概要
計算
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2020年改訂IgG4関連疾患包括診断基準とは?

2020年改訂IgG4関連疾患包括診断基準とは、 梅原久範らによる厚生労働省難治性疾患等政策研究事業「IgG4関連疾患研究班」によって作成され、 2021年にModern Rheumatologyおよび日本内科学会雑誌に公表された診断基準である¹⁾²⁾。

スコアの計算方法¹⁾²⁾

2020年改訂包括診断基準は、 3つの項目を組み合わせて診断する。

1 臨床的及び画像的診断

単一*または複数臓器に特徴的なびまん性あるいは限局性腫大、腫瘤、結節、肥厚性病変を認める

*リンパ節が単独病変の場合は除く

2 血清学的診断

高IgG4血症 (135mg/dL以上) を認める

3 病理学的診断

以下の3項目中2つを満たす

a. 著明なリンパ球、 形質細胞の浸潤と線維化を認める

b. IgG4陽性形質細胞浸潤

IgG4/IgG陽性細胞比40%以上かつIgG4陽性形質細胞が10/HPFを超える

c. 特徴的な線維化、特に花莚状線維化あるいは閉塞性静脈炎のいずれかを認める

診断方法¹⁾²⁾

・ 1+2+3を満たすもの:確定診断群 (definite)

・ 1+3を満たすもの :準確診群 (probable)

・ 1+2を満たすもの :疑診群(possilble)

本基準で、 準確診群 (probable)、 疑診群 (possible) であってもIgG4関連疾患臓器別診断基準で確定診断されたものは、 IgG4関連疾患確診群 (definite) と判断する

エビデンス

IgG4-関連疾患疑いで入院した50例 (IgG4-関連疾患 42例、 非IgG4-関連疾患 8例) を対象に,2019 ACR/EULAR分類基準と2020 関連疾患包括診断基準の性能が比較された³⁾。 このコホートにおける2019 ACR/EULAR分類基準の感度は88.1%、 特異度は87.5%であり、 一方2020 関連疾患包括診断基準の感度は100%、 特異度は50%であった。 両基準間の一致度を示すκ係数は0.43であった³⁾。

使用上の注意

悪性腫瘍 (癌、 悪性リンパ腫)、 Sjögren症候群、 原発性硬化性胆管炎、 Castleman病、 多発血管炎性肉芽腫症、 サルコイドーシス、 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症などの除外が明記されている²⁾。高熱、 高CRP、 好中球増多を伴う症例では、 まず感染症や他の炎症性疾患を優先して評価すべきである。

出典

1) The 2020 revised comprehensive diagnostic (RCD) criteria for IgG4-RD. Mod Rheumatol. 2021 May;31(3):529-533. PMID: 33274670

2) 梅原久範 他. 2020年改訂 IgG4関連疾患包括診断基準-The 2020 Revised Comprehensive Diagnostic (RCD) Criteria for IgG4-RD - . 日内会誌 110 : 962~969, 2021.

3) Performance of classification and diagnostic criteria for IgG4-related disease and comparison of patients with and without IgG4-related disease. Sci Rep. 2023 Feb 13;13(1):2509. PMID: 36782006.

最終更新日 : 2025年11月20日
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2020改訂 IgG4関連疾患包括診断基準
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IgG4関連疾患の診断基準
2025年12月15日更新
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2020年改訂IgG4関連疾患包括診断基準とは?

2020年改訂IgG4関連疾患包括診断基準とは、 梅原久範らによる厚生労働省難治性疾患等政策研究事業「IgG4関連疾患研究班」によって作成され、 2021年にModern Rheumatologyおよび日本内科学会雑誌に公表された診断基準である¹⁾²⁾。

スコアの計算方法¹⁾²⁾

2020年改訂包括診断基準は、 3つの項目を組み合わせて診断する。

1 臨床的及び画像的診断

単一*または複数臓器に特徴的なびまん性あるいは限局性腫大、腫瘤、結節、肥厚性病変を認める

*リンパ節が単独病変の場合は除く

2 血清学的診断

高IgG4血症 (135mg/dL以上) を認める

3 病理学的診断

以下の3項目中2つを満たす

a. 著明なリンパ球、 形質細胞の浸潤と線維化を認める

b. IgG4陽性形質細胞浸潤

IgG4/IgG陽性細胞比40%以上かつIgG4陽性形質細胞が10/HPFを超える

c. 特徴的な線維化、特に花莚状線維化あるいは閉塞性静脈炎のいずれかを認める

診断方法¹⁾²⁾

・ 1+2+3を満たすもの:確定診断群 (definite)

・ 1+3を満たすもの :準確診群 (probable)

・ 1+2を満たすもの :疑診群(possilble)

本基準で、 準確診群 (probable)、 疑診群 (possible) であってもIgG4関連疾患臓器別診断基準で確定診断されたものは、 IgG4関連疾患確診群 (definite) と判断する

エビデンス

IgG4-関連疾患疑いで入院した50例 (IgG4-関連疾患 42例、 非IgG4-関連疾患 8例) を対象に,2019 ACR/EULAR分類基準と2020 関連疾患包括診断基準の性能が比較された³⁾。 このコホートにおける2019 ACR/EULAR分類基準の感度は88.1%、 特異度は87.5%であり、 一方2020 関連疾患包括診断基準の感度は100%、 特異度は50%であった。 両基準間の一致度を示すκ係数は0.43であった³⁾。

使用上の注意

悪性腫瘍 (癌、 悪性リンパ腫)、 Sjögren症候群、 原発性硬化性胆管炎、 Castleman病、 多発血管炎性肉芽腫症、 サルコイドーシス、 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症などの除外が明記されている²⁾。高熱、 高CRP、 好中球増多を伴う症例では、 まず感染症や他の炎症性疾患を優先して評価すべきである。

出典

1) The 2020 revised comprehensive diagnostic (RCD) criteria for IgG4-RD. Mod Rheumatol. 2021 May;31(3):529-533. PMID: 33274670

2) 梅原久範 他. 2020年改訂 IgG4関連疾患包括診断基準-The 2020 Revised Comprehensive Diagnostic (RCD) Criteria for IgG4-RD - . 日内会誌 110 : 962~969, 2021.

3) Performance of classification and diagnostic criteria for IgG4-related disease and comparison of patients with and without IgG4-related disease. Sci Rep. 2023 Feb 13;13(1):2509. PMID: 36782006.

最終更新日 : 2025年11月20日
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