概要
計算
監修医師

TTPの診断

なぜ予測スコアが重要なのか?

血栓性血小板減少性紫斑病 (thrombotic thrombocytopenic purpura : TTP) の診断には、ADAMTS13の酵素活性低下 (<10%) が用いられる¹⁾²⁾³⁾。 日本国内では保険適用となっているが、 多くの病院は外注検査となり、 結果が判明するまで約3-5営業日かかる²⁾。

ADAMTS13活性低下のリスクを速やかに評価する指標には、PLASMICスコアとFrenchスコアの2つがある。 中~高リスクの場合、臨床的に速やかな血漿交換が推奨される²⁾。

PLASMICスコアとは?

2017年に報告された予測スコアである。

スコア計算方法¹⁾²⁾

以下の項目の合計点で評価する
  • 血小板数 < 3万/µL +1
  • クレアチニン < 2mg/dL +1
  • 溶血 : 網状赤血球 > 2.5%、 ハプトグロビン検出なし、 間接Bil > 2mg/dL +1
  • 一年以内にがん治療を受けていない +1
  • 骨髄移植または臓器移植の経験がない +1
  • MCV (平均赤血球容積) < 90fL +1
  • PT-INR < 1.5 +1
Lancet Haematol. 2017; 4: e157-e164.より引用

エビデンス

PLASMICスコアが高いほどTTP重症度を示すADAMTS13の酵素活性の低下 ( <10%) のリスクが高くなる¹⁾²⁾。
  • 低リスク (0~4点) の場合はまず鑑別診断と経過観察を行う²⁾。
  • 中間~高リスク (5~7点) の場合、 未治療では2週間以内に9割が死亡するため速やかな血漿交換を行うと同時にADAMTS13活性の検査を行う²⁾。
  • 血漿交換に用いるFFP量は、 50~75mL/kgを目安とする. 血小板数が2日連続して正常化するまで血漿交換を連日行う²⁾。

関連コンテンツ

血栓性血小板減少性紫斑病

🔢 TTPのPLASMICスコア

🔢 TTPのFrenchスコア

🔢 先天性TTPの重症度分類

🔢 後天性TTPの重症度分類

📝 CTCAE : 血栓性血小板減少性紫斑病

出典

  1. Clinical and laboratory diagnosis of TTP: an integrated approach. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2018 Nov 30;2018(1):530-538. PMID: 305043546034.
  2. 宮川義隆. 『血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)に対する分子標的治療』.「日本血栓止血学会誌」 2020年31巻1号 p.28-36
  3. Impact of severe ADAMTS13 deficiency on clinical presentation and outcomes in patients with thrombotic microangiopathies: the experience of the Harvard TMA Research Collaborative. Br J Haematol. 2015 Dec;171(5):836-44. PMID: 26314936.
  4. Utilizing a PLASMIC score-based approach in the management of suspected immune thrombotic thrombocytopenic purpura: a cost minimization analysis within the Harvard TMA Research Collaborative. Br J Haematol. 2019 Aug;186(3):490-498. PMID: 31131442

最終更新 : 2024年7月16日
監修医師 : 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

TTPのPLASMICスコア
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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血栓性血小板減少性紫斑病の臨床的診断基準
2024年07月16日更新
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TTPの診断

なぜ予測スコアが重要なのか?

血栓性血小板減少性紫斑病 (thrombotic thrombocytopenic purpura : TTP) の診断には、ADAMTS13の酵素活性低下 (<10%) が用いられる¹⁾²⁾³⁾。 日本国内では保険適用となっているが、 多くの病院は外注検査となり、 結果が判明するまで約3-5営業日かかる²⁾。

ADAMTS13活性低下のリスクを速やかに評価する指標には、PLASMICスコアとFrenchスコアの2つがある。 中~高リスクの場合、臨床的に速やかな血漿交換が推奨される²⁾。

PLASMICスコアとは?

2017年に報告された予測スコアである。

スコア計算方法¹⁾²⁾

以下の項目の合計点で評価する
  • 血小板数 < 3万/µL +1
  • クレアチニン < 2mg/dL +1
  • 溶血 : 網状赤血球 > 2.5%、 ハプトグロビン検出なし、 間接Bil > 2mg/dL +1
  • 一年以内にがん治療を受けていない +1
  • 骨髄移植または臓器移植の経験がない +1
  • MCV (平均赤血球容積) < 90fL +1
  • PT-INR < 1.5 +1
Lancet Haematol. 2017; 4: e157-e164.より引用

エビデンス

PLASMICスコアが高いほどTTP重症度を示すADAMTS13の酵素活性の低下 ( <10%) のリスクが高くなる¹⁾²⁾。
  • 低リスク (0~4点) の場合はまず鑑別診断と経過観察を行う²⁾。
  • 中間~高リスク (5~7点) の場合、 未治療では2週間以内に9割が死亡するため速やかな血漿交換を行うと同時にADAMTS13活性の検査を行う²⁾。
  • 血漿交換に用いるFFP量は、 50~75mL/kgを目安とする. 血小板数が2日連続して正常化するまで血漿交換を連日行う²⁾。

関連コンテンツ

血栓性血小板減少性紫斑病

🔢 TTPのPLASMICスコア

🔢 TTPのFrenchスコア

🔢 先天性TTPの重症度分類

🔢 後天性TTPの重症度分類

📝 CTCAE : 血栓性血小板減少性紫斑病

出典

  1. Clinical and laboratory diagnosis of TTP: an integrated approach. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2018 Nov 30;2018(1):530-538. PMID: 305043546034.
  2. 宮川義隆. 『血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)に対する分子標的治療』.「日本血栓止血学会誌」 2020年31巻1号 p.28-36
  3. Impact of severe ADAMTS13 deficiency on clinical presentation and outcomes in patients with thrombotic microangiopathies: the experience of the Harvard TMA Research Collaborative. Br J Haematol. 2015 Dec;171(5):836-44. PMID: 26314936.
  4. Utilizing a PLASMIC score-based approach in the management of suspected immune thrombotic thrombocytopenic purpura: a cost minimization analysis within the Harvard TMA Research Collaborative. Br J Haematol. 2019 Aug;186(3):490-498. PMID: 31131442

最終更新 : 2024年7月16日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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