概要
計算
監修医師

急性PTE/DVTに対する初期治療

本邦における推奨を 「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン (2017年改訂版)」などを参照にまとめる。 ただし、患者の状況に応じて過剰な輸液が有害となる場合もありますので、こちらは初期治療の一例として参考とすること [監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人]

①呼吸管理

  • PaO2≦60mmHg (SpO2≦90%) で酸素療法を開始
  • 無効なら、挿管ならびに人工換気を導入
循環器内科や呼吸器内科にコンサルト

 ②循環管理

  • 輸液 (特に急性PTEにおける閉塞性ショックに有効な場合がある)
  • 薬物療法を開始
  • 第1選択:ドパミン・ドブタミン
  • 第2選択:ノルエピネフリン・ノルアドレナリン
  • 薬物療法に反応が悪い進行性血圧低下の場合には、 循環器内科などにコンサルト
  • 心肺停止の場合には、 蘇生処置を行いながら、 速やかに救急部などに応援を依頼

初期治療

自施設で対応困難な場合には、 高次施設や専門他科へ紹介。 
  • 本邦ではヘパリン治療は原則入院に限定¹⁾
  • 急性PTEでは、 強く疑われる場合や確定に時間を要す場合は疑診段階でも初期治療を開始
  • 抗凝固療法が無効な場合には、 循環器内科医・循環器外科医などへコンサルト
 

①直ちに未分画ヘパリン5,000単位 単回静静注

未分画ヘパリンの持続投与

  • PTE: 1,300単位/時 (31,200単位/日) DIV
  • DVT: 10,000~15,000単位/日 24時間でDIV

③APTTコントロール

  • APTTをコントロール値の1.5~2.5倍に調節

使用上の注意点

産婦人科ガイドラインにおいても、 妊産婦に対して同様のフローが推奨されている²⁾ 

関連コンテンツ

📖 薬剤使い分け:DOAC

4剤の適応比較、 腎機能別の用法・用量

📘 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、 治療、 予防に関するガイドライン (2017年改訂版)

日本循環器学会, 日本医学放射線学会, 日本胸部外科学会, 日本血管外科学会, 日本血栓止血学会, 日本呼吸器学会, 日本静脈学会, 日本心臓血管外科学会, 日本心臓病学会, 日本肺高血圧・肺循環学会

📘 産婦人科 診療ガイドライン 産科編 2020

日本産科婦人科学会, 日本産婦人科医会

🔢 急性期DIC診断基準

播種性血管内凝固症候群の診断基準 (日本救急医学会 他)

🔢 日本血栓止血学会の新DIC診断基準

播種性血管内凝固症候群の診断基準 (日本血栓止血学会)

🔢 産科DICスコア

産科的基礎疾患による播種性血管内凝固症候群の診断

🔢 妊娠中のVTEリスク分類

産婦人科診療ガイドライン-産科編2020より

🔢 分娩後のVTEリスク分類

産婦人科診療ガイドライン-産科編2020より

参考文献

  1. 循環器病の診断と治療に関するガイドライン. 「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、 治療、 予防に関するガイドライン (2017年改訂版)」, 2018, 93p
  2. 日本産科婦人科学会, 日本産婦人科医会. 「産婦人科診療ガイドライン-産科編2020」. 2020, p384
最終更新:2023年4月10日
監修医師:HOKUTO編集部医師

急性PTE・DVTに対する初期治療
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
急性PTE・DVTに対する初期治療
急性PTE・DVTに対する初期治療

急性PTE・DVTに対する初期治療

肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の治療
2023年08月27日更新
概要
計算

急性PTE/DVTに対する初期治療

本邦における推奨を 「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン (2017年改訂版)」などを参照にまとめる。 ただし、患者の状況に応じて過剰な輸液が有害となる場合もありますので、こちらは初期治療の一例として参考とすること [監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人]

①呼吸管理

  • PaO2≦60mmHg (SpO2≦90%) で酸素療法を開始
  • 無効なら、挿管ならびに人工換気を導入
循環器内科や呼吸器内科にコンサルト

 ②循環管理

  • 輸液 (特に急性PTEにおける閉塞性ショックに有効な場合がある)
  • 薬物療法を開始
  • 第1選択:ドパミン・ドブタミン
  • 第2選択:ノルエピネフリン・ノルアドレナリン
  • 薬物療法に反応が悪い進行性血圧低下の場合には、 循環器内科などにコンサルト
  • 心肺停止の場合には、 蘇生処置を行いながら、 速やかに救急部などに応援を依頼

初期治療

自施設で対応困難な場合には、 高次施設や専門他科へ紹介。 
  • 本邦ではヘパリン治療は原則入院に限定¹⁾
  • 急性PTEでは、 強く疑われる場合や確定に時間を要す場合は疑診段階でも初期治療を開始
  • 抗凝固療法が無効な場合には、 循環器内科医・循環器外科医などへコンサルト
 

①直ちに未分画ヘパリン5,000単位 単回静静注

未分画ヘパリンの持続投与

  • PTE: 1,300単位/時 (31,200単位/日) DIV
  • DVT: 10,000~15,000単位/日 24時間でDIV

③APTTコントロール

  • APTTをコントロール値の1.5~2.5倍に調節

使用上の注意点

産婦人科ガイドラインにおいても、 妊産婦に対して同様のフローが推奨されている²⁾ 

関連コンテンツ

📖 薬剤使い分け:DOAC

4剤の適応比較、 腎機能別の用法・用量

📘 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、 治療、 予防に関するガイドライン (2017年改訂版)

日本循環器学会, 日本医学放射線学会, 日本胸部外科学会, 日本血管外科学会, 日本血栓止血学会, 日本呼吸器学会, 日本静脈学会, 日本心臓血管外科学会, 日本心臓病学会, 日本肺高血圧・肺循環学会

📘 産婦人科 診療ガイドライン 産科編 2020

日本産科婦人科学会, 日本産婦人科医会

🔢 急性期DIC診断基準

播種性血管内凝固症候群の診断基準 (日本救急医学会 他)

🔢 日本血栓止血学会の新DIC診断基準

播種性血管内凝固症候群の診断基準 (日本血栓止血学会)

🔢 産科DICスコア

産科的基礎疾患による播種性血管内凝固症候群の診断

🔢 妊娠中のVTEリスク分類

産婦人科診療ガイドライン-産科編2020より

🔢 分娩後のVTEリスク分類

産婦人科診療ガイドライン-産科編2020より

参考文献

  1. 循環器病の診断と治療に関するガイドライン. 「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、 治療、 予防に関するガイドライン (2017年改訂版)」, 2018, 93p
  2. 日本産科婦人科学会, 日本産婦人科医会. 「産婦人科診療ガイドライン-産科編2020」. 2020, p384
最終更新:2023年4月10日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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