧められる.

心房細動の脳梗塞発症リスクと治療方針

  • CHADS₂スコアまたはCHA₂DS₂-VAScスコア などを利用して予防適応を判断する
  • 2020年不整脈薬物治療ガイドラインでは、 CHADS₂スコアの使用が推奨されている
  • 1点以上すべてのDOAC推奨、ワルファリン考慮可で、 原則 INR 1.6~2.6を目標とする
  • その他のリスクは、 心筋症、 年齢65歳以上、 血管疾患、 持続性・永続性心房細動、 低体重、 腎機能障害、 左房径>45mm

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最終更新 : 2024年3月24日
監修医師 : 聖路加国際病院救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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