概要
計算
監修医師

MFPS-PVとは?

MFPS-PVとは、 真性多血症 (Polycythemia Vera : PV) における血栓症リスクを予測するために2023年にGuらによって開発・検証された新たなスコアリングシステムである¹⁾。

MFPS-PV : Multiple Factor-based Prognostic Score for Polycythemia Vera

スコアの計算方法

以下の4つの因子の合計点を計算する
  • ≧60歳 +1
  • 心血管リスク因子が1つ以上あり +1.5
高血圧症、 糖尿病、 脂質異常症、 肥満、 喫煙歴が含まれる
  • 血栓症の高リスク変異が1つ以上あり +1.5
DNMT3A、 ASXL1、 BCOR/BCORL1が含まれる
  • 血栓症の既往あり +2

スコアの解釈

  • ≦1点 : 低リスク (10年TFS : 95.7%)
  • 1.5~2.5点 : 中リスク (10年TFS : 85.3%)
  • ≧3点 : 高リスク (10年TFS : 18.4%)
TFS : Thrombosis-free survival

エビデンス¹⁾

2016年WHO基準を満たす真性多血症患者のデータ (合計567例) ) を2つのコホート (トレーニングコホート372例、 外部検証コホート195例) に分けて解析を実施した。

まず、 トレーニングコホートのうち372例に対して次世代シークエンス検査を行い、 血栓症の発生率や臨床背景との関連を検討したところ、 年齢60歳以上、 心血管リスク因子を有すること、 高リスク遺伝子変異 (DNMT3A、 ASXL1、 BCOR/BCORL1) を保有すること、 ならびに過去に血栓症を起こしたことの4項目が、 診断後の血栓発症を独立して予測し得る因子であることが示された。 これら4因子を用いてスコア化し、 Lowリスク~Highリスクの3群に分類した結果、 10年血栓非発症率 (TFS) はLowリスク群 : 95.7%、 Intermediateリスク群 : 85.3%、 Highリスク群 : 18.4%であった。

従来の年齢+血栓既往のみで高リスク/低リスクを判定する二層モデルと比較すると、 本スコアはC統計量は MFPS-PV が 0.87、 従来モデルが 0.80で、 従来モデルで過小評価または過大評価されていた患者をより適切に層別化できる可能性が示唆された。

さらに外部検証コホート195例に適用しても同様の結果が得られ、 本スコアが他の集団においても有効であることが確かめられている¹⁾。

使用上の注意点

本スコアの妥当性は有望だが、 血栓症の内訳 (特に静脈血栓症の発症頻度が低いなど) や中国人集団での解析が中心である点などの制約がある。 より多施設・多民族コホートでの前向き研究や、 動的に治療内容を反映したスコア改良などが求められる。

出典

1) Prediction of thrombosis in polycythemia vera: Development and validation of a multiple factor-based prognostic score system. Res Pract Thromb Haemost. 2023 Mar 28;7 (3):100132. PMID: 37113987

最終更新日 : 2025年4月9日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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MFPS-PV

真性多血症の血栓症予後予測スコア
2025年04月09日更新
概要
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MFPS-PVとは?

MFPS-PVとは、 真性多血症 (Polycythemia Vera : PV) における血栓症リスクを予測するために2023年にGuらによって開発・検証された新たなスコアリングシステムである¹⁾。

MFPS-PV : Multiple Factor-based Prognostic Score for Polycythemia Vera

スコアの計算方法

以下の4つの因子の合計点を計算する
  • ≧60歳 +1
  • 心血管リスク因子が1つ以上あり +1.5
高血圧症、 糖尿病、 脂質異常症、 肥満、 喫煙歴が含まれる
  • 血栓症の高リスク変異が1つ以上あり +1.5
DNMT3A、 ASXL1、 BCOR/BCORL1が含まれる
  • 血栓症の既往あり +2

スコアの解釈

  • ≦1点 : 低リスク (10年TFS : 95.7%)
  • 1.5~2.5点 : 中リスク (10年TFS : 85.3%)
  • ≧3点 : 高リスク (10年TFS : 18.4%)
TFS : Thrombosis-free survival

エビデンス¹⁾

2016年WHO基準を満たす真性多血症患者のデータ (合計567例) ) を2つのコホート (トレーニングコホート372例、 外部検証コホート195例) に分けて解析を実施した。

まず、 トレーニングコホートのうち372例に対して次世代シークエンス検査を行い、 血栓症の発生率や臨床背景との関連を検討したところ、 年齢60歳以上、 心血管リスク因子を有すること、 高リスク遺伝子変異 (DNMT3A、 ASXL1、 BCOR/BCORL1) を保有すること、 ならびに過去に血栓症を起こしたことの4項目が、 診断後の血栓発症を独立して予測し得る因子であることが示された。 これら4因子を用いてスコア化し、 Lowリスク~Highリスクの3群に分類した結果、 10年血栓非発症率 (TFS) はLowリスク群 : 95.7%、 Intermediateリスク群 : 85.3%、 Highリスク群 : 18.4%であった。

従来の年齢+血栓既往のみで高リスク/低リスクを判定する二層モデルと比較すると、 本スコアはC統計量は MFPS-PV が 0.87、 従来モデルが 0.80で、 従来モデルで過小評価または過大評価されていた患者をより適切に層別化できる可能性が示唆された。

さらに外部検証コホート195例に適用しても同様の結果が得られ、 本スコアが他の集団においても有効であることが確かめられている¹⁾。

使用上の注意点

本スコアの妥当性は有望だが、 血栓症の内訳 (特に静脈血栓症の発症頻度が低いなど) や中国人集団での解析が中心である点などの制約がある。 より多施設・多民族コホートでの前向き研究や、 動的に治療内容を反映したスコア改良などが求められる。

出典

1) Prediction of thrombosis in polycythemia vera: Development and validation of a multiple factor-based prognostic score system. Res Pract Thromb Haemost. 2023 Mar 28;7 (3):100132. PMID: 37113987

最終更新日 : 2025年4月9日
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