概要
計算
監修医師

ダイアモンド・ブラックファン貧血

Diamond-Blackfan anemiaは、 乳児期に発症し、 赤血球造血のみが障害される先天性の赤芽球癆である。  DBA、 先天性赤芽球癆とも呼ばれる。

診断基準 (平成30年12月改定)

なお、 厚生労働省の申請基準には旧版が用いられている。 平成30年度改訂版との違いを注釈で表記する。

診断のカテゴリー

Definite  Aの5項目のうち、 4項目以上を満たす

Probable 下記の①~②のいずれかを満たす

① Aのうち3項目+Bのうち1つの大あるいは2つの小支持基準

② Aのうち2項目+Bのうち3つの小支持基準

指定難病申請は「Definite」「Probable」が対象
旧版では診断基準の条件が異なる
Definite:Aの4項目を全て満たす
Probable:①から③のいずれかを満たす
 ① Aのうち3項目+Bのうち1つの大あるいは2つの小支持基準
 ② Aのうち2項目+Bのうち2つの大あるいは3つの小支持基準
 ③ Bのうち2つの大支持基準。

A. 診断基準

  1. 1歳未満発症
  2. 大球性貧血 (あるいは正球性貧血) で他の2系の血球減少を認めない
  3. 網赤血球減少
  4. 赤芽球前駆細胞消失を伴う正形成骨髄所見
  5. 古典的DBAに見られた遺伝子変異*¹
*¹古典的DBAに見られた遺伝子変異
RPS7、 RPS10、 RPS15、RPS15A、RPS17、 RPS19、RPS24、 RPS26、 RPS27、RPS27A、RPS28、RPS29、 RPL5、 RPL9、RPL11、RPL15、RPL18、RPL26、RPL27、RPS29、RPL31、RPL35、RPL35A、TSR2、 GATA1、EPO
旧版では5.古典的DBAに見られた遺伝子変異の記載なし
ただし、別項目に遺伝子変異の記載あり (RPS7、 RPS10、 RPS17、 RPS19、 RPS24、 RPS26、 RPS27、 RPS29、 RPL5、 RPL11、 RPL26、 RPL27、 RPL35A、 GATA1)

B.診断を支持する基準

大支持基準

  • 家族歴

小支持基準

  • 赤血球アデノシンデアミナーゼ活性 (eADA) または還元型グルタチオン (eGSH) の高値*²
  • 古典的DBAにみられる先天奇形 *³
  • HbF上昇
  • 他の先天性骨髄不全症候群の証拠がない
*² eADAとeGSHを同時測定し、 SVM法による判別式により判定する³⁾
*³ DBAにみられる合併奇形については別項目参照

DBAにみられる合併奇形

▼頭部、 顔面、 口蓋

両眼隔離症、 口蓋裂、 高口蓋、 小頭症、 小顎症、 小耳症、 耳低位、 内眼角ぜい皮、 眼瞼下垂など 

▼上肢

拇指骨数過多症、 重複拇指、 拇指低形成,平坦拇指球、 合指症、 橈骨動脈欠損 

▼腎、 泌尿器 

腎臓欠損、 馬蹄腎、 腎低形成 

▼心・肺

心室中隔欠損、 心房中隔欠損、 大動脈縮窄、 複雑心奇形 

▼その他 

頚部 短頸、 翼状頸 
眼 先天性緑内障、 斜視、 先天性白内障 
神経系 学習障害 
低身長
旧版では、大支持基準が異なり、鑑別疾患の項が設けられている
大支持基準
1.古典的DBAに見られた遺伝子変異を有する。
2.家族歴を有する。
鑑別診断
以下の疾患を鑑別する。
Transient erythroblastopenia of childhood (TEC) 、 先天性角化不全症、 シュワッハマン・ダイアモンド症候群、 先天性無巨核球性血小板減少症、 ピアソン症候群

重症度分類 (平成29年12月改訂)

指定難病申請は「stage2以上」が対象
症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない場合でも、 高額な医療を継続することが必要な者については、 医療費助成の対象
なお、 厚生労働省の申請基準には平成26年度版が用いられている。 平成29年度改訂版との違いを注釈で表記する。

stage1 (軽症) 

輸血非依存性で薬物療法を必要としない 

stage2 (やや軽症)

輸血非依存性だが、 ステロイド以外の薬物療法が必要 

stage3 (中等症) ステロイド依存性*¹ 

stage4 (重症) 定期的な赤血球輸血が必要*²

stage5 (最重症) 悪性腫瘍の合併*³

*¹ ステロイド依存性とは、 Hb濃度8.0 ~10.0 g/dL を維持するのにステロイドの連日あるいは隔日投与が必要なときを指す
*² 定期的な赤血球輸血とは、 Hb濃度 8.0 g/dL を維持するのに2~8週毎の輸血が必要なときを指す
*³ 骨髄異形成症候群 (MDS) 、 白血病、 大腸癌、 骨肉腫、 女性器癌などの悪性疾患を合併した場合は最重症とする
平成26年度改定版ではstage 5の記載無し、注釈が一部異なる

関連コンテンツ

📘 造血細胞移植ガイドライン|遺伝性骨髄不全症候群 (第2版)

日本造血細胞移植学会

参考文献

  1. 厚生労働省. 「平成27年7月1日施行の指定難病 (告示番号111~306) ダイアモンド・ブラックファン貧血 概要・診断基準等」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000157239.docx (参照2023-4-4)
  2. Diamond-Blackfan貧血の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ. 「Diamond-Blackfan貧血診療の参照ガイド 令和1年改訂版」. 2019. 9p
  3. Erythrocyte glutathione is a novel biomarker of Diamond-Blackfan anemia. Blood Cells Mol Dis. 2016 Jul;59:31-6. PMID: 27282564
最終更新:2023年4月4日 
監修医師:HOKUTO編集部医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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指定難病284
2023年04月05日更新
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Diamond-Blackfan anemiaは、 乳児期に発症し、 赤血球造血のみが障害される先天性の赤芽球癆である。  DBA、 先天性赤芽球癆とも呼ばれる。

診断基準 (平成30年12月改定)

なお、 厚生労働省の申請基準には旧版が用いられている。 平成30年度改訂版との違いを注釈で表記する。

診断のカテゴリー

Definite  Aの5項目のうち、 4項目以上を満たす

Probable 下記の①~②のいずれかを満たす

① Aのうち3項目+Bのうち1つの大あるいは2つの小支持基準

② Aのうち2項目+Bのうち3つの小支持基準

指定難病申請は「Definite」「Probable」が対象
旧版では診断基準の条件が異なる
Definite:Aの4項目を全て満たす
Probable:①から③のいずれかを満たす
 ① Aのうち3項目+Bのうち1つの大あるいは2つの小支持基準
 ② Aのうち2項目+Bのうち2つの大あるいは3つの小支持基準
 ③ Bのうち2つの大支持基準。

A. 診断基準

  1. 1歳未満発症
  2. 大球性貧血 (あるいは正球性貧血) で他の2系の血球減少を認めない
  3. 網赤血球減少
  4. 赤芽球前駆細胞消失を伴う正形成骨髄所見
  5. 古典的DBAに見られた遺伝子変異*¹
*¹古典的DBAに見られた遺伝子変異
RPS7、 RPS10、 RPS15、RPS15A、RPS17、 RPS19、RPS24、 RPS26、 RPS27、RPS27A、RPS28、RPS29、 RPL5、 RPL9、RPL11、RPL15、RPL18、RPL26、RPL27、RPS29、RPL31、RPL35、RPL35A、TSR2、 GATA1、EPO
旧版では5.古典的DBAに見られた遺伝子変異の記載なし
ただし、別項目に遺伝子変異の記載あり (RPS7、 RPS10、 RPS17、 RPS19、 RPS24、 RPS26、 RPS27、 RPS29、 RPL5、 RPL11、 RPL26、 RPL27、 RPL35A、 GATA1)

B.診断を支持する基準

大支持基準

  • 家族歴

小支持基準

  • 赤血球アデノシンデアミナーゼ活性 (eADA) または還元型グルタチオン (eGSH) の高値*²
  • 古典的DBAにみられる先天奇形 *³
  • HbF上昇
  • 他の先天性骨髄不全症候群の証拠がない
*² eADAとeGSHを同時測定し、 SVM法による判別式により判定する³⁾
*³ DBAにみられる合併奇形については別項目参照

DBAにみられる合併奇形

▼頭部、 顔面、 口蓋

両眼隔離症、 口蓋裂、 高口蓋、 小頭症、 小顎症、 小耳症、 耳低位、 内眼角ぜい皮、 眼瞼下垂など 

▼上肢

拇指骨数過多症、 重複拇指、 拇指低形成,平坦拇指球、 合指症、 橈骨動脈欠損 

▼腎、 泌尿器 

腎臓欠損、 馬蹄腎、 腎低形成 

▼心・肺

心室中隔欠損、 心房中隔欠損、 大動脈縮窄、 複雑心奇形 

▼その他 

頚部 短頸、 翼状頸 
眼 先天性緑内障、 斜視、 先天性白内障 
神経系 学習障害 
低身長
旧版では、大支持基準が異なり、鑑別疾患の項が設けられている
大支持基準
1.古典的DBAに見られた遺伝子変異を有する。
2.家族歴を有する。
鑑別診断
以下の疾患を鑑別する。
Transient erythroblastopenia of childhood (TEC) 、 先天性角化不全症、 シュワッハマン・ダイアモンド症候群、 先天性無巨核球性血小板減少症、 ピアソン症候群

重症度分類 (平成29年12月改訂)

指定難病申請は「stage2以上」が対象
症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない場合でも、 高額な医療を継続することが必要な者については、 医療費助成の対象
なお、 厚生労働省の申請基準には平成26年度版が用いられている。 平成29年度改訂版との違いを注釈で表記する。

stage1 (軽症) 

輸血非依存性で薬物療法を必要としない 

stage2 (やや軽症)

輸血非依存性だが、 ステロイド以外の薬物療法が必要 

stage3 (中等症) ステロイド依存性*¹ 

stage4 (重症) 定期的な赤血球輸血が必要*²

stage5 (最重症) 悪性腫瘍の合併*³

*¹ ステロイド依存性とは、 Hb濃度8.0 ~10.0 g/dL を維持するのにステロイドの連日あるいは隔日投与が必要なときを指す
*² 定期的な赤血球輸血とは、 Hb濃度 8.0 g/dL を維持するのに2~8週毎の輸血が必要なときを指す
*³ 骨髄異形成症候群 (MDS) 、 白血病、 大腸癌、 骨肉腫、 女性器癌などの悪性疾患を合併した場合は最重症とする
平成26年度改定版ではstage 5の記載無し、注釈が一部異なる

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📘 造血細胞移植ガイドライン|遺伝性骨髄不全症候群 (第2版)

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参考文献

  1. 厚生労働省. 「平成27年7月1日施行の指定難病 (告示番号111~306) ダイアモンド・ブラックファン貧血 概要・診断基準等」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000157239.docx (参照2023-4-4)
  2. Diamond-Blackfan貧血の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ. 「Diamond-Blackfan貧血診療の参照ガイド 令和1年改訂版」. 2019. 9p
  3. Erythrocyte glutathione is a novel biomarker of Diamond-Blackfan anemia. Blood Cells Mol Dis. 2016 Jul;59:31-6. PMID: 27282564
最終更新:2023年4月4日 
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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