概要
計算
監修医師

治療効果判定規準とは?

本ツールは、 国際骨髄腫作業部会 (IMWG) による統一効果判定規準 (uniform response criteria) を基に作成している¹⁾。

sCR (stringent CR)

CR規準を満たすとともに下記の条件を満たす。 FLC比 (κ/λ) が正常 (0.26~1.65) で、 かつ免疫組織化学、 または2~4カラーのフローサイトメトリーにて骨髄中にclonal plasma cell (PC) を証明しない。

CR (complete response)

免疫固定法にて血清と尿中のM蛋白がともに陰性化、 かつ軟部形質細胞腫の消失、 かつ骨髄中PCが5%未満まで減少。

VGPR (very good partial response)

血清と尿中M蛋白が免疫固定法では検出されるが、 蛋白電気泳動では検出されないか、 または90%以上にM蛋白が減少し、 かつ尿中M蛋白も100mg/24時間未満まで減少。

PR (partialresponse)

血清M蛋白が50%以上減少し、 かつ24時間尿中M蛋白量が90%以上減少するか、 200mg/24時間未満まで減少。 血清と尿中M蛋白が測定可能病変でない場合 (血清M蛋白<1g/dL、 尿中M蛋白<200mg/24時間) には、 M蛋白規準の代わりに血清FLC値のinvolved-uninvolved FLCの差が50%以上減少する必要がある。

血清と尿中M蛋白が測定可能病変ではなく、 かつ血清FLC値も測定可能病変でない場合 (FLC<10mg/dL) に限って、 M蛋白規準の代わりに骨髄中PCが50%以上減少していることを必要とする (ただし治療前の骨髄PC≧30%の場合のみ)。

上記の規準に加えて、 治療前に軟部形質細胞腫が存在した場合には測定可能病変の最長径と直交する短径の積和が50%以上減少していることも必要条件とする。

MR (minor response)*

*European Group for Blood and Marrow Transplantation (EBMT) 規準から採用し 再発難治性骨髄腫の治療効果判定に用いる

下記のすべての項目を満たす

  • 血清M蛋白の≧25%、 <50%の減少、 および24時間尿中M蛋白量の≧50%、<90%の減少
  • 軟部形質細胞腫の≧25%、 <50%の縮小
  • 溶骨病変の増大や数の増加を認めない

SD (stable disease)

CR、 VGPR、 PR、 PD のいずれの規準をも満たさない場合。

PD (progressive disease)

PFS/TTP評価目的の計算に用いる。 効果判定としてのprogressive disease (進行) と、 治療中または治療終了後のdisease progression (増悪) の両者の判定に用いる。 また、 CR到達後の増悪に対しても同じ規準を使用する。

下記項目の1つあるいはそれ以上を満たす場合。

  • 最低値に比して下記の25%以上の増加

血清M蛋白値 (ただし絶対値にして0.5g/dL以上であること) (ベースライン値が5g/dL以上であれば1g/dLのM蛋白増加でよい)、 尿中M蛋白量 (ただし絶対値にして200mg/24時間以上)、 血清あるいは尿中M蛋白値が測定可能病変でない場合はinvolved-uninvolved FLCの差 (ただしinvolved FLCの絶対値が10mg/dL以上であること)、 骨髄中PC% (ただし絶対値で10%以上であること)

  • 明らかな新規の骨病変出現または軟部形質細胞腫の出現、 または既存の骨病変や軟部形質細胞腫の明らかな増大
  • 高Ca血症の出現 (補正血清Ca値≧11.5mg/dL で、 純粋に骨髄腫に起因すると判断される場合)

注意事項

  • すべてのresponse の判定には連続した2回の判定が必要である (判定間隔は問わない)。
  • VGPR以上の判定には、 ベースライン評価で測定可能病変が存在したか否かにかかわらず、 血清M蛋白と尿のM蛋白の両者の検査を必要とする。
  • sCR、 CR判定の目的での骨髄検査は1回の判定のみでよい。
  • Clonal PC の存在は、 κ/λ比をもとに判定する。 最低100以上のPCをカウントしκ/λ比が>4 : 1または<1 : 2である時には異常な比率と判断する。
  • これまでのnear CR判定、 プラトーの定義は用いない。

出典

  1. International uniform response criteria for multiple myeloma. Leukemia 2006; 20 (9) : 1467-73.
  2. Consensus recommendations for the uniform reporting of clinical trials: report of the International Myeloma Working Consensus Panel 1. Blood. 2011; 117 (18) : 4691-5.

最終更新:2025年5月7日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師

多発性骨髄腫の治療効果判定規準
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国際骨髄腫作業部会 (IMWG) による効果判定規準
2025年05月07日更新
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治療効果判定規準とは?

本ツールは、 国際骨髄腫作業部会 (IMWG) による統一効果判定規準 (uniform response criteria) を基に作成している¹⁾。

sCR (stringent CR)

CR規準を満たすとともに下記の条件を満たす。 FLC比 (κ/λ) が正常 (0.26~1.65) で、 かつ免疫組織化学、 または2~4カラーのフローサイトメトリーにて骨髄中にclonal plasma cell (PC) を証明しない。

CR (complete response)

免疫固定法にて血清と尿中のM蛋白がともに陰性化、 かつ軟部形質細胞腫の消失、 かつ骨髄中PCが5%未満まで減少。

VGPR (very good partial response)

血清と尿中M蛋白が免疫固定法では検出されるが、 蛋白電気泳動では検出されないか、 または90%以上にM蛋白が減少し、 かつ尿中M蛋白も100mg/24時間未満まで減少。

PR (partialresponse)

血清M蛋白が50%以上減少し、 かつ24時間尿中M蛋白量が90%以上減少するか、 200mg/24時間未満まで減少。 血清と尿中M蛋白が測定可能病変でない場合 (血清M蛋白<1g/dL、 尿中M蛋白<200mg/24時間) には、 M蛋白規準の代わりに血清FLC値のinvolved-uninvolved FLCの差が50%以上減少する必要がある。

血清と尿中M蛋白が測定可能病変ではなく、 かつ血清FLC値も測定可能病変でない場合 (FLC<10mg/dL) に限って、 M蛋白規準の代わりに骨髄中PCが50%以上減少していることを必要とする (ただし治療前の骨髄PC≧30%の場合のみ)。

上記の規準に加えて、 治療前に軟部形質細胞腫が存在した場合には測定可能病変の最長径と直交する短径の積和が50%以上減少していることも必要条件とする。

MR (minor response)*

*European Group for Blood and Marrow Transplantation (EBMT) 規準から採用し 再発難治性骨髄腫の治療効果判定に用いる

下記のすべての項目を満たす

  • 血清M蛋白の≧25%、 <50%の減少、 および24時間尿中M蛋白量の≧50%、<90%の減少
  • 軟部形質細胞腫の≧25%、 <50%の縮小
  • 溶骨病変の増大や数の増加を認めない

SD (stable disease)

CR、 VGPR、 PR、 PD のいずれの規準をも満たさない場合。

PD (progressive disease)

PFS/TTP評価目的の計算に用いる。 効果判定としてのprogressive disease (進行) と、 治療中または治療終了後のdisease progression (増悪) の両者の判定に用いる。 また、 CR到達後の増悪に対しても同じ規準を使用する。

下記項目の1つあるいはそれ以上を満たす場合。

  • 最低値に比して下記の25%以上の増加

血清M蛋白値 (ただし絶対値にして0.5g/dL以上であること) (ベースライン値が5g/dL以上であれば1g/dLのM蛋白増加でよい)、 尿中M蛋白量 (ただし絶対値にして200mg/24時間以上)、 血清あるいは尿中M蛋白値が測定可能病変でない場合はinvolved-uninvolved FLCの差 (ただしinvolved FLCの絶対値が10mg/dL以上であること)、 骨髄中PC% (ただし絶対値で10%以上であること)

  • 明らかな新規の骨病変出現または軟部形質細胞腫の出現、 または既存の骨病変や軟部形質細胞腫の明らかな増大
  • 高Ca血症の出現 (補正血清Ca値≧11.5mg/dL で、 純粋に骨髄腫に起因すると判断される場合)

注意事項

  • すべてのresponse の判定には連続した2回の判定が必要である (判定間隔は問わない)。
  • VGPR以上の判定には、 ベースライン評価で測定可能病変が存在したか否かにかかわらず、 血清M蛋白と尿のM蛋白の両者の検査を必要とする。
  • sCR、 CR判定の目的での骨髄検査は1回の判定のみでよい。
  • Clonal PC の存在は、 κ/λ比をもとに判定する。 最低100以上のPCをカウントしκ/λ比が>4 : 1または<1 : 2である時には異常な比率と判断する。
  • これまでのnear CR判定、 プラトーの定義は用いない。

出典

  1. International uniform response criteria for multiple myeloma. Leukemia 2006; 20 (9) : 1467-73.
  2. Consensus recommendations for the uniform reporting of clinical trials: report of the International Myeloma Working Consensus Panel 1. Blood. 2011; 117 (18) : 4691-5.

最終更新:2025年5月7日
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