概要
計算
監修医師

酸塩基平衡の生理学的解釈とは?

血液ガスで得られた結果を生体内の酸塩基平衡の調節機構に基づき解釈する方法で、 本ツールは2014年にKenrick Berendらにより報告された手法¹⁾を参考に作成した。

使用上の注意

このツールの基準値設定は以下のとおり

pH=7.4、 PaCO₂=40、 HCO₃=24

つまり、 例えば 「妊娠時」や慢性的な 「肺疾患患者」 など 基準値が変化している場合には、 正しく解釈できない可能性がある。

病態ごとの鑑別疾患

AG開大性代謝性アシドーシス

内因性の酸産生増加

  • L-乳酸アシドーシス
  • Type A:低酸素に伴うもの
  • 敗血症性ショック、 腸間膜虚血、 低酸素血症、 CO中毒、 シアン中毒
  • Type B:低酸素を伴わないもの、 ミトコンドリアの機能異常
  • チアミン不足
  • 痙攣
  • 薬剤:NNRTI、 メトホルミン、プロポフォール、 ナイアシン、 イソニアジド、 鉄
  • 中毒:サリチル酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタノール、 トルエン中毒の早期、 パラアルデヒド
  • 糖原病
  • D-乳酸アシドーシス
  • 短腸症候群

進行したCKD

肝不全による乳酸クリアランスの障害

  • type Bアシドーシスも参照

細胞の崩壊

  • 横紋筋融解

ペニシリン系の抗菌薬

ピログルタミン酸

  • 5-オキソプロリン

AG非開大性代謝性アシドーシス

重炭酸イオンの消失

  • 消化器症状
  • 下痢、 尿路変更、 胆管または膵管瘻孔
  • 腎疾患
  • Ⅱ型近位尿細管性アシドーシス
  • トルエン摂取
  • トルエン中毒の後期
  • 薬剤関連状態
  • イフォスファミド、 テノホビル、 トピラマート、 アセタゾラミドなどの炭酸脱水酵素阻害剤

腎臓の酸排泄の減少

  • 尿酸アシドーシスの初期
  • Ⅰ型遠位尿細管性アシドーシス
  • アンフォテリシン、 リチウム、 シェーグレン症候群
  • Ⅳ型遠位尿細管性アシドーシス
  • 低アルドステロン症または偽性低アルドステロン症

その他の原因

  • 生理食塩液での補液
  • 過栄養
  • リジン、 ヒスチジン、 アルギニン
  • 薬剤
  • 塩酸、 塩化アンモニウム、 コレスチラミン、 馬尿酸、 硫酸の投与

代謝性アルカローシス

ミルクアルカリ症候群

尿中Cl増加

  • 利尿薬使用、 Mg欠乏、 Barrter症候群、 Gitelman症候群

尿中Cl正常

  • 嘔吐、 胃液ドレナージ、 過去の利尿薬使用

レニン高値

  • 腎動脈狭窄、 悪性高血圧症、 レニン産生腫瘍、 女性ホルモン使用

レニン低値、 アルドステロン高値

  • 原発性アルドステロン症(副腎腺腫・過形成・癌・glucocorticoid remediable aldosteronism)

レニン低値、 アルドステロン低値

  • Cushing症候群、 ステロイド投与、 甘草、 Liddle症候群、 副腎性器症候群、 apparent mineralocorticoid excess

急性呼吸性アシドーシス

AaDO₂正常

  • 呼吸中枢の異常
  • 脳炎や外傷
  • 薬剤
  • 麻薬、 バルビツール酸、 ベンゾジアゼピン

AaDO₂開大

  • 喘息の急性増悪
  • 肺炎に伴う気道閉塞

慢性呼吸性アシドーシス

AaDO₂正常

  • 神経筋疾患
  • 重症筋無力症、 ALS、 ギランバレー症候群、 筋ジストロフィー
  • 脊柱後弯症

AaDO₂開大

  • COPD

急性呼吸性アルカローシス

AaDO₂正常

  • 疼痛、 不安、 発熱、 脳卒中、 髄膜炎、 外傷、 高度な貧血、 サリチル酸中毒

AaDO₂開大

  • 肺炎、 肺水腫、 肺塞栓、 誤嚥、 うっ血性心不全、 敗血症

慢性呼吸性アルカローシス

AaDO₂正常

  • 妊娠、 甲状腺機能亢進症、 肝不全

AaDO₂開大

  • 妊娠中のPE、 誤嚥性肺炎を伴う肝不全

参考文献

1) Physiological approach to assessment of acid-base disturbances. N Engl J Med. 2014 Oct 9;371(15):1434-45. PMID: 25295502

最終更新:2023年11月13日
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2023年12月05日更新
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血液ガスで得られた結果を生体内の酸塩基平衡の調節機構に基づき解釈する方法で、 本ツールは2014年にKenrick Berendらにより報告された手法¹⁾を参考に作成した。

使用上の注意

このツールの基準値設定は以下のとおり

pH=7.4、 PaCO₂=40、 HCO₃=24

つまり、 例えば 「妊娠時」や慢性的な 「肺疾患患者」 など 基準値が変化している場合には、 正しく解釈できない可能性がある。

病態ごとの鑑別疾患

AG開大性代謝性アシドーシス

内因性の酸産生増加

  • L-乳酸アシドーシス
  • Type A:低酸素に伴うもの
  • 敗血症性ショック、 腸間膜虚血、 低酸素血症、 CO中毒、 シアン中毒
  • Type B:低酸素を伴わないもの、 ミトコンドリアの機能異常
  • チアミン不足
  • 痙攣
  • 薬剤:NNRTI、 メトホルミン、プロポフォール、 ナイアシン、 イソニアジド、 鉄
  • 中毒:サリチル酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタノール、 トルエン中毒の早期、 パラアルデヒド
  • 糖原病
  • D-乳酸アシドーシス
  • 短腸症候群

進行したCKD

肝不全による乳酸クリアランスの障害

  • type Bアシドーシスも参照

細胞の崩壊

  • 横紋筋融解

ペニシリン系の抗菌薬

ピログルタミン酸

  • 5-オキソプロリン

AG非開大性代謝性アシドーシス

重炭酸イオンの消失

  • 消化器症状
  • 下痢、 尿路変更、 胆管または膵管瘻孔
  • 腎疾患
  • Ⅱ型近位尿細管性アシドーシス
  • トルエン摂取
  • トルエン中毒の後期
  • 薬剤関連状態
  • イフォスファミド、 テノホビル、 トピラマート、 アセタゾラミドなどの炭酸脱水酵素阻害剤

腎臓の酸排泄の減少

  • 尿酸アシドーシスの初期
  • Ⅰ型遠位尿細管性アシドーシス
  • アンフォテリシン、 リチウム、 シェーグレン症候群
  • Ⅳ型遠位尿細管性アシドーシス
  • 低アルドステロン症または偽性低アルドステロン症

その他の原因

  • 生理食塩液での補液
  • 過栄養
  • リジン、 ヒスチジン、 アルギニン
  • 薬剤
  • 塩酸、 塩化アンモニウム、 コレスチラミン、 馬尿酸、 硫酸の投与

代謝性アルカローシス

ミルクアルカリ症候群

尿中Cl増加

  • 利尿薬使用、 Mg欠乏、 Barrter症候群、 Gitelman症候群

尿中Cl正常

  • 嘔吐、 胃液ドレナージ、 過去の利尿薬使用

レニン高値

  • 腎動脈狭窄、 悪性高血圧症、 レニン産生腫瘍、 女性ホルモン使用

レニン低値、 アルドステロン高値

  • 原発性アルドステロン症(副腎腺腫・過形成・癌・glucocorticoid remediable aldosteronism)

レニン低値、 アルドステロン低値

  • Cushing症候群、 ステロイド投与、 甘草、 Liddle症候群、 副腎性器症候群、 apparent mineralocorticoid excess

急性呼吸性アシドーシス

AaDO₂正常

  • 呼吸中枢の異常
  • 脳炎や外傷
  • 薬剤
  • 麻薬、 バルビツール酸、 ベンゾジアゼピン

AaDO₂開大

  • 喘息の急性増悪
  • 肺炎に伴う気道閉塞

慢性呼吸性アシドーシス

AaDO₂正常

  • 神経筋疾患
  • 重症筋無力症、 ALS、 ギランバレー症候群、 筋ジストロフィー
  • 脊柱後弯症

AaDO₂開大

  • COPD

急性呼吸性アルカローシス

AaDO₂正常

  • 疼痛、 不安、 発熱、 脳卒中、 髄膜炎、 外傷、 高度な貧血、 サリチル酸中毒

AaDO₂開大

  • 肺炎、 肺水腫、 肺塞栓、 誤嚥、 うっ血性心不全、 敗血症

慢性呼吸性アルカローシス

AaDO₂正常

  • 妊娠、 甲状腺機能亢進症、 肝不全

AaDO₂開大

  • 妊娠中のPE、 誤嚥性肺炎を伴う肝不全

参考文献

1) Physiological approach to assessment of acid-base disturbances. N Engl J Med. 2014 Oct 9;371(15):1434-45. PMID: 25295502

最終更新:2023年11月13日
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