概要
計算
監修医師

ABCD²スコアとは

TIA発症患者の脳梗塞リスク評価のひとつであり、 Age、 Blood Pressure、 Clinical features、 Duration、 Diabetesの表す頭文字から命名されている。 ABCD²スコアが上昇すると、 その後の脳卒中リスクも上昇することが示されている¹⁾。

Age (年齢)

60歳以上 +1点

Blood Pressure (血圧)

BP140/90mmHg以上 +1点

Clinical features (症状)

片側脱力 +2点、 脱力のない言語障害 +1点

Duration (期間)

60分以上 +2点、 10~59分 +1点、 10分未満 +0点

Diabetes (糖尿病)

既往あり+1点

エビデンス

脳梗塞発症の予測

脳卒中リスクが低く(≦2%)、ABCD²スコアが低い患者(≦2点)は、7日以内に脳梗塞を発症するリスクが低い(0.4-0.8%) ことが示されている¹⁾。 

ガイドラインでの立ち位置

脳卒中治療ガイドライン2015[追補2019]ではABCD²スコア 4点以上で、急性期に限定した抗血小板薬2剤併用療法(アスピリン+クロピドグレル)が推奨されている²⁾。 

使用上の注意

救急外来での使用

救急外来でABCD²スコアを使用した前向き研究では、 スコア性能は低いことが示されている³⁾。 

2019年NICEガイドラインでは、 入院基準としてABCD²スコアが推奨されていない (以前は≧4点で入院が推奨されていた)。 4点未満の患者のうち、約20%に脳梗塞再発リスク (頭蓋内外優位狭窄、 心房細動など) がみつかり、これらの患者はABCD²≧4点の患者と同等の3ヶ月脳梗塞リスクがあることが分かったためである。 

本邦の多くの救急外来では、 TIAの診断後、 速やかに画像評価が行われ、スコアの意義は低い。

その他の臨床予測スコア

7日以内のTIA発作歴を加えたABCD³スコアや、 MRI/MRAの所見を加えたABCD³-Iスコアの方が、 予測精度が高いことが分かっている。

ABCD²スコア

ABCD²スコア¹⁾

  • 0〜3点:低リスク (7日以内脳梗塞0.6%)
  • 4〜5点:中リスク (7日以内脳梗塞2.5%)
  • 6〜7点:高リスク (7日以内脳梗塞4.3%)

ABCD³スコア¹⁾

  • 0〜3点:低リスク (7日以内脳梗塞0%)
  • 4〜5点:中リスク (7日以内脳梗塞1%)
  • 6〜9点:高リスク (7日以内脳梗塞3.4%)

ABCD³-Iスコア¹⁾

  • 0〜3点:低リスク (7日以内脳梗塞0%)
  • 4〜7点:中リスク (7日以内脳梗塞0.8%)
  • 8〜13点:高リスク (7日以内脳梗塞4.1%)

心原性脳梗塞の場合

心原性脳梗塞/TIAの二次予防に関しては、 抗凝固療法(ワルファリンorDOAC) > DAPT > アスピリンの順に有効性が報告されており、 心原性の可能性が高ければDAPTではなく、 最初から抗凝固療法を開始することもあるため早期の専門家コンサルトが推奨される。

関連コンテンツ

🔢 ABCD²スコア

🔢 ABCD³スコア

🔢 ABCD³-Iスコア

🚑 ERマニュアル|脳梗塞

🚑 ERマニュアル|一過性脳虚血発作 TIA

参考文献

  1. Validation and refinement of scores to predict very early stroke risk after transient ischaemic attack. Lancet. 2007 Jan 27;369(9558):283-92. PMID: 17258668
  2. 脳卒中治療ガイドライン2015〔追補2019〕
  3. An assessment of the incremental value of the ABCD2 score in the emergency department evaluation of transient ischemic attack. Ann Emerg Med . 2011 Jan;57(1):46-51.PMID: 20855130

最終更新:2023年8月19日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

ABCD²スコア
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ABCD²スコア
ABCD²スコア

ABCD²スコア

TIA後の脳梗塞発症リスク
2023年11月23日更新
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ABCD²スコアとは

TIA発症患者の脳梗塞リスク評価のひとつであり、 Age、 Blood Pressure、 Clinical features、 Duration、 Diabetesの表す頭文字から命名されている。 ABCD²スコアが上昇すると、 その後の脳卒中リスクも上昇することが示されている¹⁾。

Age (年齢)

60歳以上 +1点

Blood Pressure (血圧)

BP140/90mmHg以上 +1点

Clinical features (症状)

片側脱力 +2点、 脱力のない言語障害 +1点

Duration (期間)

60分以上 +2点、 10~59分 +1点、 10分未満 +0点

Diabetes (糖尿病)

既往あり+1点

エビデンス

脳梗塞発症の予測

脳卒中リスクが低く(≦2%)、ABCD²スコアが低い患者(≦2点)は、7日以内に脳梗塞を発症するリスクが低い(0.4-0.8%) ことが示されている¹⁾。 

ガイドラインでの立ち位置

脳卒中治療ガイドライン2015[追補2019]ではABCD²スコア 4点以上で、急性期に限定した抗血小板薬2剤併用療法(アスピリン+クロピドグレル)が推奨されている²⁾。 

使用上の注意

救急外来での使用

救急外来でABCD²スコアを使用した前向き研究では、 スコア性能は低いことが示されている³⁾。 

2019年NICEガイドラインでは、 入院基準としてABCD²スコアが推奨されていない (以前は≧4点で入院が推奨されていた)。 4点未満の患者のうち、約20%に脳梗塞再発リスク (頭蓋内外優位狭窄、 心房細動など) がみつかり、これらの患者はABCD²≧4点の患者と同等の3ヶ月脳梗塞リスクがあることが分かったためである。 

本邦の多くの救急外来では、 TIAの診断後、 速やかに画像評価が行われ、スコアの意義は低い。

その他の臨床予測スコア

7日以内のTIA発作歴を加えたABCD³スコアや、 MRI/MRAの所見を加えたABCD³-Iスコアの方が、 予測精度が高いことが分かっている。

ABCD²スコア

ABCD²スコア¹⁾

  • 0〜3点:低リスク (7日以内脳梗塞0.6%)
  • 4〜5点:中リスク (7日以内脳梗塞2.5%)
  • 6〜7点:高リスク (7日以内脳梗塞4.3%)

ABCD³スコア¹⁾

  • 0〜3点:低リスク (7日以内脳梗塞0%)
  • 4〜5点:中リスク (7日以内脳梗塞1%)
  • 6〜9点:高リスク (7日以内脳梗塞3.4%)

ABCD³-Iスコア¹⁾

  • 0〜3点:低リスク (7日以内脳梗塞0%)
  • 4〜7点:中リスク (7日以内脳梗塞0.8%)
  • 8〜13点:高リスク (7日以内脳梗塞4.1%)

心原性脳梗塞の場合

心原性脳梗塞/TIAの二次予防に関しては、 抗凝固療法(ワルファリンorDOAC) > DAPT > アスピリンの順に有効性が報告されており、 心原性の可能性が高ければDAPTではなく、 最初から抗凝固療法を開始することもあるため早期の専門家コンサルトが推奨される。

関連コンテンツ

🔢 ABCD²スコア

🔢 ABCD³スコア

🔢 ABCD³-Iスコア

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🚑 ERマニュアル|一過性脳虚血発作 TIA

参考文献

  1. Validation and refinement of scores to predict very early stroke risk after transient ischaemic attack. Lancet. 2007 Jan 27;369(9558):283-92. PMID: 17258668
  2. 脳卒中治療ガイドライン2015〔追補2019〕
  3. An assessment of the incremental value of the ABCD2 score in the emergency department evaluation of transient ischemic attack. Ann Emerg Med . 2011 Jan;57(1):46-51.PMID: 20855130

最終更新:2023年8月19日
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