概要
計算
監修医師

MGUSの骨髄腫への進展予測スコア

  • MGUSは意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(Monoclonal Gammopathy of Undetermined Significance)の略¹⁾.
  • 多発性骨髄腫(multiple myeloma, MM)は、形質細胞の単クローン性増殖と、その産物である単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)の血清・尿中増加により特徴づけられる疾患¹⁾.
MGUSは、 約1%/年間の割合で多発性骨髄腫や全身性アミロイドーシスへ進行することが知られており、 10年後で12%、 20年後で25%、 25年後で30%の患者で疾患の進行が認められるMGUSに先行する²⁾.

MGUSスコア項目³⁾

  • Mタンパク種類:IgAである +1
  • Mタンパク濃度:≧1500mg/dL +1
  • 血清FLC濃度:<0.1 または >10 +1
(免疫グロブリン遊離L鎖 κ/λ比)
  • 免疫不全の有無 +1~2点
  • 1つの関与していない免疫グロブリンが正常値よりも低い +1
  • 2つ以上の関与していない免疫グロブリンが正常値よりも低い +2

多発性骨髄腫への進展リスク³⁾

  • スコア0~1点:低リスク
  • スコア2点 :中リスク
  • スコア3~5点:高リスク
オリジナル文献ではMMに進展した43人のMGUS患者のうち、 半数(53%) が進展前に「高リスク」と評価されていた. なお、 MMに進行しなかったMGUS対照患者108人のうち、 「高リスク」と評価されたのは1人だけであった. 
高リスクと評価されMMに進展した23人のうちの多く(70%) が、 5年以内に低または中リスクから高リスクMGUSへ移行していた.

スコア項目ごとのオッズ比

  • IgA:OR=1.80
(95%CI; 1.03-3.13, p=0.04)
  • Mタンパク≧1500mg/dL:OR=23.5
(95%CI; 8.9-61.9, p<0.001)
  • FLC比 <0.1または>10:OR=46.4
(95%CI; 18.4-117.0, p<0.001)
  • 免疫不全:OR=19.1
(95%CI; 7.5-48.3, p<0.001)

注意事項

  • MGUSから多発性骨髄腫へと進行するスコアと、軽鎖MGUSから軽鎖多発性骨髄腫へと進行するスコアがある.
  • 軽鎖MGUSが検出された場合は、軽鎖MGUSのスコアを使用.

参考文献

  1. 一般社団法人 日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版 第三章骨髄腫
  2. A long-term study of prognosis in monoclonal gammopathy of undetermined significance. N Engl J Med. 2002 Feb 21;346(8):564-9. PMID: 11856795
  3. Association of Immune Marker Changes With Progression of Monoclonal Gammopathy of Undetermined Significance to Multiple Myeloma. JAMA Oncol. 2019 Sep 1;5(9):1293-1301. PMID: 31318385.

最終更新:2022年10月14日
監修医師:HOKUTO編集部医師

MGUSの骨髄腫への進展予測スコア
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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MGUSの骨髄腫への進展予測スコア
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2023年08月30日更新
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MGUSの骨髄腫への進展予測スコア

  • MGUSは意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(Monoclonal Gammopathy of Undetermined Significance)の略¹⁾.
  • 多発性骨髄腫(multiple myeloma, MM)は、形質細胞の単クローン性増殖と、その産物である単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)の血清・尿中増加により特徴づけられる疾患¹⁾.
MGUSは、 約1%/年間の割合で多発性骨髄腫や全身性アミロイドーシスへ進行することが知られており、 10年後で12%、 20年後で25%、 25年後で30%の患者で疾患の進行が認められるMGUSに先行する²⁾.

MGUSスコア項目³⁾

  • Mタンパク種類:IgAである +1
  • Mタンパク濃度:≧1500mg/dL +1
  • 血清FLC濃度:<0.1 または >10 +1
(免疫グロブリン遊離L鎖 κ/λ比)
  • 免疫不全の有無 +1~2点
  • 1つの関与していない免疫グロブリンが正常値よりも低い +1
  • 2つ以上の関与していない免疫グロブリンが正常値よりも低い +2

多発性骨髄腫への進展リスク³⁾

  • スコア0~1点:低リスク
  • スコア2点 :中リスク
  • スコア3~5点:高リスク
オリジナル文献ではMMに進展した43人のMGUS患者のうち、 半数(53%) が進展前に「高リスク」と評価されていた. なお、 MMに進行しなかったMGUS対照患者108人のうち、 「高リスク」と評価されたのは1人だけであった. 
高リスクと評価されMMに進展した23人のうちの多く(70%) が、 5年以内に低または中リスクから高リスクMGUSへ移行していた.

スコア項目ごとのオッズ比

  • IgA:OR=1.80
(95%CI; 1.03-3.13, p=0.04)
  • Mタンパク≧1500mg/dL:OR=23.5
(95%CI; 8.9-61.9, p<0.001)
  • FLC比 <0.1または>10:OR=46.4
(95%CI; 18.4-117.0, p<0.001)
  • 免疫不全:OR=19.1
(95%CI; 7.5-48.3, p<0.001)

注意事項

  • MGUSから多発性骨髄腫へと進行するスコアと、軽鎖MGUSから軽鎖多発性骨髄腫へと進行するスコアがある.
  • 軽鎖MGUSが検出された場合は、軽鎖MGUSのスコアを使用.

参考文献

  1. 一般社団法人 日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版 第三章骨髄腫
  2. A long-term study of prognosis in monoclonal gammopathy of undetermined significance. N Engl J Med. 2002 Feb 21;346(8):564-9. PMID: 11856795
  3. Association of Immune Marker Changes With Progression of Monoclonal Gammopathy of Undetermined Significance to Multiple Myeloma. JAMA Oncol. 2019 Sep 1;5(9):1293-1301. PMID: 31318385.

最終更新:2022年10月14日
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