概要
計算
監修医師

CISNE スコアとは?

Clinical Index of Stable Febrile Neutropeniaの略。 2015年にAlberto Carmona Bayonasらスペイン臨床腫瘍学会 支持療法ワーキンググループ*によって開発された、 外来治療を行っている"固形腫瘍患者"で全身状態の良い発熱性好中球減少症 (FN) 患者をリスク分類し、 合併症の予測を目的としたスコアリングシステムである。

*Supportive Care Working Group of the Spanish Society of Medical Oncology

スコアの計算方法¹⁾

以下の項目の合計点で計算される。

- ECOG PS ≧ 2        +2点

- ストレス性高血糖      +2点

血糖値が糖尿病やステロイド投与患者において121mg/dL以上。

- COPD (慢性閉塞性肺疾患)    +1点

肺気腫、 慢性気管支炎、 強制呼気量の減少もしくは酸素療法、 コルチコステロイド、 気管支拡張薬の必要性があること。

- 慢性心血管疾患         +1点

FNで増悪しうる肺性心、 心不全、 心筋症、 高血圧性心疾患、 不整脈、 心臓弁膜症、 またはその他の解剖学的奇形。 単回の心房細動のエピソードは含まない。

- 粘膜障害 ≧ NCI Grade2   +1点

少なくとも斑状の潰瘍または偽膜が存在するか、 または中等度の疼痛があり、 食事療法が適応となるもの。

- 単球 < 200/μL         +1点

J Clin Oncol. 2015 Feb 10;33(5):465-71. より引用

スコアの解釈¹⁾

0点: 低リスク群 (合併症1.1%、 死亡率0%)

1-2点: 中間リスク群 (合併症6.2%、死亡率0%)

≧3点: 高リスク群 (合併症36%、 死亡率 3.1%)

合併症には、 ショック、 急性呼吸不全、 急性腎障害、 せん妄、 不整脈、 急性心不全、 急性腹症、 出血が含まれている。

エビデンス

オリジナル文献の感度・特異度¹⁾

CISNEスコアは、 2012年9月から2014年7月にかけて、 スペインの教育病院24施設とチリの1施設から集められた1,133人の患者を対象とした前向き研究により検証された。

3点以上をカットオフ値とした場合、 重大な合併症を予測するにあたり、 感度78%、 特異度78%、 陽性的中率36%、 陰性的中率は96%であった。

MASCCスコアとの比較¹⁾

CISNEスコアのAUCは0.868 (95% CI 0.827-0.903) で、 MASCCスコアのAUCは0.721 (95%CI 0.669-0.768) であった。 CISNEスコアとMASCCスコアの比較ではP=0.0026であった¹⁾。

>>MASCCスコアはこちら

使用上の注意点

CISNEスコアの対象は、 "臨床的に安定"していると評価される発熱性好中球減少症を有する"固形腫瘍患者"に限定される。

臨床的に安定とは、 急性臓器不全 (腎臓、 心臓、 呼吸器) 、 非代償性の慢性臓器不全、 敗血症性ショックおよび低血圧 (収縮期血圧≦90mmHg) 、 重篤な感染症や入院適応がある重篤な合併症 (肺血栓塞栓症、 不整脈、 DIC、 出血) がないことである。

出典

1) Prediction of serious complications in patients with seemingly stable febrile neutropenia: validation of the Clinical Index of Stable Febrile Neutropenia in a prospective cohort of patients from the FINITE study. J Clin Oncol. 2015 Feb 10;33(5):465-71. PMID: 25559804.

最終更新日 : 2024年3月25日
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固形腫瘍における発熱性好中球減少症のリスク評価
2024年04月05日更新
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CISNE スコアとは?

Clinical Index of Stable Febrile Neutropeniaの略。 2015年にAlberto Carmona Bayonasらスペイン臨床腫瘍学会 支持療法ワーキンググループ*によって開発された、 外来治療を行っている"固形腫瘍患者"で全身状態の良い発熱性好中球減少症 (FN) 患者をリスク分類し、 合併症の予測を目的としたスコアリングシステムである。

*Supportive Care Working Group of the Spanish Society of Medical Oncology

スコアの計算方法¹⁾

以下の項目の合計点で計算される。

- ECOG PS ≧ 2        +2点

- ストレス性高血糖      +2点

血糖値が糖尿病やステロイド投与患者において121mg/dL以上。

- COPD (慢性閉塞性肺疾患)    +1点

肺気腫、 慢性気管支炎、 強制呼気量の減少もしくは酸素療法、 コルチコステロイド、 気管支拡張薬の必要性があること。

- 慢性心血管疾患         +1点

FNで増悪しうる肺性心、 心不全、 心筋症、 高血圧性心疾患、 不整脈、 心臓弁膜症、 またはその他の解剖学的奇形。 単回の心房細動のエピソードは含まない。

- 粘膜障害 ≧ NCI Grade2   +1点

少なくとも斑状の潰瘍または偽膜が存在するか、 または中等度の疼痛があり、 食事療法が適応となるもの。

- 単球 < 200/μL         +1点

J Clin Oncol. 2015 Feb 10;33(5):465-71. より引用

スコアの解釈¹⁾

0点: 低リスク群 (合併症1.1%、 死亡率0%)

1-2点: 中間リスク群 (合併症6.2%、死亡率0%)

≧3点: 高リスク群 (合併症36%、 死亡率 3.1%)

合併症には、 ショック、 急性呼吸不全、 急性腎障害、 せん妄、 不整脈、 急性心不全、 急性腹症、 出血が含まれている。

エビデンス

オリジナル文献の感度・特異度¹⁾

CISNEスコアは、 2012年9月から2014年7月にかけて、 スペインの教育病院24施設とチリの1施設から集められた1,133人の患者を対象とした前向き研究により検証された。

3点以上をカットオフ値とした場合、 重大な合併症を予測するにあたり、 感度78%、 特異度78%、 陽性的中率36%、 陰性的中率は96%であった。

MASCCスコアとの比較¹⁾

CISNEスコアのAUCは0.868 (95% CI 0.827-0.903) で、 MASCCスコアのAUCは0.721 (95%CI 0.669-0.768) であった。 CISNEスコアとMASCCスコアの比較ではP=0.0026であった¹⁾。

>>MASCCスコアはこちら

使用上の注意点

CISNEスコアの対象は、 "臨床的に安定"していると評価される発熱性好中球減少症を有する"固形腫瘍患者"に限定される。

臨床的に安定とは、 急性臓器不全 (腎臓、 心臓、 呼吸器) 、 非代償性の慢性臓器不全、 敗血症性ショックおよび低血圧 (収縮期血圧≦90mmHg) 、 重篤な感染症や入院適応がある重篤な合併症 (肺血栓塞栓症、 不整脈、 DIC、 出血) がないことである。

出典

1) Prediction of serious complications in patients with seemingly stable febrile neutropenia: validation of the Clinical Index of Stable Febrile Neutropenia in a prospective cohort of patients from the FINITE study. J Clin Oncol. 2015 Feb 10;33(5):465-71. PMID: 25559804.

最終更新日 : 2024年3月25日
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