Maddrey判別指数とは、 1978年に Maddreyらによって開発された、 アルコール性肝炎の短期予後を評価し、 副腎皮質ステロイド治療の適応判断に用いる重症度指標である¹⁾。
2023 年の最新 ACG ガイドラインでも重症度判定の指標のひとつとして推奨されている²⁾。
mDF=4.6×(患者PT時間-対照PT時間)+T-Bil (mg/dL)
≧32:重症アルコール性肝炎
<32:非重症アルコール性肝炎
mDFのオリジナル文献は、 Maddreyらの1978年の二重盲検ランダム化試験である。 この研究では、 重症アルコール性肝炎55例を対象にprednisoloneとplaceboが比較され、 重症例ではステロイドが早期死亡を減少させる可能性が示された¹⁾。 mDFはこの試験に基づく重症度評価法として成立し、 その後長く重症アルコール性肝炎の標準的指標となった¹⁾。
2023年のACG Clinical Guidelineでは、 mDFは歴史的に最も広く使われた重症度指標と位置づけられており、 mDF≧32を重症AAHの代表的基準として扱っている²⁾。 一方で同ガイドラインは、 MELDも重症度評価に有用であり、 MELD>20でも重症とみなせると記載している²⁾。 また、 ステロイド開始後はLille scoreで反応性を再評価すべきとされ、 mDFはあくまで初期評価用であることが強調されている²⁾。
Dunnらの2005年研究では、 アルコール性肝炎においてMELDが30日・90日死亡予測に有用であり、 90日死亡予測に対するMELD 21点が感度75%,特異度75%であった³⁾。 この研究では、 MELDとDFの予測能に有意差はなかったものの、 MELDが少なくともmDFに匹敵する実用性をもつことが示された³⁾。
Papastergiouらの2014年の生検証明コホートによる外部検証では、 9種類の短期死亡予測モデルが比較され、 MELD、 DF、 GAHS、 ABIC、 およびステロイド反応性スコアはいずれも有効であった⁴⁾。 その一方で、 MELD-NaなどNaを加えた修正版は古典的MELDに優越しなかったと報告されており、 mDFも依然一定の有効性を保つが、 単独で突出して優れるわけではないと解釈できる⁴⁾。
近年の治療研究では、 mDFは依然として重症AAHの組み入れ基準として使われる。 2024年のKasugaらのパイロット研究では、 ステロイド無反応またはステロイド不耐容の重症AAHを対象にgranulocyte-monocyte/macrophage apheresisが検討されており、 MDF単独というより、 LilleやMELDでステロイド反応不良を評価した後の次の治療戦略が模索されている⁵⁾。 これは、 mDFが現在でも重症度判定の入口として用いられている一方、 治療継続判断には不十分であることを示している⁵⁾。
また、 2024年のFahoumらの研究では、 初回腹水で発症したalcohol-associated liver disease患者の予後因子が検討されており、 臨床現場ではAAH単独ではなく、 腹水、 腎機能障害、 感染などの非腫瘍性イベントが予後を強く左右することが再確認されている⁶⁾。 mDFはこうした合併症を十分に織り込まないため、 進行ALD全体の予後モデルとしては限界がある⁶⁾。
オリジナル開発は 1978 年の限定的な患者集団 (N = 55) での報告であり、 現在の医療標準や治療法とは異なる可能性がある。 特に急性アルコール肝炎患者で開発されたため、 アルコール性肝硬変患者やその他の肝疾患での精度は未検証である。
本ツールはアルコール性肝疾患に特化したスコアであり、 自己免疫性肝炎やウイルス性肝炎などの非アルコール性肝疾患では適用不可である。
線形スコアであるため、 スコア中等度 (30~35) での判別精度の低下が指摘されている。 またスコア変化の臨床的意義は確立していない。
1) Corticosteroid therapy of alcoholic hepatitis. Gastroenterology. 1978 Aug;75(2):193-9. PMID: 352788
最終更新:2026年4月17日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
Maddrey判別指数とは、 1978年に Maddreyらによって開発された、 アルコール性肝炎の短期予後を評価し、 副腎皮質ステロイド治療の適応判断に用いる重症度指標である¹⁾。
2023 年の最新 ACG ガイドラインでも重症度判定の指標のひとつとして推奨されている²⁾。
mDF=4.6×(患者PT時間-対照PT時間)+T-Bil (mg/dL)
≧32:重症アルコール性肝炎
<32:非重症アルコール性肝炎
mDFのオリジナル文献は、 Maddreyらの1978年の二重盲検ランダム化試験である。 この研究では、 重症アルコール性肝炎55例を対象にprednisoloneとplaceboが比較され、 重症例ではステロイドが早期死亡を減少させる可能性が示された¹⁾。 mDFはこの試験に基づく重症度評価法として成立し、 その後長く重症アルコール性肝炎の標準的指標となった¹⁾。
2023年のACG Clinical Guidelineでは、 mDFは歴史的に最も広く使われた重症度指標と位置づけられており、 mDF≧32を重症AAHの代表的基準として扱っている²⁾。 一方で同ガイドラインは、 MELDも重症度評価に有用であり、 MELD>20でも重症とみなせると記載している²⁾。 また、 ステロイド開始後はLille scoreで反応性を再評価すべきとされ、 mDFはあくまで初期評価用であることが強調されている²⁾。
Dunnらの2005年研究では、 アルコール性肝炎においてMELDが30日・90日死亡予測に有用であり、 90日死亡予測に対するMELD 21点が感度75%,特異度75%であった³⁾。 この研究では、 MELDとDFの予測能に有意差はなかったものの、 MELDが少なくともmDFに匹敵する実用性をもつことが示された³⁾。
Papastergiouらの2014年の生検証明コホートによる外部検証では、 9種類の短期死亡予測モデルが比較され、 MELD、 DF、 GAHS、 ABIC、 およびステロイド反応性スコアはいずれも有効であった⁴⁾。 その一方で、 MELD-NaなどNaを加えた修正版は古典的MELDに優越しなかったと報告されており、 mDFも依然一定の有効性を保つが、 単独で突出して優れるわけではないと解釈できる⁴⁾。
近年の治療研究では、 mDFは依然として重症AAHの組み入れ基準として使われる。 2024年のKasugaらのパイロット研究では、 ステロイド無反応またはステロイド不耐容の重症AAHを対象にgranulocyte-monocyte/macrophage apheresisが検討されており、 MDF単独というより、 LilleやMELDでステロイド反応不良を評価した後の次の治療戦略が模索されている⁵⁾。 これは、 mDFが現在でも重症度判定の入口として用いられている一方、 治療継続判断には不十分であることを示している⁵⁾。
また、 2024年のFahoumらの研究では、 初回腹水で発症したalcohol-associated liver disease患者の予後因子が検討されており、 臨床現場ではAAH単独ではなく、 腹水、 腎機能障害、 感染などの非腫瘍性イベントが予後を強く左右することが再確認されている⁶⁾。 mDFはこうした合併症を十分に織り込まないため、 進行ALD全体の予後モデルとしては限界がある⁶⁾。
オリジナル開発は 1978 年の限定的な患者集団 (N = 55) での報告であり、 現在の医療標準や治療法とは異なる可能性がある。 特に急性アルコール肝炎患者で開発されたため、 アルコール性肝硬変患者やその他の肝疾患での精度は未検証である。
本ツールはアルコール性肝疾患に特化したスコアであり、 自己免疫性肝炎やウイルス性肝炎などの非アルコール性肝疾患では適用不可である。
線形スコアであるため、 スコア中等度 (30~35) での判別精度の低下が指摘されている。 またスコア変化の臨床的意義は確立していない。
1) Corticosteroid therapy of alcoholic hepatitis. Gastroenterology. 1978 Aug;75(2):193-9. PMID: 352788
最終更新:2026年4月17日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
・編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師
・各領域の第一線の専門医が複数在籍
・最新トピックに関する独自記事を配信中
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
臨床支援アプリHOKUTOでご利用いただける医療計算ツールのご紹介