CAHPスコアとは？

CAHP (Cardiac Arrest Hospital Prognosis) は､ 2015年にCarole Maupainらによって開発された院外心停止 (OHCA) 後の神経学的転帰を予測するためのツールである¹⁾｡ このスコアは､ OHCAから集中治療室に入院した患者のリスクを層別化し､ 退院時の不良な神経学的転帰を予測するために使用される。

計算方法

以下の7つの要素から成り立っている｡

• 年齢

+1.1 * (年齢-10)

• 心停止場所

自宅 +24 公共の場 +0

• 初期波形

shockable + 0､ nonshockable +27

• 倒れてからBLSまでの時間 (no flow time)

+2.8 × 分

• BLSからROSCまでの時間 心肺蘇生時間 (low flow time）

+0.8 × 分

• 病着時の動脈血pH値

+585 - (77 * pH)

• アドレナリン投与

計1mg +0､ 1mg~2mg +27､ ≧3mg +43

結果の解釈

上記変数に点数が割り振られ､ その合計点で評価する｡ CAHPスコアはCPC3(重度の障害)､ CPC4 (植物状態)､ およびCPC5 (死亡) を不良な神経学的転帰と定義している｡

• <150：低リスク (神経予後不良 39%)
• 150~<200：中リスク (神経予後不良 81%)
• ≧200：高リスク (神経予後不良 100%)

エビデンス

CAHPスコアは､ パリのSudden Death Expertise Centerのレジストリデータを基に開発され､ 819人の患者を対象にしたデータセットで検証された¹⁾｡ スコアのAUC は0.93で､ 外部データセットにおいても高い予測精度が確認された (AUC 0.91と0.85)¹⁾｡ 特にスコア200以上の患者ではほぼ確実に不良な転帰 (CPC 3~5) となることが確認されている¹⁾｡

使用上の注意点

CAHP (Cardiac Arrest Hospital Prognosis) スコアは､ 予後予測のための補助的なツールであり､ 単独で判断せず総合的に判断する必要がある｡

関連コンテンツ

🔢 CASTスコア

PCAS(心停止後症候群)の神経学的予後予測

🔢 rCASTスコア

PCAS(心停止後症候群)の神経学的予後予測

🔢 CAHPスコア

心肺停止蘇生後の神経予後予測

🔢 GOS (Glasgow Outcome Scale)

脳損傷後の機能的転帰評価

🔢 CPC / OPC

心肺蘇生後患者の機能評価

出典

1) The CAHP (Cardiac Arrest Hospital Prognosis) score: a tool for risk stratification after out-of-hospital cardiac arrest. Eur Heart J. 2016 Nov 7;37(42):3222-3228. PMID: 26497161

最終更新：2024年12月11日

監修医師：HOKUTO編集部監修医師