概要
計算
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BEST-Jスコア

Bleeding after ESD Trend from Japanの略で、 本邦33施設で行われた多施設共同研究より報告された早期胃癌の内視鏡的粘膜層剥離術(ESD)後の出血予測モデル.

10のリスク項目と各スコア

<抗血小板薬の内服状況>

  • ワーファリンの服薬継続 +4点
  • DOACの服薬継続 +4点
  • P2Y12受容体拮抗薬の服薬継続 +2点*
  • アスピリンの服薬継続 +2点*
  • シロスタゾールの服薬継続 +1点*
  • ESD前に休薬した場合それぞれに-1点*
*抗血小板薬を他の抗血小板薬に置換した場合、もともと服用していた抗血小板のスコアに-1点 (ワーファリンであれば4-1点で3点)、 変更後の抗血小板薬は服用なしを選択 (0点)とする.

<その他のリスク因子>

  • 腫瘍経 ≧30mm +1点
  • 腫瘍が肛門側1/3に局在 +1点
  • 多発腫瘍 +1点
  • 血液透析を伴うCKD +3点

エビデンス¹⁾

derivation cohortとして、早期胃癌に対するESD施行例8,291症例(本邦25施設)から、 多変量ロジスティック回帰分析により潰瘍出血に関連する因子を抽出、 予測モデルを作成した.

その後、 validation cohortとして2,029症例 (本邦8施設)を後向きに登録し、 予測モデルの有用性と妥当性について検討した. 結果、上記の10の要因が候補因子として上がり、それぞれにスコアが設定された.

derivation cohortにおける出血率¹⁾

  • 0点 (n=2923) 出血率2.0%
(95%CI;1.5-2.6)
  • 1点 (n=3344) 出血率3.5%
(95%CI;2.9-4.2)
  • 2点 (n=1059) 出血率6.1%
(95%CI;4.8-7.8)
  • 3点 (n=471) 出血率9.6%
(95%CI;7.1-12.6)
  • 4点 (n=289) 出血率14.5%
(95%CI;10.7-19.1)
  • 5点 (n=123) 出血率21.1%
(95%CI;14.3-29.4)
  • 6点 (n=53) 出血率41.5%
(95%CI;28.1-55.9)
  • 7点 (n=16) 出血率43.8%
(95%CI;19.8-70.1)
  • 8点 (n=10) 出血率50.0%
(95%CI;18.7-81.3)

スコアとリスク層別化

  • 0-1点 :低リスク群 (出血率2.8%)
(95%CI:2.4~3.2)
  • 2点 :中リスク群 (出血率6.1%)
(95%CI:4.8~7.8)
  • 3-4点 :高リスク群 (出血率11.4%)
(95%CI:9.3~13.9)
  • 5点以上:超高リスク群 (出血率29.7%)
(95%CI:23.5~36.5)
Validation cohortでのC統計量は0.70 (95%CI: 0.64-0.76) で,良好な較正を示した (Calibration-in-the-large 0.05,calibration slope 1.01).

注意事項

  1. 抗血小板薬を他の抗血小板薬に置換した場合、もともと服用していた抗血小板のスコアに-1点 (ワーファリンであれば4点-1点で3点とする)、 変更後の抗血小板薬は 「服用なし」を選択 (0点)とする.
  2. 抗血栓薬服用中でヘパリン置換を行った際には、 その抗血栓薬の「服用していたが休薬中」を選択する(ワルファリンをヘパリンへ置換→ワルファリンの「服用していたが休薬中」 を選択).
  3. 抗血栓薬の術前休薬日は、 抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン²⁾ (アスピリン: 3-5日、P2Y12受容体拮抗薬(チエノピリジン): 5-7日、 シロスタゾール: 1日、 ワルファリン: 3-5日、 DOAC: 1-2日) に従っている.

参考文献

  1. Prediction model of bleeding after endoscopic submucosal dissection for early gastric cancer: BEST-J score. Gut. 2021 Mar;70(3):476-484. PMID: 32499390.
  2. 抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン. Gastroenterol Endosc. 2012; 54: 2075-2102

最終更新:2022年10月14日
監修医師:HOKUTO編集部医師

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早期胃癌のESD後の出血予測モデル
2023年11月23日更新
概要
計算

BEST-Jスコア

Bleeding after ESD Trend from Japanの略で、 本邦33施設で行われた多施設共同研究より報告された早期胃癌の内視鏡的粘膜層剥離術(ESD)後の出血予測モデル.

10のリスク項目と各スコア

<抗血小板薬の内服状況>

  • ワーファリンの服薬継続 +4点
  • DOACの服薬継続 +4点
  • P2Y12受容体拮抗薬の服薬継続 +2点*
  • アスピリンの服薬継続 +2点*
  • シロスタゾールの服薬継続 +1点*
  • ESD前に休薬した場合それぞれに-1点*
*抗血小板薬を他の抗血小板薬に置換した場合、もともと服用していた抗血小板のスコアに-1点 (ワーファリンであれば4-1点で3点)、 変更後の抗血小板薬は服用なしを選択 (0点)とする.

<その他のリスク因子>

  • 腫瘍経 ≧30mm +1点
  • 腫瘍が肛門側1/3に局在 +1点
  • 多発腫瘍 +1点
  • 血液透析を伴うCKD +3点

エビデンス¹⁾

derivation cohortとして、早期胃癌に対するESD施行例8,291症例(本邦25施設)から、 多変量ロジスティック回帰分析により潰瘍出血に関連する因子を抽出、 予測モデルを作成した.

その後、 validation cohortとして2,029症例 (本邦8施設)を後向きに登録し、 予測モデルの有用性と妥当性について検討した. 結果、上記の10の要因が候補因子として上がり、それぞれにスコアが設定された.

derivation cohortにおける出血率¹⁾

  • 0点 (n=2923) 出血率2.0%
(95%CI;1.5-2.6)
  • 1点 (n=3344) 出血率3.5%
(95%CI;2.9-4.2)
  • 2点 (n=1059) 出血率6.1%
(95%CI;4.8-7.8)
  • 3点 (n=471) 出血率9.6%
(95%CI;7.1-12.6)
  • 4点 (n=289) 出血率14.5%
(95%CI;10.7-19.1)
  • 5点 (n=123) 出血率21.1%
(95%CI;14.3-29.4)
  • 6点 (n=53) 出血率41.5%
(95%CI;28.1-55.9)
  • 7点 (n=16) 出血率43.8%
(95%CI;19.8-70.1)
  • 8点 (n=10) 出血率50.0%
(95%CI;18.7-81.3)

スコアとリスク層別化

  • 0-1点 :低リスク群 (出血率2.8%)
(95%CI:2.4~3.2)
  • 2点 :中リスク群 (出血率6.1%)
(95%CI:4.8~7.8)
  • 3-4点 :高リスク群 (出血率11.4%)
(95%CI:9.3~13.9)
  • 5点以上:超高リスク群 (出血率29.7%)
(95%CI:23.5~36.5)
Validation cohortでのC統計量は0.70 (95%CI: 0.64-0.76) で,良好な較正を示した (Calibration-in-the-large 0.05,calibration slope 1.01).

注意事項

  1. 抗血小板薬を他の抗血小板薬に置換した場合、もともと服用していた抗血小板のスコアに-1点 (ワーファリンであれば4点-1点で3点とする)、 変更後の抗血小板薬は 「服用なし」を選択 (0点)とする.
  2. 抗血栓薬服用中でヘパリン置換を行った際には、 その抗血栓薬の「服用していたが休薬中」を選択する(ワルファリンをヘパリンへ置換→ワルファリンの「服用していたが休薬中」 を選択).
  3. 抗血栓薬の術前休薬日は、 抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン²⁾ (アスピリン: 3-5日、P2Y12受容体拮抗薬(チエノピリジン): 5-7日、 シロスタゾール: 1日、 ワルファリン: 3-5日、 DOAC: 1-2日) に従っている.

参考文献

  1. Prediction model of bleeding after endoscopic submucosal dissection for early gastric cancer: BEST-J score. Gut. 2021 Mar;70(3):476-484. PMID: 32499390.
  2. 抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン. Gastroenterol Endosc. 2012; 54: 2075-2102

最終更新:2022年10月14日
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