概要
計算
監修医師

CRS-Rとは?

Coma Recovery Scale-Revisedの略で、 2004年に発表された重度の脳損傷を受けた患者、 特に植物状態 (VS) または最小意識状態 (MCS) にある患者の意識レベル評価ツールである¹⁾。

スコアの計算方法²⁾

聴覚機能、 視覚機能、 運動機能、 口腔運動/言語機能、 コミュニケーション、 覚醒度の6つのサブスケールから構成され総スコアは0点から23点であり、 高いスコアほど高い意識レベルを示す。
CRS-R
文献1、2ともとにHOKUTO編集部で作図

使用上の注意点

覚醒促進プロトコルについて

患者が閉眼または従命困難の場合、 覚醒を促すため、 次の刺激を加えてから評価する。

・顔、首、肩、腕、手、胸、背中、脚、足、つま先を親指と人差し指でつまみ、 深い圧力刺激を加える

・筋肉をしっかりと圧迫しながら、 指先を3-4回前後に揺らす

エビデンス

CRS-Rは高い信頼性と妥当性を示しており、 複数の研究でその診断精度が検証されている¹⁾。

特に、 VSとMCSの患者を区別する能力が評価されており、 10名のMCS患者が従来の尺度ではVSと誤分類されていたのを正確に識別した¹⁾。

また、 59名の意識障害患者を対象に、 同一評価者によるテスト再テスト信頼性 (ρ=0.92) と異なる評価者による評価間信頼性 (ρ=0.98) が検証され、 どちらも非常に高い信頼性を示した。

さらに、 JCSおよびGCSとの併存妥当性も高く (それぞれρ = -0.82、 ρ = 0.92)、 診断の一致度も高かった (κ = 0.82およびκ = 0.92)²⁾。

使用上の注意点

視覚および口腔運動/言語機能の評価では特に注意が必要である。 また、 患者の状態は日々変動するため、 複数回の評価を行い、 その結果を総合的に判断することが推奨される。

出典

1) The JFK Coma Recovery Scale-Revised: Measurement Characteristics and Diagnostic Utility. Arch Phys Med Rehabil. 2004 Dec;85(12):2020-9. PMID: 15605342

2) Reliability and validation of the Japanese version of the coma recovery scale-revised (CRS-R). Brain Inj. 2024 Mar 20;38(4):249-259. PMID: 38329043

最終更新日 : 2024年7月22日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
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CRS-R

意識障害の分類
2024年07月26日更新
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Coma Recovery Scale-Revisedの略で、 2004年に発表された重度の脳損傷を受けた患者、 特に植物状態 (VS) または最小意識状態 (MCS) にある患者の意識レベル評価ツールである¹⁾。

スコアの計算方法²⁾

聴覚機能、 視覚機能、 運動機能、 口腔運動/言語機能、 コミュニケーション、 覚醒度の6つのサブスケールから構成され総スコアは0点から23点であり、 高いスコアほど高い意識レベルを示す。
CRS-R
文献1、2ともとにHOKUTO編集部で作図

使用上の注意点

覚醒促進プロトコルについて

患者が閉眼または従命困難の場合、 覚醒を促すため、 次の刺激を加えてから評価する。

・顔、首、肩、腕、手、胸、背中、脚、足、つま先を親指と人差し指でつまみ、 深い圧力刺激を加える

・筋肉をしっかりと圧迫しながら、 指先を3-4回前後に揺らす

エビデンス

CRS-Rは高い信頼性と妥当性を示しており、 複数の研究でその診断精度が検証されている¹⁾。

特に、 VSとMCSの患者を区別する能力が評価されており、 10名のMCS患者が従来の尺度ではVSと誤分類されていたのを正確に識別した¹⁾。

また、 59名の意識障害患者を対象に、 同一評価者によるテスト再テスト信頼性 (ρ=0.92) と異なる評価者による評価間信頼性 (ρ=0.98) が検証され、 どちらも非常に高い信頼性を示した。

さらに、 JCSおよびGCSとの併存妥当性も高く (それぞれρ = -0.82、 ρ = 0.92)、 診断の一致度も高かった (κ = 0.82およびκ = 0.92)²⁾。

使用上の注意点

視覚および口腔運動/言語機能の評価では特に注意が必要である。 また、 患者の状態は日々変動するため、 複数回の評価を行い、 その結果を総合的に判断することが推奨される。

出典

1) The JFK Coma Recovery Scale-Revised: Measurement Characteristics and Diagnostic Utility. Arch Phys Med Rehabil. 2004 Dec;85(12):2020-9. PMID: 15605342

2) Reliability and validation of the Japanese version of the coma recovery scale-revised (CRS-R). Brain Inj. 2024 Mar 20;38(4):249-259. PMID: 38329043

最終更新日 : 2024年7月22日
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