概要
計算
監修医師

Larsenの病期分類とは?

1977年にLarsenによって開発された関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis、 RA)のレントゲン写真評価法¹⁾。 

四肢関節のRAとその関連疾患の評価のための標準的な参照フィルムを使用し、 患者の個々の関節について、 関節炎の数値的な評価が行われる。 

対象患者はRAを有する患者で、 主に診断や治療経過の評価、 予後の把握などの状況で利用される。

Grade

以下の6段階で関節炎の進行度を評価する

Grade 0 (正常な状態)

関節炎と関係のない変化があってもよい

Grade I (軽度の異常)

次の1つ以上が存在

  • 関節周辺軟部組織の腫脹
  • 関節周囲の骨粗鬆症
  • 軽度の関節裂隙狭小化

Grade II (初期変化)

骨びらんと関節裂隙狭小化が見られる。 荷重関節の骨びらんは除外する

Grade III (中等度の破壞性変化)

骨びらんと関節裂隙狭小化があり、 荷重関節の骨びらんはいずれの関節にもみられる

Grade IV (高度の破壞性変化)

骨びらんと関節裂隙狭小化があり、 荷重関節に骨変形が見られる

Grade V (ムチランス型変形)

本来の関節構造が消失し、 荷重関節に著しい変化が見られるが、 脱臼や骨性強直は分類には考慮しない

使用上の注意点

  1. Larsenのグレード分類は、 RAの進行度や活動度の評価に有用である。 進行度が高いほど、 関節リウマチの重症度が高く、 治療上の困難性が増す。
  2. 画像解釈の主観性: レントゲン写真の解釈には個人差があるため、 評価者間での一貫性を確保するために研修やカンファレンスが必要である。
  3. 限定的な関節評価: Larsenのgrade分類は四肢関節を対象としているため、 全身的な病変評価には限定的である。 他の評価法と併用することが推奨される。
  4. 進行度の評価における限界: Larsenのgrade分類は進行度の評価に有用であるが、 短期間での変化を評価する際には限界がある。 短期間での変化を評価する場合は、 他の評価法と併用することが望ましい。

関連コンテンツ

🔢 関節リウマチ分類基準 (2010)

ACR/EULAR RA分類基準 (2010)

🔢 CDAI (関節リウマチ)

関節リウマチの疾患活動性評価

🔢 SDAI (関節リウマチ)

関節リウマチの疾患活動性評価

🔢 DAS28-CRP

関節リウマチの活動性評価法

🔢 DAS28-ESR

関節リウマチの活動性評価法

🔢 Larsenの病期分類

関節リウマチにおける関節破壊の評価

🔢 Steinbrockerの病期分類

関節リウマチにおける関節破壊の評価

📘 関節リウマチ診療ガイドライン2020

日本リウマチ学会,厚生労働行政推進調査事業費 (免疫・アレルギー疾患政策研究事業) 我が国の関節リウマチ診療の標準化に関する臨床疫学研究班

参考文献

  1. Jacobsen S, Larsen TL. Radiographic evaluation of rheumatoid arthritis and related conditions by standard reference films. Acta Radiol Diagn (Stockh). 1977 Jul;18(4):481-91. PMID: 920239
最終更新:2023年4月27日
監修医師:HOKUTO編集部医師

Larsenの病期分類
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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関節リウマチにおける関節破壊の評価
2023年09月08日更新
概要
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Larsenの病期分類とは?

1977年にLarsenによって開発された関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis、 RA)のレントゲン写真評価法¹⁾。 

四肢関節のRAとその関連疾患の評価のための標準的な参照フィルムを使用し、 患者の個々の関節について、 関節炎の数値的な評価が行われる。 

対象患者はRAを有する患者で、 主に診断や治療経過の評価、 予後の把握などの状況で利用される。

Grade

以下の6段階で関節炎の進行度を評価する

Grade 0 (正常な状態)

関節炎と関係のない変化があってもよい

Grade I (軽度の異常)

次の1つ以上が存在

  • 関節周辺軟部組織の腫脹
  • 関節周囲の骨粗鬆症
  • 軽度の関節裂隙狭小化

Grade II (初期変化)

骨びらんと関節裂隙狭小化が見られる。 荷重関節の骨びらんは除外する

Grade III (中等度の破壞性変化)

骨びらんと関節裂隙狭小化があり、 荷重関節の骨びらんはいずれの関節にもみられる

Grade IV (高度の破壞性変化)

骨びらんと関節裂隙狭小化があり、 荷重関節に骨変形が見られる

Grade V (ムチランス型変形)

本来の関節構造が消失し、 荷重関節に著しい変化が見られるが、 脱臼や骨性強直は分類には考慮しない

使用上の注意点

  1. Larsenのグレード分類は、 RAの進行度や活動度の評価に有用である。 進行度が高いほど、 関節リウマチの重症度が高く、 治療上の困難性が増す。
  2. 画像解釈の主観性: レントゲン写真の解釈には個人差があるため、 評価者間での一貫性を確保するために研修やカンファレンスが必要である。
  3. 限定的な関節評価: Larsenのgrade分類は四肢関節を対象としているため、 全身的な病変評価には限定的である。 他の評価法と併用することが推奨される。
  4. 進行度の評価における限界: Larsenのgrade分類は進行度の評価に有用であるが、 短期間での変化を評価する際には限界がある。 短期間での変化を評価する場合は、 他の評価法と併用することが望ましい。

関連コンテンツ

🔢 関節リウマチ分類基準 (2010)

ACR/EULAR RA分類基準 (2010)

🔢 CDAI (関節リウマチ)

関節リウマチの疾患活動性評価

🔢 SDAI (関節リウマチ)

関節リウマチの疾患活動性評価

🔢 DAS28-CRP

関節リウマチの活動性評価法

🔢 DAS28-ESR

関節リウマチの活動性評価法

🔢 Larsenの病期分類

関節リウマチにおける関節破壊の評価

🔢 Steinbrockerの病期分類

関節リウマチにおける関節破壊の評価

📘 関節リウマチ診療ガイドライン2020

日本リウマチ学会,厚生労働行政推進調査事業費 (免疫・アレルギー疾患政策研究事業) 我が国の関節リウマチ診療の標準化に関する臨床疫学研究班

参考文献

  1. Jacobsen S, Larsen TL. Radiographic evaluation of rheumatoid arthritis and related conditions by standard reference films. Acta Radiol Diagn (Stockh). 1977 Jul;18(4):481-91. PMID: 920239
最終更新:2023年4月27日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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