概要
計算
監修医師

PERCルールとは?

  • Pulmonary Embolism Rule-Out Criteriaの略で、 肺塞栓症除外基準のひとつ.
  • これまでのWellsスコアなどを用いた診療アルゴリズムでは、検査前確率が低い症例に対してもDダイマー偽陽性の結果、 不要な造影CTを撮像せざるを得ない状況がみられた.
  • Dダイマーを用いずに肺塞栓症を除外できないかと検討されたのがPERCルールである¹⁾.

確認項目

全てに該当しなければ肺塞栓否定
  1. 年齢 ≧ 50歳
  2. 心拍数 ≧ 100回/分
  3. SpO₂ < 95%
  4. 片側の下肢腫脹
  5. 血痰
  6. 4週間以内の手術もしくは外傷
  7. 肺血栓塞栓症や深部静脈血栓の既往
  8. エストロゲン製剤などホルモン剤の使用

エビデンス

オリジナル論文の概要¹⁾

  • 対象は、米国救急医が肺塞栓症の評価を要すると考えた患者、 Dダイマー陰性であれば肺塞栓除外できる程度の検査前確率と考えている患者. 除外条件なし.
  • アウトカムは90日以内にVTEの診断・治療を受けること、または死亡.
  • 結果、全て該当した場合、 PEのリスクは1.4%であった(感度96%、特異度27%)

Validationの概要²⁾³⁾

  • 前向き多施設研究で、 PERCを用いることで、画像検査に加えDダイマーすら不要となる症例が約20%存在すると報告された²⁾.
  • 低リスク集団で行われたクラスターランダム化試験「PROPER試験」でも、 PERCルールによる除外戦略は安全に造影CTなどリソース使用を減少させた³⁾.

使用上の注意点

  • PROPER試験³⁾は、 組み込まれた患者の平均年齢が若年であり、 PE有病率が全体で2.3%と低く、 有意な差がで認められなかった可能性があり、 解釈には注意を要する.
  • 入院患者や検査前確立の高い重症患者の検証は行われておらず、 PERCルールを使用できない.

PE診断アルゴリズム例

ショック、呼吸不全、 心エコー異常

肺血栓塞栓症を強く疑う場合はDダイマー不要ですぐに造影CTを行う.

その他の軽症例

PERCルールYEARSアルゴリズム、 Dダイマーから造影CTによる確定診断を行う.

PERC ルール
監修医作成. 本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

参考:YEARSアルゴリズムとは

  • 従来の肺血栓塞栓症診断予測スコアの一つであるmodified Wellsスコアをベースとし、 これまでのvalidation studyで最も予測精度の高かった3項目を選択、 さらにリスクに応じて層別化したD-dimerを併用した予測スコア⁴⁾.
  • Well's+D-dimerの基準と比較し、 感度を落とさず、 特異度を向上させた (感度 98.4% 特異度54.8%)との報告⁴⁾から、本稿ではYEARSアルゴリズムを診療アルゴリズムに掲載した..

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🚑 ERマニュアル|肺血栓塞栓症

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🔢 modified Wellsスコア for PE

🔢 YEARS アルゴリズム

🔢 PERC ルール

🔢 改訂Genevaスコア

🔢 Padua 予測スコア

🔢 PESI スコア

🔢 PESI スコア (簡易版)

📖 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン2017

📖 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 (CTEPH) 診療ガイドライン

参考文献

  1. Clinical criteria to prevent unnecessary diagnostic testing in emergency department patients with suspected pulmonary embolism. J Thromb Haemost. 2004 Aug;2(8):1247-55. PMID: 26903338
  2. Prospective multicenter evaluation of the pulmonary embolism rule-out criteria. J Thromb Haemost. 2008 May;6(5):772-80. PMID: 18318689
  3. Effect of the Pulmonary Embolism Rule-Out Criteria on Subsequent Thromboembolic Events Among Low-Risk Emergency Department Patients: The PROPER Randomized Clinical Trial. JAMA. 2018 Feb 13;319(6):559-566. PMID: 29450523
  4. Simplified diagnostic management of suspected pulmonary embolism (the YEARS study): a prospective, multicentre, cohort study. Lancet. 2017 Jul 15;390(10091):289-297. PMID: 28549662

最終更新:2022年5月26日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

PERC ルール
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
PERC ルール
PERC ルール

PERC ルール

肺血栓塞栓症の除外
2023年09月09日更新
概要
計算

PERCルールとは?

  • Pulmonary Embolism Rule-Out Criteriaの略で、 肺塞栓症除外基準のひとつ.
  • これまでのWellsスコアなどを用いた診療アルゴリズムでは、検査前確率が低い症例に対してもDダイマー偽陽性の結果、 不要な造影CTを撮像せざるを得ない状況がみられた.
  • Dダイマーを用いずに肺塞栓症を除外できないかと検討されたのがPERCルールである¹⁾.

確認項目

全てに該当しなければ肺塞栓否定
  1. 年齢 ≧ 50歳
  2. 心拍数 ≧ 100回/分
  3. SpO₂ < 95%
  4. 片側の下肢腫脹
  5. 血痰
  6. 4週間以内の手術もしくは外傷
  7. 肺血栓塞栓症や深部静脈血栓の既往
  8. エストロゲン製剤などホルモン剤の使用

エビデンス

オリジナル論文の概要¹⁾

  • 対象は、米国救急医が肺塞栓症の評価を要すると考えた患者、 Dダイマー陰性であれば肺塞栓除外できる程度の検査前確率と考えている患者. 除外条件なし.
  • アウトカムは90日以内にVTEの診断・治療を受けること、または死亡.
  • 結果、全て該当した場合、 PEのリスクは1.4%であった(感度96%、特異度27%)

Validationの概要²⁾³⁾

  • 前向き多施設研究で、 PERCを用いることで、画像検査に加えDダイマーすら不要となる症例が約20%存在すると報告された²⁾.
  • 低リスク集団で行われたクラスターランダム化試験「PROPER試験」でも、 PERCルールによる除外戦略は安全に造影CTなどリソース使用を減少させた³⁾.

使用上の注意点

  • PROPER試験³⁾は、 組み込まれた患者の平均年齢が若年であり、 PE有病率が全体で2.3%と低く、 有意な差がで認められなかった可能性があり、 解釈には注意を要する.
  • 入院患者や検査前確立の高い重症患者の検証は行われておらず、 PERCルールを使用できない.

PE診断アルゴリズム例

ショック、呼吸不全、 心エコー異常

肺血栓塞栓症を強く疑う場合はDダイマー不要ですぐに造影CTを行う.

その他の軽症例

PERCルールYEARSアルゴリズム、 Dダイマーから造影CTによる確定診断を行う.

PERC ルール
監修医作成. 本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

参考:YEARSアルゴリズムとは

  • 従来の肺血栓塞栓症診断予測スコアの一つであるmodified Wellsスコアをベースとし、 これまでのvalidation studyで最も予測精度の高かった3項目を選択、 さらにリスクに応じて層別化したD-dimerを併用した予測スコア⁴⁾.
  • Well's+D-dimerの基準と比較し、 感度を落とさず、 特異度を向上させた (感度 98.4% 特異度54.8%)との報告⁴⁾から、本稿ではYEARSアルゴリズムを診療アルゴリズムに掲載した..

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🔢 modified Wellsスコア for PE

🔢 YEARS アルゴリズム

🔢 PERC ルール

🔢 改訂Genevaスコア

🔢 Padua 予測スコア

🔢 PESI スコア

🔢 PESI スコア (簡易版)

📖 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン2017

📖 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 (CTEPH) 診療ガイドライン

参考文献

  1. Clinical criteria to prevent unnecessary diagnostic testing in emergency department patients with suspected pulmonary embolism. J Thromb Haemost. 2004 Aug;2(8):1247-55. PMID: 26903338
  2. Prospective multicenter evaluation of the pulmonary embolism rule-out criteria. J Thromb Haemost. 2008 May;6(5):772-80. PMID: 18318689
  3. Effect of the Pulmonary Embolism Rule-Out Criteria on Subsequent Thromboembolic Events Among Low-Risk Emergency Department Patients: The PROPER Randomized Clinical Trial. JAMA. 2018 Feb 13;319(6):559-566. PMID: 29450523
  4. Simplified diagnostic management of suspected pulmonary embolism (the YEARS study): a prospective, multicentre, cohort study. Lancet. 2017 Jul 15;390(10091):289-297. PMID: 28549662

最終更新:2022年5月26日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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