概要
計算
監修医師

SMMの重症度予測とは?

2018年にMayo ClinicのArjun Lakshman、 Shaji K. Kumarらによって開発された、 くすぶり型多発性骨髄腫 (SMM) の予後予測モデルである¹⁾。

2014年にIMWG (国際骨髄腫作業部会) 診断基準が改訂され、 従来のSMM患者の一部 (超高リスク群) が 「SLiM基準」 により多発性骨髄腫 (MM) として再分類・治療対象となった。

この改訂を受け、 「MMと定義されない残存SMM患者」 を対象に、 MMへの進展リスクを層別化するために開発された。 通称 「20-2-20モデル」 や「Mayo 2018モデル」 と呼ばれ、 臨床試験の適格性判断や経過観察の間隔決定に利用される。

計算方法

診断時に測定可能な以下の3つの因子を用いてリスクを算出する。
  1. 骨髄中形質細胞比率 (BMPC) : > 20 %
  2. 血清M蛋白 : > 2 g/dL
  3. 血清FLC比 : > 20

解釈とリスク分類

上記因子の保有数に応じて3群に分類する。

  • 低リスク : 0個
  • 中リスク : 1個
  • 高リスク : 2個 または 3個

※Lakshmanらの原著では2個保有と3個保有で進行リスクに有意差がなかったため、 2因子以上を高リスクと定義している¹⁾。

エビデンス

オリジナル報告 (Lakshman 2018)¹⁾

Mayo ClinicのSMM患者421例 (2003-2015年) を対象とした後ろ向き解析。

  • 無増悪期間 (TTP) 中央値 :
  • Low risk : 110 ヵ月
  • Intermediate risk : 68 ヵ月
  • High risk : 29 ヵ月
  • (p < 0.0001)
  • High risk群 (2因子以上) の2年進行率は約47%と報告された。

大規模検証およびIMWGによる採用 (Mateos et al. 2020)²⁾

Lakshmanらの提案を受け、 IMWGが全世界のSMM患者1,996例を用いた大規模後方視的解析を実施し、 本モデルの有用性を検証した。

  • 2年以内のMM進展リスク :
  • Low risk : 6 %
  • Intermediate risk : 18 %
  • High risk : 44 %

この検証により、 本モデルはSMMの標準的なリスク分類として確立された。 さらに、 細胞遺伝学的異常 (t(4;14), t(14;16), +1q, del13q) を加えることで、 より精度の高い4段階のリスク分類が可能であることも示されている。

使用上の注意点

  • SLiM基準の除外 : 本スコアを使用する前に、 必ず2014年IMWG基準の 「SLiM基準 (BMPC≧60%、 FLC比≧100、 MRIで2つ以上の局所病変) 」 を確認し、 治療対象となるMMではないことを確定する必要がある。
  • 腎不全患者でのFLC解釈 : FLC比は腎機能の影響を受けるため、 eGFR等の腎機能を考慮して解釈する。 ただし、 本モデルのカットオフ値 (>20) は、 SLiM基準のカットオフ値 (≧100) よりも低く設定されている点に留意する。
  • 細胞遺伝学的リスクの考慮 : 本モデルは簡便性を重視しているが、 FISH法による高リスク染色体異常 (del(17p), t(4;14) 等) は強力な予後因子である。 これらを認める場合は、 スコアが低くとも慎重なフォローアップ、 あるいは臨床試験への参加が検討される²⁾。

出典

1) Risk stratification of smoldering multiple myeloma incorporating revised IMWG diagnostic criteria. Blood Cancer J. 2018 Jun 12;8(6):59. PMID: 29895887

2) International Myeloma Working Group risk stratification model for smoldering multiple myeloma (SMM). Blood Cancer J . 2020 Oct 16;10(10):102. PMID: 33067414

SMM (くすぶり型多発性骨髄腫) の重症度予測
SMM (くすぶり型多発性骨髄腫) の重症度予測
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
SMM (くすぶり型多発性骨髄腫) の重症度予測
SMM (くすぶり型多発性骨髄腫) の重症度予測

SMM (くすぶり型多発性骨髄腫) の重症度予測

IMWGによる20–2–20モデル
2026年02月02日更新
概要
計算

SMMの重症度予測とは?

2018年にMayo ClinicのArjun Lakshman、 Shaji K. Kumarらによって開発された、 くすぶり型多発性骨髄腫 (SMM) の予後予測モデルである¹⁾。

2014年にIMWG (国際骨髄腫作業部会) 診断基準が改訂され、 従来のSMM患者の一部 (超高リスク群) が 「SLiM基準」 により多発性骨髄腫 (MM) として再分類・治療対象となった。

この改訂を受け、 「MMと定義されない残存SMM患者」 を対象に、 MMへの進展リスクを層別化するために開発された。 通称 「20-2-20モデル」 や「Mayo 2018モデル」 と呼ばれ、 臨床試験の適格性判断や経過観察の間隔決定に利用される。

計算方法

診断時に測定可能な以下の3つの因子を用いてリスクを算出する。
  1. 骨髄中形質細胞比率 (BMPC) : > 20 %
  2. 血清M蛋白 : > 2 g/dL
  3. 血清FLC比 : > 20

解釈とリスク分類

上記因子の保有数に応じて3群に分類する。

  • 低リスク : 0個
  • 中リスク : 1個
  • 高リスク : 2個 または 3個

※Lakshmanらの原著では2個保有と3個保有で進行リスクに有意差がなかったため、 2因子以上を高リスクと定義している¹⁾。

エビデンス

オリジナル報告 (Lakshman 2018)¹⁾

Mayo ClinicのSMM患者421例 (2003-2015年) を対象とした後ろ向き解析。

  • 無増悪期間 (TTP) 中央値 :
  • Low risk : 110 ヵ月
  • Intermediate risk : 68 ヵ月
  • High risk : 29 ヵ月
  • (p < 0.0001)
  • High risk群 (2因子以上) の2年進行率は約47%と報告された。

大規模検証およびIMWGによる採用 (Mateos et al. 2020)²⁾

Lakshmanらの提案を受け、 IMWGが全世界のSMM患者1,996例を用いた大規模後方視的解析を実施し、 本モデルの有用性を検証した。

  • 2年以内のMM進展リスク :
  • Low risk : 6 %
  • Intermediate risk : 18 %
  • High risk : 44 %

この検証により、 本モデルはSMMの標準的なリスク分類として確立された。 さらに、 細胞遺伝学的異常 (t(4;14), t(14;16), +1q, del13q) を加えることで、 より精度の高い4段階のリスク分類が可能であることも示されている。

使用上の注意点

  • SLiM基準の除外 : 本スコアを使用する前に、 必ず2014年IMWG基準の 「SLiM基準 (BMPC≧60%、 FLC比≧100、 MRIで2つ以上の局所病変) 」 を確認し、 治療対象となるMMではないことを確定する必要がある。
  • 腎不全患者でのFLC解釈 : FLC比は腎機能の影響を受けるため、 eGFR等の腎機能を考慮して解釈する。 ただし、 本モデルのカットオフ値 (>20) は、 SLiM基準のカットオフ値 (≧100) よりも低く設定されている点に留意する。
  • 細胞遺伝学的リスクの考慮 : 本モデルは簡便性を重視しているが、 FISH法による高リスク染色体異常 (del(17p), t(4;14) 等) は強力な予後因子である。 これらを認める場合は、 スコアが低くとも慎重なフォローアップ、 あるいは臨床試験への参加が検討される²⁾。

出典

1) Risk stratification of smoldering multiple myeloma incorporating revised IMWG diagnostic criteria. Blood Cancer J. 2018 Jun 12;8(6):59. PMID: 29895887

2) International Myeloma Working Group risk stratification model for smoldering multiple myeloma (SMM). Blood Cancer J . 2020 Oct 16;10(10):102. PMID: 33067414

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師

各領域の第一線の専門医が複数在籍

最新トピックに関する独自記事を配信中

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

表・計算

臨床支援アプリHOKUTOでご利用いただける医療計算ツールのご紹介