HEARTスコアとは、 病歴、 12誘導心電図、 年齢、 危険因子、 トロポニン値という5つの項目をスコア化して胸痛患者の重大心イベント (MACE※) のリスクを3段階に層別化するためのスケールである¹⁾。
以下の5つの項目をそれぞれ0~2点にスコア化し、 合算することでMACEのリスクを予測する。
H:病歴
E:心電図
A:年齢
R:危険因子
T:トロポニン
最低0点、 最高10点でスコア化し、 0~3は低リスク、 4~6は中等度リスク、 7~10は高リスクと評価される。 低リスク患者はMACEのリスクが低く、 追加の検査や入院による経過観察が不要と判断されるが、 中等度リスクや高リスク患者は慎重な経過観察を要し、 緊急的な治療が必要となる可能性があると判断される¹⁾²⁾。 現在では、 HEARTスコアによるMACEに対する感度を高めるため、 HEARTスコアと3時間後のトロポニン値の追加測定を組み合わせた 「HEARTパスウェイ」 が開発されている。
胸痛は救急外来において頻度が高い症状の一つである。 重篤化するケースも多いため、 医学的評価のために検査や慎重な経過観察が必要となる。 HEARTスコアは、 胸痛患者のMACEのリスクを簡易的に評価するため2008年に開発された。 初療時にMACEのリスクを評価することでそれぞれに適した経過観察や対応が可能になると考えられ、 世界的に広く使用されている。
HEARTスコアにおいて、 低リスク患者 (スコア3以下) のMACE発生率は1.7%と低く、 中等度リスク患者 (スコア4~6) および高リスク患者 (スコア7~10) のMACE発生率はそれぞれ12~17%、 50~56%であるとされる¹⁾²⁾³。
HEARTスコアが提唱される前は、 胸痛患者のリスク評価にGRACEスコアやTIMIスコアが使用されていきた。 これらのスケールは侵襲的な治療の必要性を評価するために用いられ、 実質的には高リスク患者を対象として開発された。 一方、 HEARTスコアは、 低リスク患者も含めて層別化することでMACEを見逃すケースが少なくなることが示されている¹⁾。
HEARTスコアは胸痛患者のMACEに対するリスクを層別化して評価することができる。 追加検査の必要性や経過観察の重要性などを判断する指標に有用とされ、 従来使用されてきた胸痛患者に対する予測スコアと比較してMACEを見逃す可能性が低くなることも示されている。 しかし、 胸痛患者の治療方針を決定するためにはHEARTスコアによる評価だけでなく、 患者が訴える症状や検査結果から総合的に判断を下さなければならない。
1) The HEART score: A guide to its application in the emergency department: Turk J Emerg Med. 2018 Jun; 18(2): 47–51. PMID: 29922729
最終更新日 : 2023年12月27日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
HEARTスコアとは、 病歴、 12誘導心電図、 年齢、 危険因子、 トロポニン値という5つの項目をスコア化して胸痛患者の重大心イベント (MACE※) のリスクを3段階に層別化するためのスケールである¹⁾。
以下の5つの項目をそれぞれ0~2点にスコア化し、 合算することでMACEのリスクを予測する。
H:病歴
E:心電図
A:年齢
R:危険因子
T:トロポニン
最低0点、 最高10点でスコア化し、 0~3は低リスク、 4~6は中等度リスク、 7~10は高リスクと評価される。 低リスク患者はMACEのリスクが低く、 追加の検査や入院による経過観察が不要と判断されるが、 中等度リスクや高リスク患者は慎重な経過観察を要し、 緊急的な治療が必要となる可能性があると判断される¹⁾²⁾。 現在では、 HEARTスコアによるMACEに対する感度を高めるため、 HEARTスコアと3時間後のトロポニン値の追加測定を組み合わせた 「HEARTパスウェイ」 が開発されている。
胸痛は救急外来において頻度が高い症状の一つである。 重篤化するケースも多いため、 医学的評価のために検査や慎重な経過観察が必要となる。 HEARTスコアは、 胸痛患者のMACEのリスクを簡易的に評価するため2008年に開発された。 初療時にMACEのリスクを評価することでそれぞれに適した経過観察や対応が可能になると考えられ、 世界的に広く使用されている。
HEARTスコアにおいて、 低リスク患者 (スコア3以下) のMACE発生率は1.7%と低く、 中等度リスク患者 (スコア4~6) および高リスク患者 (スコア7~10) のMACE発生率はそれぞれ12~17%、 50~56%であるとされる¹⁾²⁾³。
HEARTスコアが提唱される前は、 胸痛患者のリスク評価にGRACEスコアやTIMIスコアが使用されていきた。 これらのスケールは侵襲的な治療の必要性を評価するために用いられ、 実質的には高リスク患者を対象として開発された。 一方、 HEARTスコアは、 低リスク患者も含めて層別化することでMACEを見逃すケースが少なくなることが示されている¹⁾。
HEARTスコアは胸痛患者のMACEに対するリスクを層別化して評価することができる。 追加検査の必要性や経過観察の重要性などを判断する指標に有用とされ、 従来使用されてきた胸痛患者に対する予測スコアと比較してMACEを見逃す可能性が低くなることも示されている。 しかし、 胸痛患者の治療方針を決定するためにはHEARTスコアによる評価だけでなく、 患者が訴える症状や検査結果から総合的に判断を下さなければならない。
1) The HEART score: A guide to its application in the emergency department: Turk J Emerg Med. 2018 Jun; 18(2): 47–51. PMID: 29922729
最終更新日 : 2023年12月27日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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