概要
計算
監修医師

A-aDO₂とは?

肺胞気動脈血酸素分圧較差 (alveolar-arterial oxygen difference) のことで、 理想的な肺胞気と動脈血の酸素分圧較差を指す。 

A-aDO₂は、 低酸素血症の原因となる肺胞低換気や、 拡散障害、 右左シャント、 換気血流不均等 (V/Q mismatch)を評価するのに有用である。 

通常、 肺胞低換気では「正常範囲内」、 それ以外では開大

通常10以下が正常で、年齢から換算される式 (2.5+0.21×年齢)で求めるとの報告もある。

年齢やFiO₂によって変化するため、 均一のカットオフ値はない

計算方法

①A-aDO₂の計算は以下の公式に従う

A−aDO₂ = PAO₂−PaO₂

PAO₂:肺胞酸素分圧

PaO₂:動脈血酸素分圧

②PAO₂は以下の公式に従う

PAO₂ = (FiO₂×(Patm−PH₂O)) − (PaCO₂/RQ)

FiO₂:吸入空気中の酸素率(室内気は0.21)

Patm:大気圧(海抜0mで約760mmHg)

PH₂O:水蒸気圧(37℃で 約47mmHg)

PaCO₂:動脈血炭酸ガス分圧

RQ:呼吸商(定常状態で 約0.8)

③これらの値を代入し、 A-aDO₂を算出する

A−aDO₂ = PAO₂ − PaO₂
= FiO₂×(Patm−PH₂O) − PaCO₂/RQ - PaO₂

④本ツールでは、 以下を想定し計算している

海抜0mの大気圧 (Patm=760)、 37℃の水蒸気圧 (PH₂O = 47)、 定常状態の呼吸商 (RQ=0.8)

FiO₂×(Patm−PH₂O) − PaCO₂/RQ - PaO₂
= FiO₂×(760−47) − PaCO₂/0.8 - PaO₂
= FiO₂×713 − PaCO₂/0.8 - PaO₂

低酸素血症の鑑別例

換気血流不均等 (V/Q mismatch)

肺塞栓症、 COPD、 間質性肺疾患など、 肺の一部が正常に換気されていない、 または血流が適切でなく、 換気血流比が不均等な状態

A-aDO₂ ⬆

拡散障害

肺線維症、 肺水腫など、 肺胞気から血管、赤血球への拡散過程になにかしらの障害がある状態

A-aDO₂ ⬆

右から左へのシャント

先天性心疾患、 肺胞の閉塞など、 心臓または肺の異常により、 右室から拍出された酸素化されていない血液が動脈系(左心系)に直接流入する状態

A-aDO₂ ⬆

肺胞低換気

神経筋疾患、 鎮静剤の過剰投与、 肥満、 後側弯症等などに十分なガス交換を行うだけの肺胞換気が得られていない状態

A-aDO₂ ➡

参考:各デバイスの吸入酸素濃度の目安

A-aDO₂ 肺胞気動脈血酸素分圧較差

参考文献

1) The abbreviated alveolar air equation. Chest. 1979 Jun;75(6):748. PMID: 436542

2) 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会, 日本呼吸器学会編, 酸素療法マニュアル, メディカルレビュー社, 2017

最終更新:2024年3月22日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

A-aDO₂ 肺胞気動脈血酸素分圧較差
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A-aDO₂ 肺胞気動脈血酸素分圧較差
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A-aDO₂ 肺胞気動脈血酸素分圧較差

低酸素血症の評価法
2024年03月23日更新
概要
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A-aDO₂とは?

肺胞気動脈血酸素分圧較差 (alveolar-arterial oxygen difference) のことで、 理想的な肺胞気と動脈血の酸素分圧較差を指す。 

A-aDO₂は、 低酸素血症の原因となる肺胞低換気や、 拡散障害、 右左シャント、 換気血流不均等 (V/Q mismatch)を評価するのに有用である。 

通常、 肺胞低換気では「正常範囲内」、 それ以外では開大

通常10以下が正常で、年齢から換算される式 (2.5+0.21×年齢)で求めるとの報告もある。

年齢やFiO₂によって変化するため、 均一のカットオフ値はない

計算方法

①A-aDO₂の計算は以下の公式に従う

A−aDO₂ = PAO₂−PaO₂

PAO₂:肺胞酸素分圧

PaO₂:動脈血酸素分圧

②PAO₂は以下の公式に従う

PAO₂ = (FiO₂×(Patm−PH₂O)) − (PaCO₂/RQ)

FiO₂:吸入空気中の酸素率(室内気は0.21)

Patm:大気圧(海抜0mで約760mmHg)

PH₂O:水蒸気圧(37℃で 約47mmHg)

PaCO₂:動脈血炭酸ガス分圧

RQ:呼吸商(定常状態で 約0.8)

③これらの値を代入し、 A-aDO₂を算出する

A−aDO₂ = PAO₂ − PaO₂
= FiO₂×(Patm−PH₂O) − PaCO₂/RQ - PaO₂

④本ツールでは、 以下を想定し計算している

海抜0mの大気圧 (Patm=760)、 37℃の水蒸気圧 (PH₂O = 47)、 定常状態の呼吸商 (RQ=0.8)

FiO₂×(Patm−PH₂O) − PaCO₂/RQ - PaO₂
= FiO₂×(760−47) − PaCO₂/0.8 - PaO₂
= FiO₂×713 − PaCO₂/0.8 - PaO₂

低酸素血症の鑑別例

換気血流不均等 (V/Q mismatch)

肺塞栓症、 COPD、 間質性肺疾患など、 肺の一部が正常に換気されていない、 または血流が適切でなく、 換気血流比が不均等な状態

A-aDO₂ ⬆

拡散障害

肺線維症、 肺水腫など、 肺胞気から血管、赤血球への拡散過程になにかしらの障害がある状態

A-aDO₂ ⬆

右から左へのシャント

先天性心疾患、 肺胞の閉塞など、 心臓または肺の異常により、 右室から拍出された酸素化されていない血液が動脈系(左心系)に直接流入する状態

A-aDO₂ ⬆

肺胞低換気

神経筋疾患、 鎮静剤の過剰投与、 肥満、 後側弯症等などに十分なガス交換を行うだけの肺胞換気が得られていない状態

A-aDO₂ ➡

参考:各デバイスの吸入酸素濃度の目安

A-aDO₂ 肺胞気動脈血酸素分圧較差

参考文献

1) The abbreviated alveolar air equation. Chest. 1979 Jun;75(6):748. PMID: 436542

2) 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会, 日本呼吸器学会編, 酸素療法マニュアル, メディカルレビュー社, 2017

最終更新:2024年3月22日
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